思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

『知るを楽しむー歴史に好奇心』4月5月号ー漢字と漢方

2007-07-08 | 書評

衆知の通り、明治政府の富国強兵政策より「日本の伝統」は大きく変えられました。
医療の分野では、日本が独自に発展させた漢方医学を1874年(明治7年)に廃絶して、西洋医学修得者のみに医師資格を与えることになりました。
これは、漢方が「個人」の体質や病状を重視する哲学・精神・方法をもつためで、外科・公衆衛生に優れた「集団」の医学ではなく、戦争を進める強兵政策には合わなかったためと言われます。

NHKの知るを楽しむー歴史に好奇心』の4月・5月号の、「漢方なるほど物語」で、石野尚吾さんが「漢方医学の現在と未来」という小論を書いていますので、簡単に紹介します。

「不易流行」と「和して同ぜず」

漢方医学は、時々の医学の流行と調和・対応しながら、漢方医学の確固たる理念を残し伝えてきた。まさに不易流行こそが日本漢方の伝統。

西洋医学と漢方医学は、「和して同ぜず」というスタンスで考える必要がある。両者は融合してはならない。融合とは溶かし合わせることであり、それぞれの医学の本質を溶かしてしまうことになるからだ。お互いの本質を保ち、尊重しつつ協力、協調することが大事。

一人の医師が西洋医学と漢方医学を学び実践していくことこそ本当の協調だ。

木を見て森も見る新しいパラダイムを。
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他にも、
☆漢方薬はオーダーメイド
☆葛根湯の不思議
☆明治が手放した知恵など、分かりやすく面白い記事が載っています。
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また、同じテキストの「日中二千年―漢字のつきあい」は、さらに興味深い内容です。

加藤 徹(かとう とおる)さんの視点・解説は大変見事で、「漢字の魔性」「残虐な字源」からはじまり「天皇と日本国王」「和製漢語―哲学と革命」に至るまで、すべてが生きている学問になっています。
まさに、『知るを楽しむ』というNHKの番組コンセプト(論語の「之を知るものは之を好む者に如かず、之を好む者は之を楽しむ者に如かず」)を具現しています。

このテキストは、NHK出版 http://www.nhk-book.co.jp(TEL.048-480-4030)で買えます。683円(送料65円)です。

武田康弘






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