マザーコンプレックス(和製英語で俗語ですが)がなぜ忌み嫌われるのでしょうか?
「マザコン」と聞けば女性はみな一様に眉をひそめます。
それは、二人で「新たな家庭」をつくっていくことを困難にする男性の精神構造を象徴する事態=言葉だとおもわれるからです。一人の人間としての精神的自立が弱いために「健全な家庭」をつくることが困難になると直感されるのです。
わが日本人の「欧米コンプレックス」もこれと同じで、欧米への従属意識(俗に「西洋かぶれ」と言われ、アメリカやヨーロッパと聞くとボーッとなる・笑)が強く、精神の自立がないのです。自分の生きている現場をよく見・感じ知り・体験することで、「私」の個性を活かし、豊かな普遍性をもつ一人の人間として生きることを阻害する精神の病と言えます。
いわゆる「マザコン」が女性の共通の敵と見なされるように、「欧米コン」は日本人の共通の敵と言えます。それは、パートナーに対する裏切りであり、同時に自分自身の存在に対する裏切りだからです。裏切りほど酷い罪はありませんので、深い不快感を生み、不幸をつくります。
欧米コンプレックスは、「私」の人生とわれわれの社会をよくしていくことの双方を阻害する深因ですので、これを克服するのは必須の課題です。
武田康弘