メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『非定型うつ病のことがよくわかる本』(講談社)

2013-05-31 12:06:06 | 
イラスト版 健康ライブラリー『非定型うつ病のことがよくわかる本』(講談社)
貝谷久宣/監修

『パニック障害』、『認知行動療法のすべてがわかる本』と読んで、
この「イラスト版」シリーズは、どんな病気も分かりやすく要点がまとまっているから気に入った。
今回は、テレビでも特集が組まれたりしている「非定型うつ」について。
「プチうつ」なんて言葉が流行って、昔よりは世間でも受け入れられる話題になってきたが、
まだまだ、周囲はもちろんのこと、患者自身も実のところはあまり理解してない部分も多いココロの病。
研究が進み、統計の結果が数字として見えるにつれて、どんどん細分化され、
もはや医師ですら把握しきれてない知識もあるのでは?という気がしてならない。
そして、その背景にあるのは、ストレスを生み出し、どんどん生き辛くなる社会のシステムもある。
患者が増えて、病院が儲かって終わりじゃなく、根本から見直すべきではないだろうかといつも思う。


【内容抜粋メモ】

●まえがき
非定型うつを正しく診断できる医師はまだけっして多くはありません。
非定型うつ病には診断の基準になる特徴があります。気付きさえすれば、回復への道がひらけます。
どうも、この病には、脳の前頭葉の血流障害という原因があるようです。


●様々なきっかけのケース
・手のかからない子どもだったが、ある日ちょっとした失敗をしてしまった。
・今までの部署から異動になり、頑張ってきたことが否定されたように感じた。
・熱意をもってやっていた仕事で部下から違う意見をされ、批判された気がした。
・夫との不和。自分の思い通りにならないと言葉の暴力を振るうようになった。


●気まぐれ、わがままと誤解されやすい

患者数の推移

潜在的患者数が多く、近年増加している。3~4割が非定型うつという説。
「パーソナリティ障害」などと診断されることも少なくない。


●最大の特徴は、状況によって元気になったり、落ち込んだりする「気分反応性」
・自分に都合のよいことはできる
・甘いものなどの過食(「神経性大食症」のように食べて吐くなどはない)、過眠
・人間関係・ものごとに過敏になる。傷つくことを恐れて引きこもる「拒絶過敏性」
鉛様疲労感「慢性疲労症候群」と誤診されるケースもある。健康診断では「異常なし」
・気分の浮き沈みが激しい。不安の内容も他人にはなかなか理解されない。日暮れから夜にかけて不安・抑うつ発作がある。

非定型うつは、パニック障害などを併発するのも大きな特徴。

ささいなことに激しく怒る「怒り発作」などの随伴症状もみられる。
「アンガーアタック」は、性格ではなく、怒りの感情をコントロールできない行動→激しく後悔する。


「フラッシュバック」
自分の意思に反して、過去を思い出して感情にとらわれる。
「随意想起」(自分で思い出す)ではなく「自動想起」(意思に関係なく思い出す)。脳の働く部位が違う。
記憶を支配する海馬、扁桃体、情動の働きと深い関わりがある。
「PTSD」もフラッシュバックは起こるが違う病気。
トラウマほどではなく、日常的体験がほとんど。

「依存症」
うつや不安を紛らわすためにコントロール不能。


「気分障害」の種類


「双極性障害」(気分循環性障害)
・Ⅰ型
・Ⅱ型
・メランコリー型うつ(定型うつ。喜びを持てず、体重減少、妄想的な罪業感)
・非定型うつ

「大うつ病」(気分変調性障害:気分の落ち込み+無気力)
・メランコリー型うつ
・非定型うつ
・他のうつ(季節性うつ、産後性うつなど)

「季節性うつ」:日照時間が短くなる秋から冬にかけてなる。円満で穏やか、親しみやすい循環気質。


自殺者数
年間3万人を超え、半数以上はうつ病(15%以上は自殺)。
自殺者は男性が多いが、自殺を図るのは女性のほうが男性の2倍。
非定型うつの場合、感情が激し、衝動的に図る危険性が高いのが特徴。
「死にたい」のではなく、「死にたいほどつらい」というSOSのサイン。


パニック障害との関連「パニック性不安うつ病」
非定型うつの多くはパニック発作を経験。パニック発作を経験した人は非定型うつになりやすいことが分かっている。
パニック障害の7~8割はうつになる。
うつ状態+パニック発作を交互に繰り返しながら経過し、徐々に改善する


「不安障害」の種類
ストレス障害、全般性不安障害、強迫性障害、恐怖症(広場恐怖、特定の恐怖症、社交不安障害)、パニック障害

「社交不安障害」:赤面恐怖、視線恐怖
「特定の恐怖症」:高所、閉所、注射、血、人形、ヘビなど


「境界性パーソナリティ障害」と誤診されやすい
極端に感情が揺れ、衝動的に問題行動を起こすのが特徴。

非定型うつとの違いは、以下の点
1.発病前はいい子で、社会適応していた。
2.治療者を操作しようとしない。
3.自分と治療者以外の他者を、適切に評価できる


「パーソナリティ障害」の種類
A群
妄想性パーソナリティ障害
シゾイドパーソナリティ障害
失調型パーソナリティ障害

B群
演技性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害
反社会性パーソナリティ障害

C群
回避性パーソナリティ障害
依存性パーソナリティ障害
強迫性パーソナリティ障害


非定型うつとパニック障害の併発は「パーソナリティ障害」や「慢性疲労症候群」によく似ている。
 性格の変化が本人も自覚できる。これは本来の自分になる過程で、一時的な現象。「ルネッサンス(人間性回復)」とも呼ぶ。


●病による性格の変化
1.大人しくてよい子だった(根底には劣等感、よい子でいなければという緊張感、低評価への恐怖感がある
2.気が利くOL(他人の評価を気にする
3.パニック発作とうつを繰り返す(見捨てられた感・過剰な自己主張
「誰も分かってくれないという思い」で心も体も疲れきり、孤独と不安が強くなる
4.これからは他人本位でなく、自分はどうしたいのかを考え、自分のペースで行動できるようになる


●原因は性格だけではない
・環境、生理的要因、生活習慣、家族性、養育歴、その他(環境・体調の変化、人間関係のトラブル)
・内面はもろい、自分を犠牲にする、小心、あがり症、マイナス思考、批判されたことがあまりない、いつも「いい人」などと褒められてきたなど。


過密・過多・過剰・高速という社会的背景
息がつまる、振り回される、ゆとりがない、疲労がたまる。
不安とは、外からの刺激のプレッシャーによって、自分の物理的、精神的な空間を失っていくこと(まさに


●生理的要因
脳内物質の受け渡しがうまくいかない+機能低下している部位がある(血流不足)説。


養育歴
子どもは、3歳までは母親にしっかり抱きしめられ、愛情と安全を与えられることが重要。
非定型うつを発症した人の子ども時代は、母親との接触が少ない、虐待、愛情飢餓の人が多い。
夫婦げんか、父親の暴言・暴力も影響。
無条件に愛されているという実感が持てないため、自己主張を抑え、よい子であろうとムリをして頑張る。


●運動不足
自律神経、睡眠のリズムが乱れる。


●家族性

家族は遺伝的つながりの他、生活環境やストレス体験が似ていることも見逃せない。
養育歴やストレスなどの環境も関係が深いといえる。
非定型うつは、家族性が高い傾向がある。


●地球温暖化が関係!?/驚

日本の年平均気温の経年変化

パニック障害は、気温・湿度の上昇が発作の引き金になると分かっている
入浴中に発作を起こす「熱気パニック」(母がなったってゆってたな
気温・湿度の上昇がもたらすストレスやイライラは悪影響。


●ゆっくり進行したぶん、ゆっくり回復する
治療の平均期間は3年。薬物療法が中心。
非定型うつには、「MAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)」が効くという報告があるが、まだ日本では未認可。
注意:MAOIはSSRIや三環系抗うつ薬との併用は禁忌!個人輸入は危険。
「ブプロピオン(ノルアドレナリン・ドーパミン再取り込み阻害薬)」は治験が終わり、まもなく発売予定(2008年当時


●非定型うつには「心理療法」も欠かせない
薬物療法と同じ有効率を示した。
相手の気持ちを曲解・誤解しやすい、相手と自分の境界が曖昧になり、感情感染しやすいため、同病の人との付き合いは要注意

病がどこからきているか気付く(自分の考え方・人間関係における葛藤)→うつに関係


認知行動療法の7つのカテゴリー
認知行動療法は、偏った考え方のクセに気付き、直しながら、不安になった時の気分の変え方や、うつへの対処法を身につける。
例:多角的に見方を変える訓練など

