1989年初版 小比賀優子/訳 中村悦子/挿画
ジルファ・キートリー・スナイダー
1948年アメリカ生まれ
大卒後、小学校の教師として働き、その後、児童文学を書いて数々の賞を受賞
近くの図書館で見つけた まだまだ漁れば良作があるなあ!
親の都合で各地を転々としている子どもの不安定な心情と
ビロードの部屋で消えた少女のミステリーが重なり
最後のハラハラな展開まで一気読み
やはり作者の実体験がともなった作品はリアル
少女が安定した生活を望み、苦しい現実から逃避したくなるのも当然と思うけれども
良書の中の大人は時にグサリと刺さる言葉を言う
現実にはそんなに親身になって、真実を告げてくれる人はなかなかいないよなあ
【内容抜粋メモ】
登場人物
父 ポール・ウィリアムス
母 ヘレン いつでも前向きで明るい
長男 ルディ 15歳 機械に詳しい
長女 セダ 14歳 オシャレが好き
次女 ロビン 12歳 ふらふら歩きが好き
次男 キャリー 8歳 読書が好き
末子 シャーリー 4歳 泣いてばかりいる
マッカーディ夫妻 農場主
グエン 一人娘 12歳
クライリー 農場の支配人
息子フレッド
ブリジット パルメラス屋敷近くの小屋に住む グエンの元乳母 足が不自由
父がフレノスで肺炎で倒れて仕事を失い、借金を負い
3年間もあちこちをクルマで転々としてきたウィリアム一家
パンクで「パルメラス屋敷」の門に突っ込んでしまう
父とルディがタイヤ交換に行っている間、ロビンはいつものふらふら癖が出て
今は使われていない屋敷の立派さにみとれる
父は途中で出会ったクライリーさんにアンズの季節に働いてほしいと言われて
村の粗末な家を借りて住むことになる
ロビンは屋敷に戻りうろついていると、小屋に住むブリジットと知り合う
ネコ、アライグマ、ニワトリ、ヤギのベッティらと住んでいて
村の人たちからは“魔女”呼ばわりされているが
ロビンは足の不自由なブリジットさんの代わりに毎朝、ベッティを連れ出す約束をする
セダが父にヘアカラーを買うお金をねだるのを見て、欲張りだと非難すると
父:この家で一番欲張りなのはロビンだよ と言われてショックを受ける
手に入れることのできないものを当てもなく求める気持ちのことを言われたのだと自分を責めるロビン
*
ブリジットの家に行った帰り、農場主の娘グエンと出会い、仲良くなる
ブリジットはグエンの乳母だった
ブリジットはパルメラス屋敷の歴史を話してくれる
マッカーディさんはいつか博物館にしようと計画している
ブリジットは迷いながらも小さな箱に入った大きなカギをロビンに渡す
*
村の娘テレーサは、パルメラス屋敷で昔、少女が殺されて
今でも幽霊が出るのだと話すがロビンは信じない
あちこち探して、カギは井戸を開けるものだと分かる
暗いトンネルを抜けると、パルメラス屋敷の秘密の部屋に通じている
*
道で転び、グエンは部屋に呼んで介抱してくれる
部屋にあったピアノを弾くと、すごく上手いと褒める
グエンはピアノ教師に習っているが練習が嫌いで進歩しない
本棚にはたくさんの本があり、読書するよう言われているが興味がない
ロビンがあらすじを話してあげると夢中になって聴くようになる
ロビンは家族の話をするが、グエンがバカにしたりしないので驚く
*
屋敷にはほとんど家具はないが、ビロードの部屋だけはいろんな美しく古いモノがあり
ロビンはそこで暮らしている想像をしてみる
本棚にはたくさんの本があり、毎日のように来て読むようになる
*
アンズの時期になると、村に住む12歳以上の者はみな労働許可をもらって手伝う
グエンもいい経験になると言って登録する
ロビンに屋敷で亡くなった少女ボニータについて話す
ボニータは幼い頃、両親を亡くし、祖父と暮らしていた
ボニータが消えた当日、馬が濡れて帰ってきたことから
洪水に流されて溺れ、死体は海に沈んだのだろうということになった
ビロードの部屋にある少女の写真がボニータだろうと推測する
ボニータの日記も見つけて、フランシスコ伯父、リリー叔母、息子ドニー(グエンの父)
