明日はWBCの準決勝。
侍ジャパンがメキシコとどんな戦い方をするか、期待でワクワクして来る。
それと同時に間違っても「番狂わせ」ということの無いよう願ってもいる。
そして、決勝で相まみえる「アメリカを撃破しての優勝」を是非実現して
貰いたい。
そんな中、松尾貴史氏が「緊急事態条項」について書いていた。
310万人もの犠牲者を出した悲惨な戦争体験の反省から生まれた平和憲法下
にも関わらず、反撃能力や放送法の解釈等々「戦前の悪夢」を想起させる動き
が活発化している。
にも関わらず、危機感の無い「戦争を知らない世代」が多数を占めるように
なると、いずれヒトラーやプーチンのような独裁者が現れ、自国民のみならず
世界中を不孝に陥れる危険性があることを忘れてはならない。
毎日新聞「ちょっと違和感」松尾貴史(2023.3.19)
「緊急事態条項 国の権限強化は悪い冗談」から
巷間(こうかん)、テレビのニュースやワイドショーでは、ワールド・ベー
スボール・クラシック(WBC)で大谷翔平選手を筆頭とした選手たちが活躍し
ている話で持ちきりだ。暗い材料ばかりの日本に、彼らが一筋の光を与えてく
れていること自体は素晴らしいが、その陰で、国会では、あのナチスドイツが
利用して世界の惨状を招いた悪法「全権委任法」と同質の「緊急事態条項」を
憲法に新設する話が進行している。都合のいい時だけ野党のふりをする日本維
新の会や国民民主党が、国民を守る憲法を毀損(きそん)したり停止させたり
する力までも政権に与えてしまう恐ろしい企てに加担するという展開になって
いる。
維新や国民などは条文案をまとめる方針ということだが、そもそも緊急事態
条項というのは、国家緊急権に基づいて、戦争、災害、恐慌などに対応するた
め、国家権力を特別に強化させるという性質のものだ。緊急事態の宣言が発せ
られた時には、国民それぞれの基本的人権は奪われ、公権力による非人道的な
ことが日常的に行われる恐れがある。
「でも緊急事態ならば仕方がないだろう」などと思う人もいるだろうけれど
も、内閣の都合で何度でも「緊急事態」を延長することも条文に定めれば可能
になる。当時、先進的な平和憲法だと言われたワイマール憲法下で、ナチスが
強大な力を手に入れたのも同じ図式だ。
そもそも「戦争が起きやすい方向へ誘導している」としか私には思えない
岸田文雄政権が、緊急事態条項を手に入れたら何が起きるだろうか。憲法の重
要条項で、永久に戦争を放棄することがうたわれているのに「戦争への対応」
で「権力を強化」するという矛盾は何だろうか。恐慌が起きるとすれば、もち
ろんさまざまな要因があるだろうけれど、その原因の一つは長い間政権の座に
ついている自民党の失政であると感じている私としては、こんなばかげた権限
強化は悪い冗談でしかない。
また、災害時の対応でも、西日本豪雨の深刻な被害が明らかになる前に
「赤坂自民亭」などという懇親会で浮かれていた人たちにどんな権限を与える
と言うのか。東日本大震災での原発についての教訓をまるでなかったことのよ
うにしようとしている岸田首相に、どんな権限強化を許すのか。
盗人に追い銭どころの話ではない。何度も言っているが、これは憲法改正で
はなく、大きく後退、劣化させる憲法改悪なのである。全ての法律の根本にあ
るのが憲法であり、それに基づいて今日の社会が成り立っている。大きな犠牲
を払った敗戦の反省に立って、私たちは平和を享受することが許されているの
だ。