神戸下山手通「ナイル」
江嵜企画代表・Ken
神戸新聞文化センター(078-265-1100 )主催の「ぐるっと兵庫!神戸ウオーク」で神戸教会めぐりに講師を勤めるから、出てこないかと、西洋史を芦屋カレッジで教えている富田勲先生が声をかけてくれたので面白そうだなといつもの好奇心を刺激されて出かけた。
集合は午後1時、阪急三宮駅西改札だという。集合時間前になるといつの間にか20人近い人が集まってきた。男性は筆者を含めて3~4名で大部分がご婦人である。今回はまだ男性は多い方で文化活動含めていつもながら活発に活動しているのは圧倒的に女性である。
神戸は坂の町でもある。一端トーアロードへ出てまっすぐ山に向って歩いた。最初に訪れたのはさるイスラム寺院だった。イスラム寺院にじめて入った。男は一階、ご婦人は二階と分かれた。それがイスラムの流儀で必ず守って欲しいと注意を受けた。礼拝は一日5回。夜明け前、正午過ぎ、午後、日没後、夜寝る前で、1時過ぎはお参りが少ないという。一人イスラム人とおぼしき男性がお祈り中だった。
次にイスラム教のライバルの関西ユダヤ教会にはいった。ラビが出てこられた。日本語は出来ないということで英語で話を聞いた。ユダヤ人は日本で2000人しかいないと聞いたので英語で確かめたらそうだという。毎金曜日がお祈りの日だそうだ。なかなか雰囲気のいいラビで体全体から教養の高さがにじみ出ていた。
ユダヤ人とイスラム人はいまも殺し合いのケンかが絶えない。富田先生の解説では子供のけんかはすぐ仲直りするが大人のけんかは無理だと教えてくれた。
日本基督教団神戸教会、神戸聖ミカエル教会、神戸栄光教会、神戸バプティスト教会、神戸ハリスト教会、カトリック神戸中央教会とハシゴした。途中、山本通で神戸女学院発祥の地という石碑をはじめて紹介された。神戸女学院卒のご婦人が一人メンバーにおられ話は聞いていたがはじめて見たとツアーに参加してよかったとニコニコ話していた。
富田先生は授業でも時々断線する。この日、予定外に訪れたのが神戸中華同文学校(078-341-7885)である。学校の受付でなにやら話していると思ったら、校長先生が出てこられた。
あとで富田先生から聞いたが、校長先生の本名は愛新翼さんといい元満州国貴族の血を引く方である。余談ながら、偶然とはいえ校長先生が母校大阪府立大学の後輩というではないか。
1900年3月1日に校舎が完成した。犬養毅を初代の名誉校長に迎えている。校長先生の話では当時、身の危険を怖れてだろう、校長のなり手がなかった。それを犬養さんが引き受けてくれたそうだ。
もともと中国人の師弟を教える学校である。最近では日本人にも人気が高く,試験をクリアすれば入れてくれるそうだ。小学6年中学3年という一貫養育システムも気に入った。小学校1年と2年生には一に掃除、二に勉強と教えていると校長先生は胸を張った。勉強ばかりが能ではないというのだろう。
校訓は「団結友愛、互恵互助」、第二に中日友好に貢献できる人材を育てるのだという。
坂道を登りくだりしてさすがに足に張りが出た。下山手通の「ナイル」という店で休憩した。この店のマスターは富田学習塾の元生徒だったそうだ。富田先生が本日の総括をしているところをスケッチした。
神戸に生まれ育った人間でも知らない場所が余りにも多い。収穫の多い神戸めぐりだった。(了)