イラクへの国際法違反の先制攻撃からはじまった全面戦争、というより、アメリカ軍による一方的な爆撃、ミサイルの雨あられ。学校も病院もイスラム寺院もみな破壊されました。幼子ももろともでした。あげくは、「殺人ゲームを楽しむ米兵たち」(NHKBSで詳細に報道)。
どうして、国際法上も認められない戦争をアメリカのブッシュ大統領はしたのでしょうか? 独裁者のフセインが生物兵器と核兵器を所持しているからとの説明でした。
国連で、パウエル氏は、核兵器開発と所持の確かな証拠があるとして、写真を示しました。わたしは、それをテレビで見ていて驚きました。衛星写真にはボヤケた四角の建造物とトラックらしきものが写っているだけでした。これが証拠!?あまりに稚拙なアメリカの説明に唖然として、「とんでもない嘘だよ。」と即座に妻に話したのを昨日のように覚えています。長年にわたり国連が査察を繰り返して「核兵器はない」としていたのに、それを覆して「ある」というには、それ相当の証拠を上げなくてはなりませんが、それが、ボヤケた建造物の写真では、呆れるほかありませんでした。
その「証拠」をもとにして、対イラクの全面戦争を始め、結果は、核兵器はゼロ、生物兵器さえ見つからず、アメリカの言っていたことはすべて嘘であることが分かりました。この全面戦争で、イラクの国内の主要都市が破壊され、それによる経済の疲弊と米軍により家族や友人を殺された人々の「恨み」の感情ー憎悪が、イスラム国を名のる(IS)超過激な集団を生む温床となりました。
アメリカは産軍複合体で、たえず戦争をしないとならない政治体制にあると言われていますが、そのアメリカ軍と一体化したのでは、日本もミニアメリカになるほかないでしょう。平等と平和主義の仏教の国という伝統を捨てて、プロテスタントの新興国と一体化してもよい国はつくれないと思います。
白人一人の死はアラブ人100人の死に値する、という暗黙の意識を日本人も共有するのがよいのでしょうか。わが日本人は、アメリカに「忠」(上位者への恭順という日本の道徳))を示すことで「名誉白人の黄色人種」という地位を獲得しましたが、わたしは、一人の人間としての良心を失わずに生きていきたいものと思います。
世界で一番早く「アメリカのイラク戦争支持」を表明した小泉元首相、それに追随した現安倍首相らは、反省はないのでしょうか? 何時でも冷静に事態を見ることが、首相の基本条件であることを忘れてはいけません。感情論は、国を未曽有の厄災に陥れます。
武田康弘