思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

【ルソー・ルネサンス】の条件が整ったー中山元氏の新訳は強力な推進役

2009-05-21 | 書評

わたしは、30年以上に渡って「民主主義」を哲学することとその実践を続けてきましたが、いうまでもなく「主権在民」の思想と哲学の基盤をつくった最大の人物はスイス・ジュネーブ生まれのルソーであり、フランス革命を導いた高名な著書は『社会契約論』です。

その見事な新訳が、『ジュネーブ草稿』の初の全訳と一冊になって「光文社文庫」から昨年9月に出版されました。さらに、同じ中山元さんの訳で、『人間不平等起源論』も8月に出ています。

大変分明な中山さんの解説もついていますので、「近代民主主義とは何か」をしっかり学ぶにはよい環境が整ったと言えます。

混迷する現代社会の問題を解決するには、民主主義の本質を自覚し、それを実現するための条件を探り整備すること以外にはありません。わたしは、参議院でのディスカッション(2008年1月)でも、行政監視委員会調査室から依頼されたキャリアシステム批判の論文(2008年11月)でも主権在民の「民主主義」を思想的な土台としましたが、ルソーの社会思想はその最も優れた近代の古典なのです。

いま「ルソー・ルネサンス」が必要ではないのか。中山さんの新訳は、その強力な推進役になってくれます。読みやすい活字の廉価な文庫本ですので、とてもお勧めです。

武田康弘

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