「NATOは政権すげ替えのための攻撃軍だ」とアメリカの軍事専門家のスコット・リッターさんが、4月14日に出たアニャKとのインタビューで言っていた。
NATOといったら、アメリカとヨーロッパ諸国との軍事同盟で、冷戦のときにソ連に対抗するための安全保障同盟として作られたものだった。だから本来は防衛を目的とした軍であるべきなのだけれど、NATOは明らかに攻撃用に作られた軍なのだとリッターさんは言う。1999年のコソヴォ紛争も2011年のリビア内戦も、反体制派にNATOが軍事援助する形で時の政権が倒され、親米派の政権に入れ替わったのだけれど、NATOとはまさにこうした政権交代を行う目的で作られている軍だというのだ。
セルビアの元外相が、フュルミヒ弁護士たちの調査委員会で、コソヴォ紛争について同じようなことを語っていたことがある。彼は「NATOがテロリストを送ってきた」と言っていた。当時の大統領ミロシェヴィッチがアルバニア人を虐殺したということで、NATOが空爆を始めたのだけれど、そんな事実はなかったのだと言っていた。
政権をすげ替えたい国にテロリストたちを送り込んで反体制運動を起こさせ、そこで武力衝突を起こさせておいて、政府が市民に武力行使したと言って、NATO軍を出動させるのだ。そうやって武力で政権を倒し、すげ替えてしまう。これがNATOがいつもやってきた手なのだそうだ。
ウクライナの戦争が始まってから、そうしたことが次々と表に出てきた。今までは、まさかそんなことがあるとは思っていなかった。たしかに、何かというとアメリカが出てきて、NATOが出動して世界を巻き込む大きな戦争に発展し、難民問題が発生し、というのがいつものパターンで、それには軍産複合体の利権とか何とか腐敗の臭いのするものが関わっていそうな感じはつねにあった。だけど、最初から政権をすげ替えるのが目的で、反体制運動や虐殺まで演出しているとは思わなかった。いくらなんでもそこまで悪どいことが行われているなんて、なかなか信じられるものではない。
だけどウクライナの戦争が始まって、いろいろな情報が入ってくるようになったら、ウクライナでもまさに同じことが起こっていたことがわかってきた。2014年のマイダン革命が武力衝突になり、多数の死傷者を出した結果、当時の政権が倒されて親米派の政権が成立したのだけれど、実はその前にアメリカ国務省が50億ドルを投資して、反体制運動を組織し、のちにアゾフ連隊となる準軍隊を養成していたらしいというのだ。あのときも、政府の警察軍が発砲したということで国際的非難を浴びたのだけれど、実は発砲したのは警察軍ではなくて、建物の上にいたテロリストだった。
スコット・リッターさんは元米海軍の諜報部にいた人で、イラク戦争のときには、大量破壊兵器の調査のために国連から派遣されてイラクに行っていた。イラク戦争は、アメリカのブッシュ政権のときに、イラクが大量破壊兵器を持っているというのでテロ防止のためにと攻撃が始まった。ところが、その大量破壊兵器というのがどこを探してもなかったというのだ。それなのに、アメリカである議員が大量破壊兵器が見つかったと発表していたのだとリッターさんは言っていた。
だから彼は、戦争がどのように起こされるのか、NATO軍が何をやっているのかがよくわかっている。その彼が、3月に出たインタビューで、アゾフ連隊はNATOが育てた、と言っていたのだ。ウクライナはNATOに加盟してはいないけれど、訓練のためにという名目で、実はウクライナに常時駐在していたのだという。それで、アゾフ連隊のようなナチの軍団を養成していたのだと。
実際、マイダン革命のときからウクライナ至上主義を主張する極端な民族主義者たちがウクライナの政治を動かしている。ウクライナはウクライナ系の他にロシア系、ポーランド系、ルーマニア系、ユダヤ系などが住む多民族国家だというのに、ウクライナ人だけの単一民族国家にすることで、ウクライナの真の栄光があると彼らは言っているのだ。それで、民族的には一番近いはずのロシア人を排除するべきだと言って、狂信的とも言える集団を作り出している。
ウクライナには第二次世界大戦の頃から、ドイツのナチと一緒に活動していた過激派グループがあり、それをバンデラ主義者というのだけれど、このバンデラ主義者たちのグループが母体になっているのかもしれない。反ロシアのテロリスト集団を作り上げるには、それはぴったりの母体だろう。
ところで今、ウクライナ東部の最後の激戦地マリウポリの港にあるアゾフ製鋼に、NATOの将校たちが潜んでいるという噂がある。この地下には、11㎢もの地下構造があり、地下6階の建物が80もあって、トンネルでつながっているのだそうだ。これはソ連時代に核シェルターとして作られたもので、非常に堅固に作ってあり、爆破することができない。ここにアゾフ連隊が陣取っていて、数千人ほどが住んでいると言うのだけれど、その中にはNATOの上級将校たちもいるらしいというのだ。
アゾフ製鋼は2014年の頃からずっとアゾフ連隊が根拠地にしていたらしい。ロシア軍はウクライナを非ナチ化するのが目的なので、このアゾフ製鋼からナチを一人も逃すまいと包囲攻撃を続けている。これまでにも、アゾフ製鋼から封鎖を破って脱出しようとするアゾフ隊員がロシア軍に捕まったのだけれど、そのうち二人はイギリス人だった。アゾフ製鋼から出てきたウクライナ兵たちは、中にはヨーロッパ中の人々がいて、6ヶ国語が使われているのだと言っていたそうだ。
