メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ソーグのひと夏 福音館日曜日文庫 オリヴィエ少年の物語 3 ロベール・サバティエ/作 福音館書店

2024-12-15 16:16:32 | 
1998年初版 堀内紅子/訳 茂田井武/ジャケット・イラストレーション


夏休みが3ヶ月後くらいあるんじゃないかってボリュームだけど、数週間のことなのか?

両親を早くに亡くしたオリヴィエにとって
田舎でたくさんの人に会って家族団欒を経験する貴重な経験だったんだろうな
労働を苦にせず、どこまでも歩くのが好きなのは祖母に似たのかも

それにしても、みんな毎日よく酒を飲むなあ!
水のように飲んでいて、どこからがアルコール依存症か分からないくらい

祖母が作ってくれる料理はどれもものすごく愛情がこもってて美味しそう
鳥も首をはねて、羽をむしるところから調理するのだから、とても見れないけど・・・↓↓↓
オリヴィエはどんな動物も大好きで、殺す場面は耐えられないが、食べるのは好きなんだよね

川の水を飲むシーンもよく出てくるけれども、衛生面が不安
上流ならキレイなのかもだけど、いろいろ考えるとちょっと躊躇してしまう


【内容抜粋メモ】

登場人物
オリヴィエ 10歳 両親を亡くして伯母夫婦の家に養子となる
ピエール 父 36歳
ヴィルジニー 母

アンリ・デルソー伯父 製紙業の社長
ヴィクトリア伯母 オリヴィエの父ピエールの姉
マルソー 長男 肺病を患っている 16歳
ジャミ 次男
マルグリット 女中
ブランシュ 女中
ジュリエンヌ 両親を亡くしたいとこ
アルフォンス マルソーの家庭教師 通称パパ・ガトー

祖父
祖母マリー
マリア 20歳で亡くなった娘
ヴィクトール 鍛冶屋








初めて汽車に乗り、駅にはヴィクトール伯父が迎えに来ていて、一緒にバスに乗り、ソーグの村に着く
ブーグラが「そこだよ、おまえの行くべきところは!」と言ったのを思い出す







初めて会う祖父はブーグラを思い出させる
オリヴィエ専用のナイフをくれる
長年の過酷な労働で脚を傷めて歩くのが不自由

祖父:ここらへんの人間は、みんな裸で何も持たずに生まれてくるんだ

祖母マリーは無口で素っ気なく、歩くのが大好き
夜なべ仕事の寄り合いに出かけて、愚痴ったり、噂話をするのが楽しみ
家族が歌ったり、キスしたりしようとすると露骨に嫌がる

ヴィクトールは蹄鉄を打つのが仕事で力持ち
ソーグの男たちはみな大地と深くかかわりあって暮らしている農民が多い

祖母はオリヴィエを村人に「可哀想なみなしご」だと紹介して周る
村人の中には、オリヴィエの父母のことを知ってる人も多く
オリヴィエの知らない話を聞かせてくれる

それによると、父ピエールは戦争から帰ってきた時、すっかり性格が変わってしまい
村にいられず、結婚していたヴィルジニーと結婚してパリに住んだ

ヴィルジニーの夫は兵役から帰って、それを知り、パリに行き
ピエールを撃ち、牢屋に入れられたが、後に店を開いて、まだ生きている
オリヴィエのことを心配して、ヴィクトリア伯母の養子になってひと安心した

キレイな服は日曜用で、普段使いの服と木靴(ゼスクロ)を用意してくれる祖母
それでもパリっ子とバカにされ、モンディヨンとケンカになるが、その後親友となる








オリヴィエはすぐに日焼けし、近所の手伝いも積極的に参加する
ソーグにはいとこや伯父、伯母がたくさんいて、特有の方言を話している

祖父は若い頃に猛烈に勉強して読み書きを覚えた
6歳で孤児になった祖母は、使用人市でお金と引き換えに1年間働き手として貸されていた
結婚後、祖母にも読み書きを教えて、自分の境遇を知ってから今の性格になった
祖父は子どもたちを宗教教育しない学校に入れたことで周りから酷い目にあった

オリヴィエは牛に角砂糖を食べさせようとして拒否られ、祖母は大笑いする
馬は角砂糖が好きだが、牛は塩が好きで、塩水をかけた草をよく食べる/驚

床屋のシャデスさんがたくさん本を持っていると教えてもらい
オリヴィエはソーグでも本に没頭する
ソーグ出身のファーブル牧師が書いた『ジェヴォーダンの獣』って映画観たな→here

祖父:
戦争に行きたがっていた人間は1人もいない
村を離れることほど辛いことはないんだ
あのヒットラーとかいう男は危険だ
子どもにまで制服を着せたりしている
お前のお父さんが戦争から戻った時、わしにはそれがピエールだと分からなかった
(ピエールも“戦闘神経症”だったのかもしれないな

これからの時代は鍛冶屋は必要なくなるだろうと予測する祖父

祖父:
わしらと一緒にここに住むかい?
ああ、いけない、お前はこんなとこにいちゃダメだ
蹄鉄工はじきに用なしになる
わしはもう過去の人間だ
わしの脚はもう治らんよ

(自分が心底力を入れてきた仕事が時代の流れでなくなるってどういう気持ちだろう

夫役(税金を払う代わりに労働する)に行くヴィクトール
ランチにワインを飲んで酔っ払って昼寝して、その日はもう終わりってのんびりしてるな

オリヴィエはヴィクトールから自転車を借りて乗れるようになる
牛追いも日課となる

マルカードに子牛が生まれる時の介助をして得意になる
後に子牛市で食べられるために売られる子牛たちを見て、いたたまれなくなる
ヴィクトール:太らせるための牧場に行くか、ほとんどは、すぐ潰されるんだ

ウサギのシチューとか恐ろしいな・・・↓↓↓
首を切り落としたアヒルが首がないまましばらく駆け回ったり

ブタのと殺を子どもに見せたりするのも耐えられない
切ったしっぽをオリヴィエに渡し、しばらく呆然となる
腸や内臓をかき出し、子どもに食べさせる脳を取るって!

パパ・ガトーが帰省し、オリヴィエにこの土地の歴史や伝説などを教える
アルフォンス:立派なエスクーラだ! はオリヴィエにとって最上級の褒め言葉

アルフォンス:
私たちの言葉はずっと迫害されてきた
国は、国民をひとつにまとめなくてはならなかった

アルフォンスは石、虫、草花も集めていて、とても博識
「これだけは教えておきたいんだ・・・」とオリヴィエに話して聞かせる

9月
ヴァカンスに来ていたたくさんの人が次々と帰っていく
アルフォンスは一足先にパリに帰ってしまう

ヴィクトリア伯母に手紙で聞いて、夏休みを延ばして10月半ばに帰ることに決まる
オリヴィエはソーグに残りたい自分と、パリの人々に会いたい気持ちが交錯する
祖父:ここの冬は慣れてない者にとっては辛すぎるほど厳しい

オリヴィエが帰る日
村のみんなに挨拶して周るのも偉いなあ
さよなら、全盛期の貧しい少女マリーよ さよなら、若き日々よ

祖父:
人生で一番いい日々は子ども時代にあるんだ
これっきり会えなくなっても、おじいちゃんのことを忘れないでおくれ

祖母ですらふた筋の涙を流して見送ってくれる
庭に立つ祖父母は、時とともにはかなく消えてしまう写真のように見える



はしばみとりんどうの国で ソーグ・おなかいっぱい日記 山脇百合子(児童図書挿絵画家)
今作の舞台となったソーグを訪ねた旅日記
民宿ブランジエは牧草地に囲まれている








朝食は、パン、バター、濃い牛乳とコーヒー、ジャム、ハチミツ
3回のキスは「父と子と聖霊」の意味があるのか











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三つのミント・キャンディー 福音館日曜日文庫 オリヴィエ少年の物語 2 ロベール・サバティエ/作 福音館書店

2024-12-14 20:28:27 | 
1996年初版 堀内紅子/訳 茂田井武/ジャケット・イラストレーション


ある日、いきなり母を亡くして、ラバ通りでうろついていた少年オリヴィエは
また突然に伯父夫婦に引き取られ、通りの人々とは縁がぷっつり切れてしまう

地図を見ると歩いて行ける距離ではあるけれども
生活基準が変わると会うのもためらうほどなのかなあ?

とはいえ、伯父夫婦も労働者からスタートした「成金」
製紙業は読書が大好きなオリヴィエにとって紙つながりで幸運だったし
兄弟になった2人ともすぐに親しくなれたのは良かった

“懐かしき友は、いまいずこに?”









【内容抜粋メモ】

登場人物
オリヴィエ 10歳 両親を亡くして伯母夫婦の家に養子となる

アンリ・デルソー伯父 製紙業の社長
ヴィクトリア伯母 オリヴィエの父ピエールの姉
マルソー 長男 肺病を患っている 16歳
ジャミ 次男
マルグリット 女中
ブランシュ 女中
ジュリエンヌ 両親を亡くしたいとこ
エミリー伯母 アンリの伯母 フリーメイソン会員
アルフォンス マルソーの家庭教師 通称パパ・ガトー



伯父とクルマに乗って豪華なアパルトマンに着いたオリヴィエは
女中によって風呂に入れられ、着ていた服は処分され、いとこのお古を着せられる

長男マルソーは肺病を患っていて、スイスのサナトリウムにいる
次男ジャミは夏休みで田舎の別荘にいる

ヴィクトリア伯母:
学校の成績が良かったら中学に行かせてあげます
ダメならうちの倉庫で働きなさい
それも務まらないようなら、ソーグで牛の面倒でもみることね

伯母はこれまでの下町言葉を改めさせ、ブルジョワの作法を身につけさせようとする
女中マルグリットとブランシュは、オリヴィエに靴磨きなどの家事を手伝わせるが
“食べて、喋って、寝るだけ”の生活をフシギに思い
雑用をすることがこの家で“厄介”になる条件だと思うオリヴィエ
(労働を苦にしないのは、この家にピッタリだったよね

オリヴィエ同様、身寄りのないいとこジュリエンヌは
週に一度訪ねて来て家族と一緒に食事をする
ジュリエンヌはマルソーが好きで、オリヴィエを無視する

本の虫のオリヴィエに伯母は居間の本棚から数冊貸してくれる
『モンテ・クリスト伯』や『家なき子』に夢中になるオリヴィエ

アンリ伯父はオリヴィエに藤のステッキをロンドン土産に買ってくれる
伯父は紅茶マニアで、あらゆるお茶を買って帰る

女中はオリヴィエに買い物を頼み、以来、アパルトマン周辺の通りを散策する自由を得る



スイスの高級サナトリウムから戻ったマルソーは、スポーツ好きの少年で
ヴィクトリア伯母が嫌う下品な喋り方をして、タバコを吸ったり、酒を飲んだり
ジュリエンヌら女の子とカーテン裏でキスしたりとやり放題
(ジェラール・フィリップに似てるって相当なハンサムじゃん/驚

ヴィクトリア伯母:早くもラバ通りの悪影響が現れはじめたのよ!
オリヴィエ:ぼく、何もしてません、伯母上

部屋にある蓄音機でベニー・グッドマン、カウント・ベイシー、サッチモなどのジャズを聴くマルソー
オリヴィエはすっかり尊敬してボスとして敬う

ときどき咳の発作を起こすが、またサナトリウムに戻されるのがイヤで
オリヴィエはマルソーが咳をするたびに一緒に咳をして誤魔化す

マルソー:
親父はけっこうイカしてるよ 迷えるロマンチストってとこだ
おふくろは「偉大なる変人」てとこかな

ジャミは“かわいいぽちゃぽちゃ坊や”そのもので、オリヴィエをすっかり気に入って
オリヴィエは俳優などの真似をして笑わせる

オリヴィエはブーグラに手紙を書くが「転居先不明」で戻ってくる
ジャンとエロディーから「また放浪の旅に出た」と書いてある

マルソーは体が弱いため家庭教師パパ・ガトーがつき
オリヴィエは小学校に通いはじめるが、いつも空想に気をとられるせいで身が入らない

学校帰りは一番楽しい時間で、あらゆる通りを散策するが、ラバ通りだけは避けている
夜は布団をかぶって懐中電灯の灯りで本を読む

本を買うお金を貯めるために、アンリ伯父の工場も手伝う(紙の工場は楽しそうだなあ!
ヴィクトリア伯母が精力的に働く様子を見て感心する

デルソー家ではしょっちゅうパーティーが開かれ、映画に出演している俳優も来る

木曜の午後は、マルグリットとジャミと一緒に公園を散歩する
映画館の支配人はマルグリットの知り合いで、3人で映画を観る

アンリ伯父はオリヴィエの本好きを見て、図書館に登録するようすすめる

アンリ伯父:大きくなったら何になりたいんだね?
オリヴィエ:ぼく、何にでもなりたい!

