1997年発行の大沢在昌のエッセイ集である。
小説ではない。1956年生まれの著者が、
デビューから15年間に新聞や雑誌に書いた、
エッセイをまとめて発行したものである。
15年間・・・20代から30代であるから、
いろいろな経験を通して人間が出来上がっていく過程である。
本人も言っているが女性の好みもかなり変わったそうで。
笑。
40歳を前にしてオヤジになった作者が、
カッコいいオヤジを称して「陽の当たる・・・」
と言うタイトルにしたそうだ。
私も20代の頃、40歳と言うと相当なオヤジやおばはん
などと思っていたのだが、それをとうに超えた今、
自分をそんな風には全く思っていないのだから、
我ながら身の程知らずと苦笑してしまう。
作者は愛知県出身で大学に行くため上京、
新聞記者だった父親の六本木にほど近い住まいを根城に、
遊び惚けていたため大学を首になった。
その遊びも作家になるための基盤になったのだし、
なにしろ六本木というところは刺激的であり、
国際的であり、お洒落でカッコいいではないか。
(好き嫌い、合う合わないは別にして、響きがね。)
私などは六本木に行くと落ち着かないし、
事件に巻き込まれないうちに早く帰りたくなるが。
上野や池袋の方が妙に落ち着くのは、
作者と同年代からこの辺を活動エリアにしていたからだろう。
そんなわけでエッセイ集なので、
気合を入れて読まなくともよいし、
難しく考える事もない。
大沢さん、そうだったのか・・・。と思えばよいのだ。