最初から最後までテニスの試合を見たのは、生まれてはじめてのこと。大坂なおみの準決勝の試合に惹きつけられて立てなくなったのです。魅惚れたのです。
その2日語に行われた決勝戦、白樺ソクラテスの大学クラスの時間、最後の30分を見ました。おわって、なにか言い様のない感動におそわれました。
大坂なおみの「水」のように自在でたおやかな強さに、今までみたことのない世界をみたのです。
いま、日本中がフィーバーしていますが、ふと思いました。
お母さんは日本の人、お父さんはハイチ共和国の人。母国語は英語(米語)で、コーチはドイツの人、国籍はアメリカと日本の二重国籍とのこと。
テニスという厳しく個人が問われる競技、ナショナリズムなどちっぽけな思想は入りようがない。これは、再び軍備拡大と神社神道という戦前回帰のような安倍政治とは正反対。
ドロドロとして臭い日本の現実とは無縁の爽やかな風は、なんとも気持ちがよい。強権的な国家主義者のいやらしさ・おぞましさとは対極の美しさです。
もう一度言いましょう。水のような強さ、柔よく剛を制す、まるで老子の世界のよう。
武田康弘