L.P.デービス/作 白木茂/訳 定価880円 1971年初版 1987年第21刷
杉並区立中央図書館所蔵
※「ジュヴェナイル」カテゴリー内に追加します
「少年少女世界SF文学全集 全20巻」
表紙画、挿画が迫力あって、なかなかコワイけれども
内容は読みやすくて、画ほどドロドロしていないから
サラっと読めたv
■L.P.デービス
現代イギリス作家
画家や郵便局長をして、現在はメガネ店を経営しながら
ミステリー作家として活躍
ジュニアSFも手掛ける
■はじめに 白木茂
四次元世界は理論的には存在するとされている
やがて発見されるに違いありません
自然をきわめるほど新しいフシギなことがわいてきます
自然はまだ謎だらけと言ってもいいようですね
【内容抜粋メモ】
生化学部の偉い先生、レミング教授を訪ねる18歳のジェラルド・モートン
5週間前、ジョン・メーバー教授と助手アダムが突然、研究所から消えて
甥のリー(モートンの親友)からレミングに調べて欲しいと手紙をもらったと事情を話す
家政婦のロブソン夫人は研究所に電話をしても誰も出ないため
行くとカギがかかっていて、中から妙な臭いがしたため警察を呼んだ
研究所の中は窓がなく、内側からカギがかけられていた
研究所のあるホーフォード村の農場は
以前、人がかき消えたフシギな場所で
メーバーはそこに研究所を建てて、ある研究をしていた
早速、教授とモートンはリーと会う
レミング:
1900年 テネシー州のガラケンという小さな町で
農夫が畑に行き、突然消えて、2度と姿を現さなかった
メーバーは同時に存在する2つの世界があるという理論を立てた
我々の世界は同一の空間に存在する次元の異なるいくつもの世界の1つにすぎない
それを四次元世界と呼んでいた
彼はその通路を発見して入り込んでしまったのだろう
アインシュタインも同じような説を述べている
その地点に居合わせると、人も物も吸い込まれてしまう
イギリスだけでも1日に25人が姿を消している
メーバーはそのうち何人かは四次元世界にひきずりこまれたと信じている
研究所の奥にはもう1つ部屋があり
中には3つの複雑な機械がある
レミングはそれを熱心に調べる
実験の際に焼けたと思われる書類は警察が持って行った
スイッチを入れると、部屋の床が地震のように震動した
レミング:
今は通路は止まっている
この装置は強さの違う磁場を作るものだ
3つが合わさると通路が開くに違いない
1つが故障している
これを修理して、その時の様子を再現してみよう
アダムは長い棒とワイヤーを急いで作り
体に巻き付けて四次元世界に入ったと思われる
手引きもないから、何度失敗してもやってみるしかない
四次元世界は無の世界かもしれない
空気があるかも分からない
ひと通りの修理が終わり、計器の針を24時間監視するため
3人は朝から晩までシフトを組んで見守ることにした
モートンの番になり、リーと交代する際、棒につまづく
細い棒が明るく輝いているのに驚いて見つめていると
あっという間に目に見えない力に引き込まれた
モートンを助けようとしたリーとともに2人は
ゆらゆらするスクリーンの中を通り抜ける
真っ暗な空間を落下し、ドシーンと落ちて投げ出される
辺りは真っ暗で、研究所より温かく、空気もある
通路はまた閉じてしまう
地面には草が生えている
2つの月が出ていると気づく
周りは荒れ果てた赤い岩だらけの風景
病気の動物のようなニオイがする
どこかで誰かにじっと見られている気がして不安になる
ひどく疲れていて、眠った後、一面エメラルドグリーンの草が茂っている
でも、寝る前につけた足跡があるから同じ場所と分かり驚く