・患者さんの家族への心理療法
・ストレスコーピング(何にストレスを感じ、どんな影響を及ぼしているか分析
・感情コントロール
・自己の客観視(呼吸法・瞑想
・自己主張訓練(自分の気持ちを把握、周囲を観察、要求・希望を表現
・不安・抑うつ発作へのコーピング
・日常生活改善


マインドフルネス
「今ここでのありのまま」の状態に気付き、受け入れる(発作になったら効かないけどね
感情・感覚を言葉で表現、判断せず、集中する。
瞑想は、体の緊張をとくことで心の緊張もとき、自分の感情・感覚に気付くことからスタートする。

過去にとらわれず、未来への不安を抱かず、恨みの心を育てない


●軽い運動
心の病は、心と体のバランスが崩れた状態。いつまでも体を動かさないでいると、脳の活動も停滞し、悪化する。
鉛様疲労感から疲れやすい→動かない→くよくよ考える→動けない→動くと疲れるという悪循環
軽い有酸素運動は、神経成長ホルモン、セロトニンの分泌を増やす。
薄着を心がける。エアコンの効いた部屋に閉じこもっていては自律神経は鍛えられない(職場はダメじゃん


掃除がおすすめ!
そこに住む人の心の状態が部屋に現れる。
1.体を動かす
2.家族から感謝される
3.部屋がキレイだと気持ちがよい
4.役に立ったという満足感
5.マインドフルネス(集中している間は不安を抱かない


●規則正しい生活リズム
毎朝同じ時間に起きる習慣をつける。
3回の食事(お茶だけでも!
12時までには寝る「シンデレラ睡眠」で過眠を防ぐ。


●悪化させる要因
カフェイン、喫煙、アルコール、パソコン(1日1時間は少な過ぎ!)、メールは前頭葉の働きを悪くする/驚 など


●職場を休職するかいなか
非定型うつは必ずしも休養がよい効果をもたらすとは言えないのが大きな違い。
まずは、上司・同僚に理解を求める→仕事のやり方を変えてもらう(異動・配置換え)
職場の人間関係に悩んでいる場合は、ムリして続けるのはよくない。


●周囲の対応
本人には同調的に接する。誤りは冷静に指摘する。本人の訴えに傾聴する。多少の励ましは必要。
言動に対し、怒りではなく悲しむ。例:「こんなに食べずにいられないのを見ると心配だわ」


●脳トレ
料理は効果的、音読、絵を描く、掃除、手芸、文字を書く、楽器の演奏!
音楽を聴くだけではさほど脳は活性化しないって、じゃあ、リラクセーションミュージックは



こんなんで落ち着くのかなあ・・・? こんど発作が出たらやってみるか? 思い出せるか?


監修者の貝谷さんは、パニック障害、社会不安障害の第一人者なんだって。
自らがいる赤坂クリニックも推してたし。
なんだか、本書を読むと、病気の人のほうがふつーなんじゃないかって気がしてきた。
ただまだマイノリティなために病気扱いになっているけど。


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氷川図書館

2013-05-30 23:55:55 | 
クリニック。
前回、ロキソニンの話でなぜか激昂してた主治医が最初に弁解して、へえ、そうゆうのも一応メモってるのか?
で、また同じ話を繰り返したから、私としてはロキソニンはもう市販されて自分で買えるからどうでもいいんだけど、
背中の痛みが自律神経からきてるんじゃないかと相談したら、整形外科に行けと言われて、
これまで散々、整形、鍼、マッサージ等々行っても治らず「ストレスのせいだ」て言われたから、その矛盾を知りたかったんだけどね

前回の診療の翌日から急に背中痛が嘘みたいになくなった話をして、
「機能的な異常があるなら、理由もなく突然治るってことはないから、やっぱり神経的なものだと思うんですけど」てゆってみたが、
その肝心な答えは聞けなかった。わたしの話し方の問題なのか???

とりあえず、森美術館での発作の話をメインに、最近の行動療法の経過を話したら、
「高さを感じるのは三半規管だから、もしかしたら自律神経が敏感なのかもしれませんね」とは言っていた。
それからまた電車などがしばらく不安になったけど、レベルを落として再開したことを話すと
「それが正しい。また発作が出たからといって、最初に戻ってしまったと思うのではなく、
 これまでの行動療法は、ちゃんと体は覚えているから、ちょっとレベルを低くして気長にやることが大事」

頓服のコンスタンは効かないから「お守り」にならないので、ソラナックスにしてほしい旨を話したら、
「どちらも成分は同じ。でも、人によって効き方に違いがあるのは事実。基剤が関係してるのではないかと思う」
その話も前聞いたよ。

基剤
不安を抑える成分だけでは錠剤として固まらないから、つなぎの部分。
これには規定がないため、メーカーによって違うが、基剤自体には薬効成分はない。主に澱粉らしい/驚
この基剤によって、「薬効成分の吸収」に違いが出るのでは?という説。

【クスリとその基材】
・ソラナックス、コンスタン:アルプラゾラム
・リボトリール:クロナゼパム
・ワイパックス:ロラゼパム
・デパス:エチゾラム など

この基剤については、薬局でもらう説明書には記載されないから患者には分からない。
Q「いろいろ試してみて、自分に一番合うのを探してみてもいいのか?」
A「それほど成分や効果に変わりはないから、ソラナックスが合っていると分かっているなら、それを飲めばいい」

最大10錠まで処方可能って決まりがあるらしいから、お守りとして10錠出してもらった。

前回、薬局のランチが14時~15時でひっかかってしまったから、時間ばかり気になって
女性スタッフさんに話したら、電話してくれて「こうゆうことはよくあるので言って下されば結構ですよ~」てゆってくれたけど、
薬局のスタッフさんも優しい人たちばかりだから、いつも忙しいのに、ランチアワーまでお邪魔して恐縮です/謝


●ランチ

聞き慣れない名前のサイゼ系ファミレスでランチ。
ワンプレートでサラダもパスタもポテトものっかってて800円くらいはお手頃で美味しかったv


氷川図書館


大山駅から徒歩20分くらいかな? こうゆう地域に根ざして若干古めな図書館のほうが
新刊ばかりの新しい図書館より、書店にない本を持っているから楽しみにして行ってみた。
入り口には、こんな看板発見!


映画会『ローレル&ハーディの天国二人道中』6月22日(土)
ものすごいリンクっぷり驚 このチョイスは司書さんの趣味でしょうか?ステキすぎます

入り口付近からすでに私の好きな「ヤングアダルトコーナー」が2棚ほどあって、
興味深い本ばかりで、ケータイにメモりまくった(近所の図書館で予約して借りるため
ここだけでも充分な時間過ごせてしまうけれども、2階が一般書、
1階は半分以上が児童書コーナーなのもイイv 近所に学校があるのかも。
期待以上の図書館でした~♪♪♪



都内は例年より早い梅雨入りとかで、肌寒いような、蒸し暑いような
以前は、雨もそれほど気にしなかった気がするけど、パニ障になってからはこの重い空気も苦手になった。
もう通り沿いには紫陽花が咲いていて、瑞々しい様子は見ていて癒される




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星野道夫 アラスカの詩『夢を追う人』

2013-05-30 11:24:31 | 
アラスカの詩『夢を追う人』(新日本出版社)
星野道夫/著

図書館で見つけて、また新たに星野さんの本が出て嬉しいなと思って借りてみたら、
これまで既出の文章と写真を編みなおしたものなのかな。
このくらいのサイズは好きだし、本書で初めて星野さんの作品を知るきっかけになるのはいいことだと思うけど、
やっぱり、途中になってた元ネタの図書のほうを、また時間のある時につづきを読もうっと。

以前書いたメモと重複もあるけど、それもよしとして、、、

【内容抜粋メモ】

「アラスカとの出合い」
見知らぬ人々が、ぼくの知らない人生を送っている不思議さだったのかもしれない。
同じ時代を生きながら、その人々と決して出会えない悲しさだったのかもしれない。


人生はからくりに満ちている。日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会うことがない。
その根源的な悲しみは、言いかえれば、人と人とが出会う限りない不思議さに通じている。


「ルース氷河」
氷河の上で過ごす夜の静けさ、風の冷たさ、星の輝き・・・情報が少ないということはある力を秘めている。
それは人間に何かを想像する機会を与えてくれるからだ。
一つの体験が、その人間の中で熟し、何かを形づくるまでには少し時間が必要だ。



「十六才のとき」
何日も海だけを見ながら過ごしていると、自分が暮らしていた陸地は不安定なつかのまの住み処のようで、
海こそが地球の実体のような気持ちにとらわれた。
海は限りない想像力と、人間の一生の短さをそっと教えてくれた。


