2012年初版 谷口由美子/訳
※
「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
『シラカバ屋敷の少女』を読んで、続編があると知って
ぜひ読まなきゃと思って借りたv
ひさびさ感動で泣いて声が出た
だから私は物語の詰まった本が大好きだ
先に読んだのがジュヴェナイルで
もしかしたら原文を意訳している箇所も多いかもしれないな
角川文庫で本書と一緒に出しているのは『銀の森のパット』
モンゴメリーは、徹底してプリンス・エドワード島の美しい自然と
そこで暮らす人々の暮らしを隅々まで描いている
本書を読みながら、パットが魂の底から愛する銀の森屋敷って
一体どんな家なんだろう?とずっと想像していた
人から“古めかしい”と言われているけれども
時代によって古めかしさも違うだろうし・・・
読後に調べたら、今は
「グリーンゲイブルズ博物館」となっているそうで
想像よりはるかにこじんまりとして、シンプルな家
内装も明るくて現代風だと感じた
訳者あとがきを読んで、モンゴメリといえば、
村岡花子さん!
朝ドラ『花子とアン』を夢中で観てた!ことを思い出した/驚
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「花子とアン」&「軍師官兵衛」特別展@NHKスタジオパーク
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SONGS 美輪明宏 ~美輪明宏が歌う「花子とアン」の世界~
ほか
仲間由紀恵さんが演じた
葉山蓮子もとても魅力的だったなあ!
ウィキで見たら、波乱万丈!→
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表紙のイラストの2人はパットとヒラリーなのか?
パットとデイヴィッド? いや、カドルズなのか?
と何度も見返しながら読み進めた
【内容抜粋メモ】
登場人物
<銀の森屋敷 ガードナー家>
アレック 父 あしながアレック
メアリ 母 体が弱くて、いつも寝ている
ジョー 長男 船乗り
ウィニー 長女 夫フランクとともにベイ・ショアに住む
シド 次男 父の農場を手伝う
パトリシア パット 20歳から本書の物語は始まる
レイチェル レイ、カドルズ 13歳~
ジュディ・プラム アイルランド生まれ もとマクダーモット城で勤めていた
トム紳士 ジュディの黒猫
ジョサイア・ティリタック
マギンティ ヒラリーの犬
<ツバメヶ原屋敷>
トム叔父
イディス叔母
バーバラ叔母
エリザベス・ウィルコックス ベッツ パットの亡き親友
ヒラリー・ゴードン ジングル 建築家になるためトロントの大学に通う
レスター・コンウェイ パットのBFの1人
<長い家>
デイヴィッド・カーク 妻を亡くした
スザンヌ・カーク 妹
<ビニー家>
メイ・ビニー シドが好き
●過去のささやき
古いラブレターを見ていたパットは、突然、言いようのない寂しさに襲われた
銀の森屋敷にいるのに、ホームシックのような気持ちだった
●最初の1年
銀の森屋敷の壁には笑いがたっぷりしみ込んでいる
パットは20歳になっても、まだ独身でいる
ベッツの死はまだぽっかり穴が開いたようだが
どんな小さなことにも幸せを感じられる才能があることに感謝する
カドルズは13歳になり“かわい子ちゃん”ではなくレイと呼んでくれと頼む
子どもたちはもうジュディの妖精の話を信じていないが
今でも台所で話されるたくさんの物語を楽しんでいる
パットが大好きだった霞ヶ丘の3本のポプラの真ん中が
雷に打たれて折れたため、伐り倒されたのが耐えられない
ジョーはクリスマスに船長になる ホラス叔父より早いと褒めるジュディ
60歳近いトム叔父が女性に手紙を何度も出しているのが気になるパット
「誰でも心にカルカソンヌ(フランスの遺跡 憧れる故郷の意)を持っているものだ」
父は旧アダムズ農場を買い、家畜を育てるため
誰かを雇い、穀物倉に住まわせる予定
母は心臓の手術以来、体調がすぐれない
「ティリタック」
予定より早く、雇い人ジョサイア・ティリタックが来てビックリする
大きな剥製の白い北極フクロウ、たまに発作を起こす“ただ犬”も一緒
最初からこの屋敷にいたように馴染み、猫たちとも仲良くなる
「タイタニックから逃れたことがある」とか
ジュディの話の腰を折るほどの物語の名人のライバルとなるw
妻も子どももいないが、時々ジュディにちょっかいを出すようなことを言い
ジュディは気にしてないフリをして、まんざらでもない様子
銀の森屋敷で起きる出来事を毎回事細かく手紙に書いてヒラリーに送っているパット
ヒラリーが建築の勉強のためにトロントへ旅だってから2年経つ
叔父が亡くなり、叔母は町に越したため、帰る家がなく
クリスマスも安い下宿にいる
シドはベッツが亡くなってから、いろんなGFと遊び歩いているが
本気になったことはない
パットはまた2人が素晴らしい相棒に戻れたのを喜ぶ
パットと犬猿の仲のメイ・ビニーがシドを狙っているという噂
ティリタックが母メアリに
エルサレム・チェリーをプレゼントしたため
不幸が訪れると真っ青になるジュディ
カンペキにパーティーの準備して、お客が揃い、楽しい食事の時間に
トムおじの犬がぶつかってパットが転び、スープは台無しになる
ウィニーは急に産気づいて2階で可愛い女の子を産む!