親友のメアリーについて書かれている
ボニータもビロードの部屋で楽しく過ごしていたが
祖父が亡くなってから先の日記は白紙で気になるロビン
ボニータが消えた際、伯父と妻が殺したなんていう噂も立ったが
伯母と子守のマリアが不仲でマリアが後に噂を広めたと思われる
アンズの種取りが始まると、朝7時~夕方5時まで立ちっぱなしの労働でくたくたになる
農場の支配人クライリーの息子フレッドは監視役で、いつも誰かに嫌がらせをしているため
ロビンは大嫌いになるが
父:
昔、クライリー一家はオクラホマのひどい砂漠地帯で苦しい生活をしていた
飢えと失望は人間の精神に大きな影響を与えるものだ
*
子どもたちは試験を受けて、学校に通い始める
ロビンはグエンと同じ7年生として勉強する
グエンのお金持ちのグループと村の貧しい子のグループの間で揺れるロビン
ピアノの先生からも褒められて、いっしょにレッスンを受ける
レッスン料は高額だが、一度も代金のことは言わない
家族で買い物に行った日、父はまた体調を崩してしまう
本当は学校の先生になりたかったのに、祖父が急死して学校を卒業できず
向かない力仕事でムリをしている
*
1年に1回、ビロードの部屋を掃除するからとロビンを誘うグエン
ロビンは初めて見た演技をする
フレッドは箱の中の高価な宝石などに目をつける
あまり好きではないジョー叔父から手紙が来て
体を壊したから父に店を手伝ってほしいという頼みだった
父は一番辛いのはロビンだから、一晩考えるようにうながす
ロビンは父の体を思うと「行く」という選択肢しかなかった
父:
お前も自分に子どもができたら分かると思うが
自分の子どもだからといって、その子の人生を決める権利など親にはないんだよ
マッカーディ夫妻はロビンに学年の終わりまで一緒に暮らしてほしいと提案する
グエンからの頼みで、ロビンと仲良くなってからピアノも読書も熱心になったため
どうしていいか迷い、ブリジットに相談する
ブリジット:
なぜそうするのかという理由には、正しい場合と正しくない場合がある
残りたいのは、あの屋敷に関係があるのかい?
周りの人たちのことを忘れてしまうほど心を奪われてしまっては・・・
ブリジットは自分がボニータ・マッカーディだと明かす
祖父が亡くなると、屋敷と土地を全部遺されて
伯母とマリアの仲が悪化し、伯父と伯母もケンカしているのを聞き、混乱して家を飛び出した
親友のメアリがいろいろ手配してくれて、バウアー一家の住み込み教師となり
スイスから来たエリック・グンターと結婚し、各地を転々とした
エリックが病気になり、初めて身の上を明かし
エリックの死後、伯父と伯母はもう亡くなっていて
マッカーディ夫妻が家政婦を募集していたから引き受けて、そのまま言わずにいた
ロビンが見つけた写真もブリジットだった
ブリジット:
場所にしがみつくより、自分を愛し、必要としてくれる人といっしょにいることのほうが大切なんだよ
人を大切にしないといけない 人間から離れてしまったら、その人の人生は終わりだよ
*
混乱したロビンはビロードの部屋に戻ると、これまでの魔法がとける
夜中にクルマが来て、3人のどろぼうが入る その1人はフレッド
高価なものを盗み、証拠隠滅のため、本に火をつけて屋敷ごと燃やそうとして
ロビンは止め、マッカーディ家に教えに行く
なぜ井戸のカギを持っていたのか聞かれ、結局、マッカーディ氏は弁護士を通じて
ブリジットがボニータであることを知っていたと分かる
フレッドは自首し、共犯者2人も逮捕される
ブリジットはマッカーディをまた名乗ることを喜ぶ
マッカーディ氏は屋敷を博物館にする際、ポールに管理人になってほしいと頼む
屋敷の近くに一軒家を建てて、ウィリアムス一家が引っ越すまでは
屋敷に住んで留守を守ることになる
ジルファ・キートリー・スナイダー
1948年アメリカ生まれ
大卒後、小学校の教師として働き、その後、児童文学を書いて数々の賞を受賞
近くの図書館で見つけた まだまだ漁れば良作があるなあ!