腕時計はここに引き込まれた7:15で止まっている
ラベンダーから何も匂いがしないし
鳥や風の音もしないと指摘すると
急に匂いがして鳥の鳴き声が聞こえてきた
目の前の小道を歩き、枝に触ろうとするとなぜか逃げるように退く
モートンは少年の頃過ごしたドーセットの実家を思い出すと
そっくりそのままの実家が現れて息を飲む
気味が悪くて家に入ると、中はカラッポで、舞台の書割みたい
レンガに見えた壁もやわらかい
まるで読心術のように、心に思ったことが現実化する世界だと分かり
実験用モルモットの気分になる
のどがカラカラで限界と思った時、小川が現れる
モートン:飲むのはいよいよ切羽詰まった時にしよう
急に酷い嵐となり、顔や腕が針で刺されたように痛み
耐えられない暑さで汗だくになる
すさまじい嵐になり、木の幹にしがみついていたが
すーっとなくなってしまい吹き飛ばされる
突然、嵐は止み、最初の場所に戻っていた
緑色の霧とだるさに関係があると分かる
*
2mほどあるヤシに似た木が生えている
ネズミに似た生物を見て
それを狩る人間を見る
茶色い毛皮を着て、がっしりした体格、浅黒い肌
彼をつければ水があるだろうと後を尾ける
彼はずんぐりした小屋が連なる村に入る
粗末なのにガラス窓がついているのは奇妙
小川を見つけてようやくノドを潤していると
3人の男がそばにいて、分からない言葉で話し合っている
その後、1軒の家に入れられ、見張りが立つ
ガラスに見えたものを投げても割れないため
別な素材だと分かる
浴室でさっぱりして、運ばれた食事を食べるが
かゆやパンには味がない
人々の顔には感情がない
メーバーとアダムはここに6週間ほど前に来たと思われ
どこかに監禁されているかもしれない
2人は屋根に穴を空けて逃げると
村の人間が怒って追いかけて来る
岩の上に逃げると吹き矢が降り注ぐ
矢じりに強烈な毒が塗ってある
その後、太い竹筒を向けて、岩に命中すると
真っ赤に燃え上がり溶岩みたいに溶ける!
2人は慌ててその場を去り
岩の狭い裂け目に隠れる
目の前にはまた緑色の霧がかかる
追っ手はそれを見ると恐がって近づかないため
仕方なくその中に隠れると
やはり吐き気のする臭いと、チクチクした全身の痛み
見られている感覚の後
見覚えのある人工の草むらにいる
リー:
四次元世界には2つの生物がいる
原始的な人間と、緑色の霧に住む正体不明の生物
後者は幻想を形にする能力がある
僕らに危害を加えないで、見守られている感じがするが
なぜ姿を隠しているんだろう?
また小道を行く わきにそれようとしても通り抜けられない
動いているのは周りの景色で
自分たちは同じ場所にいるのではないかと気味が悪くなる
体がだるくなり、夢を見ている気がする
研究所が見えてきて、モートンが四次元世界に引き込まれる場面が再現される
*
通路の目印にした積み上げた小石の山の場所にいる
原始人みたいな人間が20人ほどいて櫓が立っている
リー:
霧の中の生物は脳を持っている
脳があれば体もあるに違いない
さっきより大きな村に着き、メーバーを発見する
上着は擦り切れて、裸足のため、たった6週間後とは思えない
メーバーは2人に驚き、矢継ぎ早に質問する
モートン:僕らは今朝やって来たんです
(これまでの話が1日とは思えないほど濃いな/驚
メーバー:
野蛮人のような人間はトバリア人で友好的だ
私は自由にどこにも行ける
アダムは元々トバリア人で、4年半ほど前に偶然地球に来て
自分の論文を読んで、四次元世界に帰りたいと頼んだ
アダムはロープを胸に巻いて入り込み、私もひきずりこまれた
ここが自分の国に間違いないと言い、その後どこにいるか知らない