アンリ伯父はオリヴィエを図書館に連れて行く
オリヴィエは散々迷って、AとZから1冊ずつ借りていくことにする

アンリ伯父:私は新聞スタンドから始めたんだ

アンリ伯父は自分の好きな散歩コースに連れて行く
「プチ・カジノ」で懐かしのマイヨールが歌い
2人で楽屋を訪ねて、アンリ伯父は若い頃
ハイ・バリトン歌手を目指して挫折したと分かる











ローザンヌの医者はマルソーの右肺に曇りを見つけて手紙をよこすが
「ばらすなよ」とオリヴィエに約束させる

オリヴィエはヴィクトリア伯母が捨てたたくさんの帽子をぼろ屋で売り
古本と交換したことを冗談にされる

ヴィクトリア伯母がオリヴィエに亡き母ヴィルジニーの墓参りに行くよう命令する
オリヴィエ:母さんは、こんな中にいないよ
マルグリット:天国にいるのよね
オリヴィエ:違うよ! 母さんはラバ通りの小物屋さんにいるんだ

ブランシュは付き合ってた男の子どもを妊娠して捨てられた

ヴィクトリア伯母はオリヴィエを連れて豪華なデパートに来る
アイスクリームを買ってあげるが、婦人は歩きながらアイスなんて食べないと教える

ヴィクトリア伯母:
あなたの気持ちは嬉しいわ
せっかくだから頂いて、私からあなたにプレゼントしましょう
どうぞお食べなさい







男っぽいエミリー伯母が訪ねて来て、嵐を呼ぶ

夏休みが近づき、マルソーはロンドン、ジャミと伯母はモンリシャール
オリヴィエは祖父母のいるソーグ村に行くことになる



マルソーはひどく咳き込み、痰に血が混じっているのを見てさらに心配になったオリヴィエは
自分だけにしまっておけず、誰にも話さないと約束させてマルグリットに話してしまう

オリヴィエの通信簿はひどく、マルソーに話すと、父のサインを真似て書いてくれる
家族で食事の際、通信簿の話になり、マルソーはあっさり、オリヴィエが偽造サインしたと話して
伯父、伯母は激怒する

マルグリットが伯母にマルソーの体調を話したため
マルソーはオリヴィエが裏切ったと知って鼻血が出るまで殴る

マルソー:裏切り者!

オリヴィエは夜、アパルトマンを出て、放浪の旅に出ようと思う
浴槽でひと晩寝て、1年ぶりにラバ通りを訪ね
学友ルルーと再会するが前のように話が続かない

マドはニースに引っ越し、ジャンとエロディーは念願のサン・シェリーにヴァカンスに出かけた
アルベルティーヌはなんだかよそよそしい話し方
オリヴィエは別れてから急に泣き出す

樽の中で2日目の夜を明かし、翌朝、また歩くと、気づけば出発地点に戻っていた
ぐったり疲れてベンチで寝ていると、心配して探していたマルソーが見つける
2人の間に初めて本当の兄弟らしい感情が生まれる

マルソー:帰ろう、みんな待ってるよ



数日後、みんなバラバラになる前に揃って散歩に出る
マルソーは結核の治療を受けるためにローザンヌの療養所に行くことになる
伯父は3本のミント・キャンディーを買って、3人の息子たちにあげる




少年時代の光 オリヴィエと1930年代のフランス 鹿島茂
オリヴィエが見たラバ通りは光と喜びに満ちていた
その理由の1つは、彼が自分であることに目覚める少年時代だったこと

第一次世界大戦の後、束の間訪れた平和で豊かな1920年代
1929年にニューヨークのウォール街で起きた株の大暴落の影響の不景気と失業
ジャンが失業したのもそのせい

第一次世界大戦で勝ったフランスは、アルザス・ロレーヌを取り戻し
多額の賠償金をドイツからとり、二度と戦争をする気はなかった
ナチスの噂があっても誰も本気で信じなかった

民衆はほどほどに働き、ほどほどの収入を得て、ほどほどの消費と娯楽で十分に幸せだった

モンマルトルでは仕事と生活が同じ場所で行われる昔風の生活習慣が残っていた
子どもは親の職業を継ぐのが当たり前

子どものいる若夫婦が家賃の安くて広いアパートを求めて引っ越してくることが多かった

フランスの夏は短く、パリは冬が長く厳しい
オリヴィエは初夏から真夏までの光があふれる通りで過ごしていた

伯父夫婦のアパルトマンは、遠くに感じられていたが
実際は歩いて行ける通りの区にあった








デルソー家は「ブルジョワ」と呼ばれる階級
先祖から受け継いだ土地の収穫で生活する貴族に対して
知恵を働かせて財をなした商人をさす

丁寧な言葉遣いなどにこだわるのは、貴族の真似ではなく
生活のモラルに忠実であろうとするから

男たちに伍して働くヴィクトリア伯母が着るシャネルスーツは
それまでの高級婦人服とは違って、新しいタイプの女性のためにデザインされていた







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ラバ通りの人びと 福音館日曜日文庫 オリヴィエ少年の物語 1 ロベール・サバティエ/作 福音館書店

2024-12-13 18:33:22 | 
1995年初版 堀内紅子・松本徹/訳 茂田井武/ジャケット・イラストレーション


「家庭小説」のくくりで借りてみたけれども、違ったか?

作者が10歳の頃を思い出して書いた物語
章のイラストはフランスの住所を表すプレート

当時のパリを知ってる人が読んだら懐かしいだろうけど
そうでなければ、ただひたすら延々と雑多な人たちが出てきては動いて、話している文章が続いて
主人公の少年のストーリーがさっぱり進まないのにイライラした

そのうち、登場人物たちが頭の中で固定すると
今度は、その人たちと別れるのが途端に辛くなるからフシギ

オリヴィエが無邪気な少年だから好かれることもあるし
それだけ繊細だから余計辛い思いもしたことだろう


【内容抜粋メモ】

登場人物
ピエール・シャトーヌフ 父
ヴィルジニー 母
オリヴィエ 息子 10歳

アルベルティーヌ 面倒見のいい女性
ジャン ヴィルジニーのいとこ 印刷機の操作係
エロディー ジャンの妻
クモ男 身体が不自由な男 ダニエル
リュシアン 吃音 ラジオを聴くのが好き 妻は肺病 子どもが1人
マック 不良青年
ブーグラ 硬貨を加工して指輪を作る 老いたアナーキスト
ルルー、カプドヴェール 小学校の同級生
ガストゥネ 元軍曹 戦争の手柄話が大好き
マドレーヌ マド マヌカン 以前はタクシーガールをしていた
パパ夫人 孫が唯一の自慢
グロマラール 管理人









父は5年前に亡くなり、オリヴィエと母ヴィルジニーは
ラバ通りの小間物屋をして仲良く暮らしていた
30歳のヴィルジニーは若く美しく、たまに恋人が訪ねて来るために、親戚からは非難されていた

ある朝、ヴィルジニーが起きなくてフシギに思っていると、亡くなっていた
その日からオリヴィエは学校を休み、母のいとこジャンと妻エロディーの家に世話になる

何度も「親族会議」が開かれ、金持ちの伯父夫婦に引き取られるまで
毎日、モンマルトルの通りをうろつき歩く

映画が子どもの小遣い程度で観れるっていいなあ!
ローレル&ハーディ、チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイド・・・
(マルクス・ブラザーズは?

オリヴィエは母が亡くなってから暗闇を怖れるようになり
いつもマッチ箱をポケットにしのばせている

映画で観た焚書のシーンがショッキングで
落ちていた紙に火をつけてボヤ騒ぎを起こし
ブーグラがかばってくれる

ブーグラ:
元気を出すんだ あんなのは大したことじゃない
そもそも大したことなんて何もありゃしないのさ!


リックとラックという犬を飼ってる美しいマドは
ちょくちょくオリヴィエを誘って散歩したり、カフェでおごってくれる
(リギッテ・ヘルムにそっくりとあって、調べたら映画『メトロポリス』の女優だった

不良のマックは学友にいじめられているオリヴィエを見て
ボクシングを教えてくれる

マック:
世間ってなジャングルだ しぶとい奴が生き残り、ヤワな奴は潰される
親父は飲んだくれ、おふくろは家出 だがこのマックは最高のタフガイだぜ!

ラバ通りのどんづまりの住人は、いろんな所から集まった人たちだった
スペイン人、イタリア人、アラブ人、ユダヤ人、ポーランド人、白系ロシア人、、、

ジャンは印刷所の仕事が減り、撮影所でエキストラをしたりして食いつなぐ
エロディーはヴァカンスのために貯めていた貯金も崩さなければならなくなる

ブーグラも酒や食べ物に困るといろんな仕事をした
サンドイッチマン、高級住宅の床磨き、、、

ブーグラ:今に分かる どんなことがあったって、人生ってのはいいもんだ

“生きてくって、なんて楽しいんだろう! なんて寂しいんだろう!”