4月17日イースターの日曜日に、ロシア軍は一時的に停戦して、投降する兵士には命は保証すると呼びかけていた。アゾフ製鋼には食料も弾も尽きてきているということなので、このままこもっていたら全滅することになるのだけれど、ウクライナ政府は投降を許さず、投降する兵士は射殺しろという司令が出たらしい。それでイースターの日には、兵士たちが出てくるどころか、誰も出られないように、アゾフ隊員が建物の上から発砲し続けていたそうだ。
彼らだってそのままいたら死ぬだけなのに、それでもまだ命令に従って撃っているなんてどういうわけなのだろう? アゾフ隊員たちは、カプタゴンというアンフェタミンが入ったドラッグを毎日与えられているという情報が、ドイツのジャーナリストのアリーナ・リップさんのチャンネルに入ってきていた。これはテロリストのドラッグと呼ばれていて、痛みを感じなくなり、ハイになって平気で人を殺したり残虐なことができるようになるのだそうだ。
実際、捕虜にしたアゾフ隊員がドラッグでフラフラになって動けない状態になっているのを、何人ものロシア兵が目撃している。ウクライナ兵たちは、自分たちの残虐行為をスマホで撮影して、SNSにアップしたりしているのだけれど、そこには笑いながら市民を虐殺している姿が映っていたりする。これは明らかに戦争犯罪なのだけれど、悪いことをしているという意識がないのかもしれない。彼らは自慢するためにそうした映像をアップしているらしいのだけれど、カプタゴンで不自然に気が大きくなってしまっているからなのかもしれない。
この地下トンネルには、どうしても表に出せない秘密があるらしい。それで全滅するかもしれないというのに、何とか兵士たちを投降させないようにしているのだ。フランス大統領のマクロンが、何度もプーチンに電話をかけて、人道回廊を使えるようにしろと言っていることからして、誰かフランスの重要人物がいるのではないかとも言われている。マリウポリからロシアへの人道回廊ならいつでも使えるようになっているのだから、どうしてマクロンがそんなことを要求しているのだかわからない。市民を避難させろと言っているのではなくて、誰か特別な人物をロシア軍の目に触れないように脱出させる必要があるのじゃないかというのだ。
アゾフ製鋼の地下がアゾフ連隊から解放されて、すっかり表に出たら、NATOがこれまで何をしてきたのかが、白日の元にさらされることになるのかもしれない。NATOはソ連に対抗するために作られたのだから、ソ連が崩壊した時点で必要がなくなったはずなのだ。ベルリンの壁が崩れて東西ドイツが統一したとき、ロシアは東ドイツからすべての軍を撤退させた。そのときの交換条件は、NATOがこれ以上東に拡大しないことだった。だけど、これは守られなかった。もはや必要がなくなったはずのNATOなのに、それ以降かつての東ブロックの国々が次々と加盟していって、ロシアの国境にどんどん近づいていっていたのだ。
リッターさんが言うように、NATOとはソ連の攻撃から国を守るためのものなどではなかったのだ。これはテロリストを養成し、反体制運動を演出して、政権をすげ替えるための組織だったのだ。コソヴォ紛争に始まって、かつてのユーゴスラビアは次々と内戦が起こり、分裂していった。旧東ブロックは、次々とNATOに加盟していった。そしてどうやら2014年からウクライナにNATOが潜んでいて、ウクライナを内側から操り、ナチ化させていたようなのだ。
何のためかといったら、それはロシアの政権をすげ替えようとしているからなのだとリッターさんは言っていた。エリツィンの時代のロシアは西側資本の思いのままだった。それで経済は崩壊して、貧困が深刻な問題だった。プーチンは自国の経済を保護して、経済を建て直したのだ。つまり、西側資本がいいようにできないようにしてしまった。それで何とかプーチンを追い出して、またエリツィンみたいなお金でどうにでもなる政権にすげ替えたいのだ。それでウクライナに陣取って、反ロシアのテロリストたちを養成し、ウクライナ中が反ロシアの感情で攻撃的になるようにしてしまった。そして今や、ウクライナで残虐行為を行っているというデマを流し、世界中を反ロシアに焚きつけているような具合だ。
しかし世界中が反ロシアに焚きつけられて、経済制裁で自国の経済を苦しめるようなことになり、NATOを脱退するべきだという動きも少なからず出てきている。フランス大統領選では、NATOは必要がないと言っているルペンがマクロンに次いで第2位になり、決勝戦が行われることになった。つまり、それだけ多くの人がNATO脱退を望んでいるということなのだ。ルペンが大統領になるのは、グローバリストたちとしては何としてでも避けたい事態だろうから、それでこの頃あれこれのスキャンダルが持ち出されているのかもしれない。
ウクライナの戦争のおかげで、NATOの正体が見えてきた。そして、これまでの戦争がほとんどすべて演出されて作られたものだということもわかってきた。そのために私たちは、巨額の税金を軍事費に使い、多くの犠牲者を出してきたのだ。今行われているウクライナの戦争は、見れば見るほど汚い戦争なのだけれど、ひょっとしてこれが最後の戦争になるのかもしれないと私は思っている。これでもう、多くの人がNATOなど必要なく、私たちはロシアの侵攻を恐れる必要もなく、ただ国の中にいるファシストと戦うべきなのだということがわかるのじゃないかと思うからだ。