続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『城』1703。

2014-08-08 06:11:20 | カフカ覚書
 フリーダがこう説明しているあいだ、助手たっちは、しきりに首をふり、Kのほうを指でさしつづけ、無言の表情でフリーダの意見を撤回させようとやっきになっていた。


☆フリーダ(平和)が説明しているあいだ、助手(脳/精神)は、たえず理解しようと注意し、中心人物に身震いした。Kは遠くを示し、無言の表情でフリーダ(平和)の意見である命令を撤回しようとしたが、成功しなかった。

八月。

2014-08-07 06:43:49 | 日常
 全てが機械化されフル稼働している現在では、二八(ニッパチ)という言葉は死語かもしれない。
 内職をしていた頃、二月と八月の仕事のない時期を楽しみにしていた。なぜ、二月と八月なのかは判然としなかったけれど、その頃になると夜を徹していた仕事も確かに激減し、空白の日々が続いた。収入がなくなる不安よりも、時間が出来る嬉しさが先行し、机の脇に積んだ布地をしっかり両手に掴み、何を作るかを夢想することの至福はわたしを酔わせた。
 何の技術も無いのに、生地を5mとか10mという風に大雑把に購入するので、結局簡単なエプロンを10枚も作るという単純作業になり(笑止)バカバカしいほどの汗を流していた。よって、その頃作ったエプロンを未だにしているという具合。

 暇な時には、カフカや賢治の作品をテープに吹き込み、仕事中あるいは就寝時に流したりもしたけれど、夫が耳障りだというので止めてしまった。自分に関心のない音はただうるさいだけかもしれない。
 それでも、八月は仕事の手を休める嬉しい期間だったから、夏の暑さなんて少しも気にならなかったと記憶している。これらは、三十代四十代の頃の話である。

 五十代以降は無職に甘んじ、ずっと日曜日状態。人より速い劣化もこうした怠慢な生活から来ているのだろうか。自分らしい生き方の模索も、繰り返される日常茶飯事に飲み込まれ沈下している。

《頑張れ、頑張れ、がんばれ自分》
 遠く弱い響きが聞えないでもない。
 わたしは自分に負けているのだろうか。身体の劣化に意欲まで比例している・・・。
 八月の嬉々とした気持ちが懐かしい(老境)。
 
 八月を心弾む時間に染め抜くことが出来たら・・・。負けが混んだわたしの人生に光あれと夢想してみる。

『ポラーノの広場』416。

2014-08-07 06:29:52 | 宮沢賢治
ところがそれをだしにしてわたくしのある部下のものがわたくしを脅迫しました。あの晩はじつに六ヶしい場合でした。あそこに来てゐたのはみんな株主でした。わざとあすこをえらんだのです。


☆部(区分けし)化(形、性質を変えて別のものにして)教(神仏のおしえ)を吐く(言う)。
 番(代わる代わる行う)録(文字に書き記す)、号(しるし)の帖(書き付け)に頼り、趣(考え)を取(自分のものにしている)。

『城』1702。

2014-08-07 06:13:21 | カフカ覚書
やがて夜になって主人が帰ってきて、破損具合をしらべ、できるだけ修繕しようとおもって出かけていきますと、助手たちも、あとを追いかけてきましたの。たぶん、ここでふたりきりで残っているのがこわかったためでしょう。そして、主人がこじあけた扉のところで仕事をしているのを見たのです。それで、さっきみたいなことを言うのですけれどもーこれじゃ、まるっきり子供ですわ」


☆やがて死がやってきて損害などをよく見て、もしかしたらそれを修復しようと出ていきました。助手(脳、知覚/精神)も後をついていきました。たぶん、先祖が残っているのを恐れたのでしょう。大まじめに企みである現場不在を為し遂げたので言うのですけれど、今はただ子孫の存在があるだけです。

猛暑続き。

2014-08-06 06:46:19 | 日常
 酷い暑さが続いている。家の中にいる限り(戦後生まれは)それほど辛いとも思わないけれど、外でのお仕事の方はさぞ大変だと思う。

 わたしは何とか耐えられる、ぐったりすれば居眠りをし回復すればちょこっと家事をするという具合。


 でも、物はそうはいかない。ぐったりすれば回復するということなく腐食していく。妹から届いた大量の茄子は漬物にし小袋に分け、安く買ったハネ油揚げは甘辛に煮て分けて冷凍、肉も小分けして冷凍、イワシは刺身と煮つけと揚げ物の三種に分けて調理。
 とにかく冷蔵庫頼み、冷凍冷蔵のオンパレード。室温に出してあるのは、ジャガイモ・玉葱、長葱の劣化も早いので通常二束づつ購入しているけれど、やむなく・・・でも面倒なので傷むのを承知で二束買っている。