いつからか、クモ男が通りから消えたのに、誰も気にかけない
アパートを訪ねると、管理人はダニエルは大声で叫びだして、病院に運ばれて行ったと話し
ダニエルが持っていた難しい本をオリヴィエにあげる

ヴィルジニーは、オリヴィエにとって母であり、恋人であり、姉であり、娘であり
乾いたすすり泣きと湿った涙だった

ヴィルジニーが死んでから、他へ出ていけない場所、閉ざされた空間は
すべてが棺桶みたいに思えた(パニ障の広場恐怖と似てるな

ある日、マックはブーグラを悪事の仲間に誘うが断わられる
その後、盗品の横流しがバレて警察に連行される

“誰かが急に消えても、残りの人には大した出来事でもなんでもない”

“人は本当に愛し合うことはない
 友だちはこれからもできるだろうが、しょせんは通り過ぎていく人たちだ”

ブーグラ:神さまってのは、お前やわしや、他のみんなのことだ



夏休みになり、子どもたちは家族と一緒にヴァカンスに出かけてしまう

“通りには幸せな人なんて、もうほとんどいやしない
 ヴィルジニーのいた頃には、そんなことに気づきもしなかった”

マドもヴァカンスに出かけてしまった

ジャンは製版工場で働きだし、エロディーと3人で久しぶりのご馳走を食べた後
オリヴィエは伯父夫婦が引き取ることに決まり、15時に迎えに来るといきなり告げる

ブーグラ:
友だちにさよならの挨拶もなしか?
きっとうまくいくよ、大丈夫

2フラン硬貨で作った指輪をあげる



あれらは、どこに? ラバ通りとオリヴィエのあのときといま ジャン・クリスチャン・ブーヴィエ
東京が今世紀の間に大きく変わったのに比べれば、パリはほぼ変わっていないが
小説内の町を歩けば、子どもの姿はなく、活気のない住宅街になっている

貧民街の悲惨、蔓延するアルコール依存症、ファシズムの台頭・・・

すべてが本当に変わったのは、60年代に消費社会が到来してから
冷蔵庫、テレビ、自家用車の普及が通りと世界との断絶をハッキリさせた

オリヴィエの物語は1995年現在6冊に達している
(このシリーズは3冊までだけど?


ロベール・サバティエ
1923年 パリ生まれ
幼くして両親を失い、第二次世界大戦では対独レジスタンス運動に参加
戦後いくつかの職業を経て、詩集、小説を刊行












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グウェンの旅だち ヒルクレストの娘たち 4 R.E.ハリス/作 岩波書店

2024-11-23 11:27:57 | 
1995年初版 脇明子/訳 エマ・チチェスター・クラーク/カバー絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


引いて見ると、4姉妹と3人兄弟の出会いは
それぞれ年齢の近い同士でカップルになるのが必然的に決まってたようなものだな
昔はとくに男女が出会う機会も限られていただろうし

それにしても、牧師ってそんなに儲かる仕事なのかなあ?
父が軍人だったパーセル家より、全然いい暮らしをしてるのは、母親の資産のせいなのか?

トニーが飛行機に興味を持ち、年齢的に第二次世界大戦の時に入隊する姿が見えたのは私だけじゃないのでは?
みんな酷い経験をしてまだ間もないのに
またさらに過酷な戦争になるなんて、アホすぎるけれども
蘭とグウェンとの関係が大きな意味をもつエンディングに感動した

さて、ハリスさんはこのシリーズを6作まで書く予定だそうで
次はセーラのその後を執筆中とあるけれども
2024年の今もまだ本になっていないのか?

【内容抜粋メモ】

登場人物
パーセル家 ヒルクレスト ヒュイッシュ・プライオリ
フランセス 長姉 息子アントニー(トニー)
ジュリア 娘ロウィーナ 息子アンドリュー
グウェン
セーラ インド
アニー 家政婦兼コック 25歳 寝たきりの義母、義弟と義妹の面倒をみている

マッケンジー家
父 牧師

ガブリエル フランセスの夫
ジョフリー 戦死
アントニー 戦死
ルーシー

デニス 絵画のバイヤー 妻ポーリーン・ボンド
デヴィッド・エリオット少佐 ジュリアの夫
ホワイトロー ジェイムズ卿の園丁頭



■一 アントニー
母が亡くなって3年後、グウェンは庭を取り仕切るのを庭師ウィリスは嫌がっている
ジェイムズ卿の園丁頭ホワイトローは忙しい中を縫って、グウェンの相談役をしてくれている

1つ年下のアントニーは、みんなでクォントックス登山に行く際
庭を離れたがらないグウェンに「君が来ないとつまらない」と言って誘う

4姉妹で育ったグウェンは、いたずら好きで、からかってばかりのアントニーを最初好きになれなかった

グウェンは父母が亡くなった時に家を離れていたことから
留守にしてると何か恐ろしいことが起きそうで離れられないのかもしれないと打ち明ける
アントニー:君に辛い思いをさせることは二度と起こらない 僕がさせない

その日からアントニーはグウェンをいろんな場所に連れて行った

アントニーは将来、大詩人になる夢を話し、グウェンは結婚してそれを支える想像をふくらませる
アントニー:詩人は人生を経験しなくちゃならないからね

グウェンはペン画や水彩画が得意で、挿絵で身をたてようと思う

アントニーは農業資材店で働くジョージ・クロスと仲良しで
自転車を借りて、マインヘッドまで飛行機を見に行った話をしてグウェンを誘う
アントニー:人生、自分で切り開くことが必要だよ

たくさんの人が見守る中、飛行機は水に墜落したが、2人のパイロットは救助された



第一次世界大戦が始まる
ウィリスも入隊した

ホワイトローから見事な蘭を見せてもらい、1つもらう
ホワイトロー:生きていくには美しいものが必要ですよ こんなご時世ならなおのことです

アントニーは年齢に達しないのに入隊したと聞いてショックを受ける
アントニー:普遍的真実を探求するには、何かを体験することが不可欠なんだ

アントニーはほとんど手紙をよこさなかった
エジプトから甲虫(スカラベ)を送ってきて、それから2週間後に戦死する

アントニーの幻影を見るグウェン
アントニー:ぼくらの魂は身体をあとに残して飛んでいくんだ

グウェンは怒りを感じ、やがて罪の意識に変わる
(ヒトが悲しみを感じる段階だね 土いじりは感情消化に一番いい気がする

グウェンはアントニーが「うわついてる」と言った蘭を燃やしてしまう

人間は生まれ、しばしこの世にとどまり、また去って行く
人間をあてにしてもなにもならない 永遠に残るのは土地だけだ”

■二 蘭
(グウェン38歳! 急に飛ぶな

セーラは夫がインドに配属されて、そっちで子どもと一緒に暮らしている/驚
ビル・ロバーツは18年前に亡くなり、ジェイムズ卿は病気でロンドンに引きこもっている

ホワイトローは臨終間際にグウェンを呼び、蘭を全部譲るから育ててほしいと頼む

グウェンは戦闘神経症のウエイトを雇い、庭を手伝ってもらっている
ときどき“発作”を起こして休むことがある

アントニーから名前をもらったガブリエルの息子トニーはグウェンのお気に入り
夏休みにグウェンの庭仕事を手伝ってバイド代をもらいたいと相談する
なぜお金が必要かは話さない

ジュリアの紹介で、コール商店に行くと、活け花の客用に切り花を売って欲しいと言われ
グウェンはコヴェント・ガーデンの値段を参考にたくさん売るようになる

ホワイトローは蘭の交配もしていて、まだ花も咲いていないのを
「クエスチョン・マーク」と名付けるトニー

ガブリエルはまたヨーロッパの情勢が悪化しているのを心配する
マッケンジー:どうもよく分からない、あのヒトラーという男は・・・

ガブリエルはエベルト教授から急に手紙が来て、グウェンの蘭のコレクションについて書いた



自動車修理屋のジム・ハリソンはトニーがクルマのエンジンに興味を持っていると話す
アンドリューは鳥類学者になるのが夢
ロウィーナは亡命者に興味津々

ジュリアはミセス・メイヤーを紹介する
彼女は雑草まで使って斬新な盛り花を作り、病院やホテルにも売っている
自分は花屋ではなく、芸術家で、ヒルクレストに育つものを送ってほしいとグウェンに頼む
グウェンは自分の絵描きとしての勘も活かして選ぶことにやりがいを感じる

ルーシーだけは昔と変わらず両親の世話に明け暮れて、結婚もせず家に縛られている

ルーシー:
クォントックスの遠足が私たちの人生の頂点だったじゃないかって気がする
あなたたちがすごく自由なのが羨ましかった

帰り道で猛スピードを出すバイクの後ろにトニーが乗っているのを見て驚く
運転していたのは、メアリーの息子ロバーツ

■三 トニー
グウェンは蘭の魅力にすっかり取りつかれる

ウエイトが発作で来なくなり、トーントンの下宿の家主をしている姉妹から手紙をもらい
見舞いに行くと、ガブリエルと同じ戦功十字章をもらった将校だったと知る

ガブリエルとフランセスはトニーをデヴォンへ連れて行こうと思い、グウェンを訪ねる
トニーは名付け親のメアリ・メレディスと息子ヘクターのもとで休暇を過ごしていると言っていたがいなかった

内戦中のスペインに行っているのかもしれないと心配したグウェンは
休み中に庭を手伝ってもらい、ずっと労賃を払っていたとガブリエルに話す

トニーは小さい頃、飛行機に乗せてもらった感動が忘れられず
将来、パイロットになる決心をして、教習を受けるお金を貯めて
トーントンの航空ショーを見に行き、サフォークの飛行場で使い走りをしていた

グウェンが以前、アントニーが「誰にも言わなきゃ心配の種にもならない」と話していたのを引き合いに出す
トニー:戦争になったら、空軍はありたけのパイロットを必要とするだろうな

トニーからグウェンが外の世界を全然知らないと言われて悔しかったのが
後にドイツ行きを決心させるきっかけとなる
ガブリエルはエベルト教授が蘭のコレクションを絵に描いてほしいと言ってきたと伝える

グウェンは婦人会の会合で蘭の講演を頼まれて、大成功に終わり
ホワイトロー夫人は涙して喜ぶ



クエスチョン・マークがとうとう花を咲かせ、アレグザンダーを訪ねると
コンクルールに出さないかとすすめられる

■四 ドイツ
汽車に乗っている時、鉤十字の腕章をした男に女が連れていかれ
子どもが泣き叫ぶ姿を見て驚くグウェン

女性客:通貨持ち出し制限に違反したんでしょうね 国外に持ち出すのは20ポンドまでと決まってる

ミュンヘンに住むエベルト教授の娘マグダの家でいったん泊めてもらうが
夫は病気で寝たきりで、家は貧しく、2人の子どもは笑顔もない

マグダ:
私が初めて恋したのは、ガブリエルでした
父が大切にしているのは花だけです
(蘭について)美しいなんて贅沢です

エベルト教授の温室にはありとあらゆる蘭が咲き乱れていて言葉を失うグウェン
グウェンは毎日訪ねて、自由に蘭を描く

クエスチョン・マークがコンクールで最優秀品種賞を獲得し
アレグザンダーは150ポンドで売ってほしいと手紙で言って来るが売るつもりは毛頭ないグウェン

最後の日、エベルト教授はグウェンを夜食に招く

エベルト教授:
娘の夫はユダヤ人で死にかけている
大学をクビになり、働いていないことを理由に逮捕された
収容所でとても持てないような石を運び、心臓をやられて返された
離婚すればいいのに聞かない 娘も職に就けないため、イギリスに行くしかない

エベルト教授は蘭を売った金でダイヤモンドをちりばめた大きなブローチを買い
グウェンにイギリスに持ちかえってもらい
それを売ったお金で娘と孫がイギリスに行った時の生活費にしたいと頼む

最初からそのつもりだったのだと分かり、騙された気がしたグウェンは怒ってホテルに戻るが
冷静に考えて、引き受ければよかったと後悔する

パーセル姉妹が両親を亡くした時、周りにはマッケンジー夫妻、ジェイムズ卿などがいて幸運だった

翌朝、エベルト教授はホテルを訪れ、グウェンはブローチを受け取る
それを堂々と身につけて汽車の税関を通る

ホワイトローの蘭をアレグザンダーに売り、マグダの子どもたちを育てる資金にしようと考える
クエスチョン・マーク改め、蘭の名前はホワイトローに決める

イギリスに帰り、ガブリエルらに相談し
亡命希望者はビザがもらえると知る

以前、個展を開いた時、場違いな思いをしたが、自信を持って臨もうと思うグウェン

“記憶は消し去ってしまってはいけないのだ
 まっすぐにそれに立ち向かい、受け入れなくてはならない”


