★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

あの記述はどこ――マックス・ウェーバー

2016-06-21 23:23:06 | 思想


『職業としての政治』、『職業としての学問』は、確か、学部の授業で全部読んだはずで、――いや、サークルで読んだんだっけな?――だいたい内容を記憶しているつもりであったが、ある箇所がどうしても見つからない。もしかしたら、その箇所は学部時代に大半を読まされた『リヴァイアサン』の記述だったかもしれぬ。最近の記憶もあやしいが、若い時の記憶もあやしい。

ハチク

2016-06-21 21:38:55 | 文学


僕の大きくなった士族町からは昔の城跡が近かった。不明門という処があった。昔、其処に閉じたままの城門があったので、それで名に呼ばれて居るのであるが、其頃は門などはもうなく、石垣の間からトカゲがその体を日に光らせて居た。濠の土手に淡竹の藪があって、筍が沢山出た。僕等は袋を母親に拵えて貰って、よく出懸けて行っては、それを取って来たものだ。其頃は屹度空が深い碧で、沼には蘆の新芽が風に吹かれて、対岸の丘には躑躅が赤く咲いて居た。

――田山花袋「新茶のかおり」