機能解剖学的触診技術(下肢・体幹)・MEDICAL VIEW より
「足をくじいて歩くのも困難」という方が来られました。
ブースに入ると、すでに上向きに寝ていました。
ご高齢の方でしたので、ここまで来るのも大変だったと思います。
(前の治療院でしたら、駅から5分ほどあったし、7段ほどの階段もあったので、きっと来れなかった)
最初は「捻挫ですか、それは痛いので歩くのは困難ですよねー」と言いながら、足首の動きを診ようと仰臥になってもらいました。
そして膝を立ててもらい、均整法で使う「膝立て左右倒し」でテストをしようとしましたら、少し倒すと痛がって左右ともに3㎝ほどしか動かせない。
(膝の屈伸は問題なし)
そして、少し動かすと、大腿内転筋群と股関節から臀部に劇痛が走ると言います。
それですぐに普通の足関節捻挫ではないことがわかったので、そのまま伏臥になってもらいました。
それから、 生物力学療法 で内転筋を緩めて、少し動きが出たところで、仙腸関節を動かすことにしました。
そこが難しい!!!
仙腸関節と言っても、痛みの出方でわかるように、単純な解離や変位ではない。
足首の捻挫なのに、仙腸関節まで強い影響が出ているということは、靭帯のような強い連結作用のある部位に異変が起っていることが考えられる。
そこで、「仙結節靭帯」が頭に浮かんだので、仙結節靭帯を指先で解してみたら、楽になったようでしたので、目標を仙結節靭帯に目標を定めて治療することにした。
手技だけでもある程度は緩和されたのですが、完全ではないので、「大きい鍼を使ってもいいですか?」と許可を得てから巨鍼療法をしました。
※巨鍼を仙結節靭帯に刺すのではありません
さすがに巨鍼です。
見事に症状は消失しました。
と言っても、巨鍼をして様子を聞いたときは、「まだ奥のほうに残っている感じがする」と言っていたのですが、1分ほどの操体法で「ニコーッ!」と笑っていました。
痛みが消えたのです。
今度の臨床実践塾では、仙結節靭帯と脊椎(特に頸椎1番)と頭蓋骨の臨床方法を解説するので、この方の症例で「仙結節靭帯の説明」をしようと思います。
理由は、仙結節靭帯が関わる症例として、脊柱起立筋やハムストリングスとの関係が顕著に出ているからです。