喫茶クッキー店内風景
江嵜企画代表・Ken
自宅マンションから徒歩5分、国道2号線に面し、東灘警察正面にあたるビルの2階にあるTea Room Cooky「喫茶クッキー」に最近訪れる数が増えた。
私事ながら、術後、おちょぼ口でないと食べにくかったが、注文したから揚げを、小ぶりにして用意してくれるなど、温もりがじかに感じられる店なのが一番嬉しい。
この日は、たまたま、ランチに、11時半ごろ訪れた。入口傍の席が4人予約されていることが目に入った。
以前から一度店内風景をスケッチしたいと思いながら実現できずにいた。4人の来訪を念頭に、あらかじめ構図を決めた。カウンターで準備中のマスターと奥さんをまず描き込んで、興味深々で客人を待った。
一人、二人と3分から5分の間隔で到着、和気藹々に、「ここでいい?」、「いいよ」とか、言葉を交わしながら、4人揃ったのは、正午少し前だった。
「今日は、何注文する?」と一人が声をかけた。エビフライ、カキフライと2人がまず決まった。残り二人がサーモンを同時に注文した。たまたまサーモンは一人分だったが、別メニュ―ですんなり収まった。
一人が「奥さん、僕、ご飯、半分にしておいて」と頼んだ。すると即座に一人が「今朝、NHKの番組で、ご飯をしっかり食べる人はご飯を食べない人より長生きしていると放送してたよ」とジャブを入れた。「お互いもう80を過ぎるとそんなこと関係ないのよ」と応じた。
配膳され、食事が始まったタイミングで一気に4人を描き込み,おしまいにした。用意した空きスペースにはめ込んだ。これは車中風景でも同じである。そこは電光石火やらないと、自分が描かれていると気づくと嫌なものだからだ。
店を出る前、「楽しそうにお話しておられましたので、つい、スケッチさせていただきました。」と挨拶、僭越ですがと前置きして、絵を見ていただいた。「絵を描ける人はうらやましいな」と答えた人もいたが「メモは取られてませんかなあ」とつっこみを入れた人もいたから鋭い。
「お友達さんですか」と声をかけたら「会社の同僚です。」と答えてくれた。隣の席だから、聞くとはなしに聞えたが、ある一人が「香港の昨日の選挙で、民主派が圧勝した。中国はどうするのかな」というと、あるひとりは「私はそんなことは関心ありません」と、受けていたところが一番、面白かった。
音楽に造詣の深い方だろう、左手でドラムをたたくようなしぐさをしながら話された。宝塚歌劇の話題も出た。誰だれが亡くなってもう5年もたつな、とか、健康の話題が多かった。81歳のみぎり、身につまされた。
クッキーさんのメニューに戻す。とにかくメニューは豊富だ。日替わりで店の前に10以上が出ている。ビーフ、豚、鶏、最近は、季節ものでアジの天ぷらが特に美味だ。マスターが前日に神戸の海で釣り上げ、持ち帰って、奥様が捌く。文字どうり、とれとれの魚を揚げるのだからうまいはずだ。
客人を見ているとリピーターが多い。朝は正規には7時だが5時過ぎには準備のためにマスターがお店に着く。それが事実上の開店時間になるのだそうだ。いつお休みになるのかなと、心配になる。筆者は、モーニングの経験はない。夕食をいただくときがあるが、長居して8時を回ることがあり、内心申し訳なく思っている。
書き忘れたが,ご飯とメインデッシュに一品。デザートには果物。お口直しのクッキーなどの一品がつき美味なコーヒーで仕上げ。オールインで、1,000円渡して100円お釣り。
クッキーさんのようなお店が現実に神戸の街中に存在していること自体、信じられないが、客の立場からいえばひたすら感謝である。(了)