コロナウイルスは弱毒化しているのか?
この噂の出所は、英国紙ザ・テレグラフ電子版6月20日の記事で、イタリアで新型コロナウイルス患者の治療にあたっていたたサンマルティノ病院の感染症部門の医長マテオ・バセッティ教授のインタビューでの回答によるものです。このインタビューでマテオ・バセッティ教授は自身が新型コロナウイルスの治療にあたっているうえで、3月から4月あたりのウイルスと今のウイルスでは明らかに変異しているという実感があり、少し前までは重症肺炎、呼吸器が必要な患者が多かったのに対して、今では新型コロナウイルスの感染者は軽症であることが多いという見解を話しています。イタリアでは高齢者の新型コロナウイルス感染者は2~3日で死亡してしまっていたのに対して、今感染したという方は、機械を頼らずに呼吸ができているという点でも新型コロナウイルスが弱毒化しているのでは、という見解を示しています。
しかし、いずれにせよ感染者数はまだ増えていることや医学的に研究をされたわけでもないため、この話は新型コロナウイルスに対して最前線で戦ってきた医師が治療にあたってきたうえでの体感という捉え方をしておくと良いのではないでしょうか。
出典:https://www.clinicfor.life/articles/covid-052/
CLINIC FOR
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以下厚生労働省による見解
「ゲノム分析では今のところ大きな変化はない。弱毒化しているという変異があるわけではない」
出典:https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4376454.html
毎日放送TBS
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脇田隆字・国立感染症研究所長は会見で「コロナウイルスが弱毒化したのでは」という見方が出ていることについて、「弱毒化につながる変異が日本のウイルスにあるということはない。動物に感染させて調べないと(確実なことは)言えないが、それを調べるほどの変化はない」と否定した。
出典:https://www.asahi.com/articles/ASPB666JGPB6ULBJ00Y.html
朝日新聞
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イギリスのテレグラフなどによりますと、オックスフォード大学のサラ・ギルバート教授は22日に開かれた講演の中で、一般論として「ウイルスは免疫が高まった集団に広がると、時間とともに毒性が弱まる傾向にある」と指摘しました。 こうした場合、ウイルスは行き場が少なくなるため、新型コロナウイルスが致命的な変異を起こす可能性は低くなるということです。 教授はその上で、新型ウイルスの症状は今後は軽くなっていき、最終的には季節性の風邪を引き起こすウイルスの一つになるとの見通しを示しました。
出典:日テレ(Yahoo!NEWSからの引用で 日テレの記事本体は見つけられなかった)
行き場が少なくなると致命的変異を起こす可能性が低くなるメカニズムはない
変異は常にランダムであり 致命的変異を起こす可能性が下がる構造の説明は存在しない
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ウイルスが生き残るためには、宿主(今回なら人)に死なれてが困ります。
宿主が死ぬとウイルスも生きられないからです。
ですので致死率が低く、かつ感染力の高いウイルスが生存に適しています。
変異しやすいRNAウイルスではそういった環境に適したタイプのものがどんどん増えていきますので、それにより弱毒化が起こります。
出典:大手町リーレクリニック
大手町リーレクリニックの説明は科学的ではなく 「ウイルスや生物が合目的的に遺伝的進化をする」という従来の進化生物学上の誤謬に基づいたデマであり ダーウィンの進化についての説明を理解していない者の錯覚である
東京大学の遠藤秀紀が指摘している「典型的な間違い」とは このことである
「生き残るため」といった目的のために自発的に進化しているのではなく あくまで「偶発的に生き残れた」結果を進化と呼んでいるに過ぎない
遺伝的進化というものは突然変異と淘汰圧力による自然現象に過ぎず 進化の果てに絶滅しようが何だろうが誰も保証はしてくれない
現在の生物の多くは長い進化の過程で高い恒常性を獲得してはいるものの 生物やその進化に目的が存在する論理的根拠は何もないのである
そもそも鼻風邪程度の症状しかなかったコロナウイルスが強毒化をしたからこそCOVID-19となったのであって 弱毒化に向かう変異や収斂進化のメカニズムも存在しない
生物やウイルスは「生き残る」ためといった目的に則って進化しているわけではなく あくまで自然現象として変異した結果に過ぎず 生き残る「必要性」のようなものはどこにも存在しないのである
アナウサギに対するミクソーマウイルスの弱毒化は あくまで自然界における強力な淘汰の結果であって ヒト自身が進化しなくなった文明社会の中ではウイルスもまた都合良く進化することはできない
ウイルスが弱毒化する条件とは まず大量発生しているヒトなどの宿主が大量に死滅し 密が解消して感染が収束した後に弱毒株が優位になるのであって ヒトでこれが起こるためには人口の90%以上が死滅しなければ弱毒化への収斂進化には至らない
変異によって弱毒株が生じたとしても 弱毒株以外が宿主ごと大量死滅しなければ弱毒株への収斂は起きないのである
現存するウイルスが弱毒性なのは 弱毒進化共生に成功した株だけが残ったという結果であって 全てのウイルスが弱毒進化に成功したという証明はできない
進化に「失敗」した株はほとんど全て跡形もなく消え去っているからである
COVID-19ウイルスが弱毒共生進化に成功する保証は何もない
過去に絶滅した膨大な生物種やウイルス株のように「失敗」する可能性も充分にある
遺伝的進化というものはヒトに都合良くしか働かないようなものではないのである
無駄吠えしないイヌへの品種改良は 無駄吠えしない個体同士での交配を管理した状態で生ずるものであり ウイルス感染はこうした管理状態にはない
バンコマイシン耐性菌が生ずるメカニズムと同様に COVID-19ウイルスが多剤耐性を獲得する可能性も存在し 決してヒトにとって都合良く変異が生じてくれる保証はない
自然界においてウイルスは赤潮プランクトンの異常繁殖を抑える「役割」として働くことがある
それならヒトの異常繁殖を抑える「役割」としてウイルスが働けば ヒトは密が解消するまで弱毒化は起こらない
生態系のピラミッドというものは ネズミやイワシが捕食者に喰われるために高い繁殖能力を獲得したわけでもなければ
生態系を維持するために肉食獣が繁殖個体数を抑制しているわけでもない
それぞれの個体種は生態系における「役割」において その繁殖力でなければ生態系が成立しなかったという結果でしかなく 別に目的のために繁殖能力を意図的に変えているわけではない
ネズミやイワシが充分な繁殖能力がなければ食い尽くされ 肉食獣が必要以上の繁殖力を持ってしまえば生態系ごと食い尽くすことになり
結果的に生態系は崩壊するのである
崩壊(失敗)した生態系は残らない
残っているのは崩壊せずにピラミッド構造を形成できた生態系だけである
進化というものが自然現象である以上 失敗しない保証はどこにもないのである
「全ては成功する」というのであれば 何の対策もせずに自然任せにしておけばよろしい
起こったことの全ては偶然であり必然ではあるが 起こったことの全てに目的があるわけではない
「偶発的結果」と「意図的目的」の違いが理解出来ないバカが多すぎてどうにもならない
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