エベルト教授はグウェンも隠遁者ではないかと言ったが、これからは違う
グウェンはヒルクレストに身を隠さなくても生きていけるようになっていた



訳者あとがき
ヒトラーについてはハンス・ペーター・リヒターの『あのころはフリードリヒがいた』をすすめる
身分階級制度が流動化しつつあり、とくに自動車や飛行機などに関わる分野で顕著だった

セーラとジェスの関係にも現れている
子ども時代は友だち同士だったのに、階級の流動化は女性まではなかなか及ばず
子守になるしかなかったジェスはセーラを拒むようになった










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海を渡るジュリア ヒルクレストの娘たち 3 R.E.ハリス/作 岩波書店

2024-11-22 18:04:58 | 
1992年初版 脇明子/訳 エマ・チチェスター・クラーク/カバー絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


同じ家族、同じ時代を別の人物の視点で描くことで
今度はジュリアがどう生きたかが気になってどんどん先を読みたくなる
家族であっても、1人1人の考えが違って、分からないものだなとつくづく感じる
そして、年齢が上になるほど、戦争に対する感じ方もよりリアルになっていく

とくにジュリアは従軍看護婦として働いていたため、血生臭い表現がないのが有難いくらいで
傷病兵がひっきりなしに運び込まれて、休む暇もない日々は想像をはるかに超えるし
フランセスが描いた戦闘神経症のジョフリーの絵がどんなだったか考えるだけで胸が悪くなった

第一次世界大戦ですら酷かったのに、さらに武器などが多種多様になった第二次世界大戦の前線は
地獄絵そのものだったろう
そんな時代を知らずに生まれ育ったことは本当に運が良かったと思う



【内容抜粋メモ】

登場人物
パーセル家 ヒルクレスト ヒュイッシュ・プライオリ
フランセス 長姉 17歳
ジュリア 15歳
グウェン 13歳
セーラ 7歳
アニー 家政婦兼コック 25歳 寝たきりの義母、義弟と義妹の面倒をみている

マッケンジー家
父 牧師

ガブリエル
ジョフリー
アントニー
ルーシー

ミランダ・カートライト
ヘスター・ダン 准男爵令嬢
デニス 絵画のバイヤー 妻ポーリーン・ボンド
デヴィッド・エリオット少佐











■1910年
ジュリアがマッケンジー夫人の『家政大全』を読んでいる時
ジョフリーが帰宅して、母の死について「運が悪かったな」ってひどく言葉足らずだなあ

生まれてからずっと姉フランセスと比較され、コンプレックスにしてきたジュリアは
長兄ガブリエルとアントニーに挟まれて、大嫌いな学校に通い
将来は父と同じオックスフォード大学に行くのを期待されて凹むジョフリーと似ている気がする

ジュリアは肖像画を描くのが好きだが、フランセス同様
スレイドの美術学校に通う気はないと言ってフランセスを困惑させる

ジュリアは学校でミランダ・カートライトと仲良くなる
ミランダはフランスにジュリアと一緒に行きたいと言うが、マッケンジー夫人が断った
父が母にクリスマスプレゼントとしてあげたパリを描いた水彩画の画集を見て、パリで絵を描きたいと思う



マッケンジー家の晩さんに呼ばれ、初めて髪を結って行くと、ジョフリーは釘づけになる
ジュリアはジョフリーがインフルエンザにかかった際
クスリになる黒すぐりのジュースだと思ってニワトコ酒を飲ませて酔わせてしまい
なんとか牧師館のベッドまで運ぶ

マッケンジー兄弟はパーセルの姉妹にダンスを教える
ジョフリーは将来、軍隊もダメ、聖職もダメとなると、先生になるしかないと打ち明ける



みんなでクォントックス登山に行き、納屋で泊まり、海に足を伸ばす
ジョフリーはジュリアにキスする

その後、フランセスがガブリエルのプロポーズを断って、みんな驚く

カートライト夫人は再度、ジュリアにミランダと一緒にフランスに行ってほしいと頼む

■1914年
戦争が始まり、ミランダの叔父アンリが捕虜になったため
エイミー伯母はカートライト家に厄介になる

ガブリエルとジョフリーは村で一番に入隊し、ジョフリーはいつか一緒にパリを見ようと約束する
フランスに行ったジョフリーは「最高のピクニックみたいだ」と嬉々として手紙を書いてきた

アントニーが戦死する

グウェン:たった一通の手紙しかくれなかったわ
ジュリア:アントニーはずっとごっこ遊びの世界にいたのよ
グウェン:彼には私が必要だった

ジュリアはなんとか役に立ちたい一心で、義勇医療部隊に看護婦として参加する
正規の看護婦からは単なる下働きの雑用係扱いされるが
ジュリアもミランダも戦争が終わるまで正式に契約する

アニーと付き合っていたバート・ホーキンズが戦死した

アニー:
セーラ嬢さまがオックスフォードに入られたらと思っていました
私は根っからの田舎娘で、町で暮らすのは想像もつかないから
まあこれでよかったのかもしれません

ミランダは両親が一人娘を心配してフランス行きに反対し、泣く泣く諦める
ジュリアは応急手当免許を取り、塹壕から運ばれて来る
汚くて臭くて血だらけの男たちの世話に明け暮れる

“いったい誰が基地の病院で寝ている何百人もの負傷者たちの穴を埋めているのだろう?”



ジョフリーが膝を傷めて休暇をとって会いに来る
その後も時間を作っては訪れて、看護婦らから慕われる
戦争に役立つ仕事をし、ジョフリーを支えて、ジュリアは幸せをかみしめる

ジョフリー、パターソン、ジュリア、クローフォードでダブルデートに出かける
ジョフリーはウェストミンスター公爵夫人の病院で看護をしている准男爵令嬢ヘスター・ダンの話をする

ガブリエルが戦功十字章を受章する

ジュリアはジェフリーとパリで会うため、エイミー伯母のアパルトマンに泊まる
凍死者が出るほどの寒さでも、石炭もない

2人きりになったのはこれが初めて
ジョフリー:何年も前からずっと君を愛していた
パリは愛と幸福に輝いていた



ミランダの知り合いミラー少佐が会いに来て
食後、ホテルの部屋をとって入浴していけばいいとすすめてくれる
基地では水が凍って、入浴は問題外なため生き返った心地がする

ミラー少佐は初めて息子が生まれたと自慢する
ジュリアは父は息子を欲しかったのではないかと思う

ミラー少佐のはからいで休暇をとったジュリアはジェフリーに会いに行く
汽車はのろのろ走っては止まる

ジョフリー:怖くなるのが怖くてさ それと、怖がっているのを見られるのが一番怖いんだ
(これってパニック発作の予期不安とも通じてとても分かるな

ジョフリーは金の指輪を渡してプロポーズし、戦争が終わったら、パターソンとカナダで仕事する夢を語り
ジュリアも一緒に来てほしいと話す

ジョフリー:僕らは要塞に入るよう命令を受けてる この休暇がもらえたのはそのためだ



経験豊かな看護婦たちは、前線の野戦病院に送られた
ジョフリーからの手紙が途絶え、軍用簡易葉書が届いてショックを受ける
「元気です」や「お手紙ありがとうございます」の行に印がついているだけ

ジュリアはジョフリーと深い関係になって捨てられたのではないかと不安になるが
自分の手紙が戻ってきた時、戦死したと分かる

“戦闘神経症”にかかったバロウズを問い詰める

バロウズ:
みんないっしょに束になって倒れていたよ
死体なんかひとつもなかった 血みどろの大きな穴だけだ
パターソンはもっと前に無人地帯で溺死した

ジュリアは2年も休暇をとっていないことが分かり、総婦長から強制的に休めと言われる
患者からインフルエンザをもらって高熱を出し、デニスに電話してる途中で意識を失う

■1918年
ジュリアはデニスと妻ポーリーン・ボンドの家で休養している間に休戦を迎えた
デニスはジュリアに肖像画を続けるようすすめる

ヒルクレストに帰省して、またインフルエンザで寝込む

ガブリエルはフランセスから再度、結婚を断られてダブリン行きを決める
ガブリエル:あいつ(ジョフリー)のほうが帰ってりゃ、うまくいったのにさ

ミランダは婚約者ジョン・フォードを紹介するがとても退屈な男と分かる

フランセスは画家としてもひどいスランプに陥っていた
フランセス:描けないなら、生きていても仕方ない
ジュリアはスペインにでも出ればいいとすすめる

ガブリエルがダブリンで襲撃されて重体と聞き、フランセスはすぐに駆けつける
セーラはオックスフォードを受験して奨学金を授与する



ジュリアはガブリエルとフランセスの様子が知りたいため、エリオット少佐と文通するようになる
てっきり妻子もちの中年だと思っていたが、フランセスの絵でガブリエルと同じくらいの年齢で独身と分かって驚く



フランセスは絵を売り、グウェンは庭で野菜や果物を生産し、本の挿絵を描いている
セーラに不自由をさせたくないというのがフランセスの意志で
ジュリアは自分だけ家にお金を入れていないことに引け目を感じて
週2日、非常勤の美術教師の仕事に就くが、教える難しさにショックを受ける

ガブリエルがフランセスと病院の礼拝堂で結婚して帰省する
ガブリエルはデヴィッド・エリオットとジュリアが似ていると話す

ジュリアはフランセスが描いた戦死者の絵を見て感銘を受ける
ガブリエルがフランセスを天才と評したわけが分かり
姉と比較される重荷から解放され、やっと自由になる



エリオット少佐がヒルクレストに来て、マッケンジー夫人は質問攻めにする
両親は8歳の時に病死し、異母姉ヘレンはツェッペリンの空襲で亡くし
妹ロウィーナは看護中に感染病で亡くなった
デヴィッドは聖ルカ病院で外科医として働く予定

ジュリアはデヴィッドをクォントックス登山に誘い
デヴィッドはジュリアに音楽を教え、自分がどれほど家庭に憧れていたかを打ち明ける

デヴィッドは海辺のホテルで食事をした後、プロポーズする
デヴィッド:ジョフリーのことは済んだことです 僕はあなたをもう一度幸せにすると約束します

ジュリアは美術教師を辞め、トントン拍子に結婚式を終え、一軒家に引っ越す

■1930年
ヘスターに偶然再会し、結婚してすぐ絵を辞めたこと
長女ロウィーナと長男アンドリューの育児をしていることなどを話す

デヴィッドは高級住宅街のハーリー街に引っ越したがっているが、ジュリアは負担に思っている

ヘスター:戦争中が私の人生の最良の時期だったわ

アンドリューは学校を見て行きたくないと愚図り、息子を縛りつけるのに反対するが
デヴィッドはガブリエルとフランセスの長男トニーも通ってるんだし、すぐ慣れるという

デヴィッドからカナダに旅行しようと言われて、ジュリアは子育てを理由に断ってしまい
デヴィッドは1人で週末友人の所に泊まりに出かけ
ジュリアは子どもを連れて久しぶりにヒルクレストに帰省する

