続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈)うすうすと。

2020-12-22 06:57:17 | 飯島晴子

   うすうすと稲の花さく黄泉の道

 はっきりとした根拠があるわけではないが何となく、ほんのわずかな時間しか咲いていないという稲(生きる糧)の花が、あの黄泉の道には咲いている。咲いているに違いない、咲いていてほしい。

 うすうすと(薄薄)はハク・ハクと読んで、泊、吐く。
 稲の花さく(稲花咲)はトウ・カ・ショウと読んで、道、過、証。
 黄泉の道はコウ・セン・ドウと読んで、考、選、如何。
☆泊(自宅以外のところで夜を過ごしたこと)を吐く。
 道(物事の筋道)の過(あやまち)。
 証(ありのままに述べる)考えを選(選択)するのは如何に。

 うすうすと(薄薄)はハク・ハクと読んで、白、魄。
 稲の花さく(稲花咲)はトウ・カ・ショウと読んで、蕩、過、消。
 黄泉の道はコウ・セン・ドウと読んで、考、潜、慟。
☆白(穢れのない)魄(たましい)を蕩(すっかり失くしてしまった)。
 過(あやまち)を消す考えに、潜(身をひそめて)慟(身もだえして悲しんでいる)。
 


R.M『美しい言葉』

2020-12-22 06:32:47 | 美術ノート

   『美しい言葉』

 一輪の薔薇、その上に同じ薔薇が蒸気のような形で描かれている。薔薇から発した蒸気(香気)だろうか、膨張している。そのうえには二十六日あたりの月が南中して描かれている。二十六日あたりの月の南中は日中で霞んで見えるが、はっきりと描かれている。つまり、在ることは在るが、くっきりとは見えず疑わしい図なのである。

 地平線は霞んで不明確であり、ここがどこなのか明確に把握できるものがなく、唐突にバラが一輪あるのみである。
 美しいバラは確かに美しい、事実である。
 しかし、美しい薔薇の複製たる蒸気めいたものは、事実ではない。

 言葉の本質は伝達であるが、必ずしも正確無比というわけではない。装飾華美な言葉は人を酔わせるが、むしろ本質を隠蔽し見えなくすることが多々あるのではないか。言葉には美を装って、虚偽を真実にすり替える術がある。

 写真は『マグリット』展・図録より


『城』3561。

2020-12-22 06:15:30 | カフカ覚書

フリーダは、子供ときから助手たちを知っていました。おたがいにもう秘密もなにもない間柄です。しかし、彼らは、あなたに敬意を表して、たがいに惚れ合うお芝居をはじめたのです。こうしてあなたにとっては、それがほんものの恋に発展する危険が生じたのです。


☆フリーダは幼い時から助手たちを知っていました。不思議な秘密というのは先祖でない人たちの小舟でした。でも、Kは冒険を受け止め、お互いに大きな愛をもって(死の)旅に出て、憧れを生じさせたのです。


『飯島晴子』(私的解釈)漏れ薬罐。

2020-12-21 07:21:06 | 飯島晴子

   漏れ薬罐しばらく使ふ冬椿

 漏れ薬罐、じわじわっとどこからともなく漏れる、判別しにくいほどの欠損であれば、まだしばらくは使用可能でもある。寒風に吹き曝される冬椿、美しさに手に取ってみると、どこというのでもなく傷みの徴候がある。

 漏れ薬罐はロク・ヤク・カンと読んで、老、厄、艱。
 しばらく使ふ(暫使う)はザン・シと読んで、斬、此。
 冬椿はトウ・チンと読んで、闘、鎮。
☆老いの厄(苦しみ)艱(悩み)を斬(たち切る)。
 此と闘い鎮(押さえつけること)である。

 漏れ薬罐はロウ・ヤク・カンと読んで、労、訳、換。
 しばらく使ふ(暫使)は、ザン・シと読んで、竄、視。
 冬椿はトウ・チンと読んで、套、珍。
☆労(力を尽くして働き)訳(ある言語を他の言語で言い換えること)を勘(考える)。
 竄(文字・文章を変えること)を視(よく見てから)、套(隠す)のは珍しい。


『飯島晴子』(私的解釈)青柿の。

2020-12-21 06:57:53 | 飯島晴子

   青柿のくもりに触るゝ悼み言

 青柿(未熟)なまま落果するのを見かけるが、これが人であれば将来あるやも知れない人材の損失である。はっきり見通せないが未来ある人の逝去を悲痛な思いで送らざるを得ない哀悼の意である。

 青柿はショウ・シと読んで、妾、恣。
 くもりに触るゝ(曇触)はウン・ショクと読んで、云、飾。
 悼み言はトウ・ゲンと読んで、盗、嫌。
☆妾の恣(勝手な振舞い)に云(ものを言う)。
 飾って盗(人のものを取る)のは嫌いである。

 青柿はショウ・シと読んで、抄、詞。
 くもりに触るゝ(曇触))はウン・ショクと読んで、運、殖。
 悼み言はトウ・ゲンと読んで、套、現。
☆抄(抜き書きをする)詞(言葉)の運(巡り合わせ)を殖やすと、套ったものが現れてくる。