親の都合で各地を転々としている子どもの不安定な心情と
ビロードの部屋で消えた少女のミステリーが重なり
最後のハラハラな展開まで一気読み
やはり作者の実体験がともなった作品はリアル
少女が安定した生活を望み、苦しい現実から逃避したくなるのも当然と思うけれども
良書の中の大人は時にグサリと刺さる言葉を言う
現実にはそんなに親身になって、真実を告げてくれる人はなかなかいないよなあ
【内容抜粋メモ】
登場人物
父 ポール・ウィリアムス
母 ヘレン いつでも前向きで明るい
長男 ルディ 15歳 機械に詳しい
長女 セダ 14歳 オシャレが好き
次女 ロビン 12歳 ふらふら歩きが好き
次男 キャリー 8歳 読書が好き
末子 シャーリー 4歳 泣いてばかりいる
マッカーディ夫妻 農場主
グエン 一人娘 12歳
クライリー 農場の支配人
息子フレッド
ブリジット パルメラス屋敷近くの小屋に住む グエンの元乳母 足が不自由
父がフレノスで肺炎で倒れて仕事を失い、借金を負い
3年間もあちこちをクルマで転々としてきたウィリアム一家
パンクで「パルメラス屋敷」の門に突っ込んでしまう
父とルディがタイヤ交換に行っている間、ロビンはいつものふらふら癖が出て
今は使われていない屋敷の立派さにみとれる
父は途中で出会ったクライリーさんにアンズの季節に働いてほしいと言われて
村の粗末な家を借りて住むことになる
ロビンは屋敷に戻りうろついていると、小屋に住むブリジットと知り合う
ネコ、アライグマ、ニワトリ、ヤギのベッティらと住んでいて
村の人たちからは“魔女”呼ばわりされているが
ロビンは足の不自由なブリジットさんの代わりに毎朝、ベッティを連れ出す約束をする
セダが父にヘアカラーを買うお金をねだるのを見て、欲張りだと非難すると
父:この家で一番欲張りなのはロビンだよ と言われてショックを受ける
手に入れることのできないものを当てもなく求める気持ちのことを言われたのだと自分を責めるロビン
*
ブリジットの家に行った帰り、農場主の娘グエンと出会い、仲良くなる
ブリジットはグエンの乳母だった
ブリジットはパルメラス屋敷の歴史を話してくれる
マッカーディさんはいつか博物館にしようと計画している
ブリジットは迷いながらも小さな箱に入った大きなカギをロビンに渡す
*
村の娘テレーサは、パルメラス屋敷で昔、少女が殺されて
今でも幽霊が出るのだと話すがロビンは信じない
あちこち探して、カギは井戸を開けるものだと分かる
暗いトンネルを抜けると、パルメラス屋敷の秘密の部屋に通じている
*
道で転び、グエンは部屋に呼んで介抱してくれる
部屋にあったピアノを弾くと、すごく上手いと褒める
グエンはピアノ教師に習っているが練習が嫌いで進歩しない
本棚にはたくさんの本があり、読書するよう言われているが興味がない
ロビンがあらすじを話してあげると夢中になって聴くようになる
ロビンは家族の話をするが、グエンがバカにしたりしないので驚く
*
屋敷にはほとんど家具はないが、ビロードの部屋だけはいろんな美しく古いモノがあり
ロビンはそこで暮らしている想像をしてみる
本棚にはたくさんの本があり、毎日のように来て読むようになる
*
アンズの時期になると、村に住む12歳以上の者はみな労働許可をもらって手伝う
グエンもいい経験になると言って登録する
ロビンに屋敷で亡くなった少女ボニータについて話す
ボニータは幼い頃、両親を亡くし、祖父と暮らしていた
ボニータが消えた当日、馬が濡れて帰ってきたことから
洪水に流されて溺れ、死体は海に沈んだのだろうということになった
ビロードの部屋にある少女の写真がボニータだろうと推測する
ボニータの日記も見つけて、フランシスコ伯父、リリー叔母、息子ドニー(グエンの父)