バスを一台乗り遅れることで、全く違う体験が待っているということ。
人生とは、人の出会いとはつきつめればそういうことなのだろうが、
旅はその姿をはっきりと見せてくれた。


ぼくが暮らしているここだけが世界ではない。
さまざまな人々が、それぞれの価値観をもち、遠い異国で自分と同じ一生を生きている。



「早春」
人の心は深く、そして不思議なほど浅い。
きっと、その浅さで、人は生きてゆける。


「歳月」
(21歳の時、夜汽車で読んでいた新聞で、中学時代からの親友Tが山で遭難した記事を読む星野さん。
 Tの死から結論を捜しつづけて、ある時ふっとその答が見つかる)

それは「好きなことをやっていこう」という強い思いだった。

かけがえのない者の死は、多くの場合、残されたものにあるパワーを与えてゆく。



「もうひとつの時間」
(『チコと鮫』という映画に影響を受けた話。
 現地で撮られた最初の自然ものの映画だという。
 女性編集者とクジラを追ってアラスカまで来て、目の前でブリーチングする姿を見たこと)

ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。
日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい。


「旅の終わり」
(旅人ではなく永住するためアラスカに家と土地を買うことを決心する著者)

ほおをなでてゆく風が、移ろいゆく人の一生の不確かさを告げていた。


「ベーリンジア、消えた草原」
(かつてユーラシアと北アメリカが草原でつながっていたって話は、いつ聞いても不思議だなあ!
 モンゴロイドがアジアから渡って住みついたという説。
 セントローレンス島で、1600年前の女性の人骨が発見されたこと。
 著者も岸づたいをボートを漕いでいると、マンモスの牙や骨を発見したこと)

ベーリング海は浅い。平均水深はわずか40m。
老婆グレイスが語る民話は、海を越えたシベリアエスキモーの物語だった。


もうすぐ二十世紀が終わろうとしている。きびしい時代が待っているだろう。
進歩というものが内包する影に、私たちはやっと今気付き始め、立ち尽くしている。
なぜならば、それは人間自身がもちあわせた影だったのだから・・・
種の始めがあれば、その終わりもあるというだけのことなのか。


「新しい旅」
クマはどっかり大地にすわりこんで不思議そうにぼくたちを見上げている。
アラスカの自然に魅かれるのはそんな一瞬だった。
自分の姿がこの世から消え、神の視点から、
人間のいない世界に流れるひそかな自然のリズムを垣間見ているような気がした。




(ハメルという老人が語る幼い頃の話。
 オールドジョンレイクのほとりでは、“カリブーフェンス”という
 V字のフェンスにカリブーを追い込む昔ながらの狩りが行われていた)

狩猟民が必然的に背負いこまなければならない生存の不確実性。そこから生まれてくる自然観。


ケニスが子どもだったほんの6、70年前、人々の暮らしは何千年と変わらずに続いてきた神話の時代に近かったのだ。


人々はグッチンインディアンが抱えているさまざまな問題を話し合った。
油田開発がもたらすであろうカリブーへの影響、それにともなう狩猟生活の存続への不安、
消えてゆこうとする言語、古い価値観の喪失、自殺、若者たちの未来・・・


人間が足を踏みいれたことがないと畏敬をもって見おろしていた原野は、
じつはたくさんの人々が通りすぎ、さまざまな物語に満ちていた。


「ワスレナグサ」

forget-me-not

風に揺れるワスレナグサもそんなことを語りかけているような気がした。
私たちが生きることができるのは、過去でも未来でもなく、ただ今しかないのだと。


結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。
そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがえのないその時間である。


「トーテムポールを捜して」
かつてハイダ族は、トーテムポールの上をくり抜いて人を埋葬していたのである。


もし人間がこれからも存在し続けてゆこうとするのなら、もう一度、そして命がけで、
ぼくたちの神話をつくらなければならない時が来るかもしれない。





【初出一覧】
『旅をする木』
『長い旅の途上』
『風のような物語』
『イニュニック 生命』
『アラスカ 光と風』

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『夏目漱石の美術世界展』@東京藝術大学大学美術館

2013-05-28 23:55:56 | アート&イベント
旧東京音楽学校奏楽堂(国の重要文化財)

芸大に行く途中に重要文化財の建物があると知って立ち寄ったら、
「平成25年4月1日より、建物保全のため休館しています。」とのこと。残念。
外観だけでも、なかなか雰囲気のある良い建物だった。事務員さんは中にいるのね


『夏目漱石の美術世界展』@東京藝術大学大学美術館(5/14~7/7)
 
このリンクさせて頂いたサイト主さんは関係者なのかしら?
主要な展示物の写真が豊富だし、その説明も詳細に紹介している/驚

初めて来た美術館で、まず3階から始まって、次は地下2階に下がるって順路がちと複雑
まずは、漱石さんお気に入りのアールヌーボー調に描かれた初作『吾輩は猫である』の装丁画の数々。
一律化された今の印刷より、活版の昔のほうがなんて愛らしい
『こころ』は、漱石自身の装丁なんだとか/驚

朝倉文夫の「つるされた猫」が超可愛い
猫が語るという導入部の説明書きも面白い。

「ガダラの豚の奇跡」ブリトン・リヴィエアー
「ロンドン塔幽閉の王子」ジョン・エヴァレット・ミレイ
などが目を惹いた。

 

J.W.ウォーターハウス「人魚」1900年 王立芸術院、ロンドン
肉感的な人魚は娼婦のようなエロス。

J.W.ウォーターハウス「シャロットの女」1894年 リーズ市立美術館
今作が一番気に入った。鏡からしか現実世界を見れないって物語りのヒロイン。

私の好きなミレイの「オフィーリア」が写真複製だったのが残念(丁寧に額まで写真!
模写も多くて、外国留学して洋画に多大な影響を受けた日本人画家の経緯も分かる。
岡本太郎さんが、日本画の原色の乏しさに窒息しそうだと言っていた意味が分かったような気もした。

それに、日本文学はほとんど読まないから、漱石さんが絵を元に小説をたくさん書いていたって初めて知った/驚
美術評論の先駆けでもあったのか? 酷評も多くて辛口/苦笑
かと思えば、淡い墨絵にことのほか感動していたりして、絵の好みはほんと人それぞれなんだ。

「たった1枚でいい、見た人が崇高で有り難い気持ちのする絵を描きたい」と言って、
絵の指導も受けつつ、後年は自身もいろいろ描いたっていうのも意外/驚
批評するのは簡単だけど、自分で描くと、水墨画も細部に異常に凝りまくっていたり、
逆にまんまるな印象の愛らしいのがあったりw

書も頼まれていろいろ書いていたらしく、この時代の文化人てほんとになんでも達者だったんだなあ!
でも、原稿の字は可愛い字なんだね

「芸術とは自己表現である。芸術家は没交渉であるべきで、自己表現と向き合い、その苦しみに耐えること」
とも言っていたという。芸術が自己表現だって今じゃ当然の気がするけど、当時は新鮮な考え方だったのか?

「黄粱一炊図」という渡辺崋山が自刃を延ばして描いた絶筆の画も目を惹いた。

最後は、漱石さんが亡くなってすぐ、弟子が石膏でとったという「デスマスク」
顔の皺や、豊かな髭など、立体的かつ詳細に再現されていて思わず見入ってしまった。


1階では、漱石さんの人となりが10分間にまとめられた映像が流されていた。
当時はモダンな装丁画が大変人気を呼んだとか、里子に出されて、さらに養子に出されたという複雑な生育歴、
イギリス留学で英米文学を学ぶかたわら、いろんな美術館を巡り、それが小説に生かされたいきさつなど。


出口は1階と2階にもあって、2階にミュージアムショップとカフェがあった。
廊下にひっそりと売り出されていた絵がとても気になった。

オーブリー・ビアズリー「サボイ」表紙・挿画

私は夭逝した芸術家が好きだが、こういった白黒のペン画も好きなんだなと改めて気づいた。
以前観たマックス・クリンガー@国立西洋美術館や、エドワード・ゴーリー等々、
緻密な線画で、どこか歪んだ夢みたいな物語性を感じさせる絵になぜか惹かれる。


  

1階から出たら、美大の敷地内に入ってしまったらしく、立派な巨木やら、誰か分からないたくさんの彫像、
学生の作なのかオブジェもいろいろ置いてあるし、緑も多くていいところで学んでいるんだねえ。

「かたかたち。展」@藝大アートプラザ(5月15日(水)~6月2日(日))
 