彼は重要な地位にある人間だと言っていた
ここでは強い磁力のせいで時計は役に立たない
時間の流れも違って、地球と1:20
私がここに来てから1年1か月14日になる
あの緑色の霧に入って生きて帰れたのは君たちだけだ
ここでは1日に何度も「磁気嵐」が襲うため外出にも注意が必要
あれに襲われたら命はない
岩の合間に茂る植物のトゲに刺されると体がしびれて意識を失う
トバリア人はそれを矢に塗る
食事を運ぶ女からいろいろ教わり、言葉も覚えた
ここはコルパと呼ばれている
コルパは地球と同じ大きさと思われる
複雑な磁場が接触すると、その地点にいる人間は引き込まれる
こちらに着くと死んでいる
彼らは私たちが生きて着いたことに驚いている
アダムは地球に来て、農村近くの野原に倒れていて助けられた
言葉も分からず、記憶喪失者として入院し
病院で英語を覚えた
コルパでは進歩がかたく禁止されている
金属を用いることはとくに禁止
コルパ人は磁場を研究し、それを応用した恐ろしい戦争の武器を作り出して
「磁気戦争」になった結果、生物はほぼ死に、建物1つ残らなかった
これらは200年ほど昔のことらしい
ごく少数の生き延びた人間は深い洞窟と退避壕に分かれた
洞窟の子孫がトバリア人で
緑色の霧に住んでいるのがうずまき人と呼ばれる
うずまき人には読心術があるのはたしかだ
動植物の細胞ほかいろいろなものが混ざって揺さぶられ続けた
トバリア人は人口増加とともに食糧難で苦しんでいる
主食はヤシに似た木の実から作る味のない粥
霧は年とともに次第に大きくなって土地を広げている
君たちの話を聞くと、形を自由に変えられるようになったのだな
緑色の霧の中に閉じ込められたうずまき人はさらに食糧難が酷いかもしれない
君たちの心を読み、形にすることで、豊かな世界から来たと知ったのだよ
君らを生かして帰したのは、どうこの世界に来たか知ろうとしたからだ
リー:彼らは地球への通路が開いたら侵入するでしょうね
メーバー:
磁気嵐は磁気戦争の直接の産物だ
自然の磁気を歪める結果起きた
彼らが磁気戦争で破壊された物質からなりたっているのが疑いようがない
どのような形をしていようと見えないなんてことはないはず
ちゃんと体を持っているに決まっている
トバリア人は櫓から地球に侵入しようとしている
3人は靴下に土を詰めて、食事を運んできたトバリア人を殴って逃げ出す
メーバーは裸足だったため、ヤシの葉で足を包む
また磁気嵐が始まり、チクチクした痛みとともにすさまじい風が襲う
3人は死んだように眠る
リーは毒の植物のトゲが刺さり意識を失ったため
モートンがおぶっていく
(なぜメーバーは担がないの? 教授というだけでなんだか尊大
よその村のトバリア人に捕まり、家に押し込められる
メーバーはすっかり独裁者となったアダムに呼ばれる
地球に行って戻った話を信じないトバリア人のために
3人で緑色の霧に入る様子を見せようとする
モートン:うずまき人と同盟を結ぶつもりでは?
メーバー:
トバリア人は攻撃用の熱線銃を持ち
うずまき人は緑色の霧という素晴らしい防備力がある
その2つを合わせれば・・・
通路の近くにある緑色の霧に入ると、中は荒野
メーバー:これが本当のこの国の様子だと思う
嫌な臭いはパテみたいな灰色の物質だと分かる
アダムは茶色の水に引きずりこまれて
これまで聞いたことのないような苦痛の叫び声をあげる
モートンが慌てて救出すると、茶色の液体は突然後退した
アダムの足は皮膚が破れて血がしたたり落ちている/汗
メーバー:これは消化液だ
これは動植物や鉱物などが合成された1つの巨大な生物なのだ
リー:直径8mもあるものが?
