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原油高も石油メジャー冷静ー学校で教えてくれない経済学

2005-04-05 08:57:09 | 経済学
 4月4日、NY下原油先物相場は、指標となる
軽質油WTI(ウエストテキサス・インターミディエート)が
バレル58.28ドルまで上げ、新高値を更新した。

 無鉛物ガソリン相場も、ガロン1.7491ドルへ上げ
新高値を更新した。

 A.G.Edwards&Sonsストラテジスト、ScottWaren氏は
「もし相場が60とか65ドルまで上げるようなことになれば
そこではじめて天井感が出てくるであろう。」と原油の専門家も
今の相場上昇の勢いにはお手上げのようだ。

 OPEC総裁、Sheik Ahmed Fahd Al Ahmed Al Saba氏は
「この先2週間は相場の行方を見守りたい。」と発言した。
「原油市場は不足状態にない。さらに値上りすれば
OPECは生産の上限枠を日量50万バレル拡大する。」と
話したとWSJ(ウオールストリートジャーナル)は伝えている。

 ところが、OPECは先月の総会で生産上限を日量50万バレル
引き上げたばかりである。しかし、市場はむしろ生産余力なし
とみて上限枠拡大を買い材料に使った。

 OPECはすでに価格の生殺与奪権をすでに失ったと
いうのがマーケットの評価のようだ。

 OPEC関係者の発言は相場を冷やすどころか投機家に
むしろ手の内を見透かされて、恰好の買い材料を与えている。

 ここで興味深いことは肝心の石油メジャーが
たらふく儲けたお金を大型の油田開発に回す動きを
おくびにも見せていないことである。

 いまでこそ原油高騰が騒がれているがここ20年
オイルショックの後もバレル15ドル前後を上下して
ボックス相場を低迷していた。

 設備増強に重い腰を上げないのはメジャーなりの
過去の苦い経験があるのだろう。

 現在の原油相場は世界的な金余りが投機資金を
刺激して、実需無視した作られた相場にすぎない。
早晩相場は崩れるとの見方がメジャーに基本的に根強い。

 米石油大手の株価は年初来2割から3割近く
値上りした。世界トップのエクソンモービル社も
手持ち現金が昨年央から5割増えたとWSJ
(電子版)は伝えている。

 それなら手に入れた巨額の資金は何に使うのか。

 増配など株主に還元するかM&Aを通じて
企業買収に使うのだという。
 
 現に米石油2位のシエブロンテキサコは、
4月4日、米石油9位のユノカル買収を発表した。
ユノカルはタイ、インドネシアなどでアジア事業に
磐石の権益を保有していることに目をつけたのだろう。
 
 新規の石油掘削には巨額の資金を要する。
それに見合う見かえりはあまりにも少ない。
M&Aで手中におさめることがいかに投資効率が
いいかはっきりしている。
 
 当たり前のことであるが相場の世界には
暴落はつきもの。

 ここ20年設備増強のあと原油相場は
低迷した。これがメジャーにとって貴重な
教訓となった。だからこそ、いっときの
値上りで軽々に彼らは動けない。

 原油高騰にもいたって冷静な
石油メジャーの動向からも
学ぶことが多いのではなかろうか。(了)

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