メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少年少女学研文庫 パール街の少年たち モルナール 学研

2024-09-02 12:04:36 | 
1978年初版 岩崎悦子/訳 小林与志/画

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


古今東西の男の子たちが戦争ごっこにハマる理由は女子には分からないなあ

子どもは大人を見て学ぶから
大人が国を護るために敵を殺すことを名誉として語り
勲章や位に対して周囲が敬意を払う様を見て影響されてるのかも

実際の戦争はもっと生臭く、PTSDで心を病んだり
一般人も殺し、略奪し、ルールもなにもない部分を隠してきたこともあるだろう

原っぱの争奪戦も、領地や利益を巡る戦争とおおもとは同じ
現代っ子たちの間ではもうこんな荒っぽいやり方や古い考え方は流行らないよね

途中なにかミステリー的な出来事が起きることもなく
ずっと子どもたちの抗争話なのが飽きてしまった
同じ年頃の男の子には面白いだろうか?

しかもラストが悲しくて、浮かばれない


【内容抜粋メモ】






●1
原っぱで団長選挙が開かれる
1人だけ万年“従卒”のネメチェクは、隣り町の敵対しているグループの
パーストル兄弟に“分捕品”だと言ってビー玉をとられたと話す






●2
パール街の原っぱは、近所の子どもたちにとっては絶好の遊び場
植物園を陣地としている敵対グループ“赤シャツ団”の首領アーチ・フェリが原っぱを偵察に来て
自分たちの旗を持っていったことも報告する





ネメチェクは、自分だけ従卒のままにしないで欲しいと泣いて頼むが
泣き虫は除名するぞと逆に脅される

ボカ:僕たちのほうから“赤シャツ団”のいる植物園を攻撃しよう


●3
植物園に侵入し、武器庫にトマホークを見つける
敵陣にゲレーブがいることに気づく
リーダーのボカを妬んでいるため、敵のスパイとして働いていた





“赤シャツ団”もボール遊びの場所が欲しいため、原っぱを狙っていることが分かる
ボカらは陣地に入ったと書いたメモを残して逃げる際
ネメチェクは首まで冷たい水に入ってびしょぬれになる


●4
パテ・クラブの会長ワイスと会員は先生に呼び出される
パテを各所から盗んで、つねに噛んでいるのがルール?
先生はすぐ解散し、二度とクラブを作らないよう命令する





バラバーシュとコルナイはいつもケンカしていて
どちらが会長になるかでモメどおし

ネメチェクはゲレーブがスロバキア人ヤノーを葉巻で買収して
原っぱから子どもたちを追い出すよう約束させるのを見る

それを一刻も早くボカに報告しようとして
クラブの記録係の仕事を断ったため、裏切り者として除名される


●5
ネメチェクは単身、植物園に侵入して捕まり、水没させられる

ネメチェク:
友だちを裏切るより、水につかってたほうがいいや
10人で1人をやっつけるなんてたやすいことだ!

アーチ・フェリはネメチェクを小さな英雄と認めて敬礼させる
逆にゲレーブは無視する


●6
“赤シャツ団”は明日襲撃してくると分かり
ボカは作戦を立ててみんなに発表する
原っぱの2つの門を固め、砂で攻撃する作戦

ボカは副官にネメチェクを抜擢する







“赤シャツ団”から締め出されたゲレーブはボカに謝り
またグループに加えてくれるよう頼む

ボカ:僕は君を許しているが、仲間にすることは絶対出来ないね

みんなで演習をしていると、ゲレーブの父親が来る

ゲレーブの父:
息子が泣いて帰ってきた
スパイの疑いをかけられてるというのは本当か?
本当なら絶対許せないことだ

みんなは父親を悲しませたくないため黙る

ネメチェクは風邪で高熱を出しているため
ゲレーブの父に問い詰められて、朦朧として裏切り者ではないとウソをつく
(子どもが病気なのに、自分の名誉うんぬんを優先させる大人もどうなんだ?


●7
ゲレーブの家の女中がことづけを持ってやって来る
ゲレーブからの手紙で、許しを請い、仲間に戻りたいと切願する
手紙をみんなの前で読み、復帰を認める

敵が白旗を持ってやって来て、明日の2時半に攻めると宣言する
武器は砂爆弾のみなどのルールを確認する


●8
実際の戦争に参加した従軍記者たちは
戦いのもっとも大きな危険は混乱だと書いている


ボカの見事な作戦と指揮により
パーストルらを人質として小屋に閉じこめた

そうと知らない“赤シャツ団”は、味方が勝っていると信じて入り
上の砦、下は塹壕から砂爆弾を浴びた

高熱で寝ているはずのネメチェクがアーチ・フェリの前に現れて押し倒し
自分も倒れて気を失う
首領を失った敵陣は崩れて、ボカらの勝利が決まる









ボカはネメチェクの活躍を認めて昇級すると
ネメチェク:昇級したくてやったんじゃない

ネメチェクの母が迎えに来て、家に連れて帰る
医者はネメチェクが明日までもたないだろうと診断する

アーチ・フェリも見舞いに来ていたが、ひと言も言わずに帰る

●9
パテ・クラブはネメチェクの除名を撤回し、表彰することにした


●10
アーチ・フェリは負けた責任をとって首領の座を追放された
兄のパーストルが首領になったが
植物園の園長が“赤シャツ団”を追い出して島を閉めてしまった

ボカ:パテ・クラブは君の名前を記事録に大文字で書き直したよ
ネメチェク:だまれ! 僕を慰めようとしてウソをついてるんだ







ネメチェクは死ぬ前にもう一度原っぱに行きたいと切願するが
治ったら行こうと空約束をするボカ

市役所の役人がネメチェクの父に注文してあった服を取りに来て
息子が死にそうだとワケを話したにも関わらず
あちこちの裾を直させて、1週間で仕上げるよう念を押す

医者が「入用なものを用意しておいたほうがいい」と忠告したため
父親は無言で裾直しをする

パテ・クラブの会員がネメチェクのもとに来たが、もう意識がない
バラバーシュ:来るのが遅すぎたんだ、僕たち







ネメチェクは亡くなり、友だちの死を理解していない生徒たちは
明日のラテン語の授業の話をしながら帰る

バラバーシュは犬猿の仲だったコルナイと仲直りする

ヤノー:
月曜に人夫が来て原っぱを掘りはじめるよ
原っぱの持ち主がここに5階建ての家を建てるんだ

ボカは一体何のために原っぱを巡って争ったのかと思って泣く

ボカは初めて子どもらしい心の中に
おぼろげながら分かりかけたことがある

人生とはなにかということ
人間は悲しい時も、嬉しい時も、人生という主人に仕えているものだということが




■あとがき

モルナール・フェレンツ
1878年 ブタペスト生まれ 74歳で没
新聞記者として役所、政治家の腐敗を目にして、彼の作品の素材となった
第二次世界大戦、ファシズムの波がハンガリーにもおよび、アメリカに亡命


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