そして、みんなが待ち焦がれていたジョーが帰省する
ジュディ:
お金がなくても、豊かな気持ちでいるほうが
お金があって、気持ちが貧しいよりよっぽどいいよ
ベッツが亡くなり、ウィルコックス家が出て行った後に
長い家に住んだ家族もまた引っ越して、再び明かりが消えた
ジュディはガードナー家に勤めて40年になる
レイは
「一度、アイルランドに帰ってみたら?」と提案して
ジュディもその気になる
パット:私はどんなものにも美を感じることができるのが嬉しいの
「メドチェスター伯爵夫人」
紋章つきの手紙が届き、いとこに会いたいから今度の土曜日に来ると書いてある
火曜日に読み、総動員で掃除して、料理のレシピを考える
木曜日、パットとレイはウィニーの家に手伝いに行って帰ると
早めに着いた伯爵夫人がジュディと台所で笑って話しているのに驚く
とても気さくで、ジュディの料理を褒め、イギリスに来る時は寄ってと誘って去る
伯爵夫人:なんて静かな美しい所でしょう 生きている実感のわく所だわ
伯爵夫人が訪れたことは、その後記事に載った
●2年目
「トムおじの恋」
トムおじが結婚したら、バーバラとイディスは追い出されるだろうと不安になる
昔、
マール・ヘンダーソンと一緒になりたいと言った時に反対したことを後悔する
パットはトムおじから相談される
相手はなんと、そのマールだった!
カリフォルニアで結婚したが、夫を亡くして暮らしに困っている
一度会おうと約束して、銀の森屋敷に泊めてくれないかと頼まれる
トムおじが馬車で連れてきたのは
ものすごい巨体、お喋り大好き、愛想のいい女性だった
トムおじ:
人があれほど変わるとは・・・
会わなければよかった あんなに歳をとった彼女に
マール:
私は美にとても敏感なの
トムはすっかり歳とって変わってしまった
と言って去り、トムおじのうたかたの恋は終わった
「シドの婚約」
シドがドロシー・ミルトンと婚約
パットにも何人も恋人候補が訪ねてくるが、友だち以上にはなれない
昔の恋人レスター・コンウェイが結婚した噂も全然気にならない
当時はまだ珍しいクルマの運転を始める
レイもどんどん美しく成長し、若者たちの憧れの的となる
レイ:
私、お金と結婚することにしたわ
銀の森屋敷でお金が余っていたことなんてなかったもの
「カーク兄妹」
長い家にまた誰か住むという話を聞いて、その前にもう一度見に行くと
デイヴィッド・カークと妹スザンヌが焚火をしていた
犬のイカボッド、猫のアルフォンソもいっしょ
長い家を見て一目惚れした2人
デイヴィッドは20歳でフランスに兵隊に行って神経をやられ
妻も亡くして、編集者の仕事を辞めてしまった
3人はすっかり仲良くなるが、シドがスザンヌは銀の森屋敷を
「古ぼけた家」と言ったと聞いて、大嫌いになり
翌日から2人に急に冷たくする
ジュディ:
女房を亡くした男はなかなか悪賢いもんちゃ
「ホィーラー師」
自由参加型の信仰復興集会を仕切る若い伝道者が女性に大人気となる
レイは毎晩、集会へ出かけ、パットも付き合う
しばらくしてホィーラー師は新天地に行ってしまう
レイはホィーラー師のことでからかわれると顔を真っ赤にした
「ネズミ」
町でスザンヌに会い、クルマに乗せて帰る途中、嵐に遭う
クルマがスリップして溝にはまり、そこに置いたまま古ぼけた家まで歩く
誰もいないようなのでひと晩泊まるが、ネズミがニガテなスザンヌは眠れない
パットに自分はシドに「古風な」と褒めたのだと誤解を解く
翌朝、家の主ナサニエルが来てビックリ!