フランセスは子どもが学校に上がったら、ジュリアはスレイドで絵を学び直せばいいと提案する

フランセス:
重要なのは年齢じゃなく、才能があるかどうかよ
才能を持ってる人は、それを活用する義務がある

ジュリアの様子が変なのに気づいたガブリエルから声をかけられ、号泣してしまう
ジュリア:絵も失敗、結婚も失敗
(凹んでる時って0か100か思考になりがちだよね

ジョフリーが死ぬ前に手紙が途絶えていた話をする
ガブリエルはパターソンの死のショックが原因だろう
デヴィッドがハーリー街にこだわっているのは、ジュリアのためと推測する

フランセス:ジョフリーはあんたを愛してたわ 彼は戦闘神経症だった

その時に描いたジョフリーの肖像画を見て、誰か分からないほど変わっていてショックを受け
ジョフリーは親友パターソンを失くして壊れてしまったと知り
衝動的にクォントックスに来る

デヴィッドが来て、プロポーズした海辺のホテルに連れて来る
ガブリエルに言われて、ジュリアにとって絵を描くことの重要さに気づき、続けるようすすめる

デヴィッド:
君がどんどん遠くなるのが見えるのに、どう止められるか分からなかった
誰か他にいるんじゃないかと思い始めた

ジュリアはカナダへの休暇に行くと決め
子ども時代、母の葬儀で土を棺に落とした時すべてが終わったように
カナダへ行って、ジョフリーへの別れをしようと決意する

“新生活にしがみついたのは、受け入れがたい過去を覆い隠すためだった
何年もかけて積み上げた壁を壊すには暇がかかるが努力するだけの価値はある”



訳者あとがき
ジュリアは1人で思案し、決心が固まってから結論だけを言う性質(私もそうだな

第一次世界大戦は、熱烈に歓迎された
みんなクリスマスには終わるだろうと思っていたが、5年も続いた

新たな塹壕戦という形態になり、武器弾薬がわずかになり
両軍は狭い無人地帯を挟んで塹壕にこもり、無数の死傷者を出し続けた

問題は傷よりも細菌感染で、ペニシリンは1929年まで発見されず
看護婦たちが傷口を洗い、包帯をかえるのが唯一の治療法だった

女性は看護婦、物資や兵士を輸送する運転手、武器弾薬をつくる工場などで働き
戦後にも、女性の大規模な社会進出が続いた

ハリスさんは第一次世界大戦中にやりとりされた手紙を調べ
『ビリー 1914年から1916年までのネヴィル一家の手紙』を出版

本作は4部作の予定だったが、構想がふくらみ6冊になりそうで
4冊目はグウェン、その後は成長したセーラ、ルーシーで締めくくる予定
(本は4冊で止まってるみたいだけど?












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フランセスの青春 ヒルクレストの娘たち 2 ルース・エルウィン・ハリス/作 岩波書店

2024-11-21 14:38:57 | 
1991年初版 1992年 第2刷 脇明子/訳 エマ・チチェスター・クラーク/カバー絵

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1巻目と同じ1910~1920年の長姉verなのにビックリした
末っ子から2番目、3番目と繰り上がるのではなく長女なのもフシギ

ちょっとずつ食い違いがあるのも面白い
1巻の冒頭はセーラが7歳の時だけになおさら記憶が曖昧ということか

姉妹ごとにそれそれものの観方が異なるという手法を使って
作者はどうやってこの長編シリーズを書いたのか驚異的!

セーラから見るとフランセスはいつでも独断で物事を決めていたように見えていたが
本人は17歳で一家を守るのに必死で、ガブリエルにつねに頼っていたのが意外だった


【内容抜粋メモ】

登場人物
パーセル家 ヒルクレスト ヒュイッシュ・プライオリ
フランセス 長姉 17歳
ジュリア 15歳
グウェン 13歳
セーラ 7歳
アニー 家政婦兼コック 25歳 寝たきりの義母、義弟と義妹の面倒をみている
ウィリス 庭師

マッケンジー家
父 牧師

ガブリエル
ジョフリー
アントニー
ルーシー

ジェイムズ・ダン卿
キャサリン・ジャミソン 同級生
デニス・ボンド 絵の売買をする









■1910年
母が肺炎で亡くなったと校長から聞く
母が4姉妹の後見人に選んだのは、弁護士ベイナムとほとんど知らないマッケンジー牧師
ブリストルに伯母が2人いるが、子どもたちを預かるには高齢すぎる

母はフランセスに絵の道具いっさいを遺した
フランセスはマッケンジーの家に住むことなど論外だと思う
4姉妹にはヒルクレストが必要だとみんなの前で発言を通す

母はベイナムを信用せず、マッケンジー夫人を“お節介焼き”と言っていた
フランセスもまた同じ方向性で一家を守ることになる

母が絵を描くために家を出たことも知らずにショックを受ける
フランセスもプロの絵描きになるために美術学校に行くつもりと話すと驚くマッケンジー夫妻
フランセスは長男ガブリエルに説得してほしいと頼む

10歳離れたセーラのことは、これまでまったく意識していなかったが
母は勉強ができる子だと評価していたため、将来の教育を心配し
マッケンジー牧師はグウェンと一緒に勉強を見てあげると言ってくれる

庭の日時計に刻まれる文字を読むガブリエル
「太陽に顔を向ければ 影は皆うしろへと去る」



スレイドの美術学校で、トンクス教授を師にして、毎日がデッサンの繰り返し
これまでの田舎生活と一変して、フランセスはホームシックになる

ガブリエル:
帰りたけりゃ、いつでも帰れる
君が帰った時の母はそれみたことかという顔をするだろうな



クリスマス休暇、大晦日の仮装舞踏会で、フランセスはセーラのアイデアでボーディケア女王に扮する
ガブリエルとダンスをして、一緒に年明けを迎える

■1911年
学校でキャサリン・ジャミソンと知り合い仲良くなる
父は貴族で、ジャミソンは短髪にしたりして周囲を驚かせ、自由を満喫している

グウェンは勉強が嫌いで、庭の手入れに没頭する
フランセスは厩を改造してアトリエにする

フランセスはケンブリッジにいるガブリエルを訪ねる
ガブリエル:名付け親から遺産をもらって、ある程度自由にできるんだ

フランセスは母が父と結婚したせいで絵が描けなくなった話をする
フランセス:私は絵を続けるわ
ガブリエル:君が結婚して、足元に子どもたちがまつわりつくようになったら、今の話を思い出させてあげるよ

■1912年
ガブリエルがふさぐと家族も手を出せないため
フランセスに散歩に連れ出してほしいとルーシーから頼まれて
2人でクォントックスに登る
それ以来、2人は遠出を楽しみ、ガブリエルも調子を取り戻す

ガブリエル:君はどうして絵を描くんだい?
フランセス:すっかり没頭しているのが本当の世界で、現実は存在しないみたいになるの

■1913年
デニス・ボンドからギャラリーに来てほしいと手紙が来る
彼もスレイドに通う学生だったが、才能がなく、絵の売買、展覧会を開く才能に目覚めたと話し
フランセスは将来性のある画家で、支えさせてほしいと頼み、毎月手当をくれるようになる

ガブリエルはドイツから戻り、みんなでクォントックス登山をする
セーラに海を見せるために納屋で一泊し、翌朝、セーラが1人で海岸に行ったのに激怒し
セーラの怯える顔を見て、二度としないと心に誓う

ガブリエルは特別研究員(フェローシップ)の資格をなんとかとる
クリスマスにフランセスはセーラのドレスを買う

ガブリエルはフランセスにエメラルドの指輪を差し出してプロポーズする
ガブリエル:君は僕を愛している 自分でも分かってるはずだ
フランセス:もちろんあなたを愛しているけど、結婚する理由にはならないわ

ガブリエルと口論になり、姉妹とアニーに相談しても共感してもらえず八方塞がりのフランセス
“彼が愛したのは、自分の想像の中だけに存在する女性でしかない”

ガブリエルはフランセスにクリスマスプレゼントとしてマチスの静物画をあげて感激させる
謎あてゲームではアントニーの意地悪ないたずらで
セーラが結婚の格好をしていたため睨みつけて泣かせてしまう

■1914年
サラエヴォ事件を発端として第一次世界大戦が勃発
男たちは競うようにして入隊し、前線に赴いた

鍛冶屋のビル・ロバーツ、庭師のウィリスも
まだ年齢に達していないアントニーも入隊して周囲は驚く

マッケンジーはセーラを学校に通わせるよう提案する
セーラも学校に行きたがっていたと知って寝耳に水のフランセス
だが、1日学校を見学して帰ると、きっぱり断って、それもまた驚く

■1915年
ビル・ロバーツとメアリが結婚
ビルの妹リジーは、数週間付き合った青年と婚約し、彼は前線に旅立った

フランセスはガブリエルが最後の休暇で戻る前にオルダーニーのジョン一家の所へ泊りに行く

アントニーは村から出た最初の戦死者となる
彼が最後の休暇を終えて、仮装大会用に兵士の制服を着た子どもみたいに
タクシーから手を振っていたのを思い出す

ジュリアは義勇医療部隊の看護婦になると言い出し、止めるが決心は固い
ルーシー:あたながたは何でも自分のしたいことができてどれほど運がいいか分かっていない

■1916年
ガブリエルは戦功十字章をもらって帰省する
クォントックス登山に誘われて、また結婚の話が出てキレるフランセス

ガブリエルは自分が死んだら、陸軍大尉未亡人に250ポンド支給されると言って
結婚を“強要”されたと感じて、またひどい口論となる

■1917年
復活祭 ガブリエルは脚を負傷
将校の療養は通常、軍の病院や保養所に限るが、ジェイムズ卿のはからいで帰省する
ガブリエル:歩けないなら、生きてたって仕方ないよ

デニスがヒルクレストを訪ねて、フランセスに個展を開くよう提案する

フランセスはジャミソンのアトリエに泊まり、2人で空襲の光を見て“幻想的”だと思う
フランセスの絵は好意的に批評され、たくさん売れた
デニス:必要なのは、これから収集を始めようとしている人たちです

デニスはフランセスがガブリエルと結婚するのではないかと心配し、絵に影響が出ないよう忠告する

ルーシーは一家で海に休暇に出かけた際、どれだけ物を寄付したか自慢し合っていて閉口したと話す
ガブリエルがフランスへ戻るつもりと話して、父と大ゲンカにもなった

ガブリエルはセーラが大人になっても残るものをプレゼントしたいと言ってネックレスを選ぶ
ビルが♪ラモナ を演奏し、2人はダンスする

ガブリエル:
もし、僕になにかあったら、ルーシーと親を助けてくれるね
気が変わったら、手紙でしらせてほしい



ジョフリーはすっかり神経をヤラれて帰省する
フランスでジュリアと過ごしたと聞いて驚くフランセス

世界がどれだけ変わっても、絵を描き続けているフランセスに感嘆するジョフリー
彼は死体にあふれた戦場の話をして、心配したフランセスはミルン医師に相談する

フランセス:ジョフリーは戦線復帰を許可されるべきではない 戦闘神経症に違いない
ミルン:勇気に欠けるからといって、義務を逃れていいということにはならん
(彼も戦場に行っていたら、違ってたよね 医師はいつも病気になった気持ちが分からないのが最大の難点だと思う

■1918年
フランセスも戦死したのがガブリエルでなくジョフリーでホッとする
“戦闘神経症の少年をまた戦場に送って、何が名誉だというのだろう?”