これ以上先に進めないと分かり、モートンは自分が先頭に立ち
楔形で進もうと提案し、やってみると簡単に抜け出せる
緑色の霧も櫓に向かっているのを見て
モートンはアダムに交渉する
モートン:
僕らはあなたの命を救いました
あれが1つでも地球に侵入したらどうなるか
この世界では食べ物が少ないから生物の成長はゆるやかだが
食べ物の豊富な地球では急激に成長して
あなた方は地球にいられなくなるでしょう
僕はあの生物を全滅させる方法を知っている
それを教える代わりに僕らを地球に帰して欲しいのです
緑色の霧の中枢を熱線で焼いてしまえば死にます
アダムは疑わしそうに見て、トバリア人に熱線銃を撃つよう命令したため
通路が閉じる直前に腕時計を外してアダムに投げ落とした
研究所に戻るとスイッチを切るようレミング教授に言う
今がいつか聞くと、まだ土曜の朝/驚
ロブソン夫人が気づいてレミング教授に伝えて
機械を操作して間もなく3人が戻ったと言う
モートンは文字盤の光る夜光時計のことを話す
その中の微量な放射能の影響を恐れたと思われる
明るい日光、本物の花や鳥の鳴き声に
2度とあんな目に遭うのはこりごりだと思う2人の青年
■四次元世界とSF 白木茂
すぐ目の前を歩いていた人が消えてしまったという記録は
昔から世界のあちこちにある事実
1956年 オクラホマ州で8歳の男の子が遊んでいて
垣根から飛ぶとそのまま消えてしまった
垣根には彼の靴跡が残っていた
子どもの言うことを大人は信じず、誘拐事件として捜査するも行方不明のまま
2、3日後、13歳の少女は「パパ、あそこを見て!」と父に言い
2階の寝室から現場を見ると、地面から2mほどの空中から
2本の手だけが現れ、男の体が現れ、ここは違うと首を振ると消えてしまった(驚
1968年 ブエノスアイレスで2台の車を走らせていて後ろの車が消えた
その後、アルゼンチン領事館から、その車に乗っていた夫婦が保護されていると連絡がある
夫婦は突然白い霧に入り、気を失い
気がつくとアルゼンチンにいたと言う
2人の時計は気を失った時間で止まっていた
1943年 アメリカの駆逐艦が乗員を乗せたまま
フィラデルフィアの港から消えて
次の瞬間ノーフォークに現れた
次元とはあらゆる動く方向の自由度という意味
英語ではdemention
本書の原題は“Dementio A”
一次元は空間中の1つの直線
二次元は幾何学でいう面 厚みはない
三次元は幾何学で言う立体
物理学では三次元世界のほかに四次元世界があると想定している
奇跡的なことが起きると四次元世界から行われているという推測も成り立つ
本書と同じことが、だいぶ前、イギリスで起きた
1人の農夫が畑に行き、不思議な男女を見た
言葉が通じず、緑色の皮膚をしている
パンは分からず、野菜を与えると喜んで食べた
そのうち英語を学び、いつも日暮れみたいに暗い所から来たと話した
1959年 彼らと同様に緑色の皮膚をした男たちがアメリカ中西部で発見された
彼らは空飛ぶ円盤に乗ってきたという
(なぜアメリカばっかり???
私たちが1つだけと思っている太陽は
広大な宇宙に1億以上ある計算になる
地球とそっくりな星も100個以上
杉並区立中央図書館所蔵
※「ジュヴェナイル」カテゴリー内に追加します
「少年少女世界SF文学全集 全20巻」
表紙画、挿画が迫力あって、なかなかコワイけれども
内容は読みやすくて、画ほどドロドロしていないから
サラっと読めたv
■L.P.デービス
現代イギリス作家
画家や郵便局長をして、現在はメガネ店を経営しながら
ミステリー作家として活躍
ジュニアSFも手掛ける
■はじめに 白木茂
四次元世界は理論的には存在するとされている
やがて発見されるに違いありません
自然をきわめるほど新しいフシギなことがわいてきます
自然はまだ謎だらけと言ってもいいようですね
【内容抜粋メモ】
生化学部の偉い先生、レミング教授を訪ねる18歳のジェラルド・モートン
5週間前、ジョン・メーバー教授と助手アダムが突然、研究所から消えて
甥のリー(モートンの親友)からレミングに調べて欲しいと手紙をもらったと事情を話す
家政婦のロブソン夫人は研究所に電話をしても誰も出ないため
行くとカギがかかっていて、中から妙な臭いがしたため警察を呼んだ
研究所の中は窓がなく、内側からカギがかけられていた
研究所のあるホーフォード村の農場は
以前、人がかき消えたフシギな場所で
メーバーはそこに研究所を建てて、ある研究をしていた
早速、教授とモートンはリーと会う
レミング:
1900年 テネシー州のガラケンという小さな町で
農夫が畑に行き、突然消えて、2度と姿を現さなかった
