■調べてみよう世界のために働く国際機関『世界の子どもたちのために ユニセフ』(ほるぷ出版)
キャサリン・プライアー/著
貧困や病気などで亡くなる子どもが減らない理由もこれだけ明確に分かっていながら
これまでも、いまでもまだゼロにならないのはなぜだろう?と考えさせられる1冊。
私たちの意識をちょっとだけシフトするだけで、世界平和も、貧困の撲滅も、今すぐ叶うことなんだ。
【内容抜粋メモ】
ユニセフのマークには国連の一部であることを示すオリーブと、赤ちゃんを抱く大人がデザインされている
コペンハーゲンにあるユニセフ物資集積センター。ここから世界中に物品が送られる
国連児童基金「ユニセフ」は、世界中の子どもたちの生活を向上させるための国際連合の1機関。
子どもの心と体は、子ども時代にだけ必要な特別な手助けや愛情を求めており、
それを受けられないと、子どもたちの生活は一生にわたって傷を負うことになる。
子どもたちが希望を見出せない国では、その国の将来にも希望はない。
●子どもの権利条約
1989年の国連総会でつくられた。
第二次世界大戦の犠牲となったヨーロッパの子どもたちを救うために「国連国際児童緊急基金」が1946年に創設されたのがはじまり。
1951年、ギリシャの小学生がユニセフから送られたミルクを飲んでいる。
戦争で多くの乳製品製造工場が破壊され、ミルクは手に入りにくく値段も高かった。
●「静かな緊急事態」
「世界中に死にかかっている子どもがいるのに、ユニセフは役目を終えたと、国連はどうして言えるのですか?」
活動を終えようとした時、パキスタン代表がこう抗議して、名称を今のものにして活動を続けることにした。
ユニセフは、貧困や病気によって引き起こされる「静かな緊急事態」から子どもを救うため、
お金、技術などを提供し、地元の人々が自分たちで活動できるよう支援し続けている。
**************************組織の構成
子どもと女性のためだけに活動している国連の機関はユニセフだけ。
「事務局長」
国連の総会で指名される。
「執行理事会」
中心となる組織。国連加盟国から選ばれた36カ国で構成される。
「地域事務所」
ニューヨーク本部以外に8つある。
「現地事務所」
中南米、東ヨーロッパなどに125ある。
●資金
7歳の少女ジトカ・サムコバさんが描いた絵がユニセフカードの第1号となった。
大勢の有名な画家も無料で提供している。これまで40億枚以上のカードを売った。
おもな資金源の半分は、各国政府から自発的に寄付されたお金。
民間企業、慈善団体、一般からも寄付を受けている。
日本政府は「ポリオ撲滅運動」のために約32億8900万円を寄付した。
資金の大部分は、設備、備品、「後方支援」(活動資金)に使われる。
150以上もの国に、職員は6000人しかいない。
「親善大使、特別代表」
ロビー・ウィリアムズは2000年モザンビークを訪ねた/驚
黒柳徹子さんほか、著名人が宣伝することで活動内容を知ってもらうことができる。
**************************活動内容
●「労働は大人だけ」
食べるため、親の借金を返すために、辛くて危ない仕事をしている子どもが約2億5000万人いる。→児童労働反対を訴える
小学校にいけない子どもは1億人以上。→栄養知識、野菜やひよこの育て方を教えたりしている
●「子どもたちをゴミ捨て場から救い出せ!」(1999)
ごみを拾って売っているブラジルの子どもたちに教育を受けさせる
●「チャイルド・ソルジャー」子ども兵士をなくす
アフリカ西部では内戦で約6000人の子どもが兵士となっている。
→『小型武器よさらば 戦いにかり出される児童兵士たち』(小学館)
●5歳未満児死亡率を下げる
途上国では、5才未満で亡くなることもが年間1100万人いる。1日に約3万500人、3秒に1人の割合。
アフリカのアンゴラでは1000人中292人が5才未満で亡くなっている。
食べ物の不足による栄養失調は病気の原因にもなる。→食べ物やビタミンを補給する。
アフリカ、アジア、中南米の貧しい開発途上国で多く活動している。
「予防接種」
破傷風の予防接種を受けるケニアの赤ちゃん
毎年、200万人の子どもがワクチンで予防できる病気で亡くなっている。
