思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

野村秋介さん(93年に朝日新聞社で自決)を礼賛する「哲学者」は、安倍首相の肝いりでNHKの経営委員に

2014-03-11 | 社会思想

 以下の文章は、誰が書いたものと思われますか?
先月、朝日新聞などで全文が掲載されましたので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが。

 1993年に朝日新聞社で自決した野村秋介さんへのオマージュで、昨年の20周年に発表された文章です。

 

「 人間が自らの死をささげることができるのは、神に対してのみである。そして、もしもそれが本当に正しくささげられれば、それ以上の奉納はありえない。それは絶対の祭りとも言ふべきものである。

 野村秋介氏が二十年前、朝日新聞東京本社で自裁をとげたとき、彼は決して朝日新聞のために死んだりしたのではなかつた。彼らほど、人の死を受け取る資格に欠けた人々はゐない。人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである。

 「すめらみこと いやさか」と彼が三回唱えたとき、彼がそこに呼び出したのは、日本の神々の遠い子孫であられると同時に、自らも現御神(あきつみかみ)であられる天皇陛下であつた。そしてそのとき、たとへその一瞬のことではあれ、わが国の今上陛下は(「人間宣言」が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神となられたのである。

 野村秋介氏の死を追悼することの意味はそこにある。と私は思ふ。そして、それ以外のところにはない、と思つてゐる。」

 

 明治政府がつくった「天皇教=靖国思想」そのままですが、
これは、安倍晋三の応援団を自認し、その安倍首相の肝いりでNHKの経営委員になった右翼思想家=長谷川三千子(埼玉大学名誉教授・東京大学哲学科卒)さんが発表した文章です。文学や比喩ではなく、現実的思想としてに語られたのですから驚くほかありません。

 不適格だ!との声に官房長官は、「長谷川三千子氏は、わが国を代表する哲学者であり、個人的見解で問題ない」と言いました。哲学者!?!?

 
 
ここまで来ると、わが日本もお終いが近い? 戦争への反省がなく、「A級戦犯などアメリカが決めたことで受け入れない」ー安倍首相のお友達はみなで合唱していますが、そうなれば、戦後の世界秩序などないも同然。

 元来、わが国では中国への侵略から始まる14年間にわたる無謀な戦争への思想的反省がなく、戦前の「天皇現人神」の時代の為政者が、戦後再び有力政治家となり、A級戦犯の岸信介(東条内閣の主要閣僚)は総理大臣にまでなりました。その孫で、戦前思想の復活を目論む安倍晋三がいまの総理大臣。社会契約論に基づく政治=現憲法による近代民主主義を否定するために、明治政府作成の日本主義に基づく「教育」を実行し、憲法の全面改訂をしようとしています。

 同じ敗戦国のドイツでは、戦争を領導したナチズムへの批判と反省から、ナチに関与した者は公職にはつけませんが、わが国では、戦前イデオロギー(天皇教=国体思想=靖国思想)が平気で生き延びて、驚くことに今日では、戦前思想を礼賛する人たちが、NHKの会長や経営委員となり、政府の教育再生実行委員となっています。

 「NHK」を保守政府の放送局にし、「教育」を保守政府が支配する、この安倍構想(近代民主主義の否定=国体思想)は、着実に前進しています。「右翼か保守でなければ人でなし」という日本の誕生をめがける首相、あなたはまだ支持し続けますか? 愚かで恐ろしい事態が進行しています。

 

武田康弘

 

 

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