酔っぱらって寝ていたという
ナサニエル:結婚しなかったのは間違いだったかもしれないな
クルマを溝から出してくれて、パットとスザンヌは大笑いし、心からの親友となった
「ホラス叔父」
レイはクィーン学院の試験に受かるが、学費をトムおじから借りるのは父が反対する
合格パーティは成功 パットはサミュエルからプロポーズされるが断わってしまう
自分が銀の森屋敷から出るなんてことは考えられない!
パーティの片づけが終わった午前4時にホラス叔父が現れる
彼もまた物語が上手く、ボンベイで船員の反乱がおきた話や
船に乗せた猫が途中で消えて、半年後、ボロボロになって帰ってきた話などを聞かせる
ホラス叔父は帰る際、レイの学費を出してやると言った
レイはクィーン学院に通うため、シャーロットタウンに越した
●3年目
「ジュディの里帰り」
ジュディの代わりにはボブ・ロビンソン夫人が来ることになった
ティリタックは“よたよたアヒル夫人”とあだ名をつけた
誰もジュディのような素晴らしい料理は作れないことにガッカリする
ジュディはみんなからスーツケースやオシャレな衣類をもらって感激する
もし万一のことがあったら、青い収納箱の中に遺書があると言って
パットにカギを渡すジュディ
「マギンティの死」
パット:
ああ、人生って変化の連続なのね
変わらないのは銀の森屋敷だけ
レイはヒラリーにパットがデイヴィッドと結婚するかもしれないと手紙を書くが
母の援助を断り、働きながら大学に通うため、帰省の費用の捻出するのはムリだった
だが、ジュディはひと晩で銀の森屋敷に戻ってくる!
ジュディ:
家を出た時から分かってた
骨の髄まで私はここの人間だ
ティリタック:
“海は偉大だが、陸地で暮らせ”
レイは教員免許状を手に入れ、地元の学校で教えることになった
シドと2年間婚約していたドロシーが
遊び人のイケメンいとこと駆け落ちしてしまった
シドはショックでパットと話さなくなり
またたくさんの女の子と遊び回るようになる
ウィニーは双子を産んだので、小さなメアリはパットおばちゃんに預けられた
こんなカワイイ子どもを持てるなら、銀の森屋敷を離れる価値はあるかもしれないとふと思う
「旅回りの宣教師」
神聖キリスト教徒と呼ばれてホィーラー師がまた戻ってきた
何度も銀の森屋敷を訪れるため、パットはレイを守る努力をしていたが
ホィーラー師がくどいたのはパットだと分かるとビックリして断る
ホィーラー師:私に愛想をふりまいて、誘う態度を見せたのは遊びだったのですね
ホィーラー師はまた去っていく
●4年目
レイはパットがホィーラー師を追い払ったと思って、2人は初めて本気で言い争う
レイ:
私は何もできない 感情などない 人間としても認められない
彼は私を愛してくれた あんたはあの人を私から取った
あんたは銀の森屋敷のことしか頭にない
私は決して許さない!