セーラはジョフリーの死のほうが堪えて、フランセスが散歩に連れ出して、徐々に回復する
作家になりたい夢を知り、ガブリエルを崇拝していることで共通点が見つかる

急な休戦になっても、ガブリエルは占領軍としてドイツに赴く
ジュリアが帰省するが、すっかり変わってしまっていた
ジュリア:私、もう描くつもりはないの

■1919年
ガブリエルとフランセスはまたクォントックス登山に出かける
ガブリエル:僕があっちへ戻る前に結婚するのはムリかな?

手紙のやりとりでガブリエルはまたしてもフランセスが結婚に同意したと思い込む
フランセスの気持ちは変わらないと分かるとアイルランドへ行くと決める

ガブリエル:
さっさと死んじまえば、君も後悔するだろう
2人で心から願えば、僕らは幸せになれるに決まってる

フランセス:私は十分に願っていないのね



ガブリエルは友人メレディス夫妻にプレゼントするためフランセスの絵を選ぶ
フランセスがガブリエルのために描いたヒルクレストの風景画はあげられないと断ると
絵の代金を支払い、フランセスの言い値が高くて驚く
(絵に理解を示しても、心底では、それほど評価してないのが分かるな

ガブリエルは1910年にフランセスが一家を守ると決心した時から結婚したかったのだと明かす

ガブリエル:
君はいつも仕事を口実にして、誰も侵入できない自分だけの小さな世界に逃げ込むことができた
人生には暗い側面もあるんだよ

ルーシー:
私はあなたが正しいと思う
ガブリエルは自分勝手で甘やかされているから

あんなにフランセスを嫌っていたマッケンジー夫人もガブリエルをイギリスに留めるために
結婚してほしいとフランセスに頼みに来た

フランセスは、昔、スレイドでバカにしていた画家が戦争絵画を描いたのを観て感動する

デニス:
戦争が終わって1年経ち、誰も過去を振り返りたがらない
今、買い手はずっと若くなり、見聞が広く、本当に関心を持っています
また個展を計画している
どんなにひどいスランプも抜け出せないことはあり得ない

■1920年
セーラはオックスフォード大学を受験し、奨学金をもらえることになり
フランセスはどっと肩の荷がおりた気持ちになる
まったく絵が描けなくて、ジュリアからスペインにでも行くようすすめられる

ルーシーはガブリエルが重傷だとしらせに来る
フランセスはすぐにアイルランドに駆けつける

“フランセスが泣いていたのはセーラのためだった
こんなに大事に護ってきたのに、幸せにしてやれなかったセーラのためだった”



病院で面会謝絶と聞いて自分を見失い、エリオット少佐と看護婦長によって寝かせられる
意識不明のガブリエルに付き添い、助かっても、また歩けるかどうか分からないと言われる

母の誕生日に手紙を口述してほしいというハドソン歩兵を手伝い
プレゼントに顔のデッサンを描いてあげると、たちまち病室に噂が知れ渡り、みんな描いて欲しいと頼む
婦長:あの人たちには面会人がない

ガブリエルの意識が戻り、やつれたフランセスをメレディス中佐夫婦が食事に誘ってくれる
棚には自分の絵が飾られていて、なぜかフランセスをジュリアと間違える

エリオット少佐と話しているうち、フランセスはガブリエルと結婚しようと決意する(!
ガブリエルなしでは生きていても仕方なく、仕事もその埋め合わせにはならなかった
(結局、こうなるほうが女性の読者の心をつかみやすいのかもしれないな

フランセス:私、あなたと結婚したいの



病院に来て初めて肖像画を描いたハドソン歩兵が亡くなる
フランセスは深い感謝と哀悼を捧げてガランとした病室を描く
ガブリエル:君は変わったんだね



2人はエリオット少佐と釣りに行く
エリオット少佐とジュリアが文通していると聞いて驚く

エリオット少佐:
人を見たら、シン・フェイン党と思うことです
ノランも交通事故に遭ったというが、あれは軍で使うクロスリーにぶつかった傷です

フランセスは裸で川で泳ぐ(!

ガブリエル:
エリオット少佐はボクがケンブリッジに戻るのは不可能じゃないという
世界中の時間はみんな僕らのものなんだ



訳者あとがき
1つの出来事を複数の視点から書く手法は、時々使われるが
1人1人の少女の心の世界を語り、合わせ鏡のように対置することに成功したのは
この作品が初めてではないか(ほんと、そう思う!

絵画の変遷について
ラファエル前派
ウィアム・モリス→日本の白樺派にも影響
印象派:モネ、ドガ、ルノワール
後期印象派:セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ

1910年に開かれた後期印象派展で、イギリスの現代美術はこの年に始まったと言われる

フランセスの仲間も実在する名前
ネヴィンソン、ナッシュ、ゲルトラーの第一次世界大戦を描いた絵は実際に観ることができる








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丘の家のセーラ ヒルクレストの娘たち 1 ルース・エルウィン・ハリス/作 岩波書店

2024-11-20 14:51:56 | 
1990年初版 脇明子/訳 エマ・チチェスター・クラーク/カバー絵

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これも「家族小説」で探して見つけたシリーズ

これまでと違うのは、1冊で1人ずつが描かれていくこと
末っ子のセーラは他の3人の姉と少し歳が離れているせいで
いつも子ども扱いされて、除け者にされているのが悩み

美人で絵の才能に恵まれた姉たちと自分を比べて卑下し
勉強に励むことで見返したいという思いも秘めている

隣人のガブリエルを王子さまのように崇めて
長姉を憎むこともあるほど、一途でもある

第一次世界大戦によって、四姉妹と兄弟の関係に暗雲が垂れ込める

トラウマを抱えたアントニーが、兵隊を英雄視する発言や
のんびりした田舎の空気とのギャップに苦しむシーンは胸が締め付けられる
長姉だけが、矛盾に気づき、皮肉を言うことで社会に反抗してみせる

まだまだ働く女性や、芸術を極める女性は奇異な目で見られる時代において
ブレない長姉の姿は小気味いいけれども
愛情と共存させることが叶わないのは読んでいて悲しい



【内容抜粋メモ】

登場人物
パーセル家 ヒルクレスト ヒュイッシュ・プライオリ
フランセス 長姉 17歳
ジュリア 15歳
グウェン 13歳
セーラ 7歳
アニー 家政婦兼コック 25歳 寝たきりの義母、義弟と義妹の面倒をみている

マッケンジー家
父 牧師

ガブリエル
ジョフリー
アントニー
ルーシー











■1910年
父が亡くなり、その後を追うように母も亡くなり
喪に服すためにアニーがセーラの服を黒く染めている
フランセスは母の代わりに全力を尽くすと決心する



隣りのマッケンジー夫妻とガブリエルが来て、弁護士が今後どうするかを決めていく
母は勘当されていたため、頼る家はなく、マッケンジー牧師に姉妹の後見人を頼んでいた

屋敷を売って、トーントンに住むよう勧められるが
ヒルクレストの屋敷こそが一番大事だと主張するフランセス

マッケンジーはセーラに勉強を教えると約束
フランセスは美術学校に通いたいと言ってマッケンジー夫妻は驚く
ガブリエル:もう暗黒の中世は終わったんだ 才能はしまっておいてはならない

■1913年
セーラはマッケンジー一家とランチを食べるのが嬉しい
一般の家庭のように父母がいると想像する



ジョフリーは両親がガブリエルとアントニー贔屓だとセーラに打ち明ける
女の子はみんなハンサムなガブリエルを褒めるが、ガブリエルが好きなのは美人のフランセス
フランセスはスレイドの大学で奨学金をもらい優秀で卒業する
セーラだけは絵を描く才能もなく、興味もない



ガブリエルのアイデアでクォントックス登山をする
セーラは周りの反対を押し切ってついて行く

フランセス:私は子どもなんか持たないわ 絵を描くのと両方なんてムリだもの

ガブリエルは海軍士官の娘が海を見たことないなんておかしいと言って
セーラに海を見せるために農家の納屋で一泊する



マッケンジー夫人はガブリエルがフランセスと付き合うことに反対する
マッケンジー夫人とフランセスは意見が食い違うたびに言い争いとなる



セーラ11歳のクリスマス
フランセスが新しいドレスを買ってくれるが、自分の趣味じゃなくてガッカリする
主賓の席に座り、マッケンジーはセーラにオックスフォード大学をすすめる

フランセスはガブリエルが女性について進んだ意見を言うたびに
女性は結婚・出産で仕事がダメになるだけと主張して対立する

マッケンジー夫人はフランセスを“ボヘミアン”だと非難する
ガブリエル:ネズちゃん、人はみんな異なった考えを持っているんだよ

■1914年
第一次世界大戦の話題でもちきりとなり
男たちは先を争って入隊する

マッケンジー夫人は息子たちを誇りに思うが

フランセス:
バカな男の子たちが遊んでいるだけじゃありませんか
イギリスの男たちの半分は、野蛮なフン族を殺してこいと命令される
世界中気が狂ってる

アントニー:戦争はクリスマスまでには終わるよ

アントニーの入隊で、セーラは学校に行くことになって喜ぶ
マッケンジーのすすめで、ベッシー伯母の家から通うため、まず1日見学しに行くことになる



ベッシー伯母はセーラが来てくれて大興奮し、いろんな所を案内したいと語るが
女中ヴァイオレットは冷たく、モーディ大伯母は堅苦しい

母は頑固で、美術を続けることで父とケンカ別れになり
結婚祝いにヒルクレストの屋敷をもらったことが分かる



ラテン語の授業はカンタンすぎ、フランス語の授業はちんぷんかんぷん
休み時間には、クラスの女子に質問攻めにされ
美術の時間では、姉がプロの画家だからセーラも上手いはずだと紹介されて凹む
門に鍵がかかり、泣いて帰り、学校など懲り懲りだと思う

セーラ:私、行かないわ ヒルクレストから離れて暮らせるとは思えない

フランセス:
私もホームシックには恐ろしく悩まされた
私は従順でないという理由で学校を辞めさせられるところだった
母が結婚し、出産し、子どもに手がかからなくなってから絵を再開しても
以前のように描けずに泣いていたのを見て、私は絶対に結婚しないと決心したの

■1915年
セーラの親友だったジェスは春から子守りの仕事に就き、縁遠くなってしまう
ビル・ロバーツとメアリーは結婚し、ハネムーンの2日後には前線に旅立った

ガブリエルは最後の休暇に帰省したのに、フランセスはフランスに行ってしまう
ガブリエルはセーラに手紙を書いてほしいと約束させる

アントニーの戦死の電報が届く

■1916年
セーラはずっとガブリエルと文通を続けた
ガブリエル:どうして従軍画家にならないんだい?

セーラはガブリエルがフランセスのアトリエでモデルをしているのを見て気が引ける

ガブリエル:ボクは君と結婚したいんだ
フランセス:あなたが死んだ時に寡婦年金をもらうために結婚しろと提案してるわけね?