メーバーは同時に存在する2つの世界があるという理論を立てた
我々の世界は同一の空間に存在する次元の異なるいくつもの世界の1つにすぎない
それを四次元世界と呼んでいた
彼はその通路を発見して入り込んでしまったのだろう
アインシュタインも同じような説を述べている
その地点に居合わせると、人も物も吸い込まれてしまう
イギリスだけでも1日に25人が姿を消している
メーバーはそのうち何人かは四次元世界にひきずりこまれたと信じている
研究所の奥にはもう1つ部屋があり
中には3つの複雑な機械がある
レミングはそれを熱心に調べる
実験の際に焼けたと思われる書類は警察が持って行った
スイッチを入れると、部屋の床が地震のように震動した
レミング:
今は通路は止まっている
この装置は強さの違う磁場を作るものだ
3つが合わさると通路が開くに違いない
1つが故障している
これを修理して、その時の様子を再現してみよう
アダムは長い棒とワイヤーを急いで作り
体に巻き付けて四次元世界に入ったと思われる
手引きもないから、何度失敗してもやってみるしかない
四次元世界は無の世界かもしれない
空気があるかも分からない
ひと通りの修理が終わり、計器の針を24時間監視するため
3人は朝から晩までシフトを組んで見守ることにした
モートンの番になり、リーと交代する際、棒につまづく
細い棒が明るく輝いているのに驚いて見つめていると
あっという間に目に見えない力に引き込まれた
モートンを助けようとしたリーとともに2人は
ゆらゆらするスクリーンの中を通り抜ける
真っ暗な空間を落下し、ドシーンと落ちて投げ出される
辺りは真っ暗で、研究所より温かく、空気もある
通路はまた閉じてしまう
地面には草が生えている
2つの月が出ていると気づく
周りは荒れ果てた赤い岩だらけの風景
病気の動物のようなニオイがする
どこかで誰かにじっと見られている気がして不安になる
ひどく疲れていて、眠った後、一面エメラルドグリーンの草が茂っている
でも、寝る前につけた足跡があるから同じ場所と分かり驚く
腕時計はここに引き込まれた7:15で止まっている
ラベンダーから何も匂いがしないし
鳥や風の音もしないと指摘すると
急に匂いがして鳥の鳴き声が聞こえてきた
目の前の小道を歩き、枝に触ろうとするとなぜか逃げるように退く
モートンは少年の頃過ごしたドーセットの実家を思い出すと
そっくりそのままの実家が現れて息を飲む
気味が悪くて家に入ると、中はカラッポで、舞台の書割みたい
レンガに見えた壁もやわらかい
まるで読心術のように、心に思ったことが現実化する世界だと分かり
実験用モルモットの気分になる
のどがカラカラで限界と思った時、小川が現れる
モートン:飲むのはいよいよ切羽詰まった時にしよう
急に酷い嵐となり、顔や腕が針で刺されたように痛み
耐えられない暑さで汗だくになる
すさまじい嵐になり、木の幹にしがみついていたが
すーっとなくなってしまい吹き飛ばされる
突然、嵐は止み、最初の場所に戻っていた
緑色の霧とだるさに関係があると分かる
*
2mほどあるヤシに似た木が生えている
ネズミに似た生物を見て
それを狩る人間を見る
茶色い毛皮を着て、がっしりした体格、浅黒い肌
彼をつければ水があるだろうと後を尾ける
彼はずんぐりした小屋が連なる村に入る
粗末なのにガラス窓がついているのは奇妙
小川を見つけてようやくノドを潤していると
3人の男がそばにいて、分からない言葉で話し合っている
その後、1軒の家に入れられ、見張りが立つ
ガラスに見えたものを投げても割れないため
別な素材だと分かる
浴室でさっぱりして、運ばれた食事を食べるが
かゆやパンには味がない
人々の顔には感情がない
メーバーとアダムはここに6週間ほど前に来たと思われ
どこかに監禁されているかもしれない
2人は屋根に穴を空けて逃げると
村の人間が怒って追いかけて来る
岩の上に逃げると吹き矢が降り注ぐ
矢じりに強烈な毒が塗ってある
その後、太い竹筒を向けて、岩に命中すると
真っ赤に燃え上がり溶岩みたいに溶ける!
2人は慌ててその場を去り
岩の狭い裂け目に隠れる
目の前にはまた緑色の霧がかかる
追っ手はそれを見ると恐がって近づかないため
仕方なくその中に隠れると
やはり吐き気のする臭いと、チクチクした全身の痛み
見られている感覚の後
見覚えのある人工の草むらにいる
リー:
四次元世界には2つの生物がいる
原始的な人間と、緑色の霧に住む正体不明の生物
後者は幻想を形にする能力がある
僕らに危害を加えないで、見守られている感じがするが
なぜ姿を隠しているんだろう?