 要するに自分の体調より、購入した惣菜の材料の劣化を心配している猛暑続き。

「エアコン点けるか」と、夫が言う。
「ちょって待って」と、けちなわたし。

 ケチというより、エアコン点けること自体が贅沢のような気がしてどこか後ろめたいのである。暑ければ、ひっくりかえって寝る。こんな風に生きてきたわたしにはエアコンは宿敵のように感じてしまう、どこまでも死ぬまで貧しさから抜けられないわたし・・・。(エアコンがあるのに点けないで熱中症になり他界してしまう人の気持ち・・・同じなの、わたしは)

『ポラーノの広場』415。

2014-08-06 06:39:36 | 宮沢賢治
そこでわたくしどもも賛成して試験的にごくわづかあ造って見たのですが、それを税務署へ届け出なかったのです。


☆散(ばらばらにする)常(変ることがない道理)、詞(ことば)を見て、適(ふさわしい)像(姿、形)に現わす。
 贅((不必要なもの)は無く、諸(もろもろ)留まるものを推しはかる。

『城』1701。

2014-08-06 06:22:45 | カフカ覚書
だって、これでもわたしは、夕方ごろ斧で薪小屋の扉をひとりであけましたの。それくらい、造作のないことですわ。助手なんか要りもしませんでした。この人たちに手つだってもらったって邪魔になるばかりだったでしょう。


☆でもわたしは同じように企てを用心して開けました。とても簡単でした、助手(脳、知覚/精神)なんて要りませんでした。単に暗示だけでした。

大きな家。

2014-08-05 06:39:32 | 日常
 わたしの住む地域の家の多くは元は農家だったらしい。緑成す田畑に風格ある城にも似た立派な家が点在していたけれど、多くは利便性を考慮し建て替えてしまったと聞いている。それでも古くからのたたずまいの家がまだ何軒か残っていて、思わず見とれてしまうことがある。(屋根は銅葺き三階建ての高さ)

 先日クリニックで隣り合わせた夫人も、そういう家の住人であるので聞いてみた。
「お掃除、大変ですね」
「いえ掃除なんかしませんよ、やりきれませんから。台所にしたって十畳もあるんですよ、冬は寒いんです。・・・わたしと娘はあの家とは離縁していたんですが、お祖父さんが亡くなって娘に譲られたものなんです。二階にはもう長いこと足を踏み入れていませんが、娘が猫を飼って猫部屋になっているらしいです。病気がちな娘を残して、わたしに、もしものことがあればと思うと眠れません。どなたかに後のことを相談したいんです。《Sさんに》と勧められているんですけど、わたしよりずっと年長ですからねぇ・・・」とこぼした。


 思いがけない愚痴に驚いてしまったけれど、、
「この辺りも高くなりましたねぇ、お寺の側に最近空き家になった家がありますけど(価格は)高いんでしょうねぇ」と、ため息をついたので、
「お宅はそんな心配しなくてもいいじゃありませんか」と言うと、
「そうですね・・」と、困ったように笑った。
 こじんまりした家に、(話の経由からして)近所との軋轢もなく静かに暮らしたいと切望しているようにも見えた。


「お互い、身体にだけは気をつけましょうね。」と言って別れたけれど、通るときには必ず見上げてしまう大きな家の意外な話に胸を衝かれてしまった。

『ポラーノの広場』414。

2014-08-05 06:32:32 | 宮沢賢治
すると重役会である重役がそれをあのまゝ醸造所にしようといふことを発議しました。


☆自由な訳(ある言語を言い換える)で解(わかる)。
 懲(あやまち)の厄(くるしみ)を浄(きれいにし)蔵(すべてのものを包み込む)。
 諸(もろもろ)の法(仏の教え)を発(明らかにする)議(はかりごと)である。

『城』1700。

2014-08-05 06:14:13 | カフカ覚書
彼女は、仕事を続けようとしてふたたび床にはいつくばったときに、やっとこうつけ足した。
「わたしたちの助手は、まるで子供みたいでね、もういい年をしているくせに、まだこの学校の椅子にすわらせていただきたいほどですわ。


☆彼女は禁錮の現場不在者にひざまづき言った。
「わたしたちの助手(脳、知覚/精神)はまるで子孫のようだわ、でも本当にそう思うわ、だって、ただこの罪過の不安を聞いているんですもの。