1993年発行の大沢在昌の初期の作品。
日本へ向かう飛行機のファーストクラス、
主人公トモコが乗っている。
(例によって非の打ち所がない絶世の美女である。)
日本人の名前であるが、韓国人のリーのパスポートである。
何のために・・・・
本のタイトルが相続人TOMOKOであるからして、
この女性は相続人なのである。
アメリカの大富豪の未亡人である。夫はある組織に、
事故に見せかけられて殺されたのだった。
トモコはその組織のスパイとして大富豪に近づいたのだが、
大富豪と本当に愛し合ってしまい結婚・・・任務に逆らって
(組織を裏切って)逃亡していた。
危険を察知していた夫は財産の一部をスイス銀行に送金し、
トモコの財産としていた。トモコはその莫大な遺産を手に
日本に帰国する。
トモコはCIAの工作員だったが、裏切ったために、
国籍も名前も失い偽造パスポートで入国するしかなかった。
東京に着いたトモコは戸籍を得るために、
コールガールの組織に接触し、トモコと言う名前で
身寄りのない女性をホテルに呼ぶ。
何も知らない智子はホテルに呼ばれる。
そこでトモコと言う名前の女性に会い、
トモコの身代わりとなって(実際には2人1組で)、
マンションを買い生活を始める。
トモコに悪事を証言されるとマズイCIAは、
日本の警視正を巻き込みトモコを抹殺しようとする。
トモコはチャンスをうかがいながら追手から逃げるが、
その都度、協力した善意の人間や巻き込まれた人間が、
死んでいく・・・。
と言うような場面が何度か続き、
最終的にトモコは夫の仇を討つ・・・・。。
CIAの元工作員だけに肝が据わっているし、
夫の仇を討つと言うブレない信念に基づく行動が、
小気味よい。智子も頭の軽い男遊びしか才能がない、
尻軽女であるのだがトモコと行動を共にしていくうちに、
自我が芽生えて自立して行く。
いつもながら凄い設定を考えつくなぁと感心するのであった。