また小道を行く わきにそれようとしても通り抜けられない
動いているのは周りの景色で
自分たちは同じ場所にいるのではないかと気味が悪くなる
体がだるくなり、夢を見ている気がする
研究所が見えてきて、モートンが四次元世界に引き込まれる場面が再現される
*
通路の目印にした積み上げた小石の山の場所にいる
原始人みたいな人間が20人ほどいて櫓が立っている
リー:
霧の中の生物は脳を持っている
脳があれば体もあるに違いない
さっきより大きな村に着き、メーバーを発見する
上着は擦り切れて、裸足のため、たった6週間後とは思えない
メーバーは2人に驚き、矢継ぎ早に質問する
モートン:僕らは今朝やって来たんです
(これまでの話が1日とは思えないほど濃いな/驚
メーバー:
野蛮人のような人間はトバリア人で友好的だ
私は自由にどこにも行ける
アダムは元々トバリア人で、4年半ほど前に偶然地球に来て
自分の論文を読んで、四次元世界に帰りたいと頼んだ
アダムはロープを胸に巻いて入り込み、私もひきずりこまれた
ここが自分の国に間違いないと言い、その後どこにいるか知らない
彼は重要な地位にある人間だと言っていた
ここでは強い磁力のせいで時計は役に立たない
時間の流れも違って、地球と1:20
私がここに来てから1年1か月14日になる
あの緑色の霧に入って生きて帰れたのは君たちだけだ
ここでは1日に何度も「磁気嵐」が襲うため外出にも注意が必要
あれに襲われたら命はない
岩の合間に茂る植物のトゲに刺されると体がしびれて意識を失う
トバリア人はそれを矢に塗る
食事を運ぶ女からいろいろ教わり、言葉も覚えた
ここはコルパと呼ばれている
コルパは地球と同じ大きさと思われる
複雑な磁場が接触すると、その地点にいる人間は引き込まれる
こちらに着くと死んでいる
彼らは私たちが生きて着いたことに驚いている
アダムは地球に来て、農村近くの野原に倒れていて助けられた
言葉も分からず、記憶喪失者として入院し
病院で英語を覚えた
コルパでは進歩がかたく禁止されている
金属を用いることはとくに禁止
コルパ人は磁場を研究し、それを応用した恐ろしい戦争の武器を作り出して
「磁気戦争」になった結果、生物はほぼ死に、建物1つ残らなかった
これらは200年ほど昔のことらしい
ごく少数の生き延びた人間は深い洞窟と退避壕に分かれた
洞窟の子孫がトバリア人で
緑色の霧に住んでいるのがうずまき人と呼ばれる
うずまき人には読心術があるのはたしかだ
動植物の細胞ほかいろいろなものが混ざって揺さぶられ続けた
トバリア人は人口増加とともに食糧難で苦しんでいる
主食はヤシに似た木の実から作る味のない粥
霧は年とともに次第に大きくなって土地を広げている
君たちの話を聞くと、形を自由に変えられるようになったのだな
緑色の霧の中に閉じ込められたうずまき人はさらに食糧難が酷いかもしれない
君たちの心を読み、形にすることで、豊かな世界から来たと知ったのだよ
君らを生かして帰したのは、どうこの世界に来たか知ろうとしたからだ
リー:彼らは地球への通路が開いたら侵入するでしょうね
メーバー:
磁気嵐は磁気戦争の直接の産物だ
自然の磁気を歪める結果起きた
彼らが磁気戦争で破壊された物質からなりたっているのが疑いようがない
どのような形をしていようと見えないなんてことはないはず
ちゃんと体を持っているに決まっている
トバリア人は櫓から地球に侵入しようとしている
3人は靴下に土を詰めて、食事を運んできたトバリア人を殴って逃げ出す
メーバーは裸足だったため、ヤシの葉で足を包む
また磁気嵐が始まり、チクチクした痛みとともにすさまじい風が襲う
3人は死んだように眠る
リーは毒の植物のトゲが刺さり意識を失ったため
モートンがおぶっていく
(なぜメーバーは担がないの? 教授というだけでなんだか尊大
よその村のトバリア人に捕まり、家に押し込められる
メーバーはすっかり独裁者となったアダムに呼ばれる
地球に行って戻った話を信じないトバリア人のために
3人で緑色の霧に入る様子を見せようとする
モートン:うずまき人と同盟を結ぶつもりでは?
