昔の自分に手紙を書いた
やあ、君には全く同情するよ
でも見てごらん
今でも何も変わっちゃないから
中の自分に手紙を書いた
やあ、大声で叫びたいことがあるかい
まぶしいヘッドライトの前に飛び出そうなんて
ぼやけた考えは捨てたほうがいい
時の管理人にも手紙を書こう
無数の人間が君のことを語ったね
小さな僕を含めて
でも、その感心するどんな文句にも
君は目を通していないらしい
持っている物全部を投げ出そう
君の柔らかいベッドの上に
なめらかなサテンシーツの上に
着ている服も全部
健康な臓器さえも
君の一番大切な宝物ひとつと
交換しよう
コンクリート道路に 星屑が散らばっている
僕は話がしたいんだ
なにもかもを
僕は誰かと話したいんだ
それは過去や未来の自分自身でも構わない
でも、こう酸素を奪われて
光がさえぎられていたら
話もできない
おまけに君の体は どこもかしこも
背中だらけ
とにかく手紙を書くから
いつでも都合のいい時に読んでほしい
僕は君の母国語で喋るから
そのつもりなら 君にも理解できると思う
でも、このくしゃみが止まらなくて
まだ何ひとつ大事なことを話しちゃいない
なにか ほんとうに話したい奴はいるかい
本気で聞こうとする奴がいない場所で
再び氷河期が訪れようとしている
長い夏の日に
count one, two,
threeで目をあければ
君の想う理想郷が目前に広がる
さあ、君の欲しいものはなんだい
ここには望む全てがそろっている
君が過去に属していた
全てから逃げだして
未来の自分に少しだけお手伝い
本当にひとに見せたいものを
もってる奴はいるかい
目を上げてまで
見る価値のあるものは少ない
かかとを10cmあげて
工場の三角屋根のむこうをのぞけば
君のシャングリラが見える
この道からずれることは
そう難しいことじゃない
もう少し先へ進めば
なにかが変わるかもしれない
最新ファッションに
身を包んだ子どもたち
やあ、なりたいと思う偶像(イコン)はいるかい
トマト・ダイエットで一回りやせて
黒タイツで通りを歩けば
落ち目の中年タレント一人くらいは
ひっかけられるだろう
私はいつだって
新入学の一年生だ
自分の木製の椅子に着くことさえ初めてな
何かを始めようとするとき
私たちはみんな 赤くてでかいランドセルを背負った
一年生なんだ
私はいつだって
処女航海に出る一隻の船だ
足元にまとわりつく
無数の波の頭を蹴散らして
もう一歩前進しようとするとき
私たちはみんな処女航海に出る
一隻の船なんだ
もう少し先へ進めば
きっとなにかが
変わるだろう
そこには
君が欲する全てをそろえるだけの
用意ができている
産まれるよ
新しい命が
コンクリート壁に映った
いくつもの他人の影を踏み潰してまで
僕たちは今
もう少し先へ
進もうとしている
私は錠剤を飲み下して
占いの頁を開く
まどろみの世界を探索してゆく
そこではなにもかもが無意識に
行なわれていく
消え入りそうになって生きている連中
お願いだから とろとろと私の前を
歩かないでくれ
ようやくこのリズムに乗って
前進しようとしている道を
はばまないでくれよ
愛されている女の顔は まるい
愛されている女の顔は 柔らかい
愛している女の顔は 熱い
愛している女の顔は 真剣だ
じゃあ
愛されていない女は
どんな顔に見えるのかしら
私はいつまでも まどろみの国を
探索しつづけている
そこはいまだ発見されていないものばかり
子どもは子どもの両手をもっていて
したいことは何でも出来ると思っている
そんな小さく、おぼつかない両手で
今、私はわたしの両手を見て
この手で何が出来て、
何が出来ないのか分からない
分からない
君がもう一歩
進もうとするとき