先週末、福岡市で開かれたさる合繊メーカーの異業種交流会で講演する機会があった。冒頭、3つのキーワード、第一に米国、次に中国、最後に欧州を挙げた。
米国については、景気動向もさることながら、米大統領に誰がなるかによって日本のみならず世界が甚大な影響を受けたことを、①ルーズベルトの急死に伴うトルーマンの登場、②ニクソン、そして③ブッシュ大統領の例について、具体的に引用しながら話した。
中国については、今年は北京オリンピックの年である。中国の原油輸入先トップはアンゴラである。アンゴラは人権侵害しているからオリンピックをボイコットすべきだとの動きが欧州で出ている。日本のマスコミは、この問題を余り取り上げていないと紹介した。
欧州については、ECBのトリシエ総裁の発言を日々注目して欲しい。彼の発言次第で為替が動き、ひいてはそれが原油相場にも即連動する。今さらのように原油急騰を騒いでいるが、原油相場が特にドルの対ユーロ相場と連動していることが無視できないからだと話した。
石油の値段は2倍になった。石油の値段を1として分子に置き、分母に1/2を置いて割り算するとどうなるか。1÷1/2=2となる。石油の値段が倍になったと騒いでいるが、値打ちが半分になったドル建て値段が倍になってある意味では納得できると話した。
物の値段は基本的には需給で決まる。世界最大の産油国はサウジアラビアである。その国で油田の老朽化が進んでいる。OPECの今後はサウジとそのまま重なる。非OPEC最大、サウジと肩を並べる生産力のロシア油田の老朽化が目立つ。供給不安の温床がここにある。
油田は世界の火薬庫とみなされる中東に集中している。中国がアンゴラはじめアフリカに触手を伸ばしているのもリスクヘッジのためである。ドルを売って原油を買うのもドルの目減りに対するリスクヘッジに過ぎない。特に日本人はリスクヘッジの感性に乏しい。
老朽化が確実に進んでいる産油国に石油の増産を要請しても能力の乏しい子供に親が無理やり勉強を強いる姿とだぶる。石油消費国(親)が、好き勝手に行動しておきながら、産油国(子供)の性にして、増産を要請しても、色よい返事などもらえるはずはない。
原油高騰を投機家の性にする人も多い。輪転機を回し続けて、札びらを無制限に増やし続けているのは何処の国の誰か。自国では二酸化炭素を撒き散らし、「きれいな」空気が必要だと訴えても誰も聞く耳を持たない。それと同じで、金利を下げ、世界的に金余り状態にしていること自体が原油高騰の元凶である。原油高騰を投機家の責任だと一概に言えまい。
NY原油WTI先物相場が、6月6日、前日比10.75ドル上げ、138.54ドルで取引を終了した。年初から44% 値上がりである。原油相場は、133.17ドルまで上げたあと、ここ9日間、8.2%値下がりした。休むも相場。「相場」が「リフレッシュ休暇」をとっていた。
誰が「寝た子」を起こしたのか。一つはECBのトリシエ総裁の「7月のECB会合で利上げもありうる」との発言と、イスラエルがイランに核ミサイルを撃ち込むとのうわさが流れたためだとWSJ紙は裏話を紹介している。戦争前夜の空気が市場に一瞬流れたそうだ。
さる合繊メーカートップが原油200ドル時代到来でコメントしたことが様々な波紋を起こしたようだ。今は平時でない。戦時である。自らにも向けた「兵に告ぐ」であったに違いない。原油200ドル時代の持つ意味を、日本人一人一人が冷静に判断すべきだろう。(了)
米国については、景気動向もさることながら、米大統領に誰がなるかによって日本のみならず世界が甚大な影響を受けたことを、①ルーズベルトの急死に伴うトルーマンの登場、②ニクソン、そして③ブッシュ大統領の例について、具体的に引用しながら話した。
中国については、今年は北京オリンピックの年である。中国の原油輸入先トップはアンゴラである。アンゴラは人権侵害しているからオリンピックをボイコットすべきだとの動きが欧州で出ている。日本のマスコミは、この問題を余り取り上げていないと紹介した。
欧州については、ECBのトリシエ総裁の発言を日々注目して欲しい。彼の発言次第で為替が動き、ひいてはそれが原油相場にも即連動する。今さらのように原油急騰を騒いでいるが、原油相場が特にドルの対ユーロ相場と連動していることが無視できないからだと話した。
石油の値段は2倍になった。石油の値段を1として分子に置き、分母に1/2を置いて割り算するとどうなるか。1÷1/2=2となる。石油の値段が倍になったと騒いでいるが、値打ちが半分になったドル建て値段が倍になってある意味では納得できると話した。
物の値段は基本的には需給で決まる。世界最大の産油国はサウジアラビアである。その国で油田の老朽化が進んでいる。OPECの今後はサウジとそのまま重なる。非OPEC最大、サウジと肩を並べる生産力のロシア油田の老朽化が目立つ。供給不安の温床がここにある。
油田は世界の火薬庫とみなされる中東に集中している。中国がアンゴラはじめアフリカに触手を伸ばしているのもリスクヘッジのためである。ドルを売って原油を買うのもドルの目減りに対するリスクヘッジに過ぎない。特に日本人はリスクヘッジの感性に乏しい。
老朽化が確実に進んでいる産油国に石油の増産を要請しても能力の乏しい子供に親が無理やり勉強を強いる姿とだぶる。石油消費国(親)が、好き勝手に行動しておきながら、産油国(子供)の性にして、増産を要請しても、色よい返事などもらえるはずはない。
原油高騰を投機家の性にする人も多い。輪転機を回し続けて、札びらを無制限に増やし続けているのは何処の国の誰か。自国では二酸化炭素を撒き散らし、「きれいな」空気が必要だと訴えても誰も聞く耳を持たない。それと同じで、金利を下げ、世界的に金余り状態にしていること自体が原油高騰の元凶である。原油高騰を投機家の責任だと一概に言えまい。
NY原油WTI先物相場が、6月6日、前日比10.75ドル上げ、138.54ドルで取引を終了した。年初から44% 値上がりである。原油相場は、133.17ドルまで上げたあと、ここ9日間、8.2%値下がりした。休むも相場。「相場」が「リフレッシュ休暇」をとっていた。
誰が「寝た子」を起こしたのか。一つはECBのトリシエ総裁の「7月のECB会合で利上げもありうる」との発言と、イスラエルがイランに核ミサイルを撃ち込むとのうわさが流れたためだとWSJ紙は裏話を紹介している。戦争前夜の空気が市場に一瞬流れたそうだ。
さる合繊メーカートップが原油200ドル時代到来でコメントしたことが様々な波紋を起こしたようだ。今は平時でない。戦時である。自らにも向けた「兵に告ぐ」であったに違いない。原油200ドル時代の持つ意味を、日本人一人一人が冷静に判断すべきだろう。(了)