R.M『自然の驚異』

2020-12-21 06:33:35 | 美術ノート

   『自然の驚異』

 自然の驚異、自然は有るがままであり、驚異があるとしたら、崩壊である。生成されて他の物質に変移するなどとは考えられないが、それをこともなく提示したのが『自然の驚異』という作品に他ならない。

 上半身は魚である人間が石化し、男女ペアで岩の上に腰かけている。すでに自然という範疇ではない。通念としての自然のあり方を逸脱している。絶対にと換言してもいいかもしれない。海の水が舟の形を呈しているのも然り。

 液体(水)が個体化(船)する、確かに水には三態あり凍ることはあるが、人工的な形勢はあり得ない。水が立ちあがり、しかも文明の発明である船に視覚化する・・・これを以て自然の驚異とするとしたら、驚異とは次元を根底から否定し、自然の律を犯すことに他ならない。石化した人間も有機から無機への変移を迫られ、当然、精神はそこに無い。

『自然の驚異』とは思考を破壊し、物理的論拠を否定し得る壊滅状態をいうのだろうか。ここには人間の支配や権力と言った横暴は皆無である。


 写真は『マグリット』展・図録より


『城』3560。

2020-12-21 06:25:10 | カフカ覚書

しかし、助手たちはそういう使者の役目を勤めただけではありません。ふたりは、あなたにやきもちを焼かせ、かっかとさせておく役目もはたしていたのです。


☆しかし、助手たちは使者の役目を果たしたばかりではありません。二人はあなたに対抗心を抱かせ、熱くもさせたのです。


『飯島晴子』(私的解釈)こめかみに。

2020-12-20 06:13:54 | 飯島晴子

   こめかみに血の薄くなる返り花

 こめかみを指で指すのは、考えつつ記憶を探る動作である。血がたぎるのは情熱、薄くなるのは無関心かもしれない。
 返り花、絢爛とはいかず、間違えて淋しく咲いたという印象の返り花である。桜やつつじの返り花、思わず足を止めてしまうけれど、一般にはそうかもしれない。

 こめかみ(顳顬)はショウ・ジュと読んで、賞、授。
 血の薄くなるはケツ・ハクと読んで、傑、博。
 返り花はヘン・カと読んで、変化。
☆賞を授かる傑(優れた人)は、博(大きく広がる)変化がある。

 こめかみ(顳顬)はショウ・ジュと読んで、償、受。
 血の薄くなるはケツ・ハクと読んで、決、迫。
 返り花はヘン・カと読んで、偏、科。
☆償いを受ける決(覚悟をする)。
 迫(追い詰め、苦しめられる)偏(頑なな)科(罪とが)がある。


『飯島晴子』(私的解釈)秋の宿。

2020-12-19 06:03:03 | 飯島晴子

   秋の宿黒き仏間を通り抜け

 秋の宿、芒や紅葉の鄙びた宿。薄暗く金箔も黒ずむ古色漂う仏間、居住空間を通り抜け、案内された客間である。

 秋の宿はシュウ・シュクと読んで、集、叔。
 黒き仏間はコク・ブツ・カンと読んで、哭、物、看。
 通り抜けはツウ・バツとよんで、二、閥。
☆集まった叔(父母の弟や妹)が哭(大声で泣き悲しむ)。
 物(死んだ人)には看(注意して見ると)、二つの閥(家柄)がある。

 秋の宿はシュウ・シュクと読んで、讐、粛。
 黒き仏間はコク、ブツ、カンと読んで、告、打つ、憾。
 通り抜けはツウ・バツと読んで、痛、罰。
☆讐(相手に仕返しをすること)を粛(つつしむように)と、告げる。
 打つことは憾(残念)であり、痛(はなはだ)罰さねばならない。


『飯島晴子』(私的解釈)旅客機閉す。

2020-12-18 07:18:06 | 飯島晴子

   旅客機閉す秋風のアラブ服が最後

 旅客機、大勢の旅行客が乗り合わせているに違いない。秋風…宗風(各宗派の習い)・・・各国の乗客、閉ざす最後はアラブ服の裾が秋風になびいていたという情景。
 アラブ、Arab、あらぶ・・・ABCでも、あいうえおでも、一番最初が決まりの《A・あ》、なのに、アラブ服が最後だったというお話。

 旅客機はリョ・カク・キと読んで、侶、各、記。
 閉す秋風はヘイ・シュウ・フと読んで、蔽、修、普。
 アラブ服が最後はフク・サイ・ゴと読んで、複、再、語。
☆侶(つれ/仲間)には各(それぞれ)の記を蔽(見えないようにし)、修(ととのえている)。
 普く複(二つ)再(重ねた)語(言葉)がある。

 旅客機ハリョ・カク・キと読んで、慮、較、基。
 閉す秋風はヘイ・シュウ・フウと読んで、併、収、封。
 アラブ服が最後はフク・サイ・ゴと読んで、腹、採、語。
☆慮(あれこれ思いめぐらし)較(比べること)が基(きほん)である。
 併(合わせて)収(おさめ)、封(閉じ込めた)腹(心の中)。
 採(選び取る)語(言葉)がある。