2005年初版 2006年 第5刷 長野徹/訳 エマヌエーラ・プッソラーティ/画
ベアトリーチェ・ソリナス・ドンギ
1923年 セッラ・リッコ生まれ
20代前半、イギリスに留学して英文学を学び、小説家デビュー
『城ですごしたあの夏』
『皇帝の娘』
中央図書館まで出かけて行ったら、私好みのハードカバーの児童向け小説がいろいろ見つかってメモした
あとで近くの図書館で借りてみたら、勘通りに面白い作品だった
戦時中とはいえ、疎開先での少女たちの生活は
いつ終わるともしれぬ制限の中でも、ゆったりした時間が流れている
そこにちょっとしたミステリーが加わり、最後はハラハラする展開
作者が自伝を語っているのかと思ったら、そうじゃないんだな
【内容抜粋メモ】
登場人物
エリザベッタ リッリ リゼッタ
父 捕虜
母カテリーナ
弟フレード 8歳
叔父グスティン
ティルデ リーダー格の少女
ガブリエッラ、ミレッラ、マリウー、マリエッタ、ジュゼ、ローザ 疎開先の友だち
レバウディ ジュリエッタ荘に住む独身女性
レジーナ ユダヤ人の少女
戦時中、リッリは母と弟とともに母の田舎に疎開してきた
父はイタリア軍に再招集されて、ドイツ軍の捕虜になっている

村の子と町から疎開してきた子でグループをつくり
暑い夏、川で水浴びするのが唯一の楽しみだった
リーダー格のティルデの父は食料の闇取引をしている
川に水蛇がいて大騒ぎとなり、1人で対岸にいたリッリはグループと離れた道を行くと
変わり者扱いされているモリーニの家に着き
そこの男の子から石を投げられる
仕方なくそれた道にはイバラが生い茂り、体中が傷だらけになる
その先には小さな家があり、黒い犬がお腹を空かせているのを見つける
家の中から声がして、足を捻挫したから、犬にご飯をあげてくれと頼まれる
男はグスティンと名乗り、母にここに来てくれと頼まれる
村に行く途中、「呪われた屋敷」と噂されているレバウディさんのジュリエッタ荘がある
レバウディさんは1人暮らしなのに、同じ歳くらいの少女をみかける
*
帰宅して、母にグスティンのことを話すと叔父だと分かる
叔父は若い頃はスイスとの間で密輸をしていたことがある
母はグスティンを見舞い、手当をする
愛犬の名前はネーグス
リッリはそれから時々、叔父の家に来て、ネーグスと遊ぶ

友だちにその冒険談を話すと、ジュリエッタ荘でかつて暮らしていた少女がいて
肺結核で亡くなり、その後、少女の幽霊が出るという噂がある
それはリッリだったのかと誤解される

レバウディさんがリッリの家に来て、母となにか話す
戦時中、休校になっている学校の代わりに
以前、教師をしていたレバウディさんが勉強を教えることに決まる
初めてジュリエッタ荘に招かれて、部屋を案内されるが、ドアの向こうは見せてくれない
塔につながるらせん階段も怪しい
先日、少女を見かけた物干し場では、変に長々と世間話をするレバウディさん
勉強を教えても、それが目的ではないような、気のない様子
それを友だちに話すと、やっぱり幽霊はリッリだったのかとさらに誤解される
亡くなったのはエルヴィーラで、ジュリエッタはその母の名前と分かる
レバウディさんは、リッリに屋敷に残る珍しいモノをいろいろ見せてくれる
昔の物語がたくさん載っている古い雑誌を夢中で読むリッリ
地理についての質問でとんちんかんな答えをした時、誰かが笑いをこらえる音がする
レバウディさんはネズミだと答える
当時、ウサギの肉だと言って、ネコの肉がシチューに出されていた↓↓↓ため
そこら中にネズミがいた
*
ある日、いつもより早い時間にジュリエッタ荘を訪ねると
レバウディさんはジャムづくりをしていて手が離せない間
リッリはらせん階段をこっそり上がると
小さい部屋にいつか見た少女がいて驚いて自宅まで逃げ帰る