学生か卒業生の作品なのか、それぞれ個性があって、けっこうな値段なのに売れているシールが貼られている。

いつも駅構内などで見かけるお酒の「いいちこ」のポスター写真がナチュラルでステキだと思っていて、
そのちょっとしたコーナーがあったから、写真集など手にとってみた。
「iichiko」の写真を撮っていたのは、浅井慎平さんだったんだ。納得。

正木記念館

アートプラザがあるこの記念館内には入れなかったけど、江戸の屋敷みたいな造り。

陳列館
 
ここは「ご自由にお入りください」と看板があった。
モダンなコンクリート造りで、1階と2階が展示スペースとなっていて、今はガランとしていて無人。




上野恩賜公園噴水のそばでは木造りの家具や、皿、さつき花の展示もやっていて、
上野は何度来ても奥が深いなあ! 修学旅行生の団体もズラズラと列をなして歩いていた。



今日は梅雨入り間近ってこともあって、外は蒸し暑かったけど、
美術館内の冷房が効きすぎて寒かった上、今年初、サンダルで歩き回ったら激疲れて、足にマメができていた

 

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もしも・・・

2013-05-28 23:55:55 | 日記
カウンセリング。
前回、カウンセラーさんが
「友人×私の関係が、母×私の関係に似ている印象を受ける」と言ってたのが具体的にどういうことか聞いてみたら、
私が意見を提示しても→友人はどのみち自分の選択で決める→結果なにも変わらない
母が意見を提示して(私が求める・求めないにしても)→私は自分の選択で決める→なにも変わらない
という「構造」が似ているとのこと。まあ、ザックリ言えばたしかに似ているかも。

カ「相談者は、たとえ意見を求めているようでも、結局選択するのは本人の自由意志。
 母親は、私が意見を求めているのではないかと捉えているのかも分からない」

カ「それを踏まえてどう思うか?」
私「構造が分かったところで何も変わらない。
  母は意見を言って、私は黙っていても、論破しようとしても、母親の行動は変えられないから。
  どんなアクションも無意味だと分かったが、諦めても傷つくのは同じ」

カ「では、もし仮に母親が、自分の言う通りになってくれたら、どうなると思うか?
私「今まで頑張ってきたね。価値観は違っても、信じているから、好きな道を選ぶといいよ。
  何か悩んだら相談してくれればいいと、放っておいてくれて、信じて見守っていてくれるなら嬉しい。
  友人や自分自身が認めるだけじゃなく、もっとも身近である家族の愛情がベースにある人のほうが、
  社会に出て、なにかトラブった時に、“身近に信じてくれている人がいる”と思えることは
  ベースの支えとなって、前に一歩踏み出す勇気にもなるし、踏ん張れる」と話していたら涙が止まらなくなった。

カ「唐突な質問に変わりますが、男性に対するイメージとはどんなものですか?
  これまでの話でも、父母の関係を見て育って、良好な関係のイメージがわかないということでしたが」

カウンセラーさんも、母と同じで、私によいパートナーが出来れば、心の支え・孤独感が解消されると思ったのか?

私「同じ人間、動物同士。でも、みな長所と短所があるから、親密に関わろうとすると、付随する問題も増える。
  今は自分が不定愁訴をたくさん抱えて生きているだけで精一杯で、そんな気力・体力もない状態。相手に責任をもてない。
  以前も話したが、自分の時間・労力・自由を奪われる感覚がある。
  今は独身・結婚が選択できる時代+いろんな関係性でも成り立つ時代。
  2人で支えあえるメリットがある一方、妥協も必要。それもひっくるめて成長する修行という感覚。
  父母を見て育って“一緒にいて対等な関係・生活”とはどうゆうものなのか具体的にまったく分からない」

というところでタイムアウト
きっと私は、「母×父」「母×自分」の関係性と同様、パートナーにも認めてもらおうとムリをするか、
我慢してしまうだろうという気がしてならない。その点を次回話してみようっと。

コメント

松本零士「オズマ」

2013-05-27 16:24:15 | マンガ&アニメ
松本零士「オズマ」(2012年3月~4月OA。全6話)
原作・総設定・デザイン:松本零士 総監督:高橋良輔

WOWOW開局20周年記念作品。
“松本零士が1980年代に執筆し、長らく未公開の状態だったシナリオ『超兵器オズマ(仮題)』が原作。”(ウィキ参照
零士さんがデザインとは言え、女性キャラの睫毛がそれほど長くないことに一抹の寂しさを覚えるのは私だけ?
でも、主人公の男の子や、その他の船員キャラ、女性がリーダーなのは『クイーン・エメラルダス』を思わせるし、零士さんならでは。
武器や装備の名前はチンプンカンプン。毎回どこからああゆう科学的なセリフが思いつくんだろう???


【あらすじ(ウィキ参照)】
荒廃した未来の地球。全地球を覆い尽くす砂の海――。
太陽の異常活動が大気の層を破壊し、地球上の生態系に大きな異変が起こっていた。
人類においては、DNA破壊により、世界各地で出生率が劇的に低下するなどの異常が発生。
時の政府は地球規模の“人類再生計画”を実行し、
優秀な能力を保有するIC(アイディアル・チルドレン)というクローンを造り上げ、
やがて、ICの統治による巨大な組織体を形成していったのだった。。


【各話エピソードメモ(ネタバレ注意)】

●第1話 「砂のクジラ」
 
サムが砂漠を走っていると、シーシアス軍に追われる女性マヤを発見。
もうすぐ追いつかれるというところにオズマが現れ、サムはマヤを救って、自分の住む町に連れてゆく。
密かにサムに想いを寄せるミメイは、サムがマヤを守ろうと必死になりすぎて無鉄砲な行動になるのが心配になる。

●第2話 「潜航限界」
 
シーシアス軍は町まで追ってきて、バルダノスの女船長バイナスはマヤを乗せたまま砂に船を沈める。
爆弾を落として位置を確認するシーシアス軍をかわすため、地中深くで全停止させたため、
船内の温度が限界値の50℃まで上がり、マヤは瀕死の状態となり、軍はやむなく撤退。
司令官ギド・ガイラーは、上官ダンガに報告すると、
「彼女は我々とまったく異なる時空に生きている。
 我々には時間がない。なんとしても取り戻すのだ」と命令する。
バルダノス船内の女医ルナは、船長バイナスにマヤのカルテに不審な点があることを報告する。

●第3話 「千年の迷い」
マヤの体を調べた結果、シーシアス軍よりバルダノス船員ら(ナトゥーア)のDNAに近いと判明。
船長バイナスはマヤを問い詰めるが、彼女も自身について分からないことだらけだと言葉を濁す。
マヤは迷惑をかけまいとサムの乗り物に乗って1人砂漠を走るが、再び軍に捕われ、オズマを呼ぶ。

●第4話 「地の果てまで」
マヤは再び囚われの身になるが、トップの座を狙うギドは上官命令に従わず、マヤの望み通りにすると約束する。
マヤは「ゾーンへ」と指示するが、彼女を助けようと船長バイナスとギドの対決が勃発
この辺の攻撃&兵器用語はサッパリ分からんが、どうやら船長の作戦のほうが功を奏したようで、2人が会う。

●第5話 「仮面の男」
ギドのマスクが砕け、オズマを捕らえると言って出たまま戻らないディックと分かる(サムの兄で船長の恋人
シーシアスの住民は、優秀な能力を保有するIC(アイディアル・チルドレン)というクローンを造り続けて退化したため、
ナトゥーア人を捕らえて、その精神を封じこめ、肉体を乗っ取っていた。
一方、マヤはオリジナルの自分自身を何世紀もコピーし続けたため、命が短いと自覚している。
「その前にオズマに会って選択しなければ・・・」
そこに巨大なオズマが怒りの様子で現れ、船長はディックが開発したとっておきの武器モノケロスを使うことを決心する。

●最終話 「新生の日」
マヤとオズマは一体化し、ゾーンのあらゆる生命体が地表へとあらわれる。

「本来選ばれた生命体であれば、太陽に祝福されねばならぬはずなのに。
 私は選ばれた生命体ではなかったらしい。まぶしい。。太陽がいっぱいだ」(ダンガ



「この星の頂点に立つのはけして人類ではありません。
 ゾーンから解き放たれた様々な生命たちは、
 この惑星全体に広がり、いつか生態系を作ってゆくのです。

 しかし、生命体にどれが素晴らしく、どれがダメだなんて、
 神ならぬヒトが決めることは出来ません。
 未来を選択するのは、ヒトではなく、ヒトにこの星を貸している自然のほうなのです。
 ただ、愛し合って生きること。それがヒトに出来るすべてのこと」(マヤ