予防接種は、ポリオ、はしか、ジフテリア、結核、破傷風など子どもがよくかかる病気を防ぐ。
2005年までにポリオを撲滅しようという事業を実施。
→その他、安全な飲み水、トイレの設備を供給する。
「休戦日」をもうける
ワクチンを投与できるよう、敵対する兵隊同士が戦いを止めると同意した日。
1日の休戦によって子どもの健康が得られるなら価値があると忍耐強く説得する。
「全国ワクチン一斉投与の日」
ユニセフ職員が全部やるのではなく、地域の人々、団体とともに活動することが重要。
●難民支援
戦争で家を追われたコンゴの難民
アルバニアの難民キャンプで遊ぶ子どもたち。戦争の恐怖体験から回復するのに役立つ
●地雷の危険を知らせる
**************************貧困の連鎖と子どものしあわせ
●安全な水の大切さ
安全な水は、ヒトにとって必要な基本的なもの。
ユニセフは新しい井戸を掘って、手押しポンプを取り付けたり、清潔で安上がりなトイレ施設を設置したりして、
衛生設備などを現地の人々に教えている。
●「経口補水塩」
毎年、何百万人もの赤ちゃんが下痢で亡くなっている。
塩+砂糖+清潔な水で作った経口補水塩を飲ませることで命が助かる。
貧しい国では、多くの母親は字が読めず、経口補水塩の説明書が理解できないため、
水を10分沸かせば安全に飲めるということも分からない。
●母親の教育
子どもの命において、親、とくに母親は重要。
妊娠中・出産時の問題で亡くなる女性も多い。→お腹の子どもによい葉酸の錠剤を配る。
母親の教育は、子どもにも明るい将来を保証することにつながる。
「赤ちゃんにやさしい病院」(1991)
母親は赤ちゃんに母乳を与えることを勧められる。
免疫力を高め、人工ミルクよりも安上がり。
メキシコは国内すべての病院が赤ちゃんにやさしい病院になるよう指導した初めての国。
●ビタミンA
ビタミンAの投与を受けるモザンビークの幼児
魚、ミルク、卵、ニンジンなどに含まれるビタミンAが不足すると、目の感染症になり失明することもある。
ビタミンAは安価で、年に2回少量与えるだけで解決する。
●ヨード
イモ、タマネギの根菜類に含まれる化学物質。
妊娠中の母親がヨード欠乏症になると、精神障害をもつ赤ちゃんが産まれる可能性が高まる。
ヨード+塩でヨード塩を作り、年間1200万人の赤ちゃんを救っている。
●エイズ撲滅
アフリカでは15歳未満の子どもたち1200万人がエイズによって親を失い、
ウガンダでは10人に1人が孤児になっている。→学校でエイズについて教える
→『21世紀の平和を考えるシリーズ5 エイズ』(ポプラ社)
●ライフスタート・プログラム
「子どもにはみな遊ぶ権利がある」
よい人生のスタートをきることが、子どもの健康や幸せに大きな違いをもたらす。
●女の子の教育
娘は息子より値打ちがないとされ、男子より貧しい食事が与えられたり、病気になっても男子ほど治療費が出されないなどの差別がある。
→とくに女子が学校に通えるよう働きかける。
1991-1992年のガンビアの女子就学率は41%だったが、活動により1998-1999年には63%になった。
●都市におけるホームレスの子どもたち
ブラジルのサンパウロなどの都市では、路上で暮らす子どもが何十万人もいる
●「A World Fit for Us」私たちにふさわしい世界
1990年「子どものための世界サミット」、2002年「国連子ども特別総会」が開かれた。
初日、子どもの代表としてボリビアのガブリエラ・アリエッタさん(13歳)が言った言葉。
「子どもにふさわしい世界がほしい。子どもにふさわしい世界は、すべての人にふさわしい世界です」
なにより重要なのは、先進国の軍事産業が大量の兵器を生産し、途上国に売りつけているという世界を変えること
世界の軍事費を福祉と人間らしい生活の実現に使えば、多くの幼い命が救える。
**************************ユニセフ関連情報
「ユニセフハウス」@品川
「日本ユニセフ協会」
「国際労働機関(ILO)東京支局」
「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」
