人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

僕の顔

2019-03-12 11:57:21 | 独語
僕に自我らしきものが芽生えた頃のこと...
あれは確か春が訪れようとしていた時だった...

僕はどうしてここに居るのだろう...
ここは夢の世界なのか、現実世界なのか...
現実って?...現実感というものが何かが分からない
現実...現実感って...何だi
他の人間は何食わぬ顔して生きているように見える
この人たちは夢の世界の住人? 彼らも夢を見ているのだろうか?
彼らは笑ったり、怒ったり、憂鬱だったり、色々な顔はしている...
だけど...僕にはどうしても分からない...
一体全体彼らは、O男やO子という、個別の人間なのだろうか?
違う顔はしているのだけれど...同じに見えてきてならない
みんな一緒くたの、ただの何かのパーツにしか感じられない...
彼らはああいう仮面をつけているだけで、ホントはのっぺらぼうなんじゃないだろうか?
この僕は?...
完全に現実感が無くなってしまったら、きっと僕ものっぺらぼうの一員になってしまうのだろうか?
ああ、笑えない、泣けない、怒れない現実...
凹凸というものの無い現実...
いや...もはやそんなの現実じゃないi
僕が僕でない現実など...

太陽は機械仕掛けのように、真っ赤に、大きくなりながら西の空に沈んで行く...
あれは、スクリーンじゃないだろうな...
6時を過ぎてもまだ明るいんだなあ...どうやら、寒くはない
母ちゃんが呼んだので、僕は操縦されたロボットのように家に帰った
確かに母ちゃんは僕の名前を呼んでいた
顔を触ってみたけど、お面らしくは無かった
"ホントにお前は変な子だねえ..."
苦笑する母ちゃんには確かに表情というものが感じられた
春は訪れる...
僕は僕の顔、僕の現実を取り戻したようだった...







コメント
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