馬車がいちだいたつてゐる
馭者がひとことなにかいふ
黒塗りのすてきな馬車だ
☆魔(人を惑わし害を与える)の赦(罪や過ちを許す)。
語(言葉)で赦(罪や過ちを許す)。
哭(大声で泣き悲しみ)魔(人を惑わし害を与える)の赦(罪や過ちを許す)。
しかし、従僕は、ほとんど聞いていず、自分の肩よりも低いゲルステッカーの頭ごしにあらぬかたを見ながら、しかつめらしくおもむろに髪の毛をなでていた。
☆ゲルステッカーの向こうに、重大な境界線をゆっくり行く大群(死者たち)を見ていた。
一件落着。
でも、もし横浜駅でオレオレ詐欺だと気づいたときに多摩川署にでも通報していたら、犯人は捕まったかもしれない。県警と警視庁の境目を利用して仕事をするなんて!
何より息子との緊密な連絡を取っていない日常が露呈した今回の事件、彼らはそこを二度の電話で確認していたのだと思われる。
「母心は永遠です」なんて言っている場合じゃなかったかもしれない。
それにしても幾たびもパトロールを重ねて下さった巡査の方、本当にありがとうございました。
『喜劇の精神』
喜劇とは何だろう。観客を笑わせながら、状況の真実(物の本質)を彷彿とさせる人。
それがこの切り刻まれた模様のある人型にあるという・・・。
バックは深い緑で、暗黒でも陽気な明るさでもない。地平(床面)の壁ではなく、人型の影が切れていることから、遠隔であることが分かる。
この人型の紙片のようなものは縦に一度折り畳んで刻みを入れたもので、横には折り畳まれていない。要するに広げても十字の(見えない)線は浮上しない。
人体の中央(軸)から左右に模様(情報)が刻み込まれている。左右が同じということは精神のバランスが取れているということであり、きわめて平静(冷静)な見識があるという暗示かもしれない。
この擬人化された紙片は、平面(二次元)である以上、本来直立は困難である、しかも地平には勾配(坂)がある。
よく見ると、片足は地平に食い込んでいるではないか。吹き飛ばされそうな紙片が地平(床面)に軽く沈み込んでいる…ずっしり重いのである。
この軽妙さと隠れた量感、これが『喜劇の精神』の内実かもしれない。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
あのオリーブのせびろなどは
そつくりおとなしい農学士だ
さつき盛岡のていしやばでも
たしかにわたしはさうおもつてゐた
このひとが砂糖水のなかの
つめたくあかるい待合室から
ひとあしでもでるとき……わたくしもでる
☆悩み愕(驚く)死の常を考える。
差(違い)と等(同じ)を推しはかる。
弐(二つ)を合わせた質(内容)である。
「あんたは、新しい建築資材の運搬を請け負わせてもらう用件で来たのだったな」
ゲルステッカーはうなずいて、従僕を脇へ引っぱっていき、小声でなにやら話し出した。
☆「あんたは構造を案内するために来たんですね」と従者(死者)はたずねた。ゲルステッカーは、うなずき従者(死者)を側に引き寄せ、微かに言葉を発した。
地味に水彩画サークルに参加し、一年一度の展示会に参加している。
共同展なので、他のサークルの方と一年一度、その期間(三日)だけ、お会いする。もう十年以上続いているので、旧知の間柄という感じで親しくさせて頂いており、中でもAさんには非常にお世話になっているうえ、そのたびごとに何かくださって恐縮している。
今回はスマホ入れを作ってくださった。
何をしても素人離れの腕とセンスの持ち主。(仲よくして頂いてありがとう)心の中で、いつも呟いています。
十字に仕切られたそれぞれには光が差し込み奥行きがあり、まるで謎かけのように《物》が置いてある。
故にそれら一つ一つに関心を抱き、考え込み、何かを見出そうとする。意味はあるか?の問いに答えようと腐心し、各それぞれ…そして複合的な答を言及する。
やがてそれぞれはイメージに過ぎないと、つまりは問いは否定へと霧消してしまう。
四角の枠は単に平面であることを認めると、十字に仕切られた内部の空間は偽空間だということに気づく。
そしてその四角の枠(全体)でさえ設置を示す何もなく、いわば宙に浮いてる。在るべき場所(現場証明)は不明である。
一夜(瞬間)の幻影に過ぎないが、確かに存在したらしい億年の過去の一端の遺物(時代を証明する物)を大宇宙の博物館に於いて公開しているということである。
わたし達が永遠と信じているものも、宇宙時間の中では一夜の夢なのだと暗にマグリットは呟き、そして確信している。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
パート 一
わたしはずいぶんすばやく汽車からおりた
そのために雲がぎらつとひかつたくらゐだ
けれどももつとはやいひとはある
化学の並川さんによく肖たひとだ
☆鬼(死者)の赦(罪や過ちを許すこと)を運(めぐらせている)
科(とが)を愕(驚き)、詮(明らかにする)章(文章)である。