思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

わが国は、支配者(財界人と霞が関官僚とマスコミ人と一部政治家)のための国家。「豚に歴史はない」

2012-05-02 | 社会思想

わが国では、中小企業で頑張る名もなき個人は、コマ。使い捨て。個々人は、制度によって人生が保障され、安全で裕福な生活を送る一群の人たちを支えるドレイです。

「原発」がどういう仕組みで維持されてきたか(東大工学部・霞が関官僚・電力会社・有力政治家の四者でつくる「原発村」が絶対支配)が明白になったことで、日本には支配階級が存在し、彼らが自分たち一族の利益を守るために国家を運営してきた実態が、みなに見えるようになりました。

支配者たちは、この惰性態を維持する集合意識(無意識を含む)により、特権を維持するための創意工夫(言い訳の技術を磨く日々)で、批判者から身を守ります。小沢事件などを拵えて(帳簿の記載の仕方が問題として検察は秘書を逮捕)みなの目を逸らすのは常套手段です。マスコミは見事に洗脳機関の役目を果たしています。

 大銀行は、デタラメな経営で破綻しても巨額の税金投入で安泰です。最高責任者も何不自由ない暮らしが保証されています。15年戦争の末に無条件降伏の敗戦によっても、国家の主権者で軍隊の統帥権を行使した天皇ヒロヒトは退位もせずに無責任を貫けるのですから、わが国の最高責任者は責任を負わなくてもよいのです。これが日本の「伝統文化」。

中小企業は、自らの責任ではないのに、厚生年金基金が破綻したら連帯責任を負わされ、連鎖倒産で経営者は自殺に追い込まれます。それでも厚生労働省は、一円の救済もしません。なんとか助けてほしいという経営者の願いにも杓子定規に「却下」です。銀行や電力会社は、何があっても大丈夫。経営者にはいつでも高額の給料が支払われる仕組みです。わたしのような自営業者は、もちろん100パーセント自己責任(笑)。

では、なぜ、人々の自由と対等性を前提にした民主制社会に支配階級が存在するのか。

答えは簡単です。パターンと暗記の外なる知の累積=受験競争に参加する多数派は、【内】なる知(自分の日々の経験につく心身全体での会得、意味をつかみ腑に落ちる学習)ではなく、【外】なる知(公理公式のあてはめ、パターン識別、丸暗記、情報処理)に従って生きる人間になるからです。

【内】なる価値―人生とはかけがえのない「私」からの出発であるという原理(釈迦の言葉では「天上天下唯我独尊」)であることがボヤければ、この「私」は、「一般人」のひとりとしてしか意識できなくなります。内的な関心や欲望や必要から切れた日々の受験主義の知の累積は、私からはじまる個性価値ではなく、「一般人」の中での上下が問題だということになりますから、自他評価の尺度は、すべて【外】でしかなくなります。生きる意味は内的には消え、外なる価値の大小(出身大学、社会的地位、家の大きさ、クルマの種類、旅行の回数・・)を競う人生がすべてとなるのです。【内】心・内面世界が抑圧され、情報処理のマシーン人なることが求められれば、人間は精神の大元をやられます。この世は、発達障害者や鬱病患者で溢れることになります。

【外】なる価値を追い求める人間集団は、互いに内的な(赤裸々な内面を示し合う)関係をもてず、競争主義の社会(やるかやられるか)になりますから、「一般価値」をどれだけ所有しているかを競う人生になります。「私」から生まれてくる価値はなく、一般化の海に沈んでしまうのです。

こういう【外】なる価値意識しかもてないと、社会的なエリートが偉いと考える外面人間に陥りますので、小堀桂一郎さん(東大名誉教授・日本史専攻で「靖国神社」の理論的中心者)のように、「微々たる庶民的存在に過ぎない自分が国のために命を捨てたということだけで天皇陛下までお参りに来て下さるありがたい神社」という発言が出るのです。また、戦前の帝国大学(現・東大)の国史科の主任教授は、農民史を研究(卒論)しようとした学生に、「君、農民に歴史があるのかね。豚に歴史がないのと同じで、農民に歴史などないのだ。」と言いました(色川大吉「歴史の方法」)。

日本の国体は、天皇陛下・皇族とそれを支えるエリートたちによるものであり、すべて国民は、臣民であり天皇の赤子だという戦前のおぞましい思想は、そのままではないですが、現代にも生きています。私の言う「天皇教=靖国思想・東大病=官僚主義」

【上下倫理】が支配する国から【民主的倫理】の国へと変えていくのは、わたしであり、あなたです。【支配者のための国家】を、【生活者のための国家】にチェンジしなくてはなりません。人民主権という原理につくこと、それが絶対の条件です。みなさん、共に。

 

武田康弘

 

 

コメント (9)
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