シドはまたメイ・ビニーと付き合い始めたわよ
翌日からレイはまた明るく戻ったが、パットに対しては距離を置く
ジュディ:
私らが人生でどれだけのものを忘れられるか
それはビックリするほどちゃよ
お互いを大事に思ってる同士は、ケンカの根が深くなるから
なかなか忘れられんかもしれんね
レイは3か月間、ゲルフの農業大学で自然学を学ぶことにする
そこから帰るとすっかり元のレイに戻っていて、2人は心から和解する
レイ:なぜあんなに馬鹿みたいに入れあげてたのか分からない
“目が覚めて 生きていることを知り
空気をおいしいと思い 仲間を愛し
仕事をし、自由な気持ちを味わう
その感動を覚えた者は 永遠に生きられる”
ヒラリーはブリティッシュ・コロンビアで山のホテルを造る大きな仕事を請け負う
パットの所には2人の男がライバル心を燃やして通うが
ダンスに行って、ドナルド・ホームズに会い、胸のときめきを感じる
彼と結婚しよう、と思っていたのに、いざプロポーズされると
本気で愛していないことに気づいて「やっぱりダメでした」と断ってしまう
「トム紳士」
トム紳士は、晩になっても戻らず、永遠に帰らなかった
ジュディ:
徴(しるし)を見たから行くべき所へ行ったんだよ
変化がやって来たのが分かってたのさ
●5年目
レイは2人の恋人を決めかねて、2人と結婚できたらいいのにとため息をつく
だが、その後、ブルック・ハミルトンとダンスパーティーで初めて会って
3日目に婚約し、彼が大学を出たら、一緒に中国に行くと話す
●6年目
春はいつでも巡ってくる それを忘れてはいけない
シドはとうとうメイ・ビニーにつかまり結婚してしまう
パットは逃避者となる
ナーイドゥの詩
“あまりにも長く 奇妙な つらい今日
それもじきに 昨日として 忘れ去られる”
アレックはこの屋敷の抵当の借金を返し終えるまでは一緒に住むが
その後は他に家を建てて移ってもらうと約束をつける
レイ:
勝手に怖れるほど、現実は怖ろしいものじゃないと思うわ
肩の力を浮いて、少し離れて現実を見ましょう
目の前に現実がありすぎて、見晴らしが悪くなってるのよ
(素晴らしい心理学的アドバイス!
ジュディ:
幸せは自分の心の外ではなく、心の内にある
私らは銀の森屋敷をメイから守らにゃならんちゃ
シドは早くもメイの尻に敷かれ、本性に気づいた
●7年目
パット:銀の森屋敷でもめごとは許さない 私はメイとケンカしないわ
人は不幸にも慣れてしまうものだと思うようになる
不幸の合間にも幸せを感じることができると分かった
メイは荒っぽい性格の犬“海賊ローヴァー”も連れてきた
銀の森屋敷はつねにビニー一族で溢れかえる
ビニー家の者は遠慮を知らず、言いたいことを、思いついたらすぐに喋る
そして、台所で“召使い”と一緒に過ごすなんてとんでもないと思っているため
台所だけがパットたちの憩いの場となる
メイが「お父さんが亡くなったら、銀の森屋敷はダーリンのものね」と言うのを聞く
「ジョーの結婚」
ジョーはイーニッド・サットンと結婚
ビニー夫人はすっかりパットを“売れ残り”と言いふらす
メイが銀の森屋敷を欲しがり、電話の盗み聞きをしたり、庭の木を伐ろうとして
パット:これ以上はもうムリ・・・ とこぼす
「イディス叔母の急死」
以前から心臓が弱かった叔母を亡くして、対決していたジュディも落ち込む
メイはヒラリーが婚約して、結婚したら、彼女の父が経営する建築事務所で働くと言う
パットはカークきょうだいと話す時が癒しだったが
スザンヌがケンカしていた恋人と婚約し、彼が大学を出たら結婚する話を聞き
デイヴィッド:君にどうしたらいいか言ってほしいんだ
と言われて困惑する これ以上、友だちを失いたくない
デイヴィッドからプロポーズされて
パットは「できると思います」と言って婚約する
母:愛の意味はひとつしかないわ
パット:私は本当の愛し方が出来ない人だと思う
パットはレイにデイヴィッドは自分を“必要としている”
もしメイがずっと銀の森屋敷に住むなら
長い家から見守ることができると胸の内を明かす
スザンヌは大喜びする
兄は銀の森屋敷とヒラリーがライバルだと言っていた
●8年目
「ジェイン・マリア」
雨の日に物売りの女性が来て、台所で休ませる
夫が昔、家を出た身の上を話しているところに
ティリタックが来て、彼が夫だと言う!
宗教のことで意見が食い違い、自分から出て行ったのだと説明するティリタック
祖父が海賊というのはウソで、ほんとは牧師w
ジェイン:運命予定説を信じなさい そしたらいつでも家に帰ってきていいです
ティリタック:人生にも、いくらか悲劇の色がないと、退屈だよな
その後、ティリタックは、ここに長く居すぎたからと出て行き
サウスショアで友だちとキツネ牧場をやることにしたと告げ
来た時と同じように、フクロウ、ヴァイオリン、ただ犬を連れて去る
代わりに来たのは若いジム・マコーリーで
台所での面白い物語が減って寂しくなる
「ヒラリーの再訪」
1日だけ島に帰るという電報を受けて、パットは初めてゾクゾクした気持ちを味わう
自分が歳をとっていないか、ヒラリーが変わってしまっていないか心配する
そして、デイヴィッドからもらった婚約指輪を外してしまう!
