3月31日、NY株式市場は、原油WTI相場が、一時
バレル56ドルを突破したことを嫌気して37ドル以上下げた。
3月30日は、原油相場が、一時バレル52ドルまで下げた
ことを好感して130ドル以上上げていた。
日経ダウは、3月31日、NYダウ大幅高を材料に
100円以上上げたが、日銀短観にもよるが、
NYY株安を嫌気すれば、連動して日経ダウは
下げるかもしれない。
ところで、NY原油先物相場が、55ドルを再び突破したのは、
Goldman Sacksのアナリスト、Arjun Murti氏が、
「原油相場は100ドルまで上がらないと落ちつかないだろう。」
とレポートしたことが引き金であると3月31日のWSJ
(ウオールストリートジャーナル)紙電子版が報じている。
WSJ紙によれば、「現在の原油相場は、スーパー・スパイク
相場に向けた初期段階にある。」とMurti氏は話している。
Murti氏は、スーパー・スパイク相場の幅をバレル
50~80ドルを50~105ドルへ上限を80ドルから
105ドルへ引き上げた。
Murti氏は、同時に、2005年相場の予測を、
バレル41ドルから50ドルへ、
2006年を当初予測の40ドルから一挙に55ドルへ
上方修正した。
同氏は、「原油相場が40ドルから50ドルへ値上りした
にもかかわらず、米国と中国の原油需要が落ちない。
景気も悪化しない。これには驚いている。
(予想外だった)」と話している。
同氏は、「原油が上がりつづけることで産油国の
ふところが潤ってきている。新たな油田開発の瀬在力を
つけさせる。原油相場は、消費が落ち、生産設備を
減らすところまで上げ続けるだろう。」と修正根拠を
説明している。
日本で原油相場が55ドルを越えてもさして
動揺していない。
理由は簡単で、ドル建て価格は
上がっても量的不安が全くないことと円相場が
対ドルで強いからだ。
円相場が、1ドル=105円近辺で安定していることが
円ベースでの原油上昇の衝撃を抑えている。
これが1ドル=105円でなく仮に1ドル=150円で
あればどうだろう。
大騒ぎになっていたであろう。
米国は輪転機をどんどん回してドル紙幣を印刷している。
ドル紙幣はいまのところ紙くずになっていない。それは
特に日本、中国がドル建て債券をせっせと買い続けて
いることで大いに助けられている。
米ドルは、きわどいバランスの上にたったヤジロベイ
のような存在である。
だからこそ、米FRBのグリーンスパン議長が、
利上げをテコに米国資産の目減り、ドル資産離れの
流れ食い止めに腐心しているのであろう。
Goldman SachsのMurti氏のコメントが原油相場を
揺さぶり、NY株価を右往左往させた。世界的な金余り
時代には右に左に相場が大きくぶれ易いから警戒が
必要だ。
日本ではライブドアの堀江氏の行動で大騒ぎをしている。
今回のケースでも簡単に800億円とか1,000億円とか
の大金が動かされる。金余り現象そのものの動きである。
今ひとつ注目しておきたいポイントがある。
今回のライブドア騒動は、その帰趨はさておき、
アメリカンルールで、日本という国がまるで米国の
属国であるかのように、ひっかき回されている
象徴的現象の一つであるということである。
郵政民営化も同じである。
日本の商法改正も同じである。
好むと好まざるとにかかわらず、
日本がアメリカルールを受け入れさせられようと
している分かり易い証拠である。
冗長ながら、ここで経緯の一端を振りかえって
見るのも無駄ではあるまい。
ブッシュ現米大統領の父親が米大統領のとき、
1989年にスタートした「日米構造問題協議」なるものが、
今日の日本を悩ませている伏線の一つであろう。
日本語では単純に「構造問題」と訳されている。
ところが英語の原文には、Impediment(障害物)という
言葉がはじめから入っている。
Impedimentは名詞形であり、動詞形はImpede
(妨げる)という意味である。
ImpedeのことばのなかのPedの語源はラテン語で
足を意味する。Pedalは足で踏むからペダルという。
自転車のあのペダルである。
ImーpedーeはPed(足)を邪魔する、足に
からみつくという意味である。
アメリカ人から見て(日本人から見てではない)
アメリカ人が日本市場へ入ろうとしたら日本という国には
いろいろな規制がある。それがアメリカ人の足に絡み付いて
くる。それをどうしても取り除きたいということから
「日米構造協議」が始まった。
どうしたことか、日本語に翻訳するときに
一番肝心なImpediment(足に絡み付くこと)という
言葉が故意か無作為か知らないが落とされた。
「日米構造問題協議」は1997年から
「日米規制緩和協議」へ看板は塗り替えられた。
しかし基本とするアメリカの精神は全く
変わっていない。反対にいま日本人の魂は
ふらふらしているように見受けられる。
米国は、執拗に、従来ならいらだつとことも、
めずらしく、気持ちを抑えながら、時間をかけて、
日本ルールからアメリカンルールへの変更を迫っている。
日本はいま、郵政民営化やライブドア事件で
大騒ぎしている。
植木鉢の下で安心していた丸虫やハサミムシが
ブルドーザーに蹴飛ばされて右往左往している姿と
どうしても重なってしまう。
植木鉢の下の虫だけが気付かなかったにすぎない。
NY株、原油相場に右往左往。
