★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

三国志演義をより面白く

2012-09-08 16:58:00 | 文学


遅ればせながら読んだ。最後にベンヤミンの「創造的零点」が出てきたのにはびっくりした。井波氏の著作は、『中国的レトリックの伝統』で初めて触れた。影書房から出ていた。すなわち、井波氏の花×清輝についてのエッセイを読んだ米田卓史氏などの世話で出た本であった。大学生の私は、この本を手にとり、「『随筆三国志』のアカデミックバージョンか」と糞生意気にも思ったものである。

『三国志演義』は一気に読ませる本で、なんというか、学者のひとつのあり方を学ぶのにもいいかもしれない。沢山読み勉強して、一気に書くのである。あちこちで素朴すぎるなと自分で思っても、最後まで書ききってしまう。不満な部分は、次の本で書く。こういうあり方が現在どこまで通用するか分からないが、書くたびに腹痛で寝込んだりしている癖に大したことになってないわたくしのようなやり方よりは……。