1-3-3『日の出、日没(4線)〔2nd stage〕』
〔2nd stage〕って何だろう、現実ではなく幻視ということだろうか。感覚ではなく時間を超えたものへの凝視。仮にそうならば形は不変性を持つが、曖昧なものになるのではないだろうか。
しかし厳然と角があり溝がある。長いものは時間だろうか、刻みもある。
(4線)って何だろう。日の出から日没までの時空を分けるもの。
日の光や雲の遮蔽、雨や風、風景にはあらゆる現象が生まれては消えて行く。大きくとらえて循環と括ってもいいかもしれない。
時空を4つに分けるものは《春夏秋冬》の変化だろうか。
作家自身の立ち位置はどこだろう、前後か俯瞰、見降ろしているのかもしれない。
地平には起伏がある。突きさすようなものは森や林だろうか。
刻みは《連鎖》である。時間もしくは生命連鎖の普遍性。
4という数字にこだわれば春夏秋冬の景に行き着くが、単純に四分割の景とも言い切れない。
『日の出、日没』すなわち《夜》は含まれない。存在するものが見える、視覚を根拠にできる時間帯である。
端の4つに分かれた線条は春夏秋冬の日照時間だろうか。並べて等しい時間と空間の連鎖、風景の恒常と変移、地上を俯瞰したスケッチである。
写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館