レバウディさんが追ってきて、誰にも話さなかった秘密を明かす
少女はユダヤ人で、ドイツ兵やファシストに知られたら少女もレバウディさんも命が危ない
リッリ:ユダヤ人って悪い人なの?
母:
私たちと同じ人間よ
誰であれ、罪のない女の子を苦しめるような連中こそ、本当の悪人よ
でも、誰にも言っちゃダメよ
*
翌日、ジュリエッタ荘を訪ねると、レバウディさんは少女を紹介して、事情を話す
少女の名前はレジーナ
両親は娘をカトリックの寄宿学校に通わせてカムフラージュしていたが
聖体拝受しないのを変に思われ、院長先生がレバウディさんを呼び、預かってほしいと頼んだ
レジーナの両親は捕まり、強正収容所に連れて行かれた
誰にも見られないよう暮らしていたが、退屈で庭に出ていたところを村の人に見られたため
リッリを通わせることで、幽霊はリッリだということにした
レジーナはリッリが来るのを楽しみにしていたため
2人は友だちになり、楽しく過ごす
レジーナは外の生活に飢えていて、リッリの話す友だちや家族の話を楽しみにする
レジーナの父は歴史の教師、母はピアニスト
母の弟は、戦争前にアメリカに渡ったため、両親は戦争が終わったら家族で渡米する計画
町ではユダヤ人をかくまって密告され、捕まる事件も起きているが
長い間、家に閉じ込められていたレジーナは自由になりたくて爆発寸前の心理状態にある
*
レバウディ:
山にこもって活動するパルチザンとドイツ兵が衝突し
怪我をしたパルチザンを探して、1軒ずつ調べている!
レジーナは死刑を宣告された顔になる
リッリは叔父がパルチザンと友だちだという秘密を明かし
叔父ならレジーナをスイスに連れて行ってくれると提案する
レバウディさんは急いでレジーナの荷物をまとめて
家に同居人がいた痕跡を隠す細工をするため2人だけで送り出す
グスティンに事情を話すと、すぐに食料を用意し
スイスには友だちがいるから、そこに預けると約束する

レジーナと叔父を見送り、リッリは1人、夜にまたイバラの道をかき分けて進むと
モリーニ氏と出くわし、思わず泣きだしてしまう
モリーニ氏はリッリを家まで送る
息子が石を投げたのは、モリーニ家でもケガをしたパルチザンをかくまっていたからだった
ティルデの父もパルチザンをかくまっていたと後で分かる
*
戦争は終わった
レジーナの両親は強正収容所から生きて出ることはなかった
レジーナは無事スイスにいる叔父の友人宅でハイジのように暮らし
その後、アメリカの叔父のもとに発った
リッリと再会したのは、何年も経ち、互いに結婚、出産してから
2人は宗教も、国籍も、考え方も違うけれども
心の片隅は今でもあの時の少女のままなのだった
■訳者あとがき
本書の舞台は1944年の北イタリア
作者ドンギは、貴族の父とイギリス人画家の母の間に生まれた
ベアトリーチェ・ソリナス・ドンギ
1923年 セッラ・リッコ生まれ
20代前半、イギリスに留学して英文学を学び、小説家デビュー
『城ですごしたあの夏』
『皇帝の娘』
中央図書館まで出かけて行ったら、私好みのハードカバーの児童向け小説がいろいろ見つかってメモした
あとで近くの図書館で借りてみたら、勘通りに面白い作品だった
戦時中とはいえ、疎開先での少女たちの生活は
いつ終わるともしれぬ制限の中でも、ゆったりした時間が流れている
そこにちょっとしたミステリーが加わり、最後はハラハラする展開
作者が自伝を語っているのかと思ったら、そうじゃないんだな
【内容抜粋メモ】
登場人物
エリザベッタ リッリ リゼッタ
父 捕虜
母カテリーナ
弟フレード 8歳
叔父グスティン
ティルデ リーダー格の少女
ガブリエッラ、ミレッラ、マリウー、マリエッタ、ジュゼ、ローザ 疎開先の友だち
レバウディ ジュリエッタ荘に住む独身女性
レジーナ ユダヤ人の少女
戦時中、リッリは母と弟とともに母の田舎に疎開してきた
父はイタリア軍に再招集されて、ドイツ軍の捕虜になっている

村の子と町から疎開してきた子でグループをつくり
暑い夏、川で水浴びするのが唯一の楽しみだった
リーダー格のティルデの父は食料の闇取引をしている
川に水蛇がいて大騒ぎとなり、1人で対岸にいたリッリはグループと離れた道を行くと
変わり者扱いされているモリーニの家に着き
そこの男の子から石を投げられる
仕方なくそれた道にはイバラが生い茂り、体中が傷だらけになる
その先には小さな家があり、黒い犬がお腹を空かせているのを見つける
家の中から声がして、足を捻挫したから、犬にご飯をあげてくれと頼まれる
男はグスティンと名乗り、母にここに来てくれと頼まれる
村に行く途中、「呪われた屋敷」と噂されているレバウディさんのジュリエッタ荘がある
レバウディさんは1人暮らしなのに、同じ歳くらいの少女をみかける
*
帰宅して、母にグスティンのことを話すと叔父だと分かる
叔父は若い頃はスイスとの間で密輸をしていたことがある
母はグスティンを見舞い、手当をする
愛犬の名前はネーグス
リッリはそれから時々、叔父の家に来て、ネーグスと遊ぶ