ヒラリーが来て、デイヴィッドの笑いが好きなのは、ヒラリーと似ているからだと気づく
ヒラリー:
欲しいものはほとんどすべて手に入れたと思う 何より大事なもの以外は
ヒラリーと1日中、昔のように散歩する
世界中周ったが、銀の森屋敷ほど完璧な家を見たことがないと褒める
“覚えてる?”という会話が延々と続く2人
ヒラリー:
母は去年亡くなり、遺産を遺した
母のプライドのために受け取り、嫌な思い出なしに思うことにするよ
もはや過去も未来もなく、あるのはただ、たった今の目くるめく現実だけだった
そこにメイが帰ってきて、デイヴィッドとの婚約の話をする
メイが話していたヒラリーの婚約は勘違いで
アンナの兄と友だちで、バンクーバーに帰ったら、彼の会社で働くつもり
アンナには婚約者がいる
ヒラリー:
僕には君しか愛せなくなってしまった
●9年目
ヒラリーの手紙:僕が君を愛していて、君が僕を愛せないからといって申し訳なく思わないでくれ
母は以前よりずっと元気になる
「レイの結婚式」
レイはブルックが急遽、中国に行かねばならず、ついて行くことになったため
慌ててドレスをしたて、家族だけ呼んで式を挙げる
“出かけていく人は 残される人より ずっと幸せ”
レイ:
私たち、本当にいい姉妹よね 姉妹より親友だった
私たちには暗い時にも思い出せるステキな思い出がある
猫のやんちゃっ子は、レイの足を噛んだお詫びに
ネズミをくわえてもってきて、みんなで笑った
ジュディはパットを慰め、いつもの美味しい“ちょいとひと口”を出してくれる
「スザンヌの結婚」
レイがいない寂しさから救ってくれたのは、銀の森屋敷とカークきょうだい
スザンヌの結婚が決まり、デイヴィッドは本当に自分を愛してくれているのか改めて聞く
パット:私、できると思うの
デイヴィッド:
君は愛しているフリをしているだけだ
そんなことでは結婚はできない
僕らはいい友だちでいよう
ヒラリーが来た時から僕にはそれが分かったんだ
彼は君の根っこにしっかり絡みついてて、勝てるはずがない
デイヴィッドはまた新聞の編集長になると言う
カークきょうだいは出て行き、長い家はまた明かりが消えた
パットはショックを感じると同時に解放感と自由を感じる
パット:
自由! なんて素晴らしい言葉なんでしょう!
時には寂しいことがあるだろう
でも、寂しさの中にも何かしら素晴らしいことはあるのだ
「ジュディの死」
ジュディが牛の乳を搾ろうとして倒れているのが発見された
医師は「もって1、2週間」と言う
ジュディ:
私にもその時が来てると分かってた
死ぬ前に長いことみんなの厄介にならずに良かったよ
銀の森屋敷で死ねるよう、ベッドに寝たきりにならないよう毎日祈ってた
4週間、パットはずっと世話をした
ジュディ:
あれやこれやいろいろあって楽しかったねえ
神さまも愉快なことがお好きだから、神さまがお造りになった私らも楽しいことが好きなんだよ
感謝したいことはいっぱいあるけど、何より有難いのは
どんなことにも笑いを見つける才能をいただいたことだよ
必ず道は見つかるよ
愛は絶対に死なないもんだよ
伯爵夫人が来たことを新聞社に電話したこと
祖母は魔女ではなかったこと、などを詫びる
ジュディ:
こんなにいい気分なのは生まれて初めてっちゃ
痛みも苦しみもない
思い出の詰まった景色を味わうように愛し気に見つめて
ジュディは笑いながら死んでいった
その死に顔は冴え冴えと美しく、荘厳だった
ジュディは数少ない宝物を家族に分配した
ジュディが自分の葬式にいたら、どんな風に面白がっただろうか
片づけを終えて台所に戻ると、ジュディの代わりに母がいた
パット:ああ、お母さん・・・私にはもうお母さんと銀の森屋敷しか残っていないのよ
●11年目
ジュディが亡くなって初めてのクリスマス
レイは2年後には夫とカナダに戻ると手紙が来た
妻を亡くしたレスターがまた言い寄ってきたが、ムダに終わる
アレックは来年こそ新しい家を建てると宣言した
パットは1人で長い散歩に出るようになる
人生がひっくり返りそうな危機もあったが
それもおぼろげな思い出になってしまった
「火事」
日曜日に教会に行くと、銀の森屋敷が燃えていると言われて見に行く
思い出も、懐かしい家具も猛火に包まれて灰と化した
メイが灯油ストーブの火をつけっぱなしにしたのが原因!
