一緒に行った人たちもそうだったんだけど、ドイツの初日は体が慣れていないのと興奮しているのとで、よく眠れなかった。
日本にいても時々眠れない夜というのがあって、そんな時、僕は〈未来からの声〉を聞くようにしている。
映画『スター・ウォーズ』で、デススターに爆破された惑星アルデランの住民の悲鳴をレイア姫が聞く、という場面があった。
そういう悲痛な、しかも大勢の人間の叫びというのは、ひょっとしたら時空を超えて伝わるのではないかと思っている。たとえば僕の未来において何か大きな岐路、あるいは災害があって、その結果が良くなかったとすれば、その時の僕はきっと、「あちらにしておけば!」とか「あっちに逃げていれば!」とかいう強い想いを抱くに違いない。
そんな未来の自分からの声を、聞いておきたいと思うのだ。
ただそれは、真夜中の静寂の中でも、はっきりと耳に聞こえるものかどうかはわからない。時空を超えてくるうちに、周波数が変わっているのかもしれないし、その想いは〈イメージ〉になっているのかもしれない。
さらに言うと、今現在の、遠くにいる人たちの想いというものも、聞こうと思えば聞けるのかもしれない。ケータイなんかなくたって、わかる時にはわかるのかも。
いや、意識しているいないに関わらず、僕らはすでに〈未来からの声〉あるいは〈遠くの人の声〉が〈聞こえて〉いるのかもしれない。そのおかげで、きょうも無事生きることができているのだ、とも。
ひょっとしたらそれが、守護霊や天使のささやき、ということなのかも。
ただし、あまり根を詰めすぎるとまた眠れなくなってしまうので、ほどほどに。
そうそう、年に数えるほどなのだが、左右の耳を何かが突き抜けていく感覚というのがある。映画『幻魔大戦』で、ルナ姫の呼びかけに応じて、中国のタオやインドのヨーギンが感じたような光の矢のような…。
寝入る時が多いので、金縛りとかそういうたぐいの、脳のちょっとした誤作動なのかもしれないが。
ちょっとオカルトっぽくなってしまいました。
〔写真は、泊まったホテル「フランクフルト・ホフ」〕