セーラは恋愛や結婚がどんなものか想像するがよく分からずアニーに聞く
アニー:完全な人間なんていやしません キリストさま以外にね

■1917年
セーラも卵を集めて寄付する活動に参加する
アニーの弟たちも前線に行っている

ジェイムズ卿はガブリエルを病院で見かけたと話す
「シボウトシンジザルヲエズ」という電報を受け取り
その後、脚に重傷を負ったガブリエルがジェイムズ卿のはからいで帰省する

ガブリエルがセーラの勉強を見る
ガブリエル:君は甘やかされている いろんなことを当たり前に受け取りすぎてると思うね

セーラはものを書くのが好きだと打ち明けると、知っていることを書くようすすめる
ジェスは先生になるのが小さい頃からの夢だったが家の事情で果たせなかった

ロンドンは頻繁に空襲を受ける中、フランセスは個展を開いて大成功する
ビル・ロバーツは戦争で失明した上、片手を切断された

ガブリエルは歩けるようになるとすぐ前線に復帰する



ジョフリーが休暇で帰省し、すっかり様子が変わってしまう
フランセス:神経をヤラれてるわね

ジョフリーが墓地でうずくまっているのを見つけるセーラ
ジョフリー:頭の中の大砲の音が消えないんだよ

ジョフリーは前線に戻り戦死する
セーラは自分が不死ではないと急に意識し
死んだのがガブリエルでなくて良かったと思っていることに気づいてショックを受ける

フランセスはセーラを心配して散歩に連れだす
どんなに暗い影もいつかは過ぎると分かるセーラ

■1919年
ガブリエルは今度はアイルランドに行くと言って家族を驚かせる

ガブリエル:
新聞に出ていることが本当と信じてさえいた
考えられないほど純朴だったに違いない
軍隊は罪もない人に血も涙もない虐殺をした
責任を負うべき将校は懲罰を受けるどころか昇進した
こうして戦っているのは、君にちゃんとした未来が開けるようにするためなんだと思うようになった


ガブリエルがセーラのヒザに頭を乗せたままうたたねしてしまい
セーラはガブリエルだけが大事で、どれほど愛しているかを実感する

■1920年
セーラはジェインと一緒にオックスフォード大学の入学試験を受ける
マッケンジーはセーラを自分で考え、自分の意見を持つよう教育したのが功を奏し
セーラは試験に合格し、奨学金を受けることに決まる

フランセス:
教育は大切だわ あんたは自分で身を立てていけるようにならなくちゃならないし
あんたが家名を上げてくれるってみんなあてにしてる

フランセスはしばらく絵が描けていないと打ち明ける
フランセス:描けないなら生きていても意味がない気がするの

フランセスは気持ちを入れ替えるためにスペインに行く決心をする

セーラはマッケンジーにこれまでの感謝を伝える




訳者あとがき
このシリーズはイギリスのサマーセット地方の小さな村ヒュイッシュ・プライオリの4人姉妹を描いている
オルコット、バーネット、モンゴメリ、ジーン・ウェブスターに引き継がれた少女小説の伝統を受けている

作者が幼い頃、第二次世界大戦があり、ブリストルから弟と2人で祖父の家に疎開させられたのを基にしている
祖父に家を売ったのは3人姉妹で、厩をアトリエにして絵を描いていた

物語で取り上げられるサミュエル・テイラー・コールリッジ、ウィリアム・ワーズワースは
18世紀末から19世紀はじめに活躍したイギリス・ロマン派を代表する詩人

ウィリアムの妹ドロシーは、兄の詩作を助け、日記は文学的に高く評価されている






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ペンダーウィックの四姉妹 4 Sunnyside Books 春の嵐 ジーン・バーズオール/作 小峰書店

2024-11-14 18:59:50 | 
2020年初版 代田亜香子/訳

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今作が2020年出版で、今のところペンダーウィックの四姉妹の最後だけれども
まだまだこの後の物語も出版されるのかなあ?
子どもたちが大きくなったら、児童書では扱いにくいかも

巻数が増えるたびに登場人物の数がどんどん増えていって
どれが誰だか頭がごちゃごちゃになって一時停止してしまう/汗

欧米の児童書は片親の設定が多いのは、現実を反映しているのだろうか?
母親を亡くした娘のトラウマが描かれていて、4巻のうち一番ヘヴィな内容だった

悲しみと絶望感が子どものこころにずっと残るものだと分かる
ハウンドも亡くなり、ペットロスについても描かれている

娘が思い悩んなでいるのを心配して、家族が説得するのは
私の好きな『フラニーとゾーイ』を思い出す

欧米の子どもたちの食生活も伺えて、毎日パンケーキやピザを食べて、栄養バランスが心配になった/汗




【内容抜粋メモ】

登場人物

ペンダーウィック一家
父 マーティン 植物学教授 時々ラテン語を交えて話す
母 エリザベス がんで亡くなった
ロザリンド 長女 大学生
スカイ 17歳
ジェーン 16歳 小説家志望
バティ 10歳 エリザベス プロのピアニストになるのが夢
ハウンド 愛犬

アーロンソン 天体物理学者 通称アイアンサ 夫ダンは事故死 再婚相手
ベン 息子 石集めが趣味
猫アシモフ
リディア 2歳
クレア 父の妹 トゥロンと結婚

ジェフリー コテージで知り合った少年 ボストンの寄宿学校に通う
ミセス・ティフトン 母
アレク 父 プロのサクソフォン奏者

ニック 隣りのガイガー家の長男 陸軍中尉
トミー 弟
グリューンフェルト先生 バティの音楽教師



ハウンドが高齢で亡くなって、バティは自分の世話が足りなかったせいだと思い込んでいる

ロザリンドはロードアイランドの大学に通っていて、休暇や連休に帰省する
トミーと一時期ラブラブだったのに、今はなぜか別れている

石集めが趣味のベンは、親友ラファエルと映画を撮るのが夢

バティはプロピアニストになるのが夢 親友はケイコ(日系人?
読書感想文マニアのロー先生は提出した数をグラフにして競わせているが
バティはいい本ほど感想文にしたくなくて、提出できずにいる

名誉きょうだいのジェフリーが週末に来ると知って大喜びのバティ

大嫌いなラドキン先生が体調不良で休んでいる間
代理のグリューンフェルト先生が来て、バティは滅多にないキレイな声だと褒めて
ボイストレーニングをすすめる

バティは“メンター”のジェフリーと11歳の誕生日にグランドコンサートを開こうと計画するが
スカイはジェフリーに恋愛対象にされるのが気に入らなくて、来るなと言ってしまう

ジェフリーの母はデクスターとも離婚して、3度目の結婚も離婚、別の人と婚約中!驚



バティはボイストレーニング料を自分で稼ぐために“ペンダーウィックなんでも屋”を始める
最初に仕事をくれたのは、アイバジアン老夫婦が預かっているデブのダックスフント、ダッチスの散歩
ダッチスをまた殺してしまうのではないかと怖れて断ろうとしたがムリだった

グリューンフェルト先生に頼んで、ちゃんとしたボイトレ講師を見つける間
週に1回、音楽の指導をしてもらうバティ

ダッチスの散歩中、リードが枯れ枝にひっかかっている犬を見つける
カラーのタグに名前パクチー(w)、住所も書いてあって
家に連れて行くと家族は泣いて喜び、パクチーの散歩も依頼される



ニックが軍の休暇で帰ってくる

ロザリンドはオリバーというBFを連れて来る
スカイには科学、ジェーンには文学、ベンには映画に関する知識をひけらかして尊敬を得るが
ちょっとずつ間違ってることが分かる

オリバーはニックとロザリンドが付き合ってるかベンに聞いて、口封じに5ドルくれる
裏取引で得たお金など要らないと、バティと一緒にお札を破いてトイレに流す



スカイの誕生日
オリバーはニックにマウントをとろうとして
ニック大好きなリディアのティアラのタンポポを
バラに無理やり変えようとして泣かせてしまう

廊下で話すスカイとジェフリーの会話が聞こえてくる
お母さんは妊娠中にがんになり、バティを産むために治療をせずに死んだと話すのを聞いて
バティは自分のせいで母を死なせたと思う

翌朝、バティはパジャマのままクイグリーウッズに行き、禁止されている川を渡り
ボロボロになって、ベンの同級生の双子テスとノラに見つけられ
ニックが教えてくれた電話にかけて迎えに来てもらう

ベンはバティの様子が変なことに気づき、ラファエルは夢遊病じゃないかと疑う
バティはハミングも出来なくなり、グリューンフェルト先生の前で泣いてしまう

帰宅するとジェフリーから誕生日プレゼントが届いていて
中身はベートーヴェンのレコードと
4歳の時にジェフリーにあげたハウンドの写真

ボイトレのために貯めたお金を使って、ジェフリーのいるボストンに行こうと決心し
ベンだけに話して、誰にも言わないと約束させる



翌日はひどい雨
バスに乗ったら、ランニングしてたニックが見つけて乗ってきて家まで送りかえす
バティは学校へも行かず、寝てばかりいて、誰にも理由を言わない

ロザリンドは心配して帰宅し、オリバーもまたついてくる
モップス会議を開いて、バティについて話し合うつもりが
みんなオリバーを嫌っていることに気づく

ベンが口止め料をもらったことも聞いて、熱が冷めたロザリンドは
ベンがニックから教えてもらったセリフでオリバーを追い払う

「あなたがいい人なのは分かるけれども、深い仲になるつもりはない」



父はこれまでの出来事からバティが引きこもった理由が分かり、最初から説明してくれる
リジーと結婚して、子どもは4人欲しい、年は近いほうがいいと言っていた

父:
バティを妊娠中にがんが見つかった
出産後に治療できると思って、バティを産み、結果亡くなったが
もう一度選択のチャンスがあったら、同じ決断をするはずだ
お前は最高の贈り物だよ



ニックの出発を祝うと同時にバティの誕生日パーティーも開く
トミーも来て、ロザリンドとの仲が戻る

スカイはバティにクイグリーウッズで一番好きな秘密の場所を教える

スカイ:
私、あまりいい姉じゃなかったね
ハウンドは私のことが好きだと思ってた バティが生まれる前は

バティは自分のせいでハウンドが死んだというと
ハウンドは高齢で死んだこと、一番世話していたのはバティだと教える

ニックは別れ際、また犬を飼うように伝えて、軍に戻る

スカイの誕生日プレゼントでジェフリーが部屋に来る
ジェフリー:犬は死ぬ 人も死ぬ 最終的には必ず死ぬんだ

バティはジェフリーとグランドコンサートを開いて♪Over the Rainbow を歌う



バティはヒンケル先生からボイストレーニングを受け始める
家には動物シェルターからもらったフェススパーとソナタという犬がいる

みんなでニックの帰還を祝いに出る




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ペンダーウィックの四姉妹 3 Sunnyside Books 海べの音楽 ジーン・バーズオール/作 小峰書店

2024-11-13 14:09:58 | 
2017年初版 代田亜香子/訳

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どんどん登場人物が増えて、本の半分が名前じゃないかってくらい出てきて
頭の中をいちいち整理しながら読んだ

小学校高学年ともなれば、けっこうな理解力があるよね
さまざまな出来事が起きて、その都度、子どもたちの心を傷つけないよう
最大限の配慮をしてくれる大人たちの態度がスゴイと思った

海外って日本より子どもを大人扱いする感じがする
大人が子どもと積極的に関わるのも、小説だからだろうか?