ジュディが残したラグはバーバラおばが借りていって無事
猫の絵も、ヒラリーに送ってあった(そういうのも偶然じゃないよね
パットたちはツバメヶ原屋敷に世話になる
アレックは保険に入っていたため、銀の森屋敷を建て直す提案をする
火事の4日後、ベイ・ショア屋敷のフランシス大叔母が亡くなり
母に屋敷が遺されたため、ガードナー一家はそっちに引っ越す
銀の森屋敷の跡地にシドとメイの家を新築することになり
メイは大喜びする(自分で焼いたのに?驚
パット:私は人生に負けたんだわ
かつての家を訪れると、森の半分以上の木がヤラれている
自分の行き場はどこにもない
ただただ生きていくだけで精一杯だと考えていると
「愛しいパット」とヒラリーが声をかける
途端に勇気、希望、やる気が戻り、2人は抱き合う
ヒラリー:このキスで、やっと君を僕のものにできた
人生はこんなに豊かなものだったのだろうか?
ああ、人生は終わったんじゃなかった
始まったばかりなんだわ
パット:
世界の果てまでついていくわ
ずっとあなたを愛していたことになぜ気づかなかったか分からない
ヒラリーはずっと日本(!)にいたため
ジュディの猫の絵と手紙を手にしたのが遅れた
ヒラリー:
別の海のそばに2人の家を建てた
君に魂を吹きこんでほしい
ジュディの猫の絵はもう居間にかけてある
僕たちは好きな時に外の景色を眺めよう
僕たちを見たらすぐシッポを振る犬、猫も飼おう
霧のかかった青い山を“霧ヶ原”と呼ぼうよ
妖精たちのための庭を作ろう
パット:床にジュディのラグを敷いて、銀の森屋敷のノッカーをつけるわ
ヒラリー:ジュディはこうなることを知っていたんだよ
ベッドでジュディが最後に書いた手紙を見せる
「パットはデイヴィッドを捨てました 帰ってくればチャンスがあると思います」
■
訳者あとがき
パットはモンゴメリが精魂傾けて創り出した魅力的な娘
モンゴメリの物語には、くせのある人がこれでもかと登場する
いくつもの死が語られ、その変化が新しい展開へとつながる
モンゴメリ作品の特徴は自然描写の妙
それは故郷プリンス・エドワード島への激しい郷愁の表れかもしれない
パットの物語はプリンス・エドワード島を舞台にしている
銀の森屋敷は、キャンベル家のモンゴメリのいとこたちが住んでいた家で
今はグリーン・ゲイブルズ博物館になっている
ルーシー・モード・モンゴメリ
1874年 プリンス・エドワード島で生まれ育った
長い婚約期間を経て、ユーアン・マクドナルド牧師と結婚
オンタリオ州に移った
夫はうつ病を患い、モンゴメリは2人の息子を育てながら執筆した
1942年、67歳で死去
プリンス・エドワード島に帰ることは叶わなかったが
亡骸は島に葬られている
本書は
村岡花子訳で出た 『パットお嬢さん(Mistress Pat)』
その後、田中とき子訳が出たが、日本の当時の読者にとっては
物語の流れが逆になった
今回、『銀の森のパット』と『パットの夢』を順に出せた
ほか作品
『青い城』
『もつれた蜘蛛の巣』
『ストリート・ガール』
『黄金の道』
『丘の家のジェーン』 など
***
もしかしたら、ジュディの死で物語は閉じてしまうのではないかと思った
ハッピーエンドが陳腐だとしても、この場合はそうでなきゃモヤモヤすぎるよね
ベッツが亡くなったあと、“長い家”に兄妹を連れてきたように
ジュディが魂になったら絶対、屋敷と家族を幸せに導いてくれるだろうなと思った
ヒトの手をそれほど煩わせずにこの世を去ることが出来るのも幸せのひとつ
ジュディみたいに最後は幸せなほほ笑みでいきたいものだなあ