簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

金閣寺の池と水上勉と

2012-03-09 | Weblog
 『金閣寺に“南の池”あった』と言う五段抜きの縦見出しに、『広々、江戸中期まで 
絵図をたより、実地検証』の横見出しが添えられ、写真と古い絵図面入りの記事が
あり、その部分が記事枠に沿って几帳面に切り抜かれている。



 『年間百万人の観光客を集める京都有数の観光地、金閣寺の庭の中央池・鏡湖池
には江戸時代中期頃までは今の池の南側にも池が広がっていたことが、江戸時代の
絵図を調べていた研究者によって発見された』と記事は伝えている。



 この切り抜きが挟まれていた本は「私版 京都絵図(作品社)」と言う。
それは、作家・水上勉が青春期を送った京洛の地を、自ら巡り自身の作品の背景を
探った自伝的な京都紀行文集である。



 第一刷の発行が1980年の5月26日と奥付けにあるから、恐らく発行されたばかりの
新刊を購入し、それから間の無い6月の8日のこの記事を切り抜いたのでは・と想像を
働かせてみる。「水上勉と金閣寺に、何か格段の感慨を抱いているのだろうか・」
持ち主はどんな人だったのだろうかと、俄然興味が湧いてくる。

 水上勉は京都を舞台にした作品も多く残している。
私自身も好きな作家の一人で、「金閣炎上」「雁の寺」「五番町夕霧楼」「飢餓海峡」
などなど、その作品は好んで読んでいるが、それらの本はすでに古本として売却し
手元には残ってはいない。
 僅かに「ブンナよ、木からおりてこい」「湖笛」「ものの聲ひとの聲」など、著者の直筆
サイン入りの本だけが、なかなか手放せず手元に残っている。



 この古本の主は、京都に少なからず関心を持っていたのでは・・と推察出来そうだが、
興味ある新聞記事を大事に挟むまでした本を、どうして手放すに至ったのか、そこの
ところも少し気に成ってくるから、古本は面白い。(完)



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