砂漠化した地表の地下深くに真水や、森、多様な生命体がいて、
巨大な生物がいるって・・・まるで『風の谷のナウシカ』と同じでは
全6話で短い(もともと短編だったのか?)ため、めいっぱい詰め込んだ感じだけど、
久々、松本零士ワールドに触れて、その他の作品にも浸かりたくなってきた。
ハーロックや、999なども、それぞれが関連し合って、壮大なサーガと化しているから
掘り出し甲斐もあるなあ・・・


オームにソックリ・・・

結局、オズマって生命体 鉄で出来たクジラみたいな姿だったけど、
中は宇宙のように空洞でキラキラしていたし
あと、女医ルナの愛猫の名前がみーちゃんてステキすぎ。

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80歳

2013-05-27 15:45:11 | 日記
最近の気になるトピックス。

岩合光昭写真展「ねこ歩き」@日本橋三越本店
毎年の恒例イベントになってきたね
このチラシ(サイトと同じ)の写真だけでも、ほんっとに可愛い!
見に行きたいのは山々だけど、以前行った時に、たくさんの根強い岩合さんファンの奥さまたちの混雑にもまれて
ゆっくり見れなかったことを思い出したら、まあ、そのうち写真集でも出るかな・・・と思い留まった


鳳林寺の看板犬ナッツ
以前、ライブ友さんからもらった「座・高円寺」のフリペになぜかわんこ写真が満載で、
お寺さんに看板犬?が2人もいるって載ってた。会ってみたいなあ
鳳林寺:高円寺南2-39-1


映画『犬と猫と人間と2』
2009年に1作目が公開されて、その時は見送ったんだっけな?
今回もとっても重いテーマだし、またユーロスペース(私にとってはいわくつき)だから、
劇場ではムリだが、DVD化されたら観てみたい作品。


映画『俺俺』に部長もちょい出演
「時効警察」「熱海の捜査官」の三木聡監督で、加瀬亮、ふせえりさんも出てるとなると気になります。


恵比寿三越に、北欧雑貨ブランド BLAFRE(ブラフレ)のフラッグシップショップがオープン
アクセス:日比谷線「恵比寿駅」・JR「恵比寿駅」東口より「スカイウォーク」にて約5分
営業時間:午前11時~午後8時
長野の友だちからの情報。いつもありがとう~♪
なるほど、可愛い雑貨がたくさんありそう
買わなくても、雑貨は見てるだけで好奇心が刺激されて元気が出るv


「グーグル・グラス」米で騒動過熱 夢のIT機器か、危険招く眼鏡か
先日書いた「3Dプリンター」も驚いたけど、この眼鏡の話題もZIP!で見た時は複雑な思いがした。
科学の進歩は止められないし、使うほうのモラルにかかっている。
問題なのは、まだまだ野蛮な現代で、こうした便利グッズが手軽に販売されると弊害も多くなるってことだ。
ヒトが想像しうるものは、基本なんでも現実化可能なんだと思う。
月旅行計画も実現の射程距離内にあるし、そのうちタイムマシンも出来るかも。
夢はどんどん広がれ。でも、盗撮とかは止めてね・・・


三浦雄一郎さん、エベレスト登頂成功 史上最高齢80歳
おめでとうございます! ほんと素晴らしいなあ、ニンゲンの可能性って


ヨーコさんも80
なにげなくツイッタでヨーコさんが80歳と知って、いやいやいやいや、と疑って調べたらほんとだった/驚×5000
そっか、ジョンも生きていたら73歳かあ・・・
きっといい歳のとりかたをして、夫婦で面白いことしていただろうな。
「歳だから、もうなにも出来ない」と、かれこれ何十年も前からゆってる両親に、
エベレスト登頂はさすがにムリでも、もっと毎日を楽しんで欲しいんだ。

27歳くらいでもう「私おばちゃんだから」ってゆってた派遣のコもいたし、
この「歳だから・・・」説はどうして生まれるんだろう、といつもフシギに思う。
10代ならいいのか?なにがいいのか? 30歳じゃもうダメなのか?なにがダメなんだ?
たしかに体は生まれた瞬間から日々死に向かっていて、ピークを超えたら衰えるのは仕方ないにしても
気持ち的に「終わった」と思う心理って何なんだろう。


「lyrics」もアップしました。

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notes and movies(1995.9~ part5)

2013-05-26 14:06:25 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ハート泥棒』(1987)

監督:アーシアン・バーンスタイン 出演:マーティン・ショート、アネット・オトゥール、ポール・レイザー ほか
ソフトなロマンティック・コメディ。いつもビデオ屋の目の前の棚にあって全然気づかなかった主演2人のジャケ。
このショートの写真がなんとも完璧なんだな。この時37歳。
いつもながら一体どんな秘密があるのか、この人って年々若返っているみたい
メジャーになったのが遅咲きの分、これからもっともっと稼いでほしい。
相手のオトゥールは『キャット・ピープル』の人だよね。大人の男女の3度目のデート。
互いに自分を飾って受け入れてもらおうとするが故に嘘をついちゃうってゆう微妙なあやを丁寧に描いている。
軽いポップミュージックが'80代してて作品の温かなラストに似合ってる
あの超ビキニパンツはちょっとキョーレツ

男は男らしくリッチなところを見せたがり、女はそれに感心するフリをする。
女は女らしい可愛さを装って、男はそれにひっかかる。
でも、本当に内面に惹かれたら、他はどーでも虚飾は必要ないんだよね。
ショートは物真似が得意芸で今作にもチラリとある。ピアノは本当に弾いてるの?
すっかりその世界に入っちゃってるから笑える。彼もSNLで長年鍛えられて、
先輩のS.マーティンらと同じイッっちゃってる芸のあるコメディアンだから、
もっとキョーレツな部分の見せ場も欲しかったなあ。


『HANKY PANKY』(1982)
監督:シドニー・ポイティア 出演:ジーン・ワイルダーギルダ・ラドナー ほか
最初から最後まで完璧サスペンスタッチで二転三転して結末が読めずに引きずり込まれる面白さ。
ワイルダーと亡き妻でコメディアン、ラドナーの息の合ったカップルで、
助演には『ヒル・ストリート・ブルース』の主任の男優やら名優ぞろい。
町に、空に、西部の荒地、グランド・キャニオンって、舞台も次々広がって、
軍、政府の国家秘密と絡んでゆくなかなかスケールの大きい作品。

のんびり平凡な男の巻き込まれ型の災難話。
ワイルダーのキレちゃってるギャグは少ないもののサスペンスコメディもgood。
ただワイルダーもラドナーも服のセンスはないみたい '80代前半だからねってこともあるけど。
まさにこれこそ“TRUST NO ONE”って感じ。
スパイごっこをするなら常に尾けられ、情報が漏れてるって用心してないといけないんだね。

(ラドナーのSNLでのギャグ大好きだったなあ


チャップリン作品集Vol.7『独裁者』(1940)
監督・脚本・出演:チャールズ・チャップリン 出演:ジャック・オーキー ほか 解説:淀川長治
今作でやっとチャップリンがキートンら名コメディアンらと一段違って扱われ、
単なるコメディアン以上の偉人として世界に知られ、現代になってもビデオや伝記等が発売され
長く人々に愛されている理由が分かった。

バーレスク+トーク+ドラマ、彼の全力を注いだ125分もの長編。しかもヒットラー統制の世界大戦に合わせて、
これほどストレートに独裁政治をあざけり、平和の大切さを訴えたことに感服。
神は一方に極悪、他方に善を同時に造り出した。この偶然のフシギさ。詳しい解説は淀川さんに任せて。

有名な演説のシーンがあって、これだけ立派にセリフ回しが出来るならトーキーへの心配など皆無だったのに。
他にもハンガリー舞踏曲に合わせて勢いよくヒゲを剃るシーンや、地球儀とのバレイ、
カーテンを魔法のようにスルスルと登ったり、とギャグも多い。
ポーレットが美しく勇敢で平和を愛するという申し分ないヒロインを熱演。
シュルツ役のレジナルド・ガーディナーも個人的にこのG.チャップマン風喋りが気に入ったv
問題の第二次大戦の嵐は過ぎ、国々のバランスは微妙なところで奇跡的にとれているけれど、
1人1人の心の中にチャーリーの言葉が染み渡るのはいつのことだろうか。


BBC製作ドラマ『聖地ノックへの旅』(1991)
出演:ジョン・ハート、デヴィッド・シューリス、マル・ホワイト ほか

「信仰は支えにはなるが万能じゃない」「笑いまで失ったらおしまいだ」
「こんな体になったのは、神のせいでも誰のせいでもない。運が悪かった、それだけだ。生きることを楽しまずにどうする」

