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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

テロはなくならないか

2006-09-10 09:11:20 | 時事
 
 米国同時多発テロから5年。NYの世界貿易センタービルが崩れ落ちるさまは、おそらく僕らの人生の中でも最も衝撃的な光景の一つとなるだろう。

 オサマ・ビンラディンを首領とする国際テロ組織(アルカイダ)は、世界中に何千人といるようで、中東ではある程度の支持も得ているらしい。賛同者がそれだけ多いってことは、彼らにも彼らなりの理屈・言い分があるに違いない。たとえば「大国アメリカの横暴を阻止するのだ」とでもいった。それを聞けるだけ聞いてやれば、少しは気が収まるのではないか。少なくとも、話を聞いてもらえたことで、何かしら変化はあるはず。
 テロリストを捜し出したり手荷物検査を強化したりするより、気持ち自体を変えてやる方が確実だと思うから。ただ、それこそ奴らの思うツボなのかもしれないし、貧困や怨恨、武器のヤミ流通の存在やら、ことはそう単純でないのはもちろんわかっている。

 どこの職場にも不平屋・不満分子というのはいて、少しはマシになるかと思って話を聞いてあげることがあるが、何の何の、いい事は言うものの、身勝手な理屈であったり、真面目に働く人間たちへの文句になっていたりして、不愉快な思いをするはめになるのがオチなのだが。
 アメリカならアメリカの地位ある人間が、テロ組織の言い分を聞く。非公開の方がいいだろう。それはそれで危険なことだから、テレビ会議のような形でもいい(テロ組織の方だって、居場所を特定されるというリスクはある)。しかしおそらく頭に来るようなことも言われるので、強い精神力、そして受け流す余裕のある人間である必要がある。奴らにも「正しい」部分があり、自分たちにも「正しくない」部分があることに気付かされるのかも(聞きたくないことだろうが)。
 ひょっとしたら、すでにやったのかも・・・いや、ないだろうなあ。

 小さい頃、世界が一つになればいいと思っていた。国境もなく、みんなが同じ言葉で会話できるといいな、と。しかしそれは、それ以外の言葉・宗教・文化が消えていくということにもつながる。自分たちの文化が否定される、と彼らは思っているのではないか。悪意を以ってやっているのではないにせよ、世界一の国となってしまったアメリカが強い影響力を持つのは、必然的なこと。ただ、京都議定書にサインしないなど、わがままなところはもちろんある。まあそれはそれで、アメリカの「言い分」なのだが。
 去年のカトリーナ被害でも報道されたように、世界一とは言っても、アメリカにも貧しい人たちがいる。ハリケーンが接近していることさえ知らなかった人たちが。戦場の最前線でテロ組織が戦っているのは、おそらくアメリカでも貧しい人たちに違いない。国は違えど、同じような立場同士なのかもしれないのに。

 いずれにせよ、どんな世界でも「全員賛成」ということはあり得ない。それを呑むかどうかはともかく、反対者の言い分をどれだけ聞けるかってことだろうと思う。
 で、僕らは何をすべきか。ひとつ言うと、世界中にできるだけ友達・知り合いを作ることだ。スペインならスペイン、インドならインドに知り合いがいれば、その国で何か事件・事故があったとき、「あの人は大丈夫かな」と一瞬でも想うことができる。そういう想いは、微力だけれどテロの抑制にきっとつながるはず。
コメント (1)
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