春はセンバツから、
江嵜企画代表・Ken
「春はセンバツから」。「春分の日」の3月20日、午前9時、第88回選抜高校野球大会開会式が、阪神甲子園球場ではじまった。外野席覚悟で、最寄り駅阪神御影、7時半乗車、甲子園球場に着いた。お目当ての特別内野自由席が幸い確保できた。開会式までまだ1時間ある。ハハーン、今年は入りが悪いんだなと思った。球場に入ってすぐに間違いであることが分かった。座る席がないのである。上段にひとつ空きを見つけて事なきを得た。
甲子園球場はデカイ。縦10センチ、横14.5センチのポケットサイズのスケッチブックに収めるにはそれなりの工夫がいる。画面ほぼ正面、気持ち上目にスコアボードの位置を決める。次に手前に引きつけて人物を入れる。描きはじめ空いていた外野席も開会式直前にほぼ満席となった。外野席は無料である。お金の話で恐縮だが、特別内野自由席は例年の@1,600円が25%アップの@2,000円になっていた。
正9時、ライト外野席とアルプススタンド間に用意された特設入場門から音楽隊先頭に33校代表選手が次々行進入場してきた。元気よく天に届けとばかり大きな声を張り上げるチーム、手の振り、足の上げ方などそれぞれ違う。あらかじめ用意された爆竹が破裂、出場校などを書いた小旗が横一線に並んだ。ほどなくして校旗を持って主将が数歩前へ進み出る。お決まりの関係者挨拶が終わる。しんがりに、小豆島高校、樋本尚也主将が宣誓した。
『支えてくださる方々を笑顔にできるよう、気迫を前面に出して、全身全霊でプレーすることを誓います』と短くも爽やかな宣誓だった。小豆島高校は島内の他の高校とほどなく一緒になる。観衆のみんながそのことをわかっている。そんな、こんなで、万雷の拍手が球場いっぱいに広がった。
小豆島高校の野球部員は19名、全員が島の子供だそうだ。そのうちの17人と記録係の女性徒が大会第2日目、第一試合、同じく『21世紀枠』で選ばれた釜石高校との試合でベンチに入った。きわどい勝負だったが、小豆島は初戦で姿を消した。甲子園ファンは判官びいきである。ベンチ前で甲子園の砂をかき集め、球場を去る小豆島の選手に暖かい拍手送る様子をテレビ画面に映していた。
開会式での大会関係者が、現在、日本で軟式野球をやっている人口は23万。ここ10年で8万減ったと話していた。それかあらぬか今年、バックネット裏かぶりつきの席にグリーン・シートが用意され、多くの小中学の野球少年が招待されている姿を球場で目にした。遅ればせながらの感もするが、ネット裏での今回の観戦は彼らにとって何物にも代えがたい起爆剤になるに違いない。(了)