他人事では済まされまい。(了)
バレル56ドルを突破したことを嫌気して37ドル以上下げた。
3月30日は、原油相場が、一時バレル52ドルまで下げた
ことを好感して130ドル以上上げていた。
日経ダウは、3月31日、NYダウ大幅高を材料に
100円以上上げたが、日銀短観にもよるが、
NYY株安を嫌気すれば、連動して日経ダウは
下げるかもしれない。
ところで、NY原油先物相場が、55ドルを再び突破したのは、
Goldman Sacksのアナリスト、Arjun Murti氏が、
「原油相場は100ドルまで上がらないと落ちつかないだろう。」
とレポートしたことが引き金であると3月31日のWSJ
(ウオールストリートジャーナル)紙電子版が報じている。
WSJ紙によれば、「現在の原油相場は、スーパー・スパイク
相場に向けた初期段階にある。」とMurti氏は話している。
Murti氏は、スーパー・スパイク相場の幅をバレル
50~80ドルを50~105ドルへ上限を80ドルから
105ドルへ引き上げた。
Murti氏は、同時に、2005年相場の予測を、
バレル41ドルから50ドルへ、
2006年を当初予測の40ドルから一挙に55ドルへ
上方修正した。
同氏は、「原油相場が40ドルから50ドルへ値上りした
にもかかわらず、米国と中国の原油需要が落ちない。
景気も悪化しない。これには驚いている。
(予想外だった)」と話している。
同氏は、「原油が上がりつづけることで産油国の
ふところが潤ってきている。新たな油田開発の瀬在力を
つけさせる。原油相場は、消費が落ち、生産設備を
減らすところまで上げ続けるだろう。」と修正根拠を
説明している。
日本で原油相場が55ドルを越えてもさして
動揺していない。
理由は簡単で、ドル建て価格は
上がっても量的不安が全くないことと円相場が
対ドルで強いからだ。
円相場が、1ドル=105円近辺で安定していることが
円ベースでの原油上昇の衝撃を抑えている。
これが1ドル=105円でなく仮に1ドル=150円で
あればどうだろう。
大騒ぎになっていたであろう。
米国は輪転機をどんどん回してドル紙幣を印刷している。
ドル紙幣はいまのところ紙くずになっていない。それは
特に日本、中国がドル建て債券をせっせと買い続けて
いることで大いに助けられている。
米ドルは、きわどいバランスの上にたったヤジロベイ
のような存在である。
だからこそ、米FRBのグリーンスパン議長が、
利上げをテコに米国資産の目減り、ドル資産離れの
流れ食い止めに腐心しているのであろう。
Goldman SachsのMurti氏のコメントが原油相場を
揺さぶり、NY株価を右往左往させた。世界的な金余り
時代には右に左に相場が大きくぶれ易いから警戒が
必要だ。
日本ではライブドアの堀江氏の行動で大騒ぎをしている。
今回のケースでも簡単に800億円とか1,000億円とか
の大金が動かされる。金余り現象そのものの動きである。
今ひとつ注目しておきたいポイントがある。
今回のライブドア騒動は、その帰趨はさておき、
アメリカンルールで、日本という国がまるで米国の
属国であるかのように、ひっかき回されている
象徴的現象の一つであるということである。
郵政民営化も同じである。
日本の商法改正も同じである。
好むと好まざるとにかかわらず、
日本がアメリカルールを受け入れさせられようと
している分かり易い証拠である。
冗長ながら、ここで経緯の一端を振りかえって
見るのも無駄ではあるまい。
ブッシュ現米大統領の父親が米大統領のとき、
1989年にスタートした「日米構造問題協議」なるものが、
今日の日本を悩ませている伏線の一つであろう。
日本語では単純に「構造問題」と訳されている。
ところが英語の原文には、Impediment(障害物)という
言葉がはじめから入っている。
Impedimentは名詞形であり、動詞形はImpede
(妨げる)という意味である。
ImpedeのことばのなかのPedの語源はラテン語で
足を意味する。Pedalは足で踏むからペダルという。
自転車のあのペダルである。
ImーpedーeはPed(足)を邪魔する、足に
からみつくという意味である。
アメリカ人から見て(日本人から見てではない)
アメリカ人が日本市場へ入ろうとしたら日本という国には
いろいろな規制がある。それがアメリカ人の足に絡み付いて
くる。それをどうしても取り除きたいということから
「日米構造協議」が始まった。
どうしたことか、日本語に翻訳するときに
一番肝心なImpediment(足に絡み付くこと)という
言葉が故意か無作為か知らないが落とされた。
「日米構造問題協議」は1997年から
「日米規制緩和協議」へ看板は塗り替えられた。
しかし基本とするアメリカの精神は全く
変わっていない。反対にいま日本人の魂は
ふらふらしているように見受けられる。
米国は、執拗に、従来ならいらだつとことも、
めずらしく、気持ちを抑えながら、時間をかけて、
日本ルールからアメリカンルールへの変更を迫っている。
日本はいま、郵政民営化やライブドア事件で
大騒ぎしている。
植木鉢の下で安心していた丸虫やハサミムシが
ブルドーザーに蹴飛ばされて右往左往している姿と
どうしても重なってしまう。
植木鉢の下の虫だけが気付かなかったにすぎない。
NY株、原油相場に右往左往。
他人事では済まされまい。(了)