続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『一夜の博物館』

2018-04-18 07:07:15 | 美術ノート

  『一夜の博物館』

 一夜の長短は分からない。ずっと長い時代を指しているのか、地球の億年の歴史上におけるほんの一夜に括られるものであるのか……。
 四つに仕切られた箱は、十字を刻んでいるようでもある。

 もしあなたの片手、片足が、罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい(『マタイによる福音書』より)
 中央にある木の実(『創世記』より)
 わたしのほかに神があるか。わたしのほかに岩はない。(『イザヤ書』より)

 切り取られた片手・(時間を経た)果実・不明な鉱物(岩)・・・そんな連想が浮かぶ。

 では右下の人為的に模様が刻まれた平面(紙類)は何だろう。
 あなたは自分のために刻んだ像を造ってはならない。(『申命記』より)等々、十の戒め(言葉)を山の中で火の中、雲の中、濃い雲の中から、大いなる声をもって、あなたがたの全会衆のお告げになった。
 決して姿を現すことのない神の深い教えを深淵なる闇に隠したのではないか。

 四つに仕切られた箱の中のそれぞれの物が多くの人々を魅了しえた時代があったのだとマグリットは遥か遠い未来の視点から告げているのではないか。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より) 


『蠕虫舞手』⑥

2018-04-18 06:36:36 | 宮沢賢治

     それに日が雲に入つたし
     わたしは石に座つてしびれが切れたし
     水底の黒い木片は毛虫か海鼠のやうだしさ
     それに第一おまへのかたちは見えないし
     ほんとに溶けてしまつたのやら
  それともみんなはじめから
  おぼろに青い夢だやら


☆化(教え導く事運)を(めぐらせている)新しい釈(意味を解き明かす)である。
 挫ける災(禍)を推しはかる体(ありさま)を告げる。
 黙って遍もれなく)亡(死)を注(書き記す)
 皆(すべて)蘇(よみがえる)題(テーマ)が逸(隠れている)
 兼ねた様(ありさま)は、照(あまねく光が当たる=平等)を務めとしている。


『城』2926。

2018-04-18 06:27:47 | カフカ覚書

「もちろん服を着たままですが、どうも眠つていらっしゃるらしいね。村へ来ると、生活の様子がちがうので、ときどきあんなふうに疲れておしまいになることがあるんです。


☆「罪はもちろん小さなものです。この薄明かりを信じたいが、村(死の入口付近)に来ると、生き方の違いから多くの傷痕により疲れてしまうのです。


🈞マグリット『火の時代』②

2018-04-17 07:01:26 | 美術ノート

 赤黒い雲、不穏な空気が素早く過ぎて行く。時代の急速な流れが漂っている。
 深い暗色の空と海…海を隔てた異国から新天地を求めてやって来た白人、侵略に目を瞑らざるを得ない先住民の苦悩。

 赤色は燃え滾る血であり、不安と怒りの葛藤の炎であり、白い手は、白人を迎え入れざるを得ない降伏の白である。
 押し寄せる白人たちの異世界の介入は許し難いが、時代は流れている。時代を制するのは強者、我々インデアンは譲歩せざるを得ない。
 暗澹たる思いの首長の苦悩は燃え立つ炎と化す。

 先祖代々の我が大地への白人(異邦人)たちの侵入を受け入れざるを得ない葛藤が火となり燃え上がる。
 首長は怒りの炎に白人たちを包んだまま振り上げた手を静かに下ろし、沈思黙考する。火の時代の執念は今も燻っているかもしれない。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


『蠕虫舞手』⑤

2018-04-17 06:43:04 | 宮沢賢治

  水晶体や鞏幕の
  オペラグラスにのぞかれて
  をどつてゐるといはれても
  真珠の泡を苦にするのなら
  おまへもさつぱりらくぢやない


☆推しはかる照(あまねく光が当たる=平等)の他意。
 経(常)なる幕(物事の初めと終わり)には、信(まこと)の趣(考え)である法(神仏の教え)の句(言葉)がある。


『城』2925

2018-04-17 06:32:43 | カフカ覚書

従僕は、Kの肩車にのって、上の壁の切れたところから部屋のなかをのぞいた。
「ベッドに寝ておいでだ」と、従僕は、肩車から降りながら言った。


☆死人はKを罪の上に乗せ、部屋の裂け目を戸外からのぞいた。
「愛している」と死人は罪を下ろしながら言った。


🈞マグリット『火の時代』

2018-04-16 06:58:53 | 美術ノート

  『火の時代』

 火の時代とは何だろう。
 描かれた大地に層はない、つまり近代の情景と思われる。
 火は自然発火によるものと人為的なものとがあるが、摩擦(物質の急激な酸化)などにより火を発生させた原初の暮らし、生きる術(衣食)を大地に見出したインデアンの世界がある。
 鳥の羽根毛を冠り、耳にも装飾を施す文化の熟成……しかし、そこには、白い手や白い球体に暗示される白人の侵略が激化してきたのではないか。
 まさに《火/闘い》の時代である。

『火の時代』とは物理的な火というより、白人の攻撃による熱い火花を散らした時代を指しているのではないか。

 侵略により追われる身となった先住民の誇り、首長は炎(怒り)に包んだ白人を沈思する。平和・融合・敗北(力の差)・未来・・・哀しく切ない黙考、黙禱。
『火の時代』が在ったということである。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


『蠕虫舞手』④

2018-04-16 06:39:01 | 宮沢賢治

  赤い蠕虫舞手は
  とがった二つの耳をもち
  燐光珊瑚の環節に
  正しく飾る真珠のぼたん
  くるりくるりと廻ってゐます
   (えゝ エイト ガムマア イー スイツクス アルフア
    ことにもアラベスクの飾り文字)


☆全ての弔(死者への悼み)無(存在しない)衆(人々)を惜しむ。
 示す字を臨み講(話)を作る。
 語(言葉)を換)入れ替え)接(つなぎ)、照(あまねく光が当たる=平等)を織(組み入れる)。
 審(正しいかどうかを明らかにすること)を受け、皆(すべて)の職(役目)を治めている。