ゴーン氏の弁護人の高野隆弁護士が、【彼が見たもの】と題するブログ記事を投稿し、「確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない。」という言葉が、海外でも大きな反響を呼んでいる。
その中で書かれているように、「公正な裁判(a fair trial)は期待できるんだろうか?」とのゴーン氏の問いに対して、高野弁護士は
無罪判決の可能性は大いにある。私が扱ったどの事件と比較しても、この事件の有罪の証拠は薄い。検察が無理して訴追したことは明らかだ。われわれは他の弁護士の何倍もの数の無罪判決を獲得している。弘中さんも河津さんも、著名なホワイト・カラー・クライムの裁判で無罪を獲得している。だからわれわれを信頼してほしい。必ず結果を出してみせる。
と答えたものの、
その後の
一向に進まない証拠開示、証拠の一部を削除したり、開示の方法に細々とした制限を課してくる検察、弁護人に対しては証拠の目的外使用を禁じる一方で、やりたい放題の検察リーク、弁護人の詳細な予定主張を真面目に取り上げないメディア、「公訴棄却申し立て」の審理を後回しにしようとする公判裁判所、いつまでも決まらない公判日程
などで、ゴーン氏が絶望していったことに、理解を示している。
そして、高野弁護士は、昨年4月以降、妻との接触が制限されているゴーン氏と夫人との僅か1時間のビデオ面会に立ち会った時に思ったことを、
私は、日本の司法制度への絶望をこのときほど強く感じたことはない。ほとんど殺意に近いものを感じた。
と述べているのである。
ゴーン氏が直面したのは、一般事件の「有罪率99%」より遥かに絶望的な、「特捜事件における有罪率99%」の世界だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上は、元東京地検特捜部の検事だった郷原信郎さんのblogからです。
武田康弘(元参議院行政監視委員会調査室・客員調査員)