「調べてみよう世界のために働く国際機関」シリーズは全6巻ある。
キャサリン・プライアー/著
貧困や病気などで亡くなる子どもが減らない理由もこれだけ明確に分かっていながら
これまでも、いまでもまだゼロにならないのはなぜだろう?と考えさせられる1冊。
私たちの意識をちょっとだけシフトするだけで、世界平和も、貧困の撲滅も、今すぐ叶うことなんだ。
【内容抜粋メモ】
ユニセフのマークには国連の一部であることを示すオリーブと、赤ちゃんを抱く大人がデザインされている
コペンハーゲンにあるユニセフ物資集積センター。ここから世界中に物品が送られる
国連児童基金「ユニセフ」は、世界中の子どもたちの生活を向上させるための国際連合の1機関。
子どもの心と体は、子ども時代にだけ必要な特別な手助けや愛情を求めており、
それを受けられないと、子どもたちの生活は一生にわたって傷を負うことになる。
子どもたちが希望を見出せない国では、その国の将来にも希望はない。
●子どもの権利条約
1989年の国連総会でつくられた。
第二次世界大戦の犠牲となったヨーロッパの子どもたちを救うために「国連国際児童緊急基金」が1946年に創設されたのがはじまり。
1951年、ギリシャの小学生がユニセフから送られたミルクを飲んでいる。
戦争で多くの乳製品製造工場が破壊され、ミルクは手に入りにくく値段も高かった。
●「静かな緊急事態」
「世界中に死にかかっている子どもがいるのに、ユニセフは役目を終えたと、国連はどうして言えるのですか?」
活動を終えようとした時、パキスタン代表がこう抗議して、名称を今のものにして活動を続けることにした。
ユニセフは、貧困や病気によって引き起こされる「静かな緊急事態」から子どもを救うため、
お金、技術などを提供し、地元の人々が自分たちで活動できるよう支援し続けている。
**************************組織の構成
子どもと女性のためだけに活動している国連の機関はユニセフだけ。
「事務局長」
国連の総会で指名される。
「執行理事会」
中心となる組織。国連加盟国から選ばれた36カ国で構成される。
「地域事務所」
ニューヨーク本部以外に8つある。
「現地事務所」
中南米、東ヨーロッパなどに125ある。
●資金
7歳の少女ジトカ・サムコバさんが描いた絵がユニセフカードの第1号となった。
大勢の有名な画家も無料で提供している。これまで40億枚以上のカードを売った。
おもな資金源の半分は、各国政府から自発的に寄付されたお金。
民間企業、慈善団体、一般からも寄付を受けている。
日本政府は「ポリオ撲滅運動」のために約32億8900万円を寄付した。
資金の大部分は、設備、備品、「後方支援」(活動資金)に使われる。
150以上もの国に、職員は6000人しかいない。
「親善大使、特別代表」
ロビー・ウィリアムズは2000年モザンビークを訪ねた/驚
黒柳徹子さんほか、著名人が宣伝することで活動内容を知ってもらうことができる。
**************************活動内容
●「労働は大人だけ」
食べるため、親の借金を返すために、辛くて危ない仕事をしている子どもが約2億5000万人いる。→児童労働反対を訴える
小学校にいけない子どもは1億人以上。→栄養知識、野菜やひよこの育て方を教えたりしている
●「子どもたちをゴミ捨て場から救い出せ!」(1999)
ごみを拾って売っているブラジルの子どもたちに教育を受けさせる
●「チャイルド・ソルジャー」子ども兵士をなくす
アフリカ西部では内戦で約6000人の子どもが兵士となっている。
→『小型武器よさらば 戦いにかり出される児童兵士たち』(小学館)
●5歳未満児死亡率を下げる
途上国では、5才未満で亡くなることもが年間1100万人いる。1日に約3万500人、3秒に1人の割合。
アフリカのアンゴラでは1000人中292人が5才未満で亡くなっている。
食べ物の不足による栄養失調は病気の原因にもなる。→食べ物やビタミンを補給する。
アフリカ、アジア、中南米の貧しい開発途上国で多く活動している。
「予防接種」
破傷風の予防接種を受けるケニアの赤ちゃん
毎年、200万人の子どもがワクチンで予防できる病気で亡くなっている。