親友のメアリーについて書かれている
ボニータもビロードの部屋で楽しく過ごしていたが
祖父が亡くなってから先の日記は白紙で気になるロビン
ボニータが消えた際、伯父と妻が殺したなんていう噂も立ったが
伯母と子守のマリアが不仲でマリアが後に噂を広めたと思われる
アンズの種取りが始まると、朝7時~夕方5時まで立ちっぱなしの労働でくたくたになる
農場の支配人クライリーの息子フレッドは監視役で、いつも誰かに嫌がらせをしているため
ロビンは大嫌いになるが
父:
昔、クライリー一家はオクラホマのひどい砂漠地帯で苦しい生活をしていた
飢えと失望は人間の精神に大きな影響を与えるものだ
*
子どもたちは試験を受けて、学校に通い始める
ロビンはグエンと同じ7年生として勉強する
グエンのお金持ちのグループと村の貧しい子のグループの間で揺れるロビン
ピアノの先生からも褒められて、いっしょにレッスンを受ける
レッスン料は高額だが、一度も代金のことは言わない
家族で買い物に行った日、父はまた体調を崩してしまう
本当は学校の先生になりたかったのに、祖父が急死して学校を卒業できず
向かない力仕事でムリをしている
*
1年に1回、ビロードの部屋を掃除するからとロビンを誘うグエン
ロビンは初めて見た演技をする
フレッドは箱の中の高価な宝石などに目をつける
あまり好きではないジョー叔父から手紙が来て
体を壊したから父に店を手伝ってほしいという頼みだった
父は一番辛いのはロビンだから、一晩考えるようにうながす
ロビンは父の体を思うと「行く」という選択肢しかなかった
父:
お前も自分に子どもができたら分かると思うが
自分の子どもだからといって、その子の人生を決める権利など親にはないんだよ
マッカーディ夫妻はロビンに学年の終わりまで一緒に暮らしてほしいと提案する
グエンからの頼みで、ロビンと仲良くなってからピアノも読書も熱心になったため
どうしていいか迷い、ブリジットに相談する
ブリジット:
なぜそうするのかという理由には、正しい場合と正しくない場合がある
残りたいのは、あの屋敷に関係があるのかい?
周りの人たちのことを忘れてしまうほど心を奪われてしまっては・・・
ブリジットは自分がボニータ・マッカーディだと明かす
祖父が亡くなると、屋敷と土地を全部遺されて
伯母とマリアの仲が悪化し、伯父と伯母もケンカしているのを聞き、混乱して家を飛び出した
親友のメアリがいろいろ手配してくれて、バウアー一家の住み込み教師となり
スイスから来たエリック・グンターと結婚し、各地を転々とした
エリックが病気になり、初めて身の上を明かし
エリックの死後、伯父と伯母はもう亡くなっていて
マッカーディ夫妻が家政婦を募集していたから引き受けて、そのまま言わずにいた
ロビンが見つけた写真もブリジットだった
ブリジット:
場所にしがみつくより、自分を愛し、必要としてくれる人といっしょにいることのほうが大切なんだよ
人を大切にしないといけない 人間から離れてしまったら、その人の人生は終わりだよ
*
混乱したロビンはビロードの部屋に戻ると、これまでの魔法がとける
夜中にクルマが来て、3人のどろぼうが入る その1人はフレッド
高価なものを盗み、証拠隠滅のため、本に火をつけて屋敷ごと燃やそうとして
ロビンは止め、マッカーディ家に教えに行く
なぜ井戸のカギを持っていたのか聞かれ、結局、マッカーディ氏は弁護士を通じて
ブリジットがボニータであることを知っていたと分かる
フレッドは自首し、共犯者2人も逮捕される
ブリジットはマッカーディをまた名乗ることを喜ぶ
マッカーディ氏は屋敷を博物館にする際、ポールに管理人になってほしいと頼む
屋敷の近くに一軒家を建てて、ウィリアムス一家が引っ越すまでは
屋敷に住んで留守を守ることになる