家森幸男先生大いに語る:「世界の食文化で分かった健康長寿の秘訣」
江嵜企画代表・Ken
家森幸男先生の兵庫県保険医協会主催「世界の食文化で分かった健康長寿の秘訣」と題する講演会が、7月23日(土)、午後2時半から西宮市立勤労会館で開かれ楽しみにして出かけた。会場の様子をいつものようにスケッチした。
「ブラジルへ移民で渡つた同じ日本人が短命なんです。人間の寿命は環境、特に食べ物によって変わります」という言葉ではじまった。「沖縄の人は昔は日本一番の長寿だった。今は平均寿命のうち健康寿命が占める割合は全国47都道府県で男性47位、女性46位です」と続いた。
「WHO(世界保健機関)の2016年5月まとめによると、2015年の日本人の平均寿命は平均83.7歳で世界1位です。男女別では男性は80.5世界6位ですが、女性は86.8歳で世界一です。ところが、健康寿命は平均で世界トップは74.9歳で日本がトップでしたが平均寿命と10歳近い差があります。長寿国世界ナンバーワンの国、日本では、ここに大きな問題があります。最近認知症や寝たきりで介護が必要なひとが増えているのです。」と、家森先生は話を進めた。
「健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。日本で健康寿命は長野県が男性79.5歳、女性84.0歳と共に全国トップです。なぜ平均寿命と健康寿命と差があるのか。原因はなにか。健康寿命でも府県別で差がでるのはなぜか。食べ物に原因があることがわかって来ました。
「WHOの協力を得て、世界の60地域以上を30年かけて調べました。おしっこを調べると何を食べたかがわかります。和食に多い大豆や魚介類を摂取する地域では生活習慣病のリスクが少ないことが証明された」と、家森先生の話はいきなり佳境に入った。
健康寿命は延ばせるか?食塩が脳卒中を起こすことが世界調査で分かった。心臓病(心筋梗塞)の原因と予防には、大豆の力が証明された。特にがんの予防や骨を丈夫にするためには大豆のイソフラボンの効果があることが分かりました。
大豆にはエストロゲンが豊富です。エストロゲンは女性ホルモンです。閉経後の女性は女性ホルモンが減ります。最近は若い年齢の女性で乳がんが増えています。つるつるの肌の女性が美しいのです。
魚介類の栄養と循環器疾患との関連では、魚介類に多く含まれるダウリンやDHAの豊富な日本食が高く評価されるようになりました。グリーンランドのイヌイット族は急性心筋梗塞をおこすひとが非常に少ない。魚類や多く魚を食べるアザラシを食べていることがわかりました。
健康寿命全国一位の長野県は野菜の摂取量がナンバーワンです。野菜にはカリウムが多く含まれています。カリウムはガンに悪さをするナトリウムを抑制しバランスをとってくれるのです。静岡県の健康寿命は女性1位、男性2位です。農水産物が豊富に取れるため野菜、魚を多く食べています。コーカサスの長寿地域でも野菜を多く食べています。野菜摂取量の少ないスコットランドは短命です。
家森先生はまとめとして、会場正面のプロジエクターの画面に、「食べ方上手で元気で100歳」その下に「塩↓大豆↑魚↑野菜↑海藻↑」と書いた画面を映して講演を終えられた。
質問入れて4時半までの講演を書ききれない。家森先生は身近な場所でおしっこを検査する機関がふえることが望まれると話されたことが印象に残った。自分の健康は他人任せにしないで自分で守ることが大切だと改めて教えられた。(了)