八風への刺鍼
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ツボの部位によって刺鍼しにくい場所がある。
八風もその一つですが、下手な打ち方をすると「メッチャ痛い!」と言われます。
そう言われないために当院では「鍼の打ち方」も教えるようにしています。
5番鍼で、痛くなく、効果の高い鍼の打ち方です。
鍼灸学校で教える刺鍼法は基本的な打ち方です。
四肢の平面的な部分や背部兪穴などを使って訓練しますので、比較的簡単に刺鍼することができます。
しかし、曲面への刺鍼となると、変な力が入って痛みを出してしまう場合があります。
“5番鍼を使って、痛くなく、効果の高い鍼の打ち方”が課題です。
痛くない鍼と言うと、「0番鍼とか02番鍼を使えばいいのではないか」考えてしまう人もいると思いますが、それは治療効果の持続を望むことはできません。
ですから5番鍼を使うのです。
5番鍼でも痛くない鍼の打ち方を考えるわけです。
5番鍼を使うのは、5番鍼程度の太さでなければ治療効果の持続時間が短くなるからです。
治療時間の持続時間については、拙著 『人体惑星試論奥義書』 で実験結果などを交えて書いてありますので、そこに譲りますが、内容は3番鍼と5番鍼の比較で、「ええーっ?」と驚くほどの違いがありました。
たとえば当院での治療サイクルは、基本的に2~4週間に1回ですが、それは5番鍼だからできると考えているからです。
実験結果で、その答えを導き出したからです。
そして、治療者のメリットとしては、鍼を打つスピードが速いことです。
鍼管を使った打ち方だと、一般的には「構え」がありますが、そこには余り時間をかけませんので、サッと刺鍼することができます。
そのスピードも痛みのない打ち方に関係しています。
どれぐらい早いかというと、10か所ほど刺鍼するのに2分はかかりません。
しかも痛くなく、です。
次いで抜鍼法ですが、これもスムーズに抜いていくことも大切なようです。
ゆっくり抜かれるのを嫌がる患者さんもいるからです。
抜鍼をスムーズにするには、刺手(鍼を刺すときに使う手)の動きが大切です。
鍼を抜きながら、同じ手の指に挟んでいきますが、最初はなかなか難しいようです。
鍼灸学校卒業仕立ての人の多くが、1本抜いてはシャーレに入れ、また1本抜いてはシャーレに入れています。
それが悪いとは言いませんが、置鍼時間によって鍼の行為かが変わることを考えると、
① 刺した順序に
② 刺した速さで
抜いていくのが理想と考えますので、そこにもちょっとした技術が必要です。
マジシャンがトランプを片手で器用に運ぶのと似たところがあります。
ですから、抜鍼のスムーズさで治療経験を伺うこともできます。
これは理屈ではなく、練習の積み重ねしかないからです。
ここでも片手操作の手法が課題になります。
まだ案内していませんが、3月27日の臨床実践塾で行なう「鍼灸パフォーマンサー養成講座」でも取り上げようと考えています。
パフォーマンスができる鍼灸師には必須と思うからです。
パフォーマンスは早さも要求されます。
ダラダラしていてはパフォーマンスの価値が落ちてしまいます。
鍼灸でパッと体を変化させて、抜いた鍼がどこへ行ったのかもわからないぐらい早ければ、さらにパフォーマンスがブラッシュアップされた証明になります。