広瀬正というSF作家が書いた、集英社文庫『タイムマシンのつくり方』に収載されている、知る人ぞ知る傑作。
アメリカかどこかの大学の物理学助手がある日、時間が非常にゆっくり進む街にさ迷い込んでしまうという話。走り出している少年の肌はカチコチで、クルマのラジエーターファンでさえ、ゆっくりゆっくり回るという。
結局、助手は(カチコチのため)水も食糧も口にすることができず死んでしまうのだが、“白骨”死体はその「化石の街」の住人に発見されるという、視点の転換が最後にあるのがまた素晴らしい。(僕がSFにハマるキッカケとなった作品だと言える)
ヤボを承知で言うならば、時間がゆっくり進むのであれば空気の流れもゆっくりだから、抵抗を受けて助手は歩くのもひと苦労のハズだし、そもそも呼吸さえも難しいだろうと思う。(それ言うと、話が成り立たなくなってしまうのだが)
…他にも「人形の家」という名作も載っているし、面白い本なので。しばしのウサ晴らしにはなるはず。