現代医学は障害になる子どもを生む前から識別できるまでになり、母親らが生む選択が出来るようになり、
身障者団体から「身障者にも生を得る権利がある」と訴えられているというニュースが頭に浮かんだ。
苦労すると分かっていながら生む、どちらを選んでも苦しい選択には変わりない。
しかし五体満足のほうが身障者より幸せかということは必ずしも分からない。
テリーの皮肉に満ちたユーモアは、不安や恐怖と表裏一体、それでもどこかで折り合いをつけて、
毎日の中に幸せと満足感を得ようとし、他人を助けようとする彼の一言一句が重く感じられる。
J.ハートの久々元気な姿を見れて嬉しい。最近は地元のテレビ出演のほうに忙しいのかな?
人と宗教という微妙な問題についても今作品の重要なテーマとなっている。


『ロビン・フッド 伝説のタイツ男』(1993)

製作・監督:メル・ブルックス 出演:ケリー・エルウェス、リチャード・ルイス ほか
おお、主人公の2人からずーーーっとカメラを引いて気象衛星から見たイングランドみたいなカットの美しいこと
'90を象徴する軽快なラップでの始まりと終わりからギャグのオンパレード。
このMP的荒唐無稽ナンセンスコメディ映画を継承していけるのは、
もはやベテラン、メル・ブルックス唯一人になってしまったのだろうか

細かい芸が無数にある。ブルックスももちろん顔を出している。
情報伝達にはFAXならぬFOX、これが超速いっ!!!
魔法使いが焼いた特製ゲテモノ焼きもスゴイ。全て中世モダン劇とも言えるセットは
リモコンや音センサーに反応するし、『ゴッド・ファーザー』もどきのイタリアンギャングも笑える。
決闘中影絵になるとすかさず手でつくった犬の争いになったり、一瞬たりとも気が抜けないのがブルックスコメディ。


『幸せはパリで』(1969)
監督:スチュワート・ローゼンバーグ 出演:ジャック・レモン、カトリーヌ・ドヌーヴ ほか
レンタル屋で粘って漁った結果見つけたレモン作品。ドヌーヴとの共演なんて
ストーリーは甘ったるい小品だけど、この異色で豪華な顔合わせでラストまで引っ張ってる。
'70代を予感させる妙にサイケデリックなシーンが多いのも特色。
緑と白の水玉模様のカエルのぬいぐるみのプレゼントも可愛い。
当時レモンは44歳、ドヌーヴは27歳かな。若い! でも彼女は40過ぎた今も全然変わってない。
彼女こそ神の創った美しさ。永遠なんだね。黒のミニドレスがバッチリ。
キスシーンはレモンがなんだか緊張気味に見えるのはマジかも? 長いこと俳優業をしているといろんな事があるねぇ。
フシギでサイケでロマンティック、なんともいえない魅力のある作品。
Say a little pray fo you の詩も雰囲気出てる。


『アラスカ珍道中』(1946)
 
監督:ハル・ウォーカー 出演:ビング・クロスビー、ボブ・ホープ、ドロシー・ラムーア ほか
これが噂の「珍道中シリーズ」。7作つくられたうちの今作は最高傑作と言われている4作目。
『笑う映画』、その他でも今作の楽屋落ちギャグの楽しさを取り上げて、
ファンも多く、期待してたけど、それ以上の面白さ!
波に乗ってるユニヴァーサル映画が息の合ったスタートリオを生み出し、ロマンティックな歌、
豊富なギャグ(モノクロなのが惜しい)、特に今シリーズでコメディ演技も花開いたクロスビーは、
R.ミッチェム風に眠たげで、時にすっとぼけ、時に色っぽい瞳で甘い歌声に思わずウットリするのも納得。

最初、解説者が「僕の名はR.ベンチリーだ。誰も気にしないだろうけど・・・」とか、
「今のがフラッシュバックです」とかいちいち上の隅にお邪魔したり、
そうそう、猿の後ろ姿! 何度も振り向いて「ついてくるな、頼むよ」とか、
悪態の音声が消えて「子どもだって観てるんだぞ」とか、船上での素人芸大会では猿の次に
どんな金持ちでも春は皆のもの とクロスビーが歌って賞金は猿に。「次はシナトラを呼んでこよう」!
でもさすがの彼らも突然降ったようにどこからともなく流れる伴奏のことは口にしなかったなw

サンタクロースが「何が欲しい?」「どうせ子どもだましだろう」行ってしまうソリには美女2人。
2人はガラガラ持ってアブアブ。
遠くの雪山を見て「パンだ」「ありゃ山だろ」
周りに星がついてパラマウントのマークになって、「いや、あれが俺にとっちゃ飯の糧さ」
ほとんどポイントは『笑う映画』の中におさめされている。他6作を観る日が楽しみ。
キスシーンで「ここで映画が終わりならいいのにね」なんて観客に話しかけるなんてあまりないもんねw


『私の彼は問題児』(1991)

監督:アート・デ・ジョン 出演:フィービー・ケイツ、キャリー・フィッシャー ほか
離婚した両親、仲が悪いのは娘のせいと思っている母、それを感じて愛されていない淋しさと不満は
架空のイタズラ小僧に投影され悪さを働く、楽しいコメディの裏にはフロイト的心理学が流れている。
深層心理に潜って、父のように甘え、頼りきってた浮気者でどーしよーもない夫と、
命令的な母を直視し、幼い自分と対面して、解放と自我を取り戻すというラストはまさに
誰かの心理療法の体験談の典型。女ってつくづくやっかいだなって思っちゃった。
人生80年、90年時代。その人の基本的性格しいては人生を決めるのは「3歳までの育て方による」という。
考えれば空恐ろしい。後々、彼女みたく感動的に軌道修正ができればいいんだけど、
「自信を持って、自分を信じること」でも、みんな実は寂しい生き物なんだ、人間て。

子どもは、大人が忘れた“想像する力”を持っている。それを信じてあげて、愛で包んであげるのが一番みたい。
イギリス訛りで、緑の服に黄色い髪のフレッドのキレようは、今大人気のJ.キャリーに通じるものがある。
泥パイや泥棒ごっこ「忘れ物だよ」といって鼻くそをつけたり、海賊ごっこで船を沈めたり、
大人にはキツイ冗談でも、際限ない子どものイタズラには胸がすく思い!


『恋人よ帰れ!わが胸に』(1966)

製作・監督・脚本:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモン、ウォルター・マッソー ほか
B.ワイルダー+J.レモンコンビ第3弾目。解説通りワイルダーは「映画を面白くするコツを知り抜いた職人監督」。
数々の監督賞等をとり、今も人々に愛されている理由がよく分かる。
予期せぬハプニングにいやおうなしひきずられる小市民がレモンの得意技とすれば、
共演のマッソーは確信犯的ズル賢さが特徴。この2人、後々も縁深いワケだけど、まさに名コンビ。
マッソーは今作で助演オスカーを獲得。フットボール選手のR.リッチもいい味出してる。
細かいセクションに分けて、どんどん話に引き込んでいく面白さはさすが。
マッソーの悪い天才ぷりと渋いアップが印象的。テクニカラーじゃないのが残念。
邦題は妻が帰ってくるところからとっててロマンスを感じさせるけど、原題は中国のおみくじクッキー。
「一部の人を一時騙せても、大勢をずっと騙すことは出来ない」(リンカーン


『晩秋』(1989)

製作:S.スピルバーグ ほか 製作・監督・脚本:ゲイリー・デビッド・ゴールドバーグ
出演:ジャック・レモン、テッド・ダンソン、オリンピア・デュカキス ほか
久々泣けた感動作。スピルバーグ作品には、必ず笑いと涙、家族の温かさが感じられる。
高齢化社会問題を数々とり上げ、がん、介護、認知症、死を見つめなおし、精一杯生きることを学ぶ。
どこかに起きている、言ってみれば自分と家族にも似た、またそれぞれのドラマがあるんだと気づかされる。

父の空想の農場から物語りが始まる。古きよきアメリカを象徴する、のどかで温かいこれらのシーンがなんとも幻想的で美しい。
レモンの78歳演技も見事。特殊メイクと知らなければ信じてしまうところ。
奥深く重みのあるセリフ、エピソードがたっぷり。

「家族じゃないか、忘れて、愛し合おう」温室で和解する母と父のダンスシーンはキレイ。
「ずっと間違ってたの?」「途中でスレ違っただけだよ」
「'47、ジョー・ディマジオがホームランをとられて土を蹴った。彼も人間なんだ。アメリカならやろうと思えば何でもできる」