友だちにその冒険談を話すと、ジュリエッタ荘でかつて暮らしていた少女がいて
肺結核で亡くなり、その後、少女の幽霊が出るという噂がある
それはリッリだったのかと誤解される

レバウディさんがリッリの家に来て、母となにか話す
戦時中、休校になっている学校の代わりに
以前、教師をしていたレバウディさんが勉強を教えることに決まる
初めてジュリエッタ荘に招かれて、部屋を案内されるが、ドアの向こうは見せてくれない
塔につながるらせん階段も怪しい
先日、少女を見かけた物干し場では、変に長々と世間話をするレバウディさん
勉強を教えても、それが目的ではないような、気のない様子
それを友だちに話すと、やっぱり幽霊はリッリだったのかとさらに誤解される
亡くなったのはエルヴィーラで、ジュリエッタはその母の名前と分かる
レバウディさんは、リッリに屋敷に残る珍しいモノをいろいろ見せてくれる
昔の物語がたくさん載っている古い雑誌を夢中で読むリッリ
地理についての質問でとんちんかんな答えをした時、誰かが笑いをこらえる音がする
レバウディさんはネズミだと答える
当時、ウサギの肉だと言って、ネコの肉がシチューに出されていた↓↓↓ため
そこら中にネズミがいた
*
ある日、いつもより早い時間にジュリエッタ荘を訪ねると
レバウディさんはジャムづくりをしていて手が離せない間
リッリはらせん階段をこっそり上がると
小さい部屋にいつか見た少女がいて驚いて自宅まで逃げ帰る

レバウディさんが追ってきて、誰にも話さなかった秘密を明かす
少女はユダヤ人で、ドイツ兵やファシストに知られたら少女もレバウディさんも命が危ない
リッリ:ユダヤ人って悪い人なの?
母:
私たちと同じ人間よ
誰であれ、罪のない女の子を苦しめるような連中こそ、本当の悪人よ
でも、誰にも言っちゃダメよ
*
翌日、ジュリエッタ荘を訪ねると、レバウディさんは少女を紹介して、事情を話す
少女の名前はレジーナ
両親は娘をカトリックの寄宿学校に通わせてカムフラージュしていたが
聖体拝受しないのを変に思われ、院長先生がレバウディさんを呼び、預かってほしいと頼んだ
レジーナの両親は捕まり、強正収容所に連れて行かれた
誰にも見られないよう暮らしていたが、退屈で庭に出ていたところを村の人に見られたため
リッリを通わせることで、幽霊はリッリだということにした
レジーナはリッリが来るのを楽しみにしていたため
2人は友だちになり、楽しく過ごす
レジーナは外の生活に飢えていて、リッリの話す友だちや家族の話を楽しみにする
レジーナの父は歴史の教師、母はピアニスト
母の弟は、戦争前にアメリカに渡ったため、両親は戦争が終わったら家族で渡米する計画
町ではユダヤ人をかくまって密告され、捕まる事件も起きているが
長い間、家に閉じ込められていたレジーナは自由になりたくて爆発寸前の心理状態にある
*
レバウディ:
山にこもって活動するパルチザンとドイツ兵が衝突し
怪我をしたパルチザンを探して、1軒ずつ調べている!
レジーナは死刑を宣告された顔になる
リッリは叔父がパルチザンと友だちだという秘密を明かし
叔父ならレジーナをスイスに連れて行ってくれると提案する
レバウディさんは急いでレジーナの荷物をまとめて
家に同居人がいた痕跡を隠す細工をするため2人だけで送り出す
グスティンに事情を話すと、すぐに食料を用意し
スイスには友だちがいるから、そこに預けると約束する

レジーナと叔父を見送り、リッリは1人、夜にまたイバラの道をかき分けて進むと
モリーニ氏と出くわし、思わず泣きだしてしまう
モリーニ氏はリッリを家まで送る
息子が石を投げたのは、モリーニ家でもケガをしたパルチザンをかくまっていたからだった
ティルデの父もパルチザンをかくまっていたと後で分かる
*
戦争は終わった
レジーナの両親は強正収容所から生きて出ることはなかった
レジーナは無事スイスにいる叔父の友人宅でハイジのように暮らし
その後、アメリカの叔父のもとに発った
リッリと再会したのは、何年も経ち、互いに結婚、出産してから
2人は宗教も、国籍も、考え方も違うけれども
心の片隅は今でもあの時の少女のままなのだった
■訳者あとがき
本書の舞台は1944年の北イタリア
作者ドンギは、貴族の父とイギリス人画家の母の間に生まれた