加茂競馬と葵祭at酒蔵文化道場
江嵜企画代表・Ken
第88回酒蔵文化道場が「賀茂競馬と葵祭」と題して、3月7日、午後4時から堀川
潤、賀茂県主同族会、堀川潤理事を酒心館ホールに迎えて開かれた。賀茂競馬(くら
べうま)は葵祭りの前儀として行われ、920年の歴史がある。上賀茂神社で5月5日の
端午の節句に行われる。鎌倉初期に基礎が確立された。古儀にのっとりほぼ当時のま
ま現代まで伝えている。
堀川潤氏は、賀茂競馬に15年にわたり騎手として参加された。その後後進の指導、
行事運営に携わっておられる。堀川氏は、京の伝統、文化を伝え、息長く続けていく
ことが自らの使命だと語り、1時間半にわたった講演を終えられた。
かもはカミが語源である。賀茂社は西暦650年ごろに既に社殿が存在した。京都で
もっとも古い神社でユネスコ世界文化遺産に登録されている。なぜ賀茂社は力を持っ
ていたのか。朝廷との結びつきと水を支配していた。
賀茂族の始祖は賀茂建角身命、八咫烏(やたからす)である。賀茂族は最新技術集
団だった。天文学、陰陽学、薬学、建築土木など広範囲にわたる。朝廷に水,氷,薪
炭を供給していた。水を支配していた。賀茂祭りは賀茂一族の祭りだった。葵祭の正
式の名前は賀茂祭である。上賀茂、下鴨の両神社の大祭である。
賀茂社の神紋は双葉葵。徳川家の家紋は三つ葉葵である。応仁の乱で一時中断したが
元禄7年(1694)に復活した。再び幕末の混乱で中断、第二次世界大戦で中断したが、
昭和28年に復興した。
祭りは、宮中の儀、社塔の儀、路頭の儀に分かれる。路頭の儀は5つの列からな
る。参列者は総勢500名を超える。800メートルに及ぶ行列である。装束も見どころの
一つだ。装束で位が分かる。一位から四位は黒。五位は緋色、六位が縹(はなだ・あ
お)と決められている。
講演会のあと、場所を酒心館ホールからレストランの酒ばやしに移し,有志による
懇親会が開かれた。清酒「福寿」で大いに食も進んだ。座も弾み、たまたま前の席に
座られたご夫婦が岡山からお越しで、近々岡山訪問をお約束するハプニングまで発展
した。
神戸酒心館会長、安福幸雄様のお計らいで、講演者の奥様、堀川美恵子氏の隣席
だった。堀川美恵子氏はKAP上賀茂神社アートプロジェクト統括として伝統文化継
承に尽力しておられることを知った。2015年のテーマは「温故知新」。7月26日から
上賀茂神社境内での、野点、伝統工芸の実演などの紹介を頂いた。
このたびの講演会のご縁で、5月5日には賀茂競馬参観ができることになった。案
内いただいた神戸酒心館会長、安福幸雄様にひたすら感謝である。講演会会場の様子
を恒例によりスケッチした。(了)