世の中は急速に変わり、親と子にはいつも価値観の違いがあるけど、心底はいつも抱き合える愛情が流れている。
「お前を子どもの頃、もっと抱いて、キスしてあげればよかったよ」
野球をずっと嫌っていたけど、テレビの話にキャッチボールって、とっても大切な父と息子のコミュニケーション手段なんだな。
「子どものしつけは間違ってなかったようだ」

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notes and movies(1995.9~ part6)

2013-05-26 14:06:24 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part5からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ちょっとご主人貸して』(1964)

製作・監督:デビッド・スイフト 出演:ジャック・レモンロミー・シュナイダー ほか
図書館やビデオ屋に行くたびレモン作品に出逢えるなんて、わたしはすごい果報者v
それにしても主演作がこんなにたくさん、それもハイペースであるなんて、偉大な俳優なんだな。全リストが必須!
なんだか変な夫婦。サムの造ったヘンテコな芸術作品はジャック・タチの世界。
敬礼する兵隊にヌッと出てくる手、全部廃品らしいんだけど。
それからレモン独特のチャチャチャシーン。といっても彼のダンスはどれも型なんかない。すっかりイっちゃってるやつなんだけど。
同じコメディでもテクニカラーがいいね、やっぱり。
どこまでも協調して笑ってついてくる上司の集団は気色悪いけど笑えるw
観直して分かった。看板の写真はOKだけど「ベネット夫婦」とは会社側についた嘘だもんね、納得。慌てるわけだ。
S.マクレーンに、C.ドヌーヴ、R.シュナイダーなんて、一流美人女優との次々の共演、レモンも果報者だね


『AVANTI!』(1973)

監督:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモン、ジュリエット・ミルズ ほか
ビリー・ワイルダー×ジャック・レモンコンビで再び組んだ今作はイタリアが舞台。
パスタにワイン、美しい風景に音楽、そして美人とのロマンスを賛美してやまない、
1時~4時までたっぷりのんびり昼食の時間をとって人生楽しまなきゃ損!
そんなゆったりリッチな気分にさせてくれる。
もっとも、ウェンデル家のように際限ない資金がバックにあればこそ、
一流ホテルで支配人の親切なケアとサービスが受けられるワケだけど。

「イタリアは感動の国」マフィアその他の問題はあれど、その国それぞれに美しい面と汚い面があるってことだね。
普段は地に足つけて一生懸命働いて、1~2週間、異国ですべて忘れて楽しむ旅、休暇っていいものだなあ!
ウェンデル家を2代に渡って細かく面倒をみてくれる支配人は、大変だけどイイ人。
「冬になったら休みます」ってセリフがイイ。
レモンのオールヌード(黒い靴下は履いてるけど)にはビックリ
タイトルの“アヴァンティ”は、ボーイなどがノックした時に「どうぞ入って」という意味。
歌のようなイタリア語とエネルギーに満ちたイタリア人の生活を満喫できる1本。


『おかしな二人』(1965)

原作・脚本:ニール・サイモン 監督:ジーン・サックス
出演:ジャック・レモン、ウォルター・マッソー ほか
新しいレンタル屋の豊富な品揃えの中からジャック・レモンシリーズもたくさん見つけたv
第1弾は、ニール・サイモン、ウォルター・マッソーと組んだ今作。
世間のアカにたっぷり染まった様なマッソーと、生真面目な平均(たいらひとし)風レモンのキャラが十二分に発揮されて、
息はピッタシ(実際はどーなんだろ?w)、ありそーなお茶の間コメディがお得意のサイモンストーリーは、
おかしなコンビながら男の友情も悪くない。

よくもまあ、こんなくたびれたサラリーマン風の俳優ばっかり集めたもんだなってゆうポーカー仲間は、
日本でゆったら、煙もうもう、ビールにおつまみ、徹夜の雀荘みたいなもんなんだね。
何事もやり過ぎるのは自分にも周りにも良くないことだけど、
こうゆう一人不幸人間フィルの気持ちも分からんでもないところがある。
オスカーもなかなか友人思いの話の分かるイイ奴で、なんとか友の自己嫌悪グセを直そうとしているのがイイ。
怒りを心底にためたり、むやみにコントロールしようと思わないで、自然に任せてはけ口を見つけるのも大事よね。
ま、自然に任せすぎグリーン・サンドや壁にねっとりソースはいただけないけど


『新・おかしな二人』(1981)

監督:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモン、ウォルター・マッソー、クラウス・キンスキー ほか
すっかり見慣れたこのコンビ。役所としては『恋人よ帰れ!わが胸に』に似てる。
'80代ながら'70の空気が時々流れているのが面白い。
妊婦の旦那の“cool”“heavy”“grass”なんていう喋り方や、
セクシャルクリニックにインド系の音楽、精神力を高める怪しい病院と、それ以上に怪しい院長のC.キンスキー
レモンの胃痛持ちで吐いたり、いかにも痛々しさが伝わりすぎて痛ましい
ドスの効いた棒読みとも言えなくもない台詞回し、意外に大柄なのに脚はルパンみたいに細い、
トレードマークのブルドーザーみたいな顔にも慣れたマッソーの味わい方も少し分かってきた感じw


『チャイナ・シンドローム』(1978)

製作・出演:マイケル・ダグラス 出演:ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン ほか
二世俳優M.ダグラスを筆頭に、J.フォンダ、J.レモンというビッグスターが組んで放ったハードな社会派ドラマ。
F.ダナウェイ主演の『ネットワーク』では、ふくれあがったテレビ、マスコミ、プレス産業を皮肉っていたけど、
今作ではプレスが本来の使命を果して更に重大な核、原子力、放射能漏れの危機を追う、
迫力とスピード、サスペンス、アクションに満ちた力作。
タイトルは、水圧の異常で爆発が起これば裏側の中国にまで被害が出て、
州ひとつ吹き飛ぶばかりか、汚染による死傷者が大勢出るという怖い現象のこと。

「大衆はいつでもどこでも殺されかねないということ?」
「原子力の装置は部品1つ1つが何度もテストされ、あらゆる事故を想定し、すべてシステムで防衛されるようになっている」

電気がなければ生活できないほど私たちは電力に頼っている反面、
日々、放射能汚染の危険や不安も抱えている。
この微妙な問題は万全な安全対策技術の向上と、一人一人のモラルにかかっているとも言える。


『JM』(1995)(劇場にて
監督:ロバート・ロンゴ 出演:キアヌ・リーブス、ビートたけし ほか
観た後は頭が機械みたく固まっちゃいそうなくらいCGを多用した近未来映画。
とっても退廃的だけど、今のところ最も現実化しそうなイメージに思える。
やっぱり大画面で観ると迫力が違うね!

機械文明の電波によって引き起こされる絶望的な神経障害の治療法情報を巡っての争いが描かれるが、
SF作家の飛びぬけた千里眼的発想に驚くとともに、エイズやがんが解明されようと、
常にそれを越える予想もつかない新しい現代病が現れる恐怖を感じる。
結局、神が創った奇跡、自然の脳細胞を越える頭脳はないって結論。
イルカが出てきたのにはビックリだが納得してしまう。ヤク漬けなのが不気味

一人娘を現代病によって亡くしたという、冷酷さの裏に情が流れるたけしの役柄はイイ。
CDにインターネット、TV電話に仮想現実、CG、目の回るような美しい映像は金かかってそう!
メタル、レーザーの光の後は、野原や青い空が見たくなってくる。


『ぼくの伯父さんの休暇』(1952)

監督・出演:ジャック・タチ ほか
大好きだなあ、このユロ叔父さんのキャラクターと、J.タチのほのぼのスケッチ風なコメディの世界
フランスの日常生活から生まれる自然な可笑しさがいっぱい!
今作は、夏休みのヴァカンスを海辺で過ごす人々の話
鉄琴のやわらかな響き、軽快なジャズが対照的にうまく使われている
こんな休暇を過ごせるユロ氏の職業、身分が気になるけど、そんなことは関係なし。

なんだかんだ迷惑なユロ氏に皆冷たいけど、挨拶してくれる老夫婦もいて、
ユロ氏も最後に海岸をあとにする、なんだか寂しいラスト。
あのグルーチョにも負けない斜め歩きや、礼儀正しさ(礼のしすぎ)が特徴。
こんな人がいたら楽しいよなあ。この叔父さんシリーズは2作だけか。もっと他の作品も観たい!

