思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

LP盤の再生がもたらした「強いコンクリートづくり」  原理を知り、基本に忠実になること。

2014-10-12 | その他

 

 いま、明後日早朝~午前にかけての台風に備えて、外れていた屋上のフェンスの足場をコンクリで補修しましたが、
作業をしていて、ちょうど30年前に自宅を建てた時のことを思い出しました。

 わが家は、大成パルコンのRC造ですが、実は、建てる時に営業担当者と現場の責任者に話をし、基礎コンクリートの配合比を変えてもらったのです。
大成建設の説明では、気泡を含むパルコン板は通常のRCより多少軽く、かつ二階建ということもあり、基礎のコンクリート配合比は、1対3対6(セメント、砂、砂利・180㎏基礎)とのことでしたが、
わたしは、もう一ランク上げて1対2対4(210㎏基礎)にしてもらい、かつ、砂と砂利を吟味して(海砂・海砂利などは論外)わたしの知り合いの建材屋から購入、さらに、よくかき混ぜてから(コンクリミキサー車での攪拌時間を延長)使用してもらいました。

 

 なぜ、そうしたかと言うと、学生の時(1970年ころ)、LP盤を再生するプレーヤーの振動による音質劣化を抑えるためにコンクリートの箱をつくりましたが(後で、砂を充填したボックスに変更)、その時の失敗による経験で、強いコンクリートの作り方を学んでいたからです。

用途にあった適切な配合比率水分を適正にすること、よい砂と砂利(塩分は大敵)、よくかき混ぜること、
この条件を満たさずに気を抜いてコンクリートをつくると、脆く、ぶつけるとヒビが入ります。見た目も汚いので「手抜き」はすぐ分かります。

恐ろしいのは、標準よりも水を20パーセント増すと、コンクリートの強度は50パ-セント(半分!)に低下するので、現場での作業のし易さから水を増やすと、構造計算など何の意味もなくなることです。そういうビルはたくさんあるでしょう。型枠に流すのに、標準の水量だとかなり固めですから、曲がったところは流し込みにくく、水を増してしまいがち。

 

 大成パルコンは壁式一体構造で、壁板は「工場生産」ですからよいですが、一番大切な基礎は「現場打ち」になるわけですから、基礎を十分に考慮したのです。出来上がった基礎を見て、大成の関係者も美しいコンクリートの地肌に納得(パルコン事業部の副社長も見に来て、他の現場とは違うと認識)し、その後のパルコンは、コンクリートの配合比を210kg基礎に変更したとのことでした。30年前のことです。

 この経験は、のちに『白樺文学館』(地下室もあり曲面をもつRC造)や『白樺教育館』(パルコンRC造)を建てるときに大いに役立ちました。文学館の建設では、一級建築士たちも総出で、朝からコンクリート流し込みに立会い、作業を手伝いました。強いコンクリートをつくる条件を愚直に守ってつくった建物は美しく、建築士たちもその出来栄えに、う~~ん、なるほど違う!!と唸ったのでした。現場を知らずに図面だけ、デザインだけの建築士ではいけません!

 

 何事も原理を知り、基本に忠実でないと。それがないと今の政治のように滅茶苦茶になります。
子育て、教育も大元を知らないと、情報に踊らされ、ダメ人間を量産していまいます。東大病は恐ろしい精神の病。

 

武田康弘

 

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