まこの時間

毎日の生活の中の小さな癒しと、笑いを求めて。

実家の玄関

2009-03-16 | 暮らし
実家へ行くと、玄関先で母が自作の合羽ズボンと、畑用の長靴をずぼっと脱いで、そのまま家に入ったようす。
それで、わたしの上着と車の中にあったひざ掛けで上半身を作っておいた。
畑から杖をついて帰って来た父が、玄関先で
「がははは・・なんじゃいこりゃ」と、喜んでいた。
喜んでいた理由は、得たいの知れない物を作った犯人が来ていることを悟ったからだ。
両親はふたりきりで住んでいて、もう20年も前に金庫を盗まれて新聞沙汰になったことがある。
その頃はまだ70才にもなっていなかったのに、「老夫婦二人暮らし」と、書かれていて憤慨していたが、今は全くそのとおりになっている。
不思議と親が年老いていく姿は、日頃分からないのに、ある日妙にふけたなあ・・と、思う瞬間がある。
遊びに行くと、父はすごく喜び、読んだ本や新聞の切り抜きを見せて、感動したものや興味深いものを次から次へだしてくる。
壁にかかったカレンダーにメモが貼ってあり
「グローバルスタンダード」「ワークシェアリング」「アイデンティティ」など、つまづいたカタカナを羅列してある。
まだまだ元気で長生きしそうな気がするが、
「もうしばらくや・・長ごないわい」と、言って笑っている。
残り少ない人生が、笑いに満ち溢れていますように。
と、わたしは今日も笑いの種を持っていく。

虚数の情緒

2009-03-16 | 読書
最近めっきり読むペースが落ちてきているのに、手に入れたい本が次々と出てくる。いわゆる積ン読の傾向になるのだが、ダイヤモンドより、ブランド品より興味深い本がある。

「虚数の情緒」が、それだ。
まず、題名に惹かれてしまった。これは、一目ぼれだ。数学と情緒が結ばれるというのは、ガラスの靴がぴたりとシンデレラの足に合ったように、ロマンチックだ。
次に、一体何があるのかといろいろな紹介を読むたびに、一度お会いしたいという気になる。
数学などは、一番苦手な分野なのに、いまさら何さと思うが、苦手なタイプだからこそ惹かれたりすることがある。
しかし、「中学生からの全方位独学法」というサブタイトルを見ると、身分違いなのでごめんなさいと言いたくなる。
けれど、次の部分を読むと、またまた興味深くなる。

著者は数学を学ぶにはまず言葉を学びなさいという。言葉こそが歴史であって文化であって、人格であって君自身なのだという。青年は易きにつくな、いたずらな小我を破って「守・破・離」をまっとうせよという。それには絶対に「読書」が必要で、それも針の穴から隣人を覗き見てその全人格を了解するような読書をしなければならない。

これは、相当に高度かもしれない。中学生に・・というが、彼らは一番柔軟で海面のような優れた頭脳の持ち主だ。
石のような、それも軽石のように穴だらけのこの頭で対応できるか。
おまけに、相当に分厚い本であり、今のペースで読むとなると覚悟がいる。
その前に、借りている「阿波研造」を、読み終えなくてはならない。
そうなると、会社など行っている暇はない。おまけに、家事についやする時間も惜しい。しかし、どちらも辞めるわけにはいかないとなると、この本を買ってしまうことが一番よいかもしれない。
とはいえ、先日Amasonで、一冊申し込んだばかりだ。

我慢しているうちに、この本への興味が薄れてしまう。
誰か、読後感を教えてほしい。あんたには無理だと諦めさせてくれるか、なりふり構わず突き進むか。
ネットでは、手にとって見れないので、本を買うときには、このように相当に熟慮しなくてはならない。