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映画「男はつらいよ」鑑賞と元宝塚映画監督、野村純一氏講演会
江嵜企画代表・Ken
西宮文化協会、七月行事、映画鑑賞と講演会が、7月15日、午後2時から西宮神社会館、二階、福の間でひらかれ楽しみにして出かけた。初めに映画音楽とクラシック音楽と題して元宝塚映画監督、野村純一氏の講演を聞いた。会場の様子をいつものようにスケッチした。講演の後、映画「男はつらいよ」(第一回)90分の映画と講演の二本立てということもあり会場は満席だった。
映画「男はつらいよ」のテーマ曲と音楽を作曲した山本直純さんのお話から始まった。山本直純さんは音楽ファミリー。曾祖父、祖父、父上、奥様、お子さんまで音楽家であるというからすごい。山本直純氏は、クラシック音楽から映画、テレビ、CM,童謡など幅広い作曲、又テレビに出演するなど多彩な才能を発揮した作曲家だと紹介があった。
映画音楽の歴史は110年と浅い。音楽といえばクラシック音楽が本流。音楽そのものは教会音楽に由来する。日本でもお囃子やお経もその分類にはいるかもしれないと話が続いた。音楽では飯は食えませんと突然、野村さんは口にした。
おそらく山本直純さんご自身が、先に触れた多彩な才能の持ち主であられたことは別として、日本ではちょっとした音楽家でも食べるのは厳しい世界だと宝塚映画その他で見聞きされた経験の上での発言と想像する。音楽に限らない。特に芸の道一本で食べていくということは至難の業なのだろう。
欧米では腕のある音楽家であれば1万、2万でも演奏会に客が集まるという。日本では一寸とした国際的に名の通った音楽家でもなかなか客は集まらない。日本では音楽では飯は食えないのですよと繰り返し話された。@3000円のチケットを裁くのも大変だと話は続いた。
野村太郎氏のピアノ伴奏で、山本直純作曲、まどみちお作詞、童謡「一年生になったら」とクラシック音楽の代表として、ベートーベン作曲、歓喜(よろこび)の歌、交響曲第九、第四楽章を会場のみんなで楽しく歌った。ベートーベンが第九を作曲したのは54歳の時だったが、耳はすでに聞こえなかった。ベートーベンの後ろにもう一人の指揮者がいたという話がある。
余談ながらと前置きして、なぜ第九を日本では年の暮れにやるのか。それには二説ある。一つは現在、東京芸大の学生が、1943年学徒動員で出征したので、12月に繰り上げて歌った名残。いま一つは戦争が終わった後、鎮魂歌として歌ったが、学生は学資が払えない。12月に、もち代稼ぎに歌ったという説があると紹介された。
映画「男はつらいよ」(第1回)で虎次郎を演じる渥美清は若いころテキ屋をやった経験が映画の中で迫力あるシーンに生かされた。渥美清は宝塚映画の専属俳優の時期があった。渥美清は撮影所の隅っこでいつもポツンと一人で座っていた。ワイワイ、そろって出かけることはなかったという。人間、渥美清を彷彿させる話として、特に印象に残った。映画「男はつらいよ」は、渥美清主演、山田洋次監督で、1969年から始まり主演の渥美清が亡くなった1995年まで48の作品が制作された。
恥ずかしながら、映画「男はつらいよ」を今回初めて見せていただいた。いい意味でも悪い意味でも日本人を象徴する映画かもしれない。多くの日本人、いや、特に日本人の男性が、映画「男はつらいよ」を見てホッとするのかもしれない。(了)