メーバー:
トバリア人は攻撃用の熱線銃を持ち
うずまき人は緑色の霧という素晴らしい防備力がある
その2つを合わせれば・・・
通路の近くにある緑色の霧に入ると、中は荒野
メーバー:これが本当のこの国の様子だと思う
嫌な臭いはパテみたいな灰色の物質だと分かる
アダムは茶色の水に引きずりこまれて
これまで聞いたことのないような苦痛の叫び声をあげる
モートンが慌てて救出すると、茶色の液体は突然後退した
アダムの足は皮膚が破れて血がしたたり落ちている/汗
メーバー:これは消化液だ
これは動植物や鉱物などが合成された1つの巨大な生物なのだ
リー:直径8mもあるものが?
これ以上先に進めないと分かり、モートンは自分が先頭に立ち
楔形で進もうと提案し、やってみると簡単に抜け出せる
緑色の霧も櫓に向かっているのを見て
モートンはアダムに交渉する
モートン:
僕らはあなたの命を救いました
あれが1つでも地球に侵入したらどうなるか
この世界では食べ物が少ないから生物の成長はゆるやかだが
食べ物の豊富な地球では急激に成長して
あなた方は地球にいられなくなるでしょう
僕はあの生物を全滅させる方法を知っている
それを教える代わりに僕らを地球に帰して欲しいのです
緑色の霧の中枢を熱線で焼いてしまえば死にます
アダムは疑わしそうに見て、トバリア人に熱線銃を撃つよう命令したため
通路が閉じる直前に腕時計を外してアダムに投げ落とした
研究所に戻るとスイッチを切るようレミング教授に言う
今がいつか聞くと、まだ土曜の朝/驚
ロブソン夫人が気づいてレミング教授に伝えて
機械を操作して間もなく3人が戻ったと言う
モートンは文字盤の光る夜光時計のことを話す
その中の微量な放射能の影響を恐れたと思われる
明るい日光、本物の花や鳥の鳴き声に
2度とあんな目に遭うのはこりごりだと思う2人の青年
■四次元世界とSF 白木茂
すぐ目の前を歩いていた人が消えてしまったという記録は
昔から世界のあちこちにある事実
1956年 オクラホマ州で8歳の男の子が遊んでいて
垣根から飛ぶとそのまま消えてしまった
垣根には彼の靴跡が残っていた
子どもの言うことを大人は信じず、誘拐事件として捜査するも行方不明のまま
2、3日後、13歳の少女は「パパ、あそこを見て!」と父に言い
2階の寝室から現場を見ると、地面から2mほどの空中から
2本の手だけが現れ、男の体が現れ、ここは違うと首を振ると消えてしまった(驚
1968年 ブエノスアイレスで2台の車を走らせていて後ろの車が消えた
その後、アルゼンチン領事館から、その車に乗っていた夫婦が保護されていると連絡がある
夫婦は突然白い霧に入り、気を失い
気がつくとアルゼンチンにいたと言う
2人の時計は気を失った時間で止まっていた
1943年 アメリカの駆逐艦が乗員を乗せたまま
フィラデルフィアの港から消えて
次の瞬間ノーフォークに現れた
次元とはあらゆる動く方向の自由度という意味
英語ではdemention
本書の原題は“Dementio A”
一次元は空間中の1つの直線
二次元は幾何学でいう面 厚みはない
三次元は幾何学で言う立体
物理学では三次元世界のほかに四次元世界があると想定している
奇跡的なことが起きると四次元世界から行われているという推測も成り立つ
本書と同じことが、だいぶ前、イギリスで起きた
1人の農夫が畑に行き、不思議な男女を見た
言葉が通じず、緑色の皮膚をしている
パンは分からず、野菜を与えると喜んで食べた
そのうち英語を学び、いつも日暮れみたいに暗い所から来たと話した
1959年 彼らと同様に緑色の皮膚をした男たちがアメリカ中西部で発見された
彼らは空飛ぶ円盤に乗ってきたという
(なぜアメリカばっかり???
私たちが1つだけと思っている太陽は
広大な宇宙に1億以上ある計算になる
地球とそっくりな星も100個以上