原油・為替・金利の動きは、全てではないが、情報が氾濫している現代の世の中では、経済の健康状態をチエックする物差しの働きをしてくれることが結構多い。
まず原油で見れば、日本は資源のほぼ100%輸入しているが、原油もその内のひとつである。ひとたび原油の輸入が止まれば、せいぜい170日程度の備蓄だから、日本経済は、たちどころにマヒ状態に陥る。
その原油で、2007年の世界の原油需要が、前年比2%増加すると、パリに本部を置く、IEA(世界エネルギー機関)が発表した。2006年の伸びが年0.9%だったから倍以上の伸びである。原油相場が現在、バレル70ドル直前で足踏みしているが、年末までに過去最高値のバレル78.40ドルを越えるとの根強い見方の根拠となっている。
次に、為替市場では、1ドル=123.81円と対円でのドル堅調が目立っている。0.5%の低利で円を借り、その円を売ってドルを買って運用する円キャリートレードの存在が益々クローズアップされてきているようだ。日本の個人投資家が、この流れを加速させている。
スイス銀行が短期の政策金利を年2.0%から2.25%へ引き上げたが、年内に0.25%の再利上げが予測される。このようなスイスの動きが、円売りドル買いの流れを助けているようだ。
日本にいると0.5%の日本の短期の政策金利がいかに異常であるか気付き難い。本来自国通貨が売られると心配するのが自然である。資源のほぼ100%輸入に頼っている日本のような国は、円が売られ過ぎるとどうなるか。不思議なことに、日本では円安を歓迎している。
参院選挙後に日銀が利上げするという見方がある。年末までに2度0.25%利上げしても、まだ1.0%である。米国は5.25%、英国は5.5%で英国は来月0.25%利上げのうわさがもっぱらである。EUは4.0%で落ち着いているが、日本の金利と比べればはるかに高い。
人間のからだも同じで、入院生活が長くなると、筋肉が落ち、骨も細くなる。普通に歩くことさえ難しくなる。0.5%の金利は、それと同じで、極論すれば、宇宙飛行士が無重力の状態に置かれているようなもので、突発的事態に直面するとからだが反応出来なくなる。
話は飛ぶ。米国最大のエタノールメーカー、ADMがブラジルでサトウキビを原料にエタノールを生産すると発表した。効率のいいサトウキビへコーンからのシフトである。世の中コーンが全てでないことを行動で示した。
日本人は皆が飛び込むから飛び込む。人任せにしていると命取りになるだろう。〈了〉
江嵜企画代表・Ken
まず原油で見れば、日本は資源のほぼ100%輸入しているが、原油もその内のひとつである。ひとたび原油の輸入が止まれば、せいぜい170日程度の備蓄だから、日本経済は、たちどころにマヒ状態に陥る。
その原油で、2007年の世界の原油需要が、前年比2%増加すると、パリに本部を置く、IEA(世界エネルギー機関)が発表した。2006年の伸びが年0.9%だったから倍以上の伸びである。原油相場が現在、バレル70ドル直前で足踏みしているが、年末までに過去最高値のバレル78.40ドルを越えるとの根強い見方の根拠となっている。
次に、為替市場では、1ドル=123.81円と対円でのドル堅調が目立っている。0.5%の低利で円を借り、その円を売ってドルを買って運用する円キャリートレードの存在が益々クローズアップされてきているようだ。日本の個人投資家が、この流れを加速させている。
スイス銀行が短期の政策金利を年2.0%から2.25%へ引き上げたが、年内に0.25%の再利上げが予測される。このようなスイスの動きが、円売りドル買いの流れを助けているようだ。
日本にいると0.5%の日本の短期の政策金利がいかに異常であるか気付き難い。本来自国通貨が売られると心配するのが自然である。資源のほぼ100%輸入に頼っている日本のような国は、円が売られ過ぎるとどうなるか。不思議なことに、日本では円安を歓迎している。
参院選挙後に日銀が利上げするという見方がある。年末までに2度0.25%利上げしても、まだ1.0%である。米国は5.25%、英国は5.5%で英国は来月0.25%利上げのうわさがもっぱらである。EUは4.0%で落ち着いているが、日本の金利と比べればはるかに高い。
人間のからだも同じで、入院生活が長くなると、筋肉が落ち、骨も細くなる。普通に歩くことさえ難しくなる。0.5%の金利は、それと同じで、極論すれば、宇宙飛行士が無重力の状態に置かれているようなもので、突発的事態に直面するとからだが反応出来なくなる。
話は飛ぶ。米国最大のエタノールメーカー、ADMがブラジルでサトウキビを原料にエタノールを生産すると発表した。効率のいいサトウキビへコーンからのシフトである。世の中コーンが全てでないことを行動で示した。
日本人は皆が飛び込むから飛び込む。人任せにしていると命取りになるだろう。〈了〉
江嵜企画代表・Ken