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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

甘鹹苦酸旨

2013-01-13 10:29:18 | 科学/考察
 年末の大掃除で、賞味期限をとっくに過ぎた古ーい非常食(ビスケット)が出てきた。家族を代表して毒見したところ、食べられないことはなかったが微妙に味がくすんでいたので捨てることにした。
 ビスケットは比較的乾燥しているから腐ることはないにしても、経時変化と言うのか、やはり劣化はするものであるらしい。

 普通、食べ物が腐ると酸っぱくなる。これはいわゆる腐敗菌の活動により、物が酸性化するため。酸味自体はフルーツやヨーグルトなどのようにおいしく感じられる場合もあるが、腐敗しているかどうかの目安にはなる。
 フルーツでも甘い場合、それは栄養となる糖分であるから、体は拒否することはない。人口甘味料という、栄養にならない甘味というのもあるけれど、ウマいと感じるのはそのせい。動物に食べてもらって種を遠くへ運んでもらうための、当該植物としての戦略ではある。
 逆に毒物は苦いことが多い。アルカロイド等の毒物自体が苦いのか、あるいは苦く(不快に)感じるよう動物の舌が進化したのだとも言える。子供は特に苦いの苦手だが、それはまだ健康であるから。大きくなってバランス崩れてくると心地よくなるものらしい。
 塩辛いもの(鹹味)については体液の濃度調整に必要な塩分であるから、体の状態によってはおいしく感じるようになっている。酒をたくさん飲んでおしっこたくさん出した後のラーメンがおいしいのは、その一種。
 旨味については言うまでもない。体に必要なアミノ酸であるから、ウマく感じるのは当たり前。(「甘い」と「旨い」は同じ語源じゃないかな)

 まとめるとこうなる。
  甘・・・栄養となる糖分。快
  鹹・・・体液調整用。時に快
  苦・・・基本的に毒であるが薬にも。大人になると快
  酸・・・基本的に腐敗のサイン。場合によっては快
  旨・・・栄養となるアミノ酸。快

 食べたことはないけれど、タデ食う虫も好き好き、と言う。その虫はきっとタデをおいしく感じていることだろう。
 結局、動物の体ってのはうまく出来ているものだと思う。病気とかで、あれ食べちゃダメこれ飲んじゃダメってのがあるけれど、体が欲しているものであれば、それは体にとっていいものであるんじゃないかという気はしている。もちろん、食べ過ぎ飲み過ぎは禁物だけれど。
 ちなみにもう一つ「辛味」というのがあるが、これは痛みの一種であり、味蕾というより痛点が感じるているものであるらしい。

 さて冒頭の毒見であるが、おなか壊さずに済んだのは良かった。ヘタすりゃ正月を棒に振るところだった。例えば9月の「防災の日」にでも非常食の点検でもするか、と思っているところ。
 

コメント
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