★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

挑戦の研究

2019-05-22 23:21:35 | 思想


『9条の挑戦』という本の読書会に参加。冷戦下の昭和時代を知っている者が、安全保障のジレンマを偶然性による生成と考えるのに対し、最近の大学生は必然性によるジレンマに思えるようだ。第二次大戦のときもそうだったのだが、その必然性故の出口なしの情況を突破するのはパワーによる破壊しかないと考えてしまいがちなのではないか。しかし、突破など本当はいつもあり得ず、過去の研究の結果の漸進が歴史を動かしている。庶民だって本当はそうなのだ。

問題は、自分に対する認識のありようと同じ程度に困難な、過去に対する認識のありようなのである。安全保障でもなんでもそうなのだと思う。挑戦はいらない。必要なのは挑戦という研究である。