予防接種は、ポリオ、はしか、ジフテリア、結核、破傷風など子どもがよくかかる病気を防ぐ。
2005年までにポリオを撲滅しようという事業を実施。
→その他、安全な飲み水、トイレの設備を供給する。
「休戦日」をもうける
ワクチンを投与できるよう、敵対する兵隊同士が戦いを止めると同意した日。
1日の休戦によって子どもの健康が得られるなら価値があると忍耐強く説得する。
「全国ワクチン一斉投与の日」
ユニセフ職員が全部やるのではなく、地域の人々、団体とともに活動することが重要。
●難民支援
戦争で家を追われたコンゴの難民
アルバニアの難民キャンプで遊ぶ子どもたち。戦争の恐怖体験から回復するのに役立つ
●地雷の危険を知らせる
**************************貧困の連鎖と子どものしあわせ
●安全な水の大切さ
安全な水は、ヒトにとって必要な基本的なもの。
ユニセフは新しい井戸を掘って、手押しポンプを取り付けたり、清潔で安上がりなトイレ施設を設置したりして、
衛生設備などを現地の人々に教えている。
●「経口補水塩」
毎年、何百万人もの赤ちゃんが下痢で亡くなっている。
塩+砂糖+清潔な水で作った経口補水塩を飲ませることで命が助かる。
貧しい国では、多くの母親は字が読めず、経口補水塩の説明書が理解できないため、
水を10分沸かせば安全に飲めるということも分からない。
●母親の教育
子どもの命において、親、とくに母親は重要。
妊娠中・出産時の問題で亡くなる女性も多い。→お腹の子どもによい葉酸の錠剤を配る。
母親の教育は、子どもにも明るい将来を保証することにつながる。
「赤ちゃんにやさしい病院」(1991)
母親は赤ちゃんに母乳を与えることを勧められる。
免疫力を高め、人工ミルクよりも安上がり。
メキシコは国内すべての病院が赤ちゃんにやさしい病院になるよう指導した初めての国。
●ビタミンA
ビタミンAの投与を受けるモザンビークの幼児
魚、ミルク、卵、ニンジンなどに含まれるビタミンAが不足すると、目の感染症になり失明することもある。
ビタミンAは安価で、年に2回少量与えるだけで解決する。
●ヨード
イモ、タマネギの根菜類に含まれる化学物質。
妊娠中の母親がヨード欠乏症になると、精神障害をもつ赤ちゃんが産まれる可能性が高まる。
ヨード+塩でヨード塩を作り、年間1200万人の赤ちゃんを救っている。
●エイズ撲滅
アフリカでは15歳未満の子どもたち1200万人がエイズによって親を失い、
ウガンダでは10人に1人が孤児になっている。→学校でエイズについて教える
→『21世紀の平和を考えるシリーズ5 エイズ』(ポプラ社)
●ライフスタート・プログラム
「子どもにはみな遊ぶ権利がある」
よい人生のスタートをきることが、子どもの健康や幸せに大きな違いをもたらす。
●女の子の教育
娘は息子より値打ちがないとされ、男子より貧しい食事が与えられたり、病気になっても男子ほど治療費が出されないなどの差別がある。
→とくに女子が学校に通えるよう働きかける。
1991-1992年のガンビアの女子就学率は41%だったが、活動により1998-1999年には63%になった。
●都市におけるホームレスの子どもたち
ブラジルのサンパウロなどの都市では、路上で暮らす子どもが何十万人もいる
●「A World Fit for Us」私たちにふさわしい世界
1990年「子どものための世界サミット」、2002年「国連子ども特別総会」が開かれた。
初日、子どもの代表としてボリビアのガブリエラ・アリエッタさん(13歳)が言った言葉。
「子どもにふさわしい世界がほしい。子どもにふさわしい世界は、すべての人にふさわしい世界です」
なにより重要なのは、先進国の軍事産業が大量の兵器を生産し、途上国に売りつけているという世界を変えること
世界の軍事費を福祉と人間らしい生活の実現に使えば、多くの幼い命が救える。
**************************ユニセフ関連情報
「ユニセフハウス」@品川
「日本ユニセフ協会」
「国際労働機関(ILO)東京支局」
「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」
「調べてみよう世界のために働く国際機関」シリーズは全6巻ある。