【内容抜粋メモ】

登場人物

ペンダーウィック一家
父 マーティン 植物学教授 時々ラテン語を交えて話す
母 エリザベス がんで亡くなった
ロザリンド 長女 13歳
スカイ 12歳
ジェーン 11歳 サブリナ・スターの物語を書いている サッカーで興奮するとミック・ハートに変身する
バティ 5歳 エリザベス
ハウンド 愛犬

クレア 父の妹
アンナ ロザリンドの親友
アーロンソン 天体物理学者 通称アイアンサ 夫ダンは事故死 息子ベン 猫アシモフ 再婚相手
ジェフリー コテージで知り合った少年 ボストンの寄宿学校に通う
ミセス・ティフトン 母
デクスター・デュプレ 再婚相手

ニック・ガイガー 脳筋
トミー 弟 ロザリンドが好き

アレク 愛犬フーヴァー 友人トゥロン
ドミニク 妹マーセデス



父、アイアンサ、ベンは学会と新婚旅行も兼ねてイギリスへ
ロザリンドはアンナと一緒にニュージャージー州へ
残りはクレアおばさんと一緒に海で2週間過ごすことになる

姉妹で年長がスカイになるから、妹2人の面倒をみるOAPを任されて
行く前からプレッシャーに押しつぶされる



海に着くと、お隣りに住むアレクと愛犬フーヴァーと知り合う
早速、いろんなルールを書いたメモをダメにしてしまい絶望するスカイ

でも、ジェフリーが来て大喜びする
ジェフリーはクラリネットを持参し、心細い思いをしているバティにハモニカをプレゼントする



ムースマーケットに買い出しに行ったジェーンは
スケボーに乗った少年ドミニクと妹マーセデスに出会う

ジェーンは岩の上に落ちて、鼻をケガする
スカイは自分の責任だと落ち込む

ジェフリーはアレクの家にあるピアノを弾かせてもらう
音楽スタジオになっていて、アレクのSAXとセッションしたりして夢中になる
バティもピアノを教えてもらい、才能を開花させる

クレアおばさんも転んでひどい捻挫になり、松葉づえを使う
スカイはすっかり自信をなくして、もうこれ以上けが人が出ないようヒステリックになる

アレクの友人トゥロンもやって来て、すっかり仲良くなる

スカイとジェフリーは野生のムースの親子を見て感動する
動物好きなバティは一緒に連れて行ってくれなかったことを責める

マーセデスと一緒に森に行くと、ゴルフボールをたくさん見つけ
ボールを失くして困っている女性が5ドルで買ってくれて興奮し、毎日ボールを集める

ドミニクはジェーンを公園に誘い、島で暮らす夢を話す
ジェーンはすっかりドミニクにまいってしまう

今度のサブリナ・スターの新作は恋愛ものに決めていて
まったく筆が進まなかったが、自分の体験からヒントを得る

みんなでたき火をして、マシュマロを焼いて食べる(これやったことないんだよな
最後の日にバティとジェフリーでコンサートを披露しようと計画する

アレクはみんなをボートに乗せてくれ、アザラシを見る

ジェーンは公園でドミニクからキスされて有頂天になり
抒情詩を書いてドミニクのいるホテルに届けてもらうが
みんながゴルフボールを売ってる間に、マーセデスが返事を持ってきて
「深い意味はなかった」という返事に絶望して、自慢の髪を切ってしまう

アレクの気遣いで美容院に行き、姉妹みんなショートカットにしてもらう

嵐の夜にホラー映画を観て、アレクが誰かに似ているという話になる



バティらは集めたゴルフボールを売り、ジェフリーはデクスターがくれたゴルフセットも売り
バティのピアノを買う資金にする

ジェーンはアレクがジェフリーに似ていると話す
アレクに話すと、小さい頃の写真を見せて、ジェフリーにそっくりだと分かり
ミセス・ティフトンの父がフラムリー将軍だと話し、アレクが失敗した結婚はブレンダだと分かる

アレクは24時間クルマを飛ばして、ミセス・ティフトンと話し合う
その間、スカイはジェフリーに本当のことが言えずに苦しむ

ミセス・ティフトンの話では、ジェフリーを独り占めしたかったからアレクに伝えなかったと分かる
アレクが戻り、ジェフリーに最初から話して聞かせる

ジェフリー:
たき火に願い事をした時、僕はもし父さんに会えるならアレクみたいな人がいいって願ったんだ
母さんが僕が音楽やるのを嫌がる理由が分かった

ジェフリーはショックでアレクとどう接したらいいか分からない



デクスターがミセス・ティフトンに頼まれてジェフリーを連れて帰ろうとするが
みんなで守ったため、諦めて帰る

ドミニクが来て、またジェーンを誘ったため、スカイは妹を守る
ドミニクは兄から今年の夏、公園でどれだけたくさんの女の子とキスできるか試してみろと言われて試しただけだと白状する

最後の日、ジェフリーはバティにムースを見せてあげ
ピアノを続けるなら、毎日、練習することを約束させる

アレクも招待して、バティとジェフリーのコンサートが始まる
ガーシュウィンの♪サマータイム
アレクのSAXも加えて、2人は抱き合い、長く話し合って、すっかり打ち解ける



家に戻り、ロザリンドに2週間で起きたことを全部話し、OAPを返上する
父とアイアンサ、ベンも帰宅して全員が揃う


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ペンダーウィックの四姉妹 2 Sunnyside Books ささやかな奇跡 ジーン・バーズオール/作 小峰書店

2024-11-12 20:44:16 | 
2015年初版 代田亜香子/訳

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


「夏の魔法」が好評だったから続編を書いたのかな?
ちゃんと時間が前作とつながっている

ネズビットのような感覚で読んでいるけれども、初版の年数からいって
ばりばり現代を生きる姉妹の話なんだよなって改めて気づいてフシギな感じがした

姉妹が読む本の作家が気になるからメモる

エヴァ・イボットソン

エドワード・イーガー

アーサー・ランサム『ツバメ号とアマゾン号』も出てきた!



【内容抜粋メモ】

登場人物

ペンダーウィック一家
父 マーティン 植物学教授 時々ラテン語を交えて話す
母 エリザベス がんで亡くなった
ロザリンド 長女 12歳
スカイ 11歳
ジェーン 10歳 サブリナ・スターの物語を書いている サッカーで興奮するとミック・ハートに変身する
バティ 4歳 エリザベス
ハウンド 愛犬

クレア 父の妹
アンナ ロザリンドの親友
アーロンソン 天体物理学者 通称アイアンサ 夫ダンは事故死 息子ベン 猫アシモフ
ジェフリー コテージで知り合った少年 ボストンの寄宿学校に通う
メリッサ スカイの同級生、ライバル

ニック・ガイガー 脳筋
トミー 弟 ロザリンドが好き



末娘バティ出産後、父の妹クレアに手紙を渡して欲しいと頼む母の会話を聞いてしまうロザリンド
自分が死んだら、マーティンはきっと寂しくなるから、他の女性とデートしてほしいという内容だった
それから1週間もしないうちに母は亡くなった



コテージで過ごした最高の夏休みの後、クレアおばさんが泊りに来る
亡き母が頼んだ手紙を父に見せて、お試しに4人とデートする約束をさせる

ロザリンドの親友アンナの父はしょっちゅう結婚・離婚を繰り返していて
うんざりしているのを見ているため不安になるロザリンド

スカイがキャプテンを務めるサッカーチーム「アントニオズ・ピザ」の最大のライバルは
気が合わない同級生メリッサがキャプテンの「キャメロン・ハードウェア」(会社がお金でも出してるのか?

ジェーンも優れた選手だが、頭にくるとミック・ハートという口汚いキャラが発動するし
スカイも短気なため、メリッサの誘導で大ゲンカになり中止される



隣りに引っ越してきたアーロンソンさんの猫アシモフが好きになるハウンドとバティ
夫は事故死し、息子ベンと2人暮らし

クレアおばさんが紹介したミズ・ミュンツさんとの1回目のデートは「拷問だった」という父

ロザリンドは姉妹に協力してもらい、「お父さん救出作戦」を考える
わざとイヤな女性とデートさせて、継母になるのを阻止する目的
アンナはスケートコーチのラーラを紹介する

2回目のデートは、2人の共通の趣味のクラシックコンサートに行くが
ラーラが四六時中喋っていたと閉口する父



文学が得意なジェーンはスカイの作文「アステカ族の戯曲」を書き
科学が得意なスカイは抗生物質についての作文を書き、交換する

それぞれの作文はとても褒められ、今年の6年生の出し物に
スカイの戯曲を芝居化するとゲバル先生が決めて逃げられなくなる

バティは“虫男”を怖れ、シークレットエージェントごっこにハマる

3回目のデートは父自ら見つけた女性で
名前はマリアンというほかは何も分からないが順調な様子
紹介してほしいと頼んでも、いつもはぐらかされてしまう

トミーはトリルビー・ラミレスと付き合い始める
トリルビーはトミーに首ったけで毎日何度も電話してくる

アステカ族の劇のヒロイン“レインボー”役にスカイ
姉役はライバルのメリッサ、恋人役はピアソンに決まり絶望するスカイ

1年生の時、寸劇でミスして以来トラウマになっている
ジェーンはスカイのセリフ暗記と演技の練習に協力するが進まない

チャーチーがジェフリーを訪ねてボストンに行く際、部屋が余ってるから姉妹1人来ないか誘う
いつもの“ハウンドのくじ引き”をして、ジェーンが当たったのに、姉に同情してスカイに譲ってしまう



ロザリンドはニックからトミーが正気に戻れるよう話してくれと頼まれる
トミーと話し合うつもりが大ゲンカになる

アイアンサの元同僚ノーマンは研究を盗まれたと難癖つけて、何度も電話してくる
アイアンサは芝居の稽古に参ってるスカイを慰めるため望遠鏡で金星や暗黒物質を見せる

キャグニーは夢の学校の先生の研修を始めたという嬉しいニュースが入る



ハロウィン
ロザリンドとアンナはローマ神話の女神、バティは毎年恒例の恐竜になる
スカイは全身黒の暗黒物質、ジェーンはトミーから借りたヘルメットを着けてフットボール選手になる
バティは『スタートレック』のスポックに変装した虫男を見て号泣する



ジェーンが書いた『いけにえの姉妹』の芝居当日
緊張したスカイはトイレの中で気絶してしまい、代役のジェーンが見事に演じきって大成功に終わる
ピアソンは共演できずに残念だと言って、後にスカイに告白してフラれる

スカイとジェーンは宿題の交換をしたことをみんなに白状する

父はマリアンとは本『分別と多感』に出てくるヒロインだと白状し
今後は、姉妹が好きで賛成してくれる相手としかデートしないと約束する



ふたたびアントニオズ・ピザvsキャメロン・ハードウェア戦
ジェーンとスカイの見事なパスが決まってシーズンのチャンピオンとなる
メリッサはスカイをライバル視していたと告白して泣く

ロザリンドは応援していた父とアイアンサの様子を見て
2人が同じスピーチをする日にデートさせる作戦を考える

スカイが父のクルマのバッテリーを抜いて、アイアンサのクルマで行くよう仕向ける
ベンを寝かせるため、隣りの家に入ると、“虫男”ことノーマンが
アイアンサのコンピュータを盗んで逃げて
トミーがタックルして捕まえる

トミーとロザリンドは仲直りして、13歳になったらデートしようと約束する
父を呼び、ノーマンは弁護士に預けられる

父:お母さんが亡くなってから、お前に甘えすぎていた



7か月後、父とアイアンサの結婚式
姉妹は花嫁の付添人となり、トミー、ジェフリー、ベンが花婿の付添人となる


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