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notes and movies(1995.9~ part7)

2013-05-26 14:06:23 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part6からのつづきで、ピンク色のノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『マスク』(1994)
監督:チャールズ・ラッセル 出演:ジム・キャリー、キャメロン・ディアス ほか
向かうところ怖いものなしの人気スター、J.キャリーの主演による待ってましたのメガヒット作。
彼のキャラがこれほど活きる映画はないだろう。
平凡なダメ男が、あるキッカケでなんでもありのヒーローに変身して悪を倒し、正義を守り、ブロンド美人をゲット。
数々のハリウッドスーパーヒーローの面々に決して引けをとらないのがこのマスク!
古代、悪事をしたヒトが仮面に封じ込められて、それをつけると、心の奥に潜む願望がもろにパワーアップして出てしまうという。
マスク自体に意思が働いて、巡り巡って海の底からやってきたのはスタンリーのもと。

マイロが愛らしい第2のヒーロー。短いシッポをプリプリ振って、フリスビーキャッチの名犬、
飼い主の言うことを100%理解し、必要な時は助っ人に駆けつける。こんな犬が私も欲しい
それからやっぱり迫力なのは合成技術効果がとにかく楽しい。ポケットからハーポみたくいろんな物、
バズーカ砲まで出てきたり・・・それを超えるJ.キャリーのオーヴァーアクション
飛んでくる弾をよけながらエルビスの真似、サンバを踊ったり、めまぐるしく変身したりと独壇場。
誰か止めて!ってゆっても誰も止められない波に乗っちゃってるコメディアン。
新作も次から次へと目白押し。いつのまにやら出現したこのスーパースターのぶっ飛びワールドに注目。


『サブウェイ』(1984)

監督:リュック・ベッソン 音楽:エリック・セラ(good!
出演:クリストファー・ランバート、イザベル・アジャーニ、ジャン・ユーグ・アングラード ほか

To be is to do(ソクラテス)、To do is to be(サルトル)、Do be do be do(シナトラ)

これが噂のベッソンの幻の名作。SFコーナーにあったから気づかなかった。
非現実的な遊離感はあるけど、別に近未来ものという設定はない。
でも、この錚々たるメンツは凄い。タイトル通り、舞台は地下鉄。
昼間の顔しか知らない一般乗客にとっては思いも寄らない世界。
ここでこんなに立派に?!刺激的に暮らせるのかって魔法の住処。
警察やらの追っ手を交わすチンピラたちの素早さと、すっかり知り尽くしても、まだ秘密を隠す余裕がある地下鉄という空間。
鉄道員さえも知らない、そんな意外な魅力を観て得した気分。

それにしてもジャン・レノがあんなにヘヴィなドラマー役とは! さては彼とベッソンにはロックのビートが流れているのかも。
“6歳の時の交通事故で6時間の手術、6ヶ月の入院、6年間は喋れなかった。6という数字が鍵なんだ”という
変わった経歴で実体不明なフレッド役に、金髪のボサボサスタイルにタキシードで決めて飄々としたキャラのランバートはピッタリ。
ストリートキッズそのもののローラーのアングラードは若くて、繊細さはそのまま。
「昨晩はずっと花火を見てたわ。ステキだった」若くてハッとする美しさのアジャーニとのダンスシーンはどこか荘厳でイイ。
テレビは退屈 若者の精気を吸い取っちまう と歌われるテーマソングはとてもgood


『ハイ・ストラング』(1991)
監督:ロジャー・ニガード 出演:ジム・キャリー ほか
不満たれてばっかりで何も行動を起こさない男が“死んだほうがマシだ”って口ぐせで
1万8000回言ったばかりに死神がリムジンで迎えに来る。
J.キャリーがこんなに突然トップスターにならなければ間違いなくお蔵入りしていたと思われる低予算作品。
それもCGのビックリもないから死神役のジムの恐がらせる顔がデフォルメされて飛び出す仕掛けもなく、
ただ耳が額にはりつくって芸だけなのが寂しい。
あとは延々と続く胃が痛くなるような平凡な児童書作家の不平不満だけ。
それがいちいいち的を得た現実でよくあるストレスだからなお身に詰まされる


『MAX HEADROOM』

原作:ジョージ・ストーン、リッキー・モートン、A.ジャンクル
製作:ピーター・ワッジ 監督:リッキー・モートン、アナベル・ジャンクル
突然SFに目覚めて掘り出してきた今作。どうやらこのストーリーは人気シリーズ化して、これはそのPIROT版らしい。
それもそのはず、この近未来ストーリーは面白い。シリーズがレンタルショップにないのが残念。
続きが見たいいいところで終わっちゃうんだもの。

人や物をスキャンして、テレビ画面や空間に立体再生して、それを動かすこともできる。
SF的だけど、これはもう現実の話。でもそれが独自の頭脳とウィットを持っていて、勝手に喋り、
日々成長していくってところが近未来の話。
サブリミナルや人体自然発火等の『Xファイル』ファンには美味しい題材が満載。

アイデアもスゴイし、話の展開もリアルでスピーディ。引きこまれてしまう面白さ。
コンピュータと電気装置、防犯カメラが全部アクセスできて、それらを駆使した追跡シーンもドキドキハラハラものだし、
大企業と取引して自分で殺し屋まで雇っちゃう10代のコンピュータオタクってのも絶対いそう!
「人間の脳だって電極のオフとオンで作動してるコンピュータと同じなんだ」って言い切っちゃうのもすごい。
まさに電気回線で全世界が結ばれて制御されてるインターネット時代の先取り
でもそこでもハイクラスとロウクラスの差があって、廃墟にホームレスがいる光景があるのが心配。
互いの需要と供給のバランスがとれているにせよ、“ナイチンゲール死体銀行”におさめられているパーツは一体何に使うのかしら???


『VIVA LA VIE(命、万歳!)』(1984)
 
監督:クロード・ルルーシュ 出演:シャーロット・ランプリング、ミシェル・ピコリ ほか
さすがルルーシュ監督。アブダクトもののSFでもフランス監督の手にかかればこの通り。
群像劇が得意と見えて、様々な登場人物と関係が複雑な上、ストーリー構成に二重、三重があって、
油断してると、まさにトワイライトゾーンにはまってしまいそうな高密度な作品。

「他に話さないで下さい。未来の観客に先入観を持って欲しくない」ってインタビューから始まる。

そこかしこに重要なメッセージが隠されている。
宇宙人を利用して、全世界を嘘で操る国家政府、プールをシェルターに改造するという核戦争への不安と恐怖、
それでも生命万歳と歌われるテーマソングの母音のハーモニーは耳に残る美しいメロディ
俳優がいかに見事に嘘をつくかという演技力もかなり実証されたし、
コーヒーショップで教え子に「結婚してください」と言われ、シャンペンを頼む演技講師、
乗馬をさせてくれといって出会う2人といった出会いも新鮮に美しく描かれる。


『インナー・スペース』(1987)

提供:スティーブン・スピルバーグ 監督:ジョー・ダンテ
出演:デニス・クウェイド、メグ・ライアン、マーティン・ショート ほか
サム・クックのキューピッド や、Twistin' the night away に乗せて、
ホットなスター3人の息がピッタリで『ミクロの決死圏』のポップヴァージョン!
楽しく体内の不思議が学べるオマケ付き。

ラストに歌うのはR.スチュアート。彼もD.クエイドもロック野郎なんだね。
M.ショートファンとしては彼のキレ演技が充分発揮された今作は嬉しい限り
1人でアレに話しかけたり「悪霊がとりついた!」ってのも笑える
視神経や耳と接続して本人と話せるってアイデアがポイント。
手が銃やらいろいろに接続して使える殺し屋ほか、脇役もクセのある役者ばかりでギャグ満載。
で、なぜか翻訳の戸田奈っちゃん+アドバイザーとしてたけしさんと高田文夫さんが協力って、
一体どこに協力したのか???w


『ホーンテッド・ハウス』(1991)

監督:ロバート・マンデル 出演:サリー・カークランド ほか
このノートを締めくくるのは、久々背筋の寒くなる実話に基づいたサイコホラー。
同タイトルのベストセラーと取材記者らのインタビューに基づいて作られた信じ難いけどまったく『エクソシスト』の世界。
私が思うに悪さをする霊にも信仰があるわけで、悪魔や神を信じているからこそ悪魔祓いの儀式や祈りが効くんじゃない?
それか善の心のエネルギーなのか?これも電磁波と関係あるかも。
それにしてもこの家の霊になった人ってよっぽど悪い奴だったか、酷い死に方をして、
誰でも生贄にしようとまで呪っちゃってるかだね
ここまで酷い人になりきれるものかなあ、人間って。
死んだ人も、生きた人を脅かし得るなら、落ち着いていられない。
生きている人間だけでもトラブルが絶えないってのに!こんなの観たら夜が怖い。



【読書感想メモ】
「THE X FILES WHIRLWIND~旋風(つむじかぜ)」Charles Grant
「HAPWORTH 16,1924」Jerome D. Salinger


【歌詞をメモした曲】
♪Passion Play/Janis Ian

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