新聞紙上を通じての報道によれば、大阪で、週末にかけて開かれていたG7(米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、日本)及びロシア計8ヶ国財務相会議は、原油と食料高騰が、世界経済の成長を抑えかつインフレを促進すると警告する共同声明を発表して閉幕した。
原油及び食料急騰は、投機資金が商品市場へ流れ込んだことが大いに影響したとして、資金の流れを精査するようIMF〈国際通貨基金〉及びIEA〈国際エネルギー機関〉に要請した。フランス、ドイツ、イタリアが投機資金の流入を主張したとWSJ紙は指摘した。
為替問題には表面的には触れなかった。しかし、特にポールソン米財務長官は、強いドルを米国が求めていることを繰り返した。対米貿易の多いカナダのJimFlaherty財務相はドル安の影響を強く訴えたとWSJ紙は紹介している。
フランスのChristineLagarde財務相は、対ドルでのユーロ高抜きにして、原油相場急騰は議論できないと指摘し、ECB(欧州中央銀行)が利上げを決める際、インフレと同時にヨーロッパの景気にも配慮すべきであると話したとWSJ紙は紹介している。
NY外国為替市場は、6月13日、1ユーロ=1.5363ドルと3月以来のドル高ユーロ安の水準で取引された。ドルは対円でも買われ、1ドル=108.21円で取引された。
ドル堅調の地合いは、バーナンキ米FRB議長の相次ぐドル安懸念発言やそれに呼応したポールソン財務相発言が明らかに影響している。
NY外国為替市場では、米国での利上げが早ければ8月のFOMCの会合で実施されるとの見方が出てきている。米国債の値下がり〈利回り上昇〉がこれを裏付けている。米国の5月の小売高が予想以上に堅調だったことで、米FRBが利上げがやり易くなったとする見方が底流を流れている。
米国が、5.25%2.0%へ向けて利下げにアクセルを踏んだそもそものきっかけは、サブプライム問題の深刻化である。これを放置すれば住宅市場にとどまらず、米国経済全体を崩壊に至らしめるとの強い危機感があったからである。
ところが米大手ベアスターンズ証券に米FOMC自らてこ入れを決断した3月11日から流れが明らかに変わった。ドル相場はそのあとも下落し,一時1ユーロ=1.6ドル目前まで値下がりしたがその後はじり高基調に転換した。
今回のG7プラスロシアの会合では、金融市場は依然として資金繰り面で問題を残しているが、全体としては改善したと受け止めた。前回4月、G7で集まったときに、FSF(金融安定フォーラム)を立ち上げたことも、問題金融機関の透明性を高める成果が出ている。
肝心の日本はどうか。G8が大阪で開かれていることさえ話題にならない。6月3日から5日間「食糧サミット」がイタリアで開かれた。フイリピンでは米が1.5倍、エジプトではパンが5倍になった。米の輸出国ベトナム、インドは米の輸出を禁止した。
子供は親の姿を見て育つ。日本では昨今、他人任せ無関心を決め込む大人が増えた。むしろ他人の子供を注意しようものなら、親がにらみつける光景にしばしば出くわす。自国通貨が安くなって喜ぶのは日本だけだろう。円安が進めば輸入依存の日本の台所が危ない。(了)
原油及び食料急騰は、投機資金が商品市場へ流れ込んだことが大いに影響したとして、資金の流れを精査するようIMF〈国際通貨基金〉及びIEA〈国際エネルギー機関〉に要請した。フランス、ドイツ、イタリアが投機資金の流入を主張したとWSJ紙は指摘した。
為替問題には表面的には触れなかった。しかし、特にポールソン米財務長官は、強いドルを米国が求めていることを繰り返した。対米貿易の多いカナダのJimFlaherty財務相はドル安の影響を強く訴えたとWSJ紙は紹介している。
フランスのChristineLagarde財務相は、対ドルでのユーロ高抜きにして、原油相場急騰は議論できないと指摘し、ECB(欧州中央銀行)が利上げを決める際、インフレと同時にヨーロッパの景気にも配慮すべきであると話したとWSJ紙は紹介している。
NY外国為替市場は、6月13日、1ユーロ=1.5363ドルと3月以来のドル高ユーロ安の水準で取引された。ドルは対円でも買われ、1ドル=108.21円で取引された。
ドル堅調の地合いは、バーナンキ米FRB議長の相次ぐドル安懸念発言やそれに呼応したポールソン財務相発言が明らかに影響している。
NY外国為替市場では、米国での利上げが早ければ8月のFOMCの会合で実施されるとの見方が出てきている。米国債の値下がり〈利回り上昇〉がこれを裏付けている。米国の5月の小売高が予想以上に堅調だったことで、米FRBが利上げがやり易くなったとする見方が底流を流れている。
米国が、5.25%2.0%へ向けて利下げにアクセルを踏んだそもそものきっかけは、サブプライム問題の深刻化である。これを放置すれば住宅市場にとどまらず、米国経済全体を崩壊に至らしめるとの強い危機感があったからである。
ところが米大手ベアスターンズ証券に米FOMC自らてこ入れを決断した3月11日から流れが明らかに変わった。ドル相場はそのあとも下落し,一時1ユーロ=1.6ドル目前まで値下がりしたがその後はじり高基調に転換した。
今回のG7プラスロシアの会合では、金融市場は依然として資金繰り面で問題を残しているが、全体としては改善したと受け止めた。前回4月、G7で集まったときに、FSF(金融安定フォーラム)を立ち上げたことも、問題金融機関の透明性を高める成果が出ている。
肝心の日本はどうか。G8が大阪で開かれていることさえ話題にならない。6月3日から5日間「食糧サミット」がイタリアで開かれた。フイリピンでは米が1.5倍、エジプトではパンが5倍になった。米の輸出国ベトナム、インドは米の輸出を禁止した。
子供は親の姿を見て育つ。日本では昨今、他人任せ無関心を決め込む大人が増えた。むしろ他人の子供を注意しようものなら、親がにらみつける光景にしばしば出くわす。自国通貨が安くなって喜ぶのは日本だけだろう。円安が進めば輸